新・雑事雑感

主に時事的話題です.

2023年11月28日 (火)

虹の橋

 飼っていた犬が逝ってからひと月が過ぎた.元気な頃の写真を見て涙ぐむようなことは,ようやくなくなったが,遺骨と写真と遺品 (よく着せていた服とかリードなど) を祭壇に置き,生花を一輪挿しに飾って生前を偲んでいる.どうやら深刻なペットロスにはならずに済みそうだ.
 さて犬でも猫でも,人に懐く生き物を飼っている人たちによく知られている「虹の橋」という散文詩がある.
 この詩は長らく作者不詳とされてきたが,NATIONAL GEOGRAPHIC"The ‘Rainbow Bridge’ has comforted millions of pet parents. Who wrote it?"(PUBLISHED FEBRUARY 23, 2023) に,作者が判明したとの記事が掲載された.(日本語版記事は3/6に掲載)
 この記事によれば,作者である女性 Clyne-Rekhy が十九歳の時に看取った愛犬について書いた文章が‘Rainbow Bridge’だという.
 その文章を NATIONAL GEOGRAPHIC の記事から引用する.
 
 Rainbow Bridge

Just this side of heaven is a place called Rainbow Bridge.
When an animal dies that has been especially close to someone here, that pet goes to Rainbow Bridge.
There are meadows and hills for all of our special friends so they can run and play together.
There is plenty of food, water and sunshine, and our friends are warm and comfortable.
All the animals who had been ill and old are restored to health and vigor.
Those who were hurt or maimed are made whole and strong again, just as we remember them in our dreams of days and times gone by.
The animals are happy and content, except for one small thing; they each miss someone very special to them, who had to be left behind.
They all run and play together, but the day comes when one suddenly stops and looks into the distance.
His bright eyes are intent. His eager body quivers.
Suddenly he begins to run from the group, flying over the green grass, his legs carrying him faster and faster.
You have been spotted, and when you and your special friend finally meet, you cling together in joyous reunion, never to be parted again.
The happy kisses rain upon your face; your hands again caress the beloved head, and you look once more into the trusting eyes of your pet, so long gone from your life but never absent from your heart.
Then you cross Rainbow Bridge together.
 
 この散文詩は各国語に翻訳されて人口に膾炙する過程で,あるいは断片的な引用を経て,少しずつ意味内容に変化が生じた.
 元の文章では,この世で命を終えたペットたちは,天国のすぐこちら側にある「虹の橋」というところに行くのだとある.
 その場所でペットたちは何不自由なく楽しくくらすのだが,たった一つの心残りは別れてしまった飼い主のことである.
 しかしやがて,飼い主が死ぬと,ペットと飼い主は虹の橋のたもとで再会する.
 そして"Then you cross Rainbow Bridge together"つまり,虹の橋のたもとで再会した飼い主とペットは一緒に虹の橋を渡るのだ.
 
 ところがいつの間にか「ペットは死ぬと虹の橋を渡る」という,原詩の意味の誤解が生じた.
 上に紹介した NATIONAL GEOGRAPHIC の記事の冒頭に次の油彩画が掲載されている.この絵が誤りであることを示すために,下にブラウザ画面のスクリーン・ショットで引用する.
 
20231128a1
 上の絵は,画家 Stella Violano が2009年に描いた油彩である.
 左の草地から飼い主の魂がやってくると,その姿を見つけたペットたちが,右側の花咲き乱れる美しい場所から虹の橋を戻ってきて,橋の上で再会するという光景が描かれている.
 画家がそういうイメージで虹の橋を思い描いても別段悪いことはない (どう描こうと画家の勝手だ) が,原詩の内容と全く異なることは確かである.
 しかし原詩に忠実な理解をするのであれば,虹の橋の左側で飼い主とペットは再会し,それから一緒に虹の橋を渡るのである.
 
 さて私の犬が生を終えたあと,改めて虹の橋について検索すると,「ペットは死ぬと虹の橋を渡る」と理解している人が,かなりいることがわかった.
 例えば,まいどなニュース《「急いでいる時に限って…」飼い主の足の上でゆっくりおやつを味わうハムスター「困らせるとこも可愛い」「かわいいは正義」》[掲載日 2023年11月17日] には以下の記述がある.
 
飼い主さんがあぐらをかいた足の上でおやつを味わうハムスターの写真がX(旧Twitter)で話題になりました。
 投稿したのは、飼い主の「エンタ治療院」さん(@entachiryouin)。ハムスターは、同治療院の初代広報担当だった『とと美』ちゃん(雌)です。飼い主さんによると、写真は1歳10カ月で虹の橋を渡ったという、とと美ちゃんと暮らしていた頃に撮影した日常のひとコマとのこと。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が個なった)
 
 上に引用した記事のように最近では,ペットの死を「虹の橋を渡る」と表現することが多いようだ.死んだペットは,飼い主が来てくれるのを待っていてくれないのである.
 散文詩"Rainbow Bridge"の作者が,発表の最初から自らを著作権者であると明らかにして,他者による改変を禁じていれば,詩の内容の変化は避けられたと思われるが,しかし実際には著作権者不明のまま長い時間が過ぎた.もう虹の橋の意味の変化は,このままにしておく他はないようだ.
 ではあるが,私は「飼い主がやって来る日を虹の橋のたもとで待っているペットたち」というイメージが好きだ.
 私の犬も,私が虹の橋のたもとに逝く日を待っていてくれると思う.
 
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2023年11月27日 (月)

母が便秘で倒れたという119番通報 /工事中

 千葉日報《「便秘では搬送できない」救急隊員の説明に怒り暴行 公務執行妨害の疑い 62歳男「酔って覚えてない」 長柄の住宅》[掲載日 2023年11月27日] から下に引用する.
 
茂原署は26日、公務執行妨害の疑いで長柄町、自称無職の男(62)を現行犯逮捕した。
 逮捕容疑は同日午前11時20分ごろ、容疑者方敷地内で、通報を受けて駆けつけた救急隊員の男性(35)の足を蹴る暴行を加え、職務を妨害した疑い。男性にけがはなかった。
 同署によると、容疑者から「母が便秘で倒れた」と119番通報があり、救急隊が臨場。男性が「便秘では搬送できない」と説明したところ、憤慨し蹴ったという。容疑者は当時酒に酔っており「覚えていない」と容疑を否認している。》(有料記事の千葉日報オンラインでは実名掲載)
 
 近年,不要不急あるいは意味不明 (例えば「銀行通帳が見当たらないので探してほしい」などw) な救急車要請 (119番通報) が増加しており,困り果てた東京消防庁は異例の広報記事をサイトに掲載した.
 
20231127a2
 
「母が便秘で倒れた」という救急車出動要請も,このテの迷惑行為かと思ったが,念のために検索してみた.
 すると,実例が多いことが判明して私は驚いた.
 便秘のために意識を失う,あるいは昏倒する原因には二つのタイプがある.参考資料を下に挙げる.
 
日テレ《世界仰天ニュース トイレで失神!原因はまさかのアレ!》[掲載日 2022年1月4日]
下痢でお腹が超痛いのに便秘でイマイチ出ない。
 それでも必死に頑張っていたその時!彼女は突然意識を失った!
 一体、彼女の身に何があったのか?
 専門家によると…これは「迷走神経反射」による失神なのだという。
 迷走神経反射とは、運動や興奮によって上がった心拍数を正常な状態に戻す役割を持つ迷走神経が、何らかの原因で必要以上に心拍数を下げてしまい、十分な血液が脳まで行き渡らなくなり、失神することもある症状。
 
慶應大学病院医療・健康情報サイト《血管迷走神経失神 (含むアルコール失神、排尿失神)
失神とは一時的に意識を失うことを言いますが、脳の血流量が減少することによっておこります。ここで述べる血管迷走神経失神は、排尿、嚥下、排便、食後、咳などの後におこる状況失神、頚動脈洞症候群、および情動失神などとともに神経調節性失神症候群と呼ばれています。血管迷走神経失神は失神の原因の約20%を占めますが、疫学研究では予後(病気の見通し)が良好な疾患であることが分かっています。

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生ハムはめんどくさい /工事中

 日刊スポーツ《千鳥ノブ「お母さん…東京は」レストランのクセ強すぎるスタイルに驚き母へメッセージ》[掲載日 2023年11月27日] から下に引用する.
 
お笑いコンビ、千鳥ノブ(43)が26日までに自身のインスタグラムを更新。レストランでの驚きの1枚を公開した。
 ノブは「お母さん。。東京は生ハムを皿におかず手の甲に置いてくる店があります。」とつづり、生ハムが乗せられた手の甲の写真をアップした。
 ハッシュタグを用いて「#お正月帰ります」と記している。
 フォロワーからは「皿に置く時代は終わったんかっ!?」「シェフの味見スタイル」「大クセ」「東京おもろすぎ」などのコメントが寄せられている。
 
 日刊スポーツの記事に転載された千鳥ノブのインスタグラムには,手の甲に載せられた生ハムの画像がある.
 これを見て「おもしろいことをするなあ」と思って,そのレストランを検索したらすぐヒットした.広尾にある高級レストラン (イタリアン)「ペレグリーノ」である.営業は昼だけで,料理は「ペアリングコース」三万八千円のみだという.
 ランチが四万円とは,さすが超売れっ子芸人であると感心した.一般国民の贅沢ランチの十倍のお値段だ.ノブは,ディナーはおいくら位のものを食べていらっしゃるのだろう.
 
 それはそうとして,私ら貧乏人が口にする生ハムは,

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2023年11月26日 (日)

カレーコロッケ /工事中

 私が日々の食材や食べ物を買い求めるのはJR藤沢駅の周辺であるが,スーパーやデパ地下の他に,駅南口にある名店ビルの地下には鮮魚店,青果物店,惣菜店や食器雑貨店,鍵と靴修理の店,花屋等々が密集していて,大変な活気を呈している.
 その中に「ハマケイ藤沢名店ビル店」という店がある.売っているのは主に焼鳥類 (鶏,豚もつ) 鶏唐揚げ,コロッケなどである.
 さて先日,鮮魚店で買い物をしたあと,ハマケイにも寄ってみた.
 というのは,この店の商品にカレーコロッケがあって,これが扁平な小判型の,昭和レトロな形と味なのである.
 どこのスーパーや惣菜店でもコロッケはあるが,カレーコロッケは意外に少ない.藤沢駅周辺では,ハマケイと小田急デパートの地下くらいだろうか.
 それで時々,私はハマケイでカレーコロッケを買う.
 なのであるが,七十過ぎた白髪の爺様が「カレーコロッケを二つ」と,コロッケだけ注文するのは,学校の帰りに腹が減って買い食いする小学生みたいで,いささか恥ずかしい.
 そこでいつも,焼鳥も注文して体裁を取り繕っている.
 
 ところが最近,同じ名店ビル地下で鯖の文化干なんぞを買い求めたあと,ついでにハマケイでカレーコロッケを買うことにした.

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2023年11月25日 (土)

タクシー利用者としての義務を果たさぬ古市憲寿

 スポニチアネックス《古市憲寿氏 奈良で乗った「ひどいタクシー」に怒り 勝手に目的地変更「高いお金、時間もよけいに…」》[掲載日 2023年11月23日] から下に引用する.
 
「この前奈良に行ったんですが、本当にひどいタクシーに乗りました。ホテルから薬師寺へ向かって欲しいと伝えたら、『池越しに見るのがいい』といって勝手に薬師寺を離れて、池に連れて行かれていました」と目的地を変えられてしまったという。
 「ルートが違うと言っても聞こえないふりをする。いざその池についても、薬師寺なんて遠くて大して見えない。そもそも夜だし。さすがにまずいと思ったのか、黙ってすぐにひき返して、薬師寺へ向かったのですが、本来の金額よりもかなり高いお金を取られました。もちろん時間もよけいにかかりました」とてん末をつづった。
 奈良ではタクシー不足が続いており「全然つかまらないんです。呼んでもすぐに来ない。だからこんなひどいタクシーでも降りるわけには行かない。運転手もそれがわかってて、めちゃくちゃ偉そうで、乗せてやってる感を出してくるんです」と態度にも言及。
「もちろん中にはいい運転手さんもいて、ガイド顔負けの解説をしてくれたりする。いまの日本の田舎だと、ひどい運転手さんと、いい運転手さんも、正当に評価される仕組みがない。こういう理不尽なこと、昔のパリあたりのタクシーでは結構経験したんですが、ライドシェアのアプリが普及して、すっかりなくなりました。いつまで日本だけがこんな理不尽な状態を放置するつもりなんですかねえ」と訴えた。
 
 昔のパリのことは知らぬが,日本ではこういう違法な営業をするタクシーに乗ってしまったら,後部座席に乗ったままただちにタクシー会社に電話し,状況を説明するのが常識である.通報に当たっては,会社名とドライバー氏名が助手席の前あたりに表示されているので特段のウェブ検索等はいらない.
 
[訂正を追記 11/27]
 上に書いた《会社名とドライバー氏名が助手席の前あたりに表示されている》は訂正する.
 ドライバーに対する乗客からの犯罪行為やハラスメントを防ぐために法令が変わったためである.
 以下に新聞報道から引用する.
法人・個人タクシーや路線バス、貸し切りバスなどの乗務員は、これまで旅客自動車運送事業運輸規則などにより、乗務中は車内に名前を掲示しなければいけなかった。タクシーは顔写真の掲示も求められていた。
 国は、乗務員のプライバシーに配慮するとともに、安心して働ける環境を整えるため、これを見直し、8月1日に施行規則を改正した。タクシーの場合、乗客から見える位置に表示されるのは、乗務員の登録番号のみになった。》(読売新聞《タクシー運転手の顔写真や名前は掲示しません…SNSで中傷防止、女性運転手の不安解消へ規則改正》)
 従って,タクシー乗客がドライバーによる不正営業の被害を受け,会社に通報する際には乗務員の登録番号を言えばよい.
 
 会社への通報は,目的地に到着して降車したあとでもよい.むしろそのほうが運転記録が動かぬ証拠になるので,そうする人もいる.
 そういう善良な市民としての義務を果たさず,ネットに記事を投稿して喜んでいる古市憲寿の神経を疑う.
 古市は《いつまで日本だけがこんな理不尽な状態を放置するつもりなんですかねえ》と得々と愚かなことを述べているが,悪質なタクシー・ドライバーの横行はライドシェアとは別の問題だ.違法営業の被害を受けたのにそれを他人事のように放置する古市のような人間がいるから,悪質なドライバーが根絶できないのである.
 ちなみに昔から,タクシーの車内には「エコーカード」という用紙が備え付けられている.
 その説明は《質問タクシー会社への苦情はどこに言えばいいのか》にある.悪質なドライバーの被害を受けた場合に,当該タクシー会社へクレームを付ける上での注意点もあるので,ネット情報を調べておくとよい.
 ま,こういうことはタクシー利用者のほぼ常識である.自分の無知を晒してライドシェアを云々する古市に私は呆れた.
 
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2023年11月24日 (金)

差額の経理処理はどうなっていたのか

 東京新聞《生活保護費「1日1000円では生活できない」と訴えたのに…桐生市は「同意得て分割したという認識」》[掲載日 2023年11月21日 18:46] から下に一部引用する.
 
群馬県桐生市が50代男性に、生活保護費を1日1000円ずつ手渡して満額支給しなかった問題で、男性が21日、市内で記者会見し「『1日1000円では生活できない』とケースワーカーに言っても、一方的に分割された」と主張した。男性側は、国家賠償請求訴訟を検討していることを明らかにした。
◆その日の求職活動を確認してから1000円手渡し
 男性は糖尿病を患い、生活に困窮して今年7月に生活保護を申請。8月に月約7万1000円の支給が決定した。市は男性に、毎日の求職活動状況を書面で提出するよう求め、ハローワーク担当者の押印が書面にあるのを確認後、1000円を手渡したという。
 金曜日は週末分を含め3000円、光熱費や携帯電話料金は請求書を提示すれば別途支給されたが、支給額は合計で8月が3万3000円、9月も3万8000円にとどまった。男性は司法書士と市福祉事務所を訪ね、未支給分を10月に受け取った。
◆「桐生市の対応は自立を妨げる。国賠訴訟も検討」
 男性は「仕事を毎日探しても、パートタイムしか見つからなかった。ケースワーカーには『フルタイムの仕事に就かなければ、生活保護を打ち切る』と言われた」とも明かした。
 会見に同席した男性を支援している仲道宗弘司法書士は「市の対応は生活保護の目的である利用者の自立を妨げる。弁護士と相談し、国賠訴訟も検討している」と述べた。
◆未支給分、市は「預かったという認識」
 仲道氏は同日、群馬司法書士会として運用改善を市に申し入れた。市福祉課の小山貴之課長は取材に「受給者の事情に沿って対応している。本人の同意を得て分割し、決定額に満たなかった分を市が預かったという認識だ。
 
 当該男性の生活保護費と実際の支給額には,月々三万~四万円の食い違いが発生している.
 しかし月々の経理上,その差額を何らかの費目に記載しなければならない.
 もし記載しないまま年度末になると,経理処理不能となる.未使用が許される予算もあるが,生活保護費はそういう性質のものではないからだ.
 この点を桐生市 (の福祉課) はどう考えたのか.
 
 可能性の話だが,当該男性の生活保護費と一見関係ないような費目 (例えば「○○調整費」とか) に一時的に入れていた可能性はないか.
 そして年度末になると,その費目の金額をさらに別の費目,例えば食料費などに転記する.
 こういう方法で公務員のウラ金が作られていくのではないか.
 民間企業では「使途不明金」という強引な方法でウラ金を作ることができるが,行政機関ではそれは許されない.
 そこで経理事務上の操作でウラ金を作ることになる.かつて実際に警察などでその例があった.
 
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2023年11月23日 (木)

元気なうちに老後資金を使い果たせというバカ

 マネーポストWEB《老後資金を“使わないこと”のリスク 円安で預金の価値は目減り、不必要に資金を残すと相続争いの火種にも》[掲載日 2023年11月23日] から下に引用する.
 
三菱UFJ信託銀行の調査では、亡くなったときに残っている財産の中央値は1600万円で、そのうち約4割が現金とされる。つまり現金だけで約640万円もの「使い残し」があるということだ。
 日本人の平均寿命である女性87.09才、男性81.05才で考えると、一般的に公的年金の受給を開始する65才から、女性は約22年間、男性でも約16年間も、お金を使うのをがまんして暮らすのが正しいとは言いがたい。ファイナンシャルプランナーの藤川太さんが語る。
「いまは90才まで生きる人は少なくありませんが、亡くなる直前まで元気で、自由にお金を使える人はまれでしょう。何才まで生きるかという命の寿命よりも、何才まで元気でいるかという健康寿命の方が大切です。
 加えて、目的あっての貯蓄ならともかく、不必要に資産を残すことは、相続争いの火種など、新たな問題を生みかねません」
 
貯蓄をいくらまで取り崩せるか
 健康寿命の平均は、女性75才、男性73才。それまでにお金を使い切るには、どうすればいいか。『定年後』の著者で、楠木ライフ&キャリア研究所代表の楠木新さんが語る。
「まずは、いまの生活にどれくらいのお金がかかっているか、年金など老後にどれくらいのお金が入ってくるかを把握してください。
 それさえわかれば、貯蓄額のうちどれくらいまでなら取り崩せるかも見えてくるはず。また、夫婦など家族間では、お互いの財産を知らないまま暮らさない方がいいでしょう。最近は高齢者でもネット銀行やネット証券を使っている人も多いので、どちらかが亡くなった場合に見落としがあれば、相続財産から外れてしまう恐れもあります」
 老後にお金が足りなくなるのも困るが、お金を貯めすぎてもトラブルの種になるということは、頭に置いておきたい。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
 
 上の記事は女性セブンからの転載だが,こういう駄文を書く連中は「調べて書く」と言う事をしない.
 現代の日本人が老後資金を貯める動機は何かを調べろと言いたい.
 というのは,実は老後資金が必要になるのは,上に書かれている《健康寿命の平均は、女性75才、男性73才》を過ぎてからだからである.
 
 現在の高齢者は,夫婦二人世帯か,または独居老人世帯である.
 夫婦で老々介護しているうちはまだいいが,独居になって要介護状態が進行すると,施設に入らざるを得ない.
 しかし特養に入れる人は少なく,多くは介護付きの老人ホームを利用する.
 これが問題で,実は厚生年金だけでは費用 (入居一時金+月々の料金) を賄えないのである.
 そのため普通は,それまでに営々と貯めてきた老後資金を取り崩しながら生活し,《現金だけで約640万円もの「使い残し」がある》状態で逝くのだが,よくぞ640万円の残金で踏みこたえたと,老人たちの計画性を褒めたいところである.
 あと数年長生きしたら,使い果たしていただろうに.
 上に引用した記事が主張するように《健康寿命の平均は、女性75才、男性73才。それまでにお金を使い切》っていたら,満足な介護なしの悲惨な老後であっただろう.
 なぜお金を使うことを我慢しているか,それは老人たちがよく知っている.
 惨めでない介護を受けるための費用と,終末医療にかかる費用のためである.
 そういうことを調べてから記事を書け.
 
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2023年11月22日 (水)

私の誤字センサー (27)

 岸田内閣の支持率が遂に読売新聞の調査でも危険水域の30%以下となり.このままでは総辞職の野垂れ死に内閣となる可能性が出てきた.
 この状況を作家の山本一郎氏が現代ビジネス誌のコラムで論評している.
 現代ビジネス《岸田文雄政権、アピール不足で不人気すぎて支持率が大変なことになってしまいました 仕事はしてるんですけどね》[掲載日 2023年11月22日] から下に,テキストとスクリーン・ショットで引用する.
 
最新の毎日新聞では21%、読売新聞では24%まで政権支持率が低迷してしまった岸田文雄さん。一方、得意の外交分野でAPECに絡めて日米首脳会談に続いて日中首脳会談も行って、順調な成果を打ち立てていました。目の前の仕事はちゃんとやってるんですけどね。
 それに先だって、10月22日に与野党一騎討ちで行われた衆院長崎4区・参院徳島高知合区の補選は1勝1敗とはいえ本来なら圧勝しなければならない長崎4区を接戦に持ち込まれ、参院合区も期日前の調査では7ポイント差に過ぎなかったにもかかわらず蓋を開けてみたらダブルスコア状態で、非常に厳しい選挙結果となってしまいました。
 その後も青梅市長選ほか健闘しなければならない地方選挙でも負けが込み、年内解散総選挙を見込んでいたと見られる岸田文雄さんは、早々に「年内に解散は行わない」とコメントせざるを得ない状況に追い込まれました。もともと、減税を含めた大型の経済対策も、人心一新のための内閣改造も、無理を承知で強行した裁判所への旧統一教会の解散命令請求も、すべては年内のどこかで解散総選挙を岸田さんが決断するための府席だったはずなのに、です。
 
20231122a2
 
 ある調査によると,漢字仮名交じりの文章を作成する際に,連文節変換を用いる人はかなりの少数派 (25%程度) だという.
 昔の日本では「一太郎」という優秀な日本語入力システムがメジャーだったのだが,Microsoft が日本語 Windows に無料のIMEを搭載したので,民間企業のPCでは完全に MS IME が「一太郎」を駆逐した.MicrosoftがOSアップデートの際に,「一太郎」のベンダーに嫌がらせのようなことをしたという噂もあった.
 企業のPCで MS IME のシェアが圧倒的になると,MS IME は進歩を止めた.それまでも,連文節変換を得意とする「一太郎」に比較してバカIMEと呼ばれていたが,バカさ加減に拍車がかかった.
 MS IME は,連文節変換すると誤変換ばかりになって,まともな日本語が書けなくなった.誤変換が発生すると「誤変換を減らすのに協力してくれ」とか何とかアホなメッセージが出るが,そんなことに協力する義理はユーザーにはない.
 そのためユーザーは単文節変換を用いるようになった.連文節変換で発生した誤字を,あとから訂正するよりもずっと単文節変換のほうが効率がいいからである.こうして連文節変換は廃れた.
 また,誤変換を文章作成後に発見するのには一種の能力が必要である.
 山本一郎氏は著名な文筆家であるが,誤変換発見能力がないようで,上に示した記事のように突拍子もない誤字を世間に晒してしまった.
 もちろん上の記事で山本氏は「布石」と書きたかったのだが, MS IME は,「布施木」ならまだしも,山本氏を嘲笑うように「府席」なんていう無意味な変換を行った.
 繰り返すが, MS IME を使用する限りは,テキスト入力画面をじっと見ながら単文節変換をしなければいけない.
 そうすれば,誤字「府席」は避けられたはずなのである.
 
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よりてつお葬式

 テレビで葬儀関係のCМが頻繁に放送されるようになったのはいつ頃からだろう.
 私がよく目にするのは,葬儀紹介会社である株式会社よりそう (Wikipedia【よりそう】) が提供する「よりそうお葬式」(たぶん以前は「よりそうのお葬式」というサービス名だったのではないかと思われる) と,やはり葬儀紹介業の株式会社ユニクエスト (Wikipedia【ユニクエスト】) が提供する「小さなお葬式」だ.(いずれも紹介業であって実際に葬儀をやってくれる葬儀社ではない)
 私はいわゆる団塊の世代の最後尾の人間なので,いつお迎えが来てもおかしくはないのであるが,私が死ぬと,遺体を埋葬しなければならない.(含散骨)
 自分で自分を埋葬することはできないので,我が子に費用を遺して頼むことになるが,費用はいくらになるのだろう,とか色々と考えることが多いので,ついテレビCМに気を取られてしまう.
 で,いま七十代の半ばになった我々団塊の世代にお迎えの時期が迫り,これからドンドコどんどこ死んで行くので,それを狙ったテレビCМにも工夫が凝らされる.出演者には,団塊の世代が親しみを覚えるような年齢の人たちを選ぶのである.
 私がこれまでにテレビCМで見たのは,井上順,武田鉄矢,市毛良枝さんなどである.
 葬儀関係業者がこの皆さんたちを出演者に起用した理由は,「終活」を考えている高齢者に対して知名度が高いためだろう.
 テレビCМには「お葬式ならビズリーチ」という雰囲気が漂っているが,それはいいとして,「よりそうお葬式」のネット広告を目にすると違和感を覚える.
 下の画像がその違和感の原因だ.
 
20231121a1
 
「そ」の一部が黄色くなっていて,ちょっと見には「て」に見えるのだ.
 さらに「う」の書き方が間違っている上に,間違っている画 (「ノ」になってしまっている) が黄色く着色されている.
 なんだこりゃ,である.
 私みたいな視力の衰えた高齢者が見ると「よりてつお葬式」と読んでしまうのだ.この字体デザインに何らかの意味があるのだろうか.それともデザイナーが,平仮名「う」をちゃんと書けないただのバカなのか.
 それと,《また、お葬式を依頼したいと思う》という文言は「葬式のリピーター」という印象を受ける.あまり感じよくない.
 
 しかし「感じよくない」どころか,意味不明なのが YouTube《【小さなお葬式】TVCM 「お葬式の規模」篇(字幕)》だ.
 出演している美少女が《沢山の人が来てくれるのもいいけど家族だけでゆっくり見送れるお葬式もいいよね》とか主張するのが小賢しい.
 そんなことは,これからあの世に行く爺さん婆さんと,葬式当事者の親にまかせておきゃいいのである.
 だが,もっと酷いのはYouTube《小さなお葬式TVCM 「そろそろ考えないと」篇》だ.
 施設に入れた親が弱ってきたと連絡があり,そうなると喪主をやらなきゃいけない娘が《ああ,お葬式かあ,そろそろ考えないとなあ》と悩んでいる風情だ.
 しかしそこは最近の流行りで《でも,どうしたらいいんだろう》と言いつつスマホで検索すると,たちどころに「小さなお葬式」の窓口と口コミが見つかって喜色満面に嬉しそうな喪主.(「そろそろ考えないと」篇からスクリーン・ショットで引用する)
 
20231123a2
 
 もうすぐ親が死ぬんだぞ.もう少し悲しそうな顔をせんか!と私は言いたい.
 葬式CМとしては嫌な感じである.
 やはりこういうことは神妙な面持ちでやっていただきたいと思うのである.
 
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2023年11月21日 (火)

フランスの矜持 /工事中

 ロシアがウクライナに侵攻したとき,MATO加盟国を「西欧的価値観を共有する諸国」と表現された.
 価値観 (西欧的価値観) を共有する云々は岸田首相の十八番である.
 しかし西欧諸国の中に,自由主義,民主主義,市場経済といった価値観や制度を土台とする,いわゆる「西欧的価値観」が醸成されたのはそう古いことではない.
 というか,「西欧的価値観」は第二次大戦後に「醸成」はされたものの,現在も確固としたものにはなっていないのだ.
 むしろ,自由主義が信教と思想の自由を保証する限り,宗教による人間性の抑圧や,極右思想に基づく反民主主義までもが「西欧的価値観」の一つの要素として存在を許されるために,「西欧的価値観」は永久に確立されないのである.
 それどころか「西欧的価値観」は,「宗教による人間性の抑圧」と「極右思想に基づく反民主主義」によって内部崩壊する可能性から逃れられないのだ.
 その意味で,イスラエルのネタニヤフ極右政権は,そしてそれを支持しているイスラエル国民は,西欧諸国のアキレス腱である.
 その西欧諸国の中で,英国はそもそも三枚舌外交 (イギリスの第一次世界大戦における中東問題をめぐる外交政策.これにより第二次世界大戦後のパレスチナ問題を生じた) によってアラブ人とユダヤ人の対立を招いた張本人である.
 また現在のイスラエルは米国によって軍事的に支えられている.
 米国はイスラエル建国後,一貫して軍事的に支えてきた.年間の軍事援助額は約38億ドル (約5690億円) にも達する.
 現在もガザ地区を空爆しているイスラエル軍の戦闘機は米国製である.イスラエルが保有している精密誘導兵器もほとんど米国製だ.イスラエルの防空システムが使う迎撃ミサイルにも米国製が使われている.
 ハマスの奇襲攻撃後,バイデン大統領はただちにイスラエルに兵器を送り始めると共に,追加軍事支援予算を連邦議会に求めた.
 続いて国防総省は高高度のミサイル防衛システム「THAAD」一式と、「パトリオット」地対空ミサイルを中東に配備すると発表した.
 ここまで米国が入れ込むのは,イスラエルが中東における軍事拠点だからである.
 イスラエルが非人道的極右政権になっても,米政府は軍事支援を続けている.
 国連が運営していた学校や病院を空爆して多数の死者が出ても米政府高官は「病院への攻撃にOKを出してはいない」と語るにとどめ,「病院を攻撃するな」とは言わない.
 イスラエルがガザ地区の一般人を殺戮するというやりたい放題をしても,米政府は停戦には反対を表明している.
 あれもこれも,米国にとってイスラエルが軍事的に重要だからである.
 ドイツは,イスラエルのやることに

 共同通信《ガザ「市民犠牲あまりに多い」 仏大統領、イスラエル首相に指摘》[掲載日 2023年11月20日 10:24] から下に引用する.
 
【パリ共同】フランスのマクロン大統領は19日、イスラエルのネタニヤフ首相と電話会談し、イスラム組織ハマスへの軍事作戦について「あまりに多くの市民が犠牲になっている」と指摘、市民の十分な保護を改めて求めた。
 またパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区でパレスチナ市民への暴力が増加しているとして強い懸念を示した。マクロン氏はパレスチナ自治政府のアッバス議長とも電話会談、西岸地区の情勢を巡る憂慮を伝えた。
 

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