今朝のテレビ朝日《モーニングショー》で玉川徹コメンテーターが,「トランプさんは間違った数字を持ち出してくるから,よく説明して間違いを正すことが必要です」旨の意見を述べた.
しかしその見解はおかしいと,我々視聴者は玉川氏に言いたい.そんな暢気な認識でどうするのかと.
なぜならトランプは,とにかく交渉相手を言い負かして,勝った勝ったMAGAだ!と騒ぎたいのであり,そのためなら交渉に際して使った数字が間違いだろうがフェイクだろうが,そんなことはどうでもいいのである.
そのいい例が,自動車の強度試験に関してトランプがこしらえた奇想天外な嘘だ.
毎日新聞《ボウリング球落として検査? トランプ氏、日本の非関税障壁に難癖》[掲載日 2025年4月21日] から下に引用する.
《トランプ米大統領は20日、自らの交流サイト(SNS)に関税以外で自身が問題と考える貿易上の不正行為(非関税障壁)の具体例を列挙した。全8項目の6番目に「保護技術基準(日本のボウリング球試験)」と明記。ボウリングの球を自動車に向かって落とし、車体が傷ついたらその自動車は安全基準で不合格――という現実には存在しないトランプ氏の「脳内試験」を再び持ち出し難癖をつけている可能性がある。
米CNNなどによると、トランプ氏は1次政権時代にもボウリング球を使った日本の検査を問題視する発言をしたが、当時ホワイトハウスは「冗談」と弁明していた。ただ、トランプ氏は2次政権でも、欧州連合(EU)がボウリング球を使った自動車の安全検査をしていると公言しており、架空の検査がトランプ氏の頭の中にすり込まれてしまっている可能性がある。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
上の記事には《現実には存在しない》《架空の検査》《脳内試験》とあるが,誰がそんな架空の検査をデッチ上げたかというと,トランプ自身に他ならない.
トランプ1.0では自分のデッチ上げだと自覚していたかもしれないが,トランプ2.0ではそれをすっかり忘れてしまい,現実に存在する試験だと思い込んでいるのだろう.
自分がついた嘘なのに,当の自分が事実だと信じ込んでしまうのは,虚言癖の「あるある」だ.
認知能力が未発達の小さい子供の嘘も同様で,自分自身がその嘘を信じてしまっているからいくら「嘘をついてはいけません」と諭しても効果がない.
トランプは三ヶ月前の一月二十日に七十八歳七ヶ月で二期目の大統領に就任した.七十八歳二ヶ月で就任したバイデン前大統領を上回り,歴代最高齢での就任だった.
「バイデンは耄碌している」とトランプは激しくバイデン氏を罵ったが,そのバイデン氏よりもトランプは実は老いているのだ.
今回の《脳内試験》 すなわち《現実には存在しない》《架空の検査》は,トランプが認知症を発症しているのではないかと強く疑わせる.
それを裏付けるもう一つの例を下に挙げよう.
ハフポスト日本版《トランプの「コンゴ」に対する不可解な発言がSNSで炎上「何なのかよくわからない」/トランプ大統領の発言は「信じがたいほどの無知をさらした」などの批判を招いている》[掲載日 2025年4月19日] から下に引用する.
《アメリカのトランプ大統領の「コンゴ」に関する不可解な発言が、物議を醸している。
トランプ氏は4月17日にホワイトハウスで行われたイタリアのメローニ首相と会談で、記者の質問に回答。
政権がエルサルバドルに誤って送還したメリーランド州在住のキルマー・アブレゴ・ガルシア氏について聞かれ、「自分は関与していない」と答えた。
また、トランプ氏は「外国から犯罪者がアメリカに送り込まれている」とも主張。政府の強制送還政策を擁護する中で次のような発言をした。
「彼らは、刑務所から(囚人を)解放したんですよ……世界中の刑務所からね。南米だけじゃなく、世界中から解放したんです。アフリカのコンゴからも。たくさんの人たちがコンゴから押し寄せている。私にはそれが何なのかよくわかりませんが、とにかく彼らはコンゴから来たんです。世界中から来ているんですよ」
【動画】「コンゴから人が押し寄せている。それが何かわからないが」と話すトランプ大統領
トランプ氏が言及したコンゴが、コンゴ民主共和国なのかコンゴ共和国なのかは定かではない。また、なぜ「コンゴ」をやり玉に挙げたのかも不明だ。
このコンゴに関する敬意を欠くトランプ氏の発言はSNS上で批判されている。
反トランプ活動団体の「コール・トゥ・アクティビズム」は、「WTF(なんということだ)」とXに投稿。
「『コンゴから人が押し寄せている。それが何なのかよくわからないが』と言って、コンゴがアフリカのどこにあるのかも知らないという、信じがたいほどの無知をさらした。史上最も愚かな大統領だ」と批判した。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
動画でトランプは“People that were in jail for horrible -- you know, they release jails from all over the world and release them. Not just South America. The Congo in Africa. Many many people come from the Congo. I don't know what that is, but they came from the Congo.”と述べている.
トランプは,ホラ話の最初に“they release jails from all over the world”と話を盛ったのはいいが,さすがに“all over the world”は言い過ぎだと思い,囚人を解放した国をどこにしようかと考えた.
それが“Not just South America. The Congo in Africa.”だ.
えーと,世界中というか南米だけじゃなくてー,そうだ!コンゴだ!
というニュアンスである.
だが,コンゴを思いついたのはいいが,なぜ自分がコンゴを思いついたかがトランプにはわからない.
周知のようにコンゴ民主共和国では政府軍と反政府勢力との衝突で情勢が長らく混乱を極めており,これまでに何度も刑務所で暴動と脱獄が発生し,最近の事件でも三千人近い死者が出ている.(BBC NEWS JAPAN《コンゴ民主共和国で脱獄、女性100人以上がレイプされ生きたまま焼かれたと国連》[掲載日 2025年2月6日])
おそらくこの大規模脱獄事件のニュースを聞きかじったトランプの頭の中では「コンゴで囚人が解放されて,その囚人たちがアメリカに押し寄せてきた」という突拍子もない被害妄想になっているものと思われる.
ボケ頭で唐突に思いついた妄想だから,自分が何を言っているかがわからないトランプは“I don't know what that is, but they came from the Congo.” (「なんで囚人が解放されたんだかよく知らないが,とにかく囚人たちがアメリカに押し寄せてきた」) と言ったわけだ.
着の身着のままの囚人たちがどうやって旅費を工面してアフリカからはるばるアメリカまでやってくるのか.少しは考えろ.w
こうなるともはや認知症による老人の妄想以外の何物でもない.
すなわち私たちの世界の運命は,認知症のじじいの手に握られているのだ.
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