新・雑事雑感

主に時事的話題です.

2021年9月20日 (月)

撮り鉄共産党員の違法行為

 読売新聞《「撮り鉄」共産・山添拓議員、線路立ち入り「道と勘違い」…書類送検》[掲載日 2021年9月18日 22:06] から引用する.
 
鉄道写真の撮影目的で秩父鉄道(本社・埼玉県熊谷市)の敷地に無断で立ち入ったとして、埼玉県警が今月中旬、共産党の山添拓参院議員(36)を鉄道営業法違反(鉄道地内立ち入り)容疑で書類送検していたことが、関係者への取材で分かった。
山添氏は18日、読売新聞の電話取材に応じ》 
「通行可能な道だと勘違いをしていた」と説明。「その場所は近所の人たちに踏み固められた形跡があって、道になっていた」ためだという。「電車が通っていない時に渡ったが、横断禁止だということがわかれば渡らなかった」とも述べた。
 
 踏切のない場所での線路の横断は鉄道営業法で禁止されている歴とした違法行為である.
だが,違法を承知で住民が線路横断する例が全国にあり,これを「勝手道路」と呼ぶ行政用語まである.(国土交通省によると勝手踏切は全国に約一万七千ヶ所以上あるという)
 鉄道線路への侵入は,法律違反というだけでなく,痛ましい人身事故も後を絶たない.
 それと,人身事故の他に,というか事故以上の頻度で報道されるのは,いわゆる「撮り鉄」が線路に侵入して起こす電車の運行妨害である.
 撮影に好適な場所から線路を望む途中に樹木などがあると,無断で伐採あるいは除去する.これは2013年に「しなの鉄道」沿線に植えられていた桜が伐採されるという事件が有名だ.
 しなの鉄道の社員がこれをSNSに投稿して報告したところ,「証拠はあるのか」という撮り鉄どもから中傷が殺到し,遂にしなの鉄道が謝罪に追い込まれた.被害者が謝罪させられたのである.この事件により,撮り鉄は一種の反社会集団であることが国民のコンセンサスとなった.
 撮り鉄は現代日本のタブーであるから,これを取り上げるメディアは,記事の末尾に必ず反社会的な撮り鉄は一部の者に過ぎないと断り書きを付けて,彼らを敵にまわすことのないように心配りせねばならなくなった.(下記はその例)
 
他の多くの趣味人と同様に、困った人物は一握り。鉄道ファンのほとんどは、その存在に迷惑している良人である》(出典)
最後に、鉄オタのほとんどはルールをきちんと守る優良な人々であることも付け加えておきます!》(出典)
 
 だがしかし本当にそうか.撮り鉄が《ほとんどはルールを守る優良な人々》であると,誰が調べたのか.エビデンスがあるなら示してみよ.
 本当は《ルールを守る優良な人々》は撮り鉄のごく一部に過ぎないのではないか.
 それが証拠に,撮り鉄の善行が報道された例を私は知らない.
 これは,鉄道写真を撮るという行為の中に,善人を悪行に向かわせる何かがあるからだろう.
「気に入った鉄道写真」を撮るためなら,植物を踏み荒らし,桜を伐り,線路に立ち入ってもいいよね,と勝手に考えてしまう人間を作るのが鉄道趣味なのだ.
 
 さて,善良な市民から嫌われている撮り鉄の中に共産党員がいることに,私はまず驚く.
 しかも参議院議員で,弁護士である.
 のみならず自分が反社会的な撮り鉄であることを,恥もせず,堂々とサイト上で公言している.
 そして撮り鉄お約束の違法行為だ.
 山添議員は弁護士であるから,鉄道線路に立ち入ることが鉄道営業法違反であることを知っていたはずである.
 しかるに同議員はメディアの取材に対してしらばくれた.
 違法行為であると重々承知で行った行為なのに《横断禁止だということがわかれば渡らなかった》と取材に答えたのである.
 まるで,違法行為の現場に「横断禁止」と立て看板なりで警告表示することを怠った秩父鉄道に責任があると言わんばかりである.
 泥棒にも三分の理というが,悪徳弁護士には一部の理もないと私は思う.
 
 私がこの記事をアップする時点で調べたが,日本共産党の公式サイトには,党員議員が送検されたことに対する謝罪の掲載はない.
 
20210920a
 
 そして重要なことだが,山添議員は鉄道営業法違反で送検されるべきところ,なぜか軽犯罪法違反で送検された.
 忖度とはこれだ.
 

|

2021年9月19日 (日)

ドイツ語がトラウマで

 先日 (9/17),NHK《あさイチ》に中谷美紀さんがゲストに招かれて,キャスターたちとトークした.
 中谷さんはオーストリアと日本の二拠点生活をされているのだが,オーストリアの公用語はドイツ語 (オーストリアドイツ語) で,中谷さんは勉強を始めてから一年半くらいで,なんとか生活に必要なドイツ語を習得したとのことである.
 ドイツ語の話題になったところで,鈴木奈穂子キャスターが「華丸・大吉のお二人は,ドイツ語講座に出演されていたんですよ」と語り,当時 (2007年) の映像を映した. 
 初回の放送で,華丸がドイツ語を話すことを知った大吉が「なんでドイツ語を知ってる?」と言うと,「大学のときの第二外国語がドイツ語だった」と答えた.
 これを聞いて私は腰を抜かした.
 私もドイツ語を第二外国語にとったのだが,講義が始まってすぐに定冠詞だの名詞の性だのというところで,大学はストライキに突入してしまった.
 それからというもの,長い時間を全く勉強せずにいて,しかし年が明けて機動隊がバリケード封鎖を解除してストライキが終わったあと「定冠詞を知っていれば成績は可とする」という試験を受けて可をもらい,教養学部を追い出されて農学部に進んだので,遂にドイツ語はチンプンカンプンのまま現在に至る.
 それ以後,英語が読み書きできれば仕事に支障はなかったので,ドイツ語がわからないというトラウマを抱えて生きてきた.
 そんなダメ人間に比べて,中谷美紀さんは偉い.英独語だけでなく仏語もできるのだそうだ.
 中谷さんはオーストリアでは,クラシックの音楽会に出かけたり,美術館に行ったりという暮しをしておられるようで,まことに知性派女優の面目躍如たるものがある.私なんぞとは生き方の真摯さが違うとしか言いようがない.
 天下のNHKのドイツ語講座に出演した華丸も偉い.ああそれに比べて私は.
 
 余談だが,中谷さんのお話では,コロナ禍のオーストリアでは,片田舎でも音楽や美術を市民は楽しんでいるようだ.
 日本では,酒を飲みながら騒ぐ音楽会でコロナ感染していたりするわけで,彼我の違いに情けなくもうな垂れざるを得ない.
「マスクは無意味だ」「コロナは第五の風邪だ」「感染対策よりも経済を回せ」とか言っている木村盛世みたいなやつがテレビで旗を振ると,ここぞとばかり我が同胞たちは,音楽会ではなく劇場でもなく,飲み屋に駆け付ける.音楽会と称する会場では酒が販売されて大騒ぎする.
 酒を飲んで騒ぐと体温が上昇し,アルコールは飲んだ分だけ炭酸ガスとなって放出される.体にいいことは一つもない上に,地球環境にも優しくない.
 私たちに必要な「経済を回す」は,飲酒のごとき完全な消費ではなく,再生産だ.酒のでない音楽会に行こう.本を読もう.映画を観よう.美術館に行こう.芸術に親しむことは私たちの文化を再生産することだ.中谷さんのお話を聞いていて私はそう思った.

|

2021年9月18日 (土)

うつせみに結ぶ

 先日のフジテレビ《坂上忍どうぶつ王国》で坂上忍が,保護猫四匹の預かりボランティアを体験した顛末を放送した.
 どんな内容だったかは見逃し配信を観て頂くとして,結局坂上は生まれたてからミルクをあげて育てた子猫たちとの離別に耐えられず,四匹を飼うことになった.
 経済力があるということは素晴らしいことだ.広い敷地の豪邸でたくさんの保護犬や保護猫と暮らすことができる.
 犬一匹を飼うのがやっとの私は,心底からうらやましい.
 
 で,話は坂上が四匹の子猫と別れるその日の朝のシーンで流れたBGMだ.
 
【Official】Uru「remember」×「劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~」コラボレーションMV YouTube ver.
 
 私は不明にしてこのUruという歌い手を知らなかった.猫キャラが登場する『夏目友人帳』も知らなかった.
 アニメはまあそれとして,この主題歌は繰り返し聴いても飽きないなあ.

|

2021年9月16日 (木)

新規感染者数がピークアウトして減少するのは自然現象である (三)

 今朝 (9/15) のNHKニュース《おはよう日本》の冒頭で「東京都の新規感染者が減少を続けているが,その理由は?」という話題を取り上げた.下の画像は放送画面を写真撮影してトリミングしたものである.
 
 20210915b
 
 鳥でも昆虫でも,あるいは自然界の微生物でも,およそ生物を対象にしたフィールドワークを専門にしている研究者であれば,上画像に描かれた「東京都の感染者 (日別)」のグラフを一瞥すれば,直感的に,これは数学的に解析できる現象であると見抜くだろう.
 というか,これほどきれいなグラフは,滅多に自然界の現象ではお目にかかれない.
 もちろん既に,ある感染症の感染者数の推移を数学的に解釈することは,学問として成立している.
 それがどのような学問であるか,京都大学の西浦博先生が日本内科学会雑誌に昨年寄稿した総説を紹介する.
 
 鈴木絢子,西浦博《感染症の数理モデルと対策》日本内科学会雑誌 109 (11):2276~2280,2020.
 
 この総説の p.2278 に,感染症の数理モデル“SEIR” (微分方程式) が記載されている.
 またこのモデルにおいて,基本再生産数を変えたときのシミュレーション結果が図示されている.

 20210915a
(出典;鈴木絢子,西浦博《感染症の数理モデルと対策》日本内科学会雑誌109:2276~2280,2020)

 この図4は「東京都の感染者 (日別)」が数学的に解析できることを見事に示している.
 感染流行第四波,第五波はこのシミュレーション波形によく近似している.
 またこの波形は,感染流行に有効な政策介入が生じた場合 (例えば緊急事態宣言の発出によって人流が抑制された等) には変形する.
 それをシミュレートしたのが,この文献の第5図である.この図こそ,西浦先生が「八割おじさん」として世間に名を知られたときのデータである.(図5の緑色の曲線がそれ)
20210916a
(出典;鈴木絢子,西浦博《感染症の数理モデルと対策》日本内科学会雑誌109:2276~2280,2020)
 
 緑色の曲線は,山が頂点に達したあと,急激な立ちさがりを示しており,その結果,政策介入がなかった場合に比較して頂点が尖っているように見える.
 これから先は門外漢の推測であるが,現在の東京都の第五波感染流行状況「東京都の感染者 (日別)」は図5の赤色,黄色,緑色の曲線 (政策介入あり) ではなく,青い曲線 (政策介入なし) に近い形状であることがわかる.
 すなわち現在の流行第五波の新規感染者数 (日別) データは,緊急事態宣言が感染拡大に全く効果を及ぼしていないことを示している.
 実際これは,時々テレビニュースが東京都内の繁華街や駅頭の人出の増減を報道しているが「現在の緊急事態宣言が発出されて以来,人出は減るどころかむしろ増加している」こと,ならびに緊急事態宣言下でも都民の六割は外食を自粛していないこと (共同通信《コロナ禍における外食事情は? お店を応援したいと思う人が8割に!》[掲載日 2021年7月13日]) と符合している.
 
 さて,《おはよう日本》が意見を求めた専門家三人のうち自然科学系は二人で,その中で国際医療福祉大学の和田耕治教授は《ワクチン接種が急速に進んだ,人々が行動自粛,密になること減った》の三点が新規感染者減少の理由だと述べた.
 しかし現状,(1) ワクチン接種が進んでいるのは高齢者のみ (約90%) で,それを勘定に入れた国民全体の接種率でも未だ国民の半分以下しか接種をしていないこと,(2) 東京都の人出のデータは都民が全く行動自粛していないことを示している,(3) 「密になることが減った」に至ってはデータすらない憶測であること,からして,和田教授が口から出まかせを吹きまくっていることが明らかだ.
 和田教授は厚労省の専門家会合のメンバーであるが,いわゆる「エビデンス・ベース」で物事を考えない人が対コロナ政策に関わっているのは問題である.専門家といっても和田教授は公衆衛生が専門分野であり,NHKもインタビューの相手をよく考えるべきだろう.
 次にNHKが「専門家」だと紹介したのはグローバルヘルスクリニック (東京都千代田区麹町) の水野泰孝院長である.水野医師は内科臨床医であって感染症流行を解析する専門家ではない.その水野医師は感染者減少の理由は《正直はっきりわからない》と述べた.
 水野院長は他局の取材にも頻繁に応じていて,医療現場の現状を報告しているのでよく名の知られた医師である.
 その氏が《正直はっきりわからない》とコメントしたのは,専門外のことについて軽々に語らないという態度を示したもので,これは,和田教授よりもはるかに誠実である.
 私は暇な老人なので,京大西村教授の論文に目を通したりしているが,日々クリニックの外来に押し寄せる感染者の治療に忙殺されている臨床医に「東京都の新規感染者が減少している原因」についてコメントを求めるのは見当違いも甚だしい.NHK《おはよう日本》のスタッフの見識があまりにも低いことを日本中に晒してしまったといえる.
 自然科学の問題について,誰にコメントを求めたらよいかを決めることのできる,広く浅い知識を有する理系のスタッフは,この報道番組にはいないのか.情けないことである.
 
 昨日 (9/16) のテレビ朝日《スーパーJチャンネル》で,МCの小松アナは,東京都の新規感染者の減少は《都民の皆さんのご努力の賜物です.ありがとうございます》と述べた.
 週末に限らず都内の繁華街には夜になれば人があふれている.テレビ局の街頭インタビューに応じた都民は一様に「一年中緊急事態宣言やってるから,もう気にしていない」と答えている.こんな状況下,小松アナは視聴者から「都民が努力している」というエビデンスを示せと言われたらどうするのか.報道陣として軽薄極まりないとは思わぬのか.
 
 私たちが日々,密に接触する相手は多くない.
 私たち一人ひとりの生活圏はそんなに大きくないのである.
 こういう限られた生活圏内で感染症の流行が開始されると,新規感染者は初期に増加したあと論理的に必ず減少に転ずる.感染症の科学ではこれを「自然収束」と呼んでいる.
 東京都内には,規模が小さく,かつ膨大な数の生活圏が存在し,そのうちの少数で感染流行が起きて,そして自然収束している.
 その流行と収束の総和が「東京都の感染者 (日別)」なのである.
 こういう感染症の基本的知識も見識もない人々が「感染者の減少は東京都民のご努力の結果」などとたわけたことを考えているとすると,東京都では感染流行の第六波が必ず起きるに違いない.(私の住む神奈川県も同様だが)
 
 ちなみに,小池都知事は,感染者の減少についてメディアに対して次のように述べた.
 
20210917a
 
 日々報告される「東京都の感染者 (日別)」データは,検査で陽性となった都民の人数である.
 これらの感染者が実際に感染したのは,日本人における新型コロナウイルス感染症の平均潜伏期間である約五日 (潜伏期間の調査研究は国立感染症研究所が行った) 前のことである.
もうひと息で3桁に抑えられる.もうひと頑張りみんなでしていこう》は,タイムマシンに乗って五日前に行き,過去の都民に語り掛けるべき台詞だ.
 なんとなれば,既に第五波の感染流行は自然収束しているからである.(そのデータは今日から五日後に出る)
 この発言でわかるように,実は小池知事は「東京都の感染者 (日別)」データは,過去の新規感染者数の五日後の反映であるという基礎知識を持っていない.
 あまりのことに驚いて,腰が抜けそうだ.
 

|

2021年9月14日 (火)

政策は言われた通りにして権力に寄り添う

 河野太郎大臣が会見を開き,自民党総裁選へ出馬すると表明 (9/10) した.その際の演説の冒頭を引用する.
 
河野太郎でございます.この度の自由民主党の総裁選挙に立候補いたします.皆さんの思いや不安を受け止め,情報を皆さんと共有し,しっかりとしたメッセージを出し,皆さんと一緒にこの直面する危機を乗り越えていかなければらないと思っております.皆さんと一緒に笑い,皆さんと一緒に泣き,皆さんの思いを受け止め,皆さんに共感していただける,そんな政治を通じて人が人に寄り添うぬくもりのある社会を作っていきたいと思っております.
 
 引用中の文字を着色した箇所《人が人に寄り添うぬくもりのある社会を作っていきたい》は,河野大臣のお得意の台詞である.事あるごとにこれを言う.
 だが,河野大臣が「寄り添う」相手は,河野大臣が気に入った相手だけである.嫌いな人間は無視し,怒鳴り,恫喝する.
 
HUFFPOST NEWS《河野大臣、記者の質問無視して「次の質問どうぞ」4連発(ノーカット動画)》[掲載日 2018年12月11日 20:17]
 
YouTube《河野太郎大臣パワハラ音声 官僚に怒鳴り声「日本語わかる奴、出せよ」
 
 河野大臣は総裁選に立候補するに際し,これまでの主張「脱原発」を捨て去った.
 自民党長老を何度も訪問し,立候補の許しを得るために,政策は長老の言う通りにしますと擦り寄った.
 時事通信《河野氏、懸念払拭へ持論封印 脱原発、女系天皇―支持拡大狙い、ジレンマも》[掲載日 2021年9月11日 7:11] から引用する.
 
麻生派会長の麻生太郎副総理兼財務相と連日のように対応を協議。同派幹部や安倍晋三前首相ら長老にも出馬を事前に報告し、「政策は言われた通りにします」などと伝えた。》(文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
 
 河野大臣は,自らが権力に寄り添う社会を作りたいのである.

|

2021年9月13日 (月)

新規感染者数がピークアウトして減少するのは自然現象である (二)

 TBS系《サンデー・ジャポン》は,漫才師が司会をして,タレントたちが勝手な意見を述べるというもので,この種の番組の中では一番程度の低い番組である.
 その《サンデー・ジャポン》で,自称「薄口評論家」の杉村太蔵が頓珍漢なことを述べた.
 報知新聞《杉村太蔵、人流変化なし東京の感染者減傾向に「科学的に説明できている方は誰もいない」》[掲載日 2021年9月12日 11:41] から杉村の発言を引用する.
 
8、9月で我々そんなに行動が変わった感じがしませんけど、何で急激に感染が減少したのかも、科学的に説明できている方は誰もいない。科学的根拠を求めたい気持ちもわかるのですが、今はちょっと難しいのではないかというのが僕の考えです
 
科学的に説明できている方は誰もいない》とはまた随分と上から目線なことを言うものである.専門家の誰が科学的な説明をしているかどうか,判定をするのは私だ,と杉村は言っているわけだ.いつから杉村は感染症数理解析の専門家になったのか,おいおい,である.
 昨年,我が国が新型コロナウイルス感染症の第一波に見舞われたとき,京都大学医学部大学院の西浦博先生 (当時は北海道大学医学部大学院) が「これから先,新型コロナウイルス感染症は,周期的に何度も流行を繰り返すのだが,各流行期のピークをできるだけ低く抑えて医療崩壊を防ぎ,そのように時間稼ぎをしている間に医療体制を作り上げなければならない」と語った.
 新型コロナウイルス感染症は,感染者が増加して感染者数が頂点に達したあと,自然に減少する (研究レベルの議論では,感染者数の推移はポアソン分布で近似するようだが,私たち一般国民の理解としては,二項分布をすると見做してもいいだろう) ものなのである.
20210912a
 ここでおもしろいのは,感染が拡大しても人々が行動自粛をしない場合,現在の第五波のように感染者数推移のグラフがきれいな二項分布を示すことである.
 その逆に,上図の第三波 (昨年の十二月から二月にかけての流行期) を観察すると波形が崩れているが,これは年末から年初にかけて人々の行動に大きな変動があったことを示している.
 いずれにせよ,薄口評論家杉村太蔵が何を言おうと,これまでの新規感染者の増減状況は科学的な説明がつくものである.
 したり顔で《科学的に説明できている方は誰もいない》などと言わぬのがよい.
 科学的な理解のためには,できれば西浦先生の専門的な論文を読破するのがよいが,それは難解すぎて杉村には無理 (実は私もよくわからぬ w) だろうから,この記事の (一) で紹介した《高校数学で理解する感染症の数理 (2021年1月4日版)》(筆者は愛媛大学理学部理学科数学・数理情報コース教授松浦真也先生) を勉強して欲しい.
 この松浦先生の丁寧な解説も理解できぬというなら,新型コロナウイルス感染症の科学については口をつぐんでいるのがよい.

|

2021年9月12日 (日)

新規感染者数がピークアウトして減少するのは自然現象である (一)

 麻生財務相は閣議後記者会見 (9/7) で,政府の新型コロナウイルスへの対応について「曲がりなりにも収束して国際社会の中での評価は極めて高いと思う」と述べた.
 これが世間の認識と大いにずれているとして批判を浴びた.
 そこで失言を三日後に訂正したのだが,これがまた頓珍漢だったので,失笑ものであった.
 時事通信《「コロナ収束」発言を修正 麻生副総理兼財務相》[掲載日 2021年9月10日 14:42] から下に引用する.
 
麻生太郎副総理兼財務相は10日の閣議後記者会見で、「新型コロナウイルス問題が曲がりなりにも収束した」とした自身の発言について、「完全に収束したというのではなく、傾向を申し上げた」と修正した。その上で、「コロナ対策は引き続き、気を緩めないでやっていかないといけない」と強調した。
 最近の新規感染者数の動向に関しては、「確実に減少してきているので、収束しつつあるのではないか」と述べた。
 
 そもそも新型コロナウイルス感染症は,毎日発生する新規感染者数を棒グラフにすると,本質的にピークを描くものなのである.
 これは季節性インフルエンザでも同じである.
 例えば国内の感染者数の推移は,毎日テレビで報道されているので周知のことであるが,第一波から始まって現在は第五波がピークアウトした局面である.
 下にNHKの特設サイト「新型コロナウイルス」から《第1波~第5波 感染者数グラフ (全期間を1画面表示)》を引用する.
20210912a
 上図の,昨年十二月から二月にかけての第三波は形が崩れているが,第四波,第五波は整った山の形を示している.
 ここで第三波の形は不明瞭だが,ピークが一月だったと仮定すると,各波の発生は周期的であることが容易に理解される.
 そして重要なことは,各波がピークアウトしても,谷間の感染者数は次第に増加していることである.
 第一波から第四波まで,一見すると二項分布で近似できるように見えるが,ピークアウト後の裾がガウス分布のように指数関数的に減少せず,いわゆる「裾の重い分布」「ロングテール」と呼ばれる形になっている.このロングテールは,新規感染者が大きく減少しても少数の無症状感染者が残存していることを示しており,これを引き金として次の感染流行が起きたと解釈される.
 つまり,今後の感染状況を予想すると,十月に迎える第五波の裾の感染者数が,七月の谷間の感染者数よりも多いと,第六波は第五波よりも高い山になるはずだ.
 逆に,国民が行動自粛に飽きてしまった現在では望み薄だが,十月の感染者数が七月よりも少なく推移すれば,第六波は第五波よりも小さい山になる.
 
 上図は見慣れたものだが,多くの人は「どうして感染者数の推移は,周期的な山型のグラフになるのだろう」と疑問に思うだろう.
 その理由は,実は高校数学で理解できる数学的モデルで説明できる.
 といっても現役の高校生ではない社会人にも理解できる易しい解説はないかと探したら,《高校数学で理解する感染症の数理 (2021年1月4日版)》を見つけた.筆者は愛媛大学理学部理学科数学・数理情報コース教授の松浦真也先生である.
 この概説の9ページに次のように書かれている.
 
このようにして,感染者数は i0 = 2, i1 = 3, i2 = 5, i3 = 9 と増えていき,感染症が流行していく様子が見てとれます.
しかし,感染者の数は永遠に増加し続けるわけではありません.未感染者の数には限りがあるため,ある時から,新規の感染者が減り始め,流行は収束へと向かいます.そして,ついには新規の感染者が現れなくなります.
 
 文字を着色した箇所が,新規感染者のグラフが山型を示す理由である.
 すなわち「未感染者の数が減少すると,新規感染者数も減少する」という簡単な理屈だ.
 これについて,簡単な条件設定下での計算結果のグラフが10ページに示されている.
 上の引用部分では《ついには新規の感染者が現れなくなります》としているが,新型コロナウイルス感染症の場合は,実際には感染者の中から,ウイルスを体内に保持し続ける無症状感染者 (スプレッダー) が一定数生じるため,感染流行時期が過ぎたあと,また新たに次の感染流行が始まるのである.
 
 冒頭に麻生大臣の発言《曲がりなりにも収束して》を紹介したが,これは麻生大臣が,新型コロナウイルス感染症について高校生でも理解できることを全く知らないことを示している.
 すなわち,政府がどんな「対策」を打とうが打つまいが,そんなことに無関係に,新型コロナウイルス感染症は時期が来ると新規感染者数は減少するのだ.そしてまた一定期間後に再び感染流行が始まる.
 新規感染者数がピークに達したあと減少するのは自然現象である.自然現象を国際社会が「高く評価」するはずがないのである.
曲がりなりにも収束して国際社会の中での評価は極めて高い》などと,いい歳をして馬鹿も休み休み言うがよい.
 
 私見では,新型コロナウイルス感染症が波状攻撃的に流行を繰り返す現象を理解しているのは,政府内では,感染症専門家と一緒に仕事をしている西村大臣と,田村厚労相の二人だけである.
 菅義偉首相も河野太郎大臣も,発言を聞いていると感染症に関して無知丸出しである.この二人は知的レベルがあまりにも低いために,専門家が何を進言しようが聞く耳を持たぬ (理解できぬ) ところが共通している.自分が気に入らぬ相手を恫喝する (*註) パワハラ体質も同じだ.尻ぬぐい役の加藤官房長官がかわいそうである.我が国の明日は暗い.
 
(*註)
 大暗愚宰相菅義偉が Go To トラベルを強行しようとした時,分科会の尾身会長が国会答弁で反対意見を述べた.すると菅は「尾身を黙らせろ」と西村大臣に命じた.(週刊文春12月24日号)

|

2021年9月11日 (土)

お気楽団体職員

 日テレNEWS24《絶対やめて!自宅療養で酸素吸入中の注意》[掲載日 2021/09/09 18:17] を見て呆れた.
 私は元喫煙者である.その経験に基づいて以下に説明する.
 
 喫煙者が普通の風邪をひいたとする.
 その状態で煙草に火をつけて,口にくわえて一服の煙を吸い込むと,とたんに猛烈にせき込む.
 煙が気管に入ったか入らないくらいの瞬間に,ゲホゲホゲホとせき込む.
 非常に苦しい.
 何度かこれを繰り返して,風邪のときに喫煙は不可能だと,普通の人間は喫煙を諦める.
 
 風邪をひいたら,どんなに煙草を吸いたくても,むせてしまうので喫煙はできない.これは喫煙者の誰でも知っている事実だ.
 ましてや,肺炎を起こして酸素吸入している患者が,喫煙をするわけがない.いくら喫煙したくてもできない.
 呼吸困難の状態で喫煙は不可能である.
 しかるに日本産業・医療ガス協会という団体は「酸素吸入中に喫煙すると火災が起きるから危険だ」という馬鹿げた実験を行って,得々と発表した.
 暇なのか.
 公式サイトに何も書くことがなくて,会員企業に「コロナ禍に関して何にも活動してないじゃないか」とクレームをつけられて困った職員が《タバコによって鼻カニューラが燃焼した場合を見ていただき、「喫煙の怖さ」を知っていただきます》という項目をデッチあげたのだろう.
 こういうテキトーな仕事をして給料をもらっている団体職員に私もなりたかった.

|

2021年9月10日 (金)

科捜研の女

 少し前の放送 (2021年8月28日) だが,テレビ朝日《サンドウィッチマン&芦田愛菜の 博士ちゃん》に,同テレビ局《科捜研の女》の大ファンだという少女が出演し,とてもおもしろかった.(『科捜研の女』を愛する小5博士ちゃん、憧れの沢口靖子と対面で涙!沢口も思わずもらい泣き)
 この回の《博士ちゃん》は,現在劇場公開中の映画『科捜研の女 劇場版』とリンクした企画であるわけだが,本家のテレビドラマ《科捜研の女》はもう放送開始から二十年になるのだという.この秋から,シーズン21がスタートする予定で,現在放送中の連続ドラマシリーズでは、最長寿だ.
 であるが,私は《科捜研の女》はこれまでに一度しか観たことがなかった.
 このドラマでは,京都府で殺人等の事件が発生した時に,犯行現場にヒロインの榊マリコ (京都府警察本部刑事部科学捜査研究所職員) が急行して,本来は府警の鑑識課員が行う初動捜査を行っている.
 そのため鑑識課員がほとんど出てこない.
 それで,この番組を最初に視聴したときに,「これはリアリティがないなあ」と思って,それ以後はもう観る気が失せたのであった.
 
 ところが現在テレビ朝日では,映画公開に合わせて過去の傑作選を放送しており,これを何本か観てみたら,実におもしろいのである.
 科捜研が初動捜査に加わるという一点を,ドラマにおけるフィクションとして容認すれば,あとは何の問題もないと思われる.
 毎回取り上げられる科学捜査の手法,手技も興味深い.
 昔の推理小説に読んでいると出てくる法医学上の誤り (例えばシアン化合物の「アーモンド臭」に関する推理作家の誤解) を,きちんと訂正してくれているのもなかなか良い.
 
 これまでに放送されたのは二百数十本もあるという.
 TELASAではその全作品が視聴できると宣伝しており,今の気持ちは「TELASAの手続きをしちゃおうかなあ」というところである.
 一日三本ずつ観れば,三ヶ月で観終わる勘定だ.コスパは悪くない.
 
 で,新型コロナウイルスのワクチンも打ったことだし,映画館で『科捜研の女』を観ようかなあ.

|

2021年9月 8日 (水)

一国のリーダーは泣かないという俗説を受け売りする人

 JBpress《外野から見た菅義偉首相の不出馬騒動》[掲載日 2021年9月8 06:00] から一部引用する.この記事の筆者は勢古浩爾だが,勢古は私と同世代のエッセイストで,人生論を多く書いてきた作家である.しかし政治や社会評論は不得意のようで,かといって専門分野があるわけでもない.そのためか,あまり事実を調べずに書き飛ばす傾向がある.
 
ともあれ、政治家たちは「驚き」の感想を述べ、二階幹事長はいつもの木で鼻をくくったような顔で「(首相が)熟慮の上、高い立場から決断した」と述べたにとどまり、小泉進次郎はなんに感極まったのか涙を流した。それを見てわたしは、ああもしここがアメリカなら、進次郎が大統領になる目は永遠に消えたなと思った。この程度のことで公然と涙を流すような軟弱な政治家は、一国のリーダーをとても任せられないからである。
 
 米国では,政治家は国民の前では泣いてはいけないとされている,という俗説がある.泣くということは精神的なタフネスに欠けているのであり,そういう人物に政治をまかせてはいけない,ということのようである.この説の出処は知らないが,たまーに書いている人をみつけることがある.(外山滋比古は著書『老いの整理学』に《アメリカでは、人前で泣いてはいけない、ことにエリート、リーダーに涙は禁物だという暗黙のコンセンサスがあるようだ》と書いている.出典を示していない上に「あるようだ」と書いてうまく逃げているので,ホントかどうか不明)
 だが,この説の出処は知らないが,真偽を私は知っている.
 例として挙げれば,オバマ元大統領は五年前,銃規制強化の大統領令を発するときに泣いた.(BBC《オバマ米大統領、涙ながらに銃規制強化訴え》[掲載日 2016年1月6日])
 また大統領として最後の演説のときにも泣いた.(アバマイメージ《オバマ大統領、最後の演説で涙》)
 オバマ氏は割とよく泣く人だった.
 バイデン現大統領も,就任以来何度も泣いている.(AFP BB News《バイデン氏、亡き息子の名冠した基地で感極まり涙 首都へ》[掲載日 2021年1月20日 10:35])
 古い話では,外山も『老いの整理学』に書いているが,米国第三十七代大統領のリチャード・ニクソンは,ウォーターゲート事件で窮地に立たされ,テレビに出た時に泣いた.(もともと涙もろい人だったと書いている伝記だかを読んだことがあるが,誰の書いた本か忘れた)
 このように,ちょっと調べただけでも,米国大統領は結構泣いていることがわかる.最近の米国大統領が泣いたシーンは写真が残っているので,隠しようがない.昔のことを詳しく調べれば,もっと「泣いた大統領」の例は出てくるだろう.
 しかるに勢古浩爾は《ああもしここがアメリカなら、進次郎が大統領になる目は永遠に消えたなと思った。この程度のことで公然と涙を流すような軟弱な政治家は、一国のリーダーをとても任せられないからである》と書いた.ダメだなあ.テレビや新聞のレベルでいいから,もっと調べてから書いてくれ.

|

より以前の記事一覧