新・雑事雑感

主に時事的話題です.

2017年9月28日 (木)

かわいそうな大磯の中学生 (三)

 昔の女性雑誌は誌名に「婦人」「主婦」がついた.
 昔の女性誌というのは,百科事典にあたってみると『主婦の友』『主婦と生活』『婦人倶楽部』『婦人画報』『婦女界』『婦人之友』などだ.
 余談だが,このうちの Wikipedia【主婦の友】に《創刊号の記事は、新渡戸稲造「夫の意気地なしを嘆く妻へ」》とある.東京女子大学初代学長にして,かつてはその名を知らぬ者はなかった程の思想家,新渡戸稲造が女性誌にそんなことを書いていたのか.しかもその文章の題から『ウチの夫は仕事ができない』を連想して,老人 σ(--;) はへなへなと腰が抜けた.
 それはそれとして,女性の有職率が高まり,専業主婦が大きく減った時代に,上記のような大正時代からの婦人雑誌は,若い女性セグメントのニーズに応えることができず,購読者数は大きく減少した.
 そして女性誌業界は,古めかしい婦人雑誌に代わって登場した『クロワッサン』と『オレンジページ』二誌に代表される生活情報誌と,その他のどうしようもない低レベル芸能情報誌に二極化した.
 ただし男性向けの雑誌も,同じ頃に『週刊文春』『週刊現代』『週刊ポスト』など出版社系雑誌の読者層と,『アサヒ芸能』読者層に二極分化はしているのだが,両読者層には画然たる違いがあり,決して重なっていない.普通の会社員であれば,仮に何かの理由があって『アサヒ芸能』を購入したとしても,開いて記事を読む時は人目を憚るようにし,誰にも見られないように暗がりで読まねばならない.この際,肘を左脇の下から離さぬ心構えでやや内角を狙い,えぐり込むように読むべし.
 つまり『週刊文春』などは正確な意味で週刊誌ジャーナリズムであるが,『アサヒ芸能』は別称「広〇〇〇団××組の機関誌」であり,普通の意味での情報誌ではないからである.通勤カバンの中に入れておくのは厳禁だ.(笑)
 ところが女性誌では,生活情報系の『クロワッサン』や『オレンジページ』と,その他の芸能人情報分野の女性週刊誌の読者層が重なっている.これは男性誌との大きな違いだ.
 だからというわけではないが,芸能人情報系女性誌にも,ごく稀にちゃんとした記事が掲載されることはある.
 最近の一例は《<まずい給食問題>「人間の食べ物じゃない」(生徒) VS「おいしい」(製造元責任者)》だ.(週刊女性2017年10月10日号掲載)
 この記事の中から一部を引用する.

同じ業者での異物の混入は相模原市内の中学校でも発見された。'16年度には28件、今年度に入って9件の異物混入が報告されている。同市教育委員会は、
「'16年度に生徒に提供した給食数は26万3千食です。そのうち異物が混入していたのが、28件。これが多いか少ないかという議論は難しい」
 これに対し工場の責任者は、
「誠に申し訳ないという気持ちです。しかし異物混入に関しては、他社さんもゼロではないはず。永遠の課題といったところですね。容器も教育委員会が用意したものですので、臭いと言われても……」
 と、どこか他人事というか対岸の火事というか。
 食品加工工場などの衛生管理のコンサルタントを行うジャパン・フードセイフティードクター株式会社の池亀公和代表取締役は、
「混入の件数も間違いなく多い。ちょっと考えられない。大手スーパーなどでは、異物などが入っている不良率は、100万食作って3個というぐらい厳しいんですよ。よほど管理がずさんなのではないでしょうか」
 とバッサリ切り捨てる。

 この箇所の《大手スーパーなどでは、異物などが入っている不良率は、100万食作って3個というぐらい厳しいんですよ》は,今回の事件で全国紙やテレビなどマスメディアではどこも言及しなかったが,事実である.これを書いた記者は,取材相手の選択と記事のポイントが的確で,朝日や読売のおざなりな記事の記者よりずっといい仕事をしている.

異物などが入っている不良率は、100万食作って3個というぐらい厳しい》は,業界用語で 3ppm というが,これは実は包装の不具合など一切合切の品質不良を合わせた数値で,セブンでもローソンでもイオンでもヨーカドーでも,実際上,異物混入は許されないといっていい.(とはいえこれはメーカーと量販店あるいはコンビニの力関係によるので,中堅どころのスーパーと中小食品会社の場合は 10ppm が管理目標だったりすることはある)

 従って,相模原市教育委員会が《給食数は26万3千食です。そのうち異物が混入していたのが、28件。これが多いか少ないかという議論は難しい》と言っているのは,彼らが如何に世間知らずかということを示している.これは難しい議論ではなく簡単なことなのだが,食品業界の人間にちょっと聞けばすぐに教えてもらえることを,何も調べずにマスコミの取材に答えて世間に恥をさらしているのである.こういう怠惰な精神の教育委員会で,相模原市の学校教育は大丈夫か.大磯の教育委員会といい勝負をしているぞ.

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2017年9月27日 (水)

同綴異義語"diet"

オンライン・ダイエットセミナー 》と題したウェブサイトにこんなことが書かれていた.

【ダイエットの意味】
 ダイエットって、いつ頃からこんなにも頻繁に使われる言葉になっちゃつたんでしょうか。ダイエットとは、もともと糖尿病患者などへの食事療法を指した英語で、語源は「政策」とか「方針」を意味します。
  健康な体を取り戻すため、食事習慣や生活習慣を改めましょうという事です。普通の人があまり口にする言葉ではなかったのが、今日では体重を減らす事全般にダイエットという言葉が使われるようになりました。

 ものを知らないというのはほんとに恥ずかしい.
 無知それ自体が恥ずかしいのではない.大抵の無知な者がずっと無知であり続けるのは,調べるということを疎かにするからで,調べるためのわずかな手間を惜しむという,その怠惰な精神が恥ずかしいのである.
オンライン・ダイエットセミナー》の筆者は "diet" の語源について《語源は「政策」とか「方針」を意味します》と書いているが,中学生でも高校生でも社会人でも,言葉の意味を調べることの基本は辞書だ.ならばどこの辞書に「政策」だの「方針」だのと書いてあるのだ.「政策」とか「方針」は,一体どこからコピペしてきたのだ.馬鹿者め.
 と呆れつつネットを検索してみたら,《medical diet 》というウェブページの冒頭に

ダイエットの語源は、政策や方針を意味します

と,全く同じ文言があった.
 どっちが先か後かわからぬが,これはダイエット界でコピペされて広まった誤謬と思われる.探せばいくらでも色んなブログや,ある美容師業界のサイトなどに,金太郎飴の如く同じ文章が出てくるのが情けない.
 さらには,駒澤大学の女子学生が書いた卒論 (ゼミ論文;microsoft word 文書) にまで

まずダイエットという言葉の語源ですが、“政策”とか“方針”といったことを意味しています。

とあった.こんなコピペして半日で書いた論文で卒業した女の子が,自分のブログに「ダイエットの語源は、政策や方針を意味します」なんて書いてるんだろうなあ.

 さて日本語では,語源の異なる同綴異義語は異なる漢字で書く習慣があるからわかりやすい (その一方で,語源が同じなのに慣習的な漢字表記が全く異なることも多くてややこしい) が,英語はちゃんとした辞書で調べないと語源がわからない."diet" もその一つだ.

 Wikipedia【ダイエット】に以下のように記述されている.

原語の定義と語源
「ダイエット」は、英語の diet の音訳。現代英語では1.a「規則的に(=regularly)用意されたり食べられる飲食物」、b「habitual nourishment 習慣的な栄養摂取。(食習慣)」、c 特定の理由で行われる食事の種類や量の規定(規制)2. 徐々に体重を減らすための 飲食による療法(治療指示、治療計画)。
語源については、古代ギリシア語の δίαιτα (diaita ディアイタ、「生活様式(生活習慣)」「生き方」)がある。このdiaitaという語はdiaitasthai(生活を導く、リードする)やdiaitan(分離する、(飲食物を)選ぶ)という語と関係がある。このギリシャ語diaitaがラテン語の diaeta、中世ラテン語のdieta(日々の仕事、食事の許容(量))、古フランス語の13世紀ころのdieteを経て、英語に入った。
英語の diet には、同綴異義語があり、「(現代ではデンマーク・スウェーデン・日本などの)国会」(通例 the Diet と綴る)等の意味もある。(日本の国会議事堂駅は、「The Diet Building」と表記。)これは、「日程」「日々の勤め」等を意味するラテン語 dieta に由来する。dieta は、ラテン語 dies(「日」の意)の派生語として扱われていたが、実際には、前掲のギリシア語に由来する diaeta のヴァリアントであって、従って、英語の二つの diet は同根の語源を持つ。

 また研究社の「リーダーズ英和辞典」は,同綴異義語を別の項目として区別し,次のように書かれている.

di・et 1
n
 1 日常の飲食物[飼料], 食餌, 食物; 《治療・体重調節のための》規定食, 治療食, 低カロリー食(品); 食餌[食事]療法, ダイエット.
  ・a meat [vegetable] diet 肉[菜]食.
  ・be on a diet 規定食を取っている, ダイエットしている.
 2《テレビ番組・娯楽などの》いつも与えられるもの, お決まりのもの.
vt 〈患者〉に規定食[治療食]を取らせる; …に食物を与える.
  ・diet oneself 食養生する.
vi 規定食[治療食]を取る; 《古》 食う.
a  ダイエット用の〈食品〉, カロリーオフの.
  ・diet drink 《低カロリーの》ダイエット飲料.

diet 2
n [the D‐] 《かつてのデンマーク・スウェーデン・ハンガリー・プロイセンなどの》 (地方)議会,《日本の》国会 (cf. →PARLIAMENT, →CONGRESS); 《スコ》 開廷日, 会議日; 《スコ》 開廷期, 会期; 《神聖ローマ帝国の》帝国議会.

 リーダーズ英和辞典の《diet 2》の語義については,Wikipedia【ダイエット】にも書かれていない事柄が,国会図書館が提供するサービス「レファレンス協同データベース」に詳しく書かれている.(事例題「dietの国会という意味の語源について」参照)
 この解説は大変に参考になるが,"diet" の語源を云々するなら,ここまで調べなければいけない.そうすればどこの馬の骨が言ったことかも詳らかでない《語源は「政策」とか「方針」を意味します》などと書いて世間に恥を晒すことはなかったのである.

 いずれにせよ,"ダイエット" の英語語源が「政策」だの「方針」だとの大嘘を吐いたのが誰であるかは知らぬが,たぶんそいつは日常の飲食物を第一語義とする "diet" と,古くはヨーロッパでキリスト教会職員の会議を意味し,後に「議会」の語義が加わった "diet" とを混同していることが明らかである.
(しかしそれにしても,どこから「政策」がでてきたのか)

 私は現在ダイエットの最中なので,暇に任せてたくさんのダイエット関連ブログを閲覧したのだが,科学的批判精神に基づいて書かれているブログは,これまでたった二件しかお目にかかっていない.あとはコピペで作ったクズばかりである.
 コピペで論文をでっち上げる方法は例の小保方で有名になったが,上に挙げた駒澤大学の女子学生のゼミ「論文」もネットに書かれていることをまとめただけのもので,正しい意味での論文の「緒言」に相当するものだ.論文の最低限の形を成していない.この体たらくは最近の傾向なのか.駒澤大学では,早稲田と同じく昔からのことなのであろうか.(詠嘆)

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2017年9月21日 (木)

かわいそうな大磯の中学生 (二)

 昨日のテレビ報道その他によれば,神奈川県大磯町の中学校の給食に異物混入が多発している問題で,大磯町の中崎久雄町長は,原因が特定されるまでは給食業者を変更しない考えを示した.
 どういうことかというと,弁当給食の導入以来これまでに判明した異物混入事故は84件だが,弁当製造工場側が製造ラインでの混入を認めたのは15だけで,残りは責任を認めていないことが背景にある.
 生徒の保護者がSNSで発信した情報によると,ある教育委員会関係者は,異物混入は生徒による「ヤラセ」というかマッチポンプであるとの認識を持っているという.弁当業者には責任がない,悪いのは,自分たちが弁当に異物を入れておきながら騒ぎ立てている生徒たちだというわけだ.

 だが長年食品工場の衛生管理を指導してきた経験からして,弁当業者が責任を認めた15件の異物混入だけで,もう十分にこの業者は給食製造を受託する資格がないと私は断定する..
 東京には会社を相手に弁当を製造配達する業者が大変に多く激しい競争をしているが,一年半で15件も異物混入事故を起こしたら,全顧客が取引をやめるに違いないし,場合によっては保健所に届けるであろう.保健所の指導を受けたとか,営業停止を命令されたなどの評判が立てば,それで弁当屋商売は終わりである.

 ところが中崎久雄町長と教育委員会は,原因が特定されるまでは給食業者を変更しないという.
 原因が特定されるまで給食業者を変更しないという理由は,上に述べたように弁当への異物混入は生徒たちがやったことだと,町長と教育委員長が考えているからに他ならない.
 ここで異物混入の調査について簡単に説明しよう.
 食品会社に消費者から異物混入のクレームがあった場合,その消費者から届けられた混入異物の調査を行う.
 異物が金属や樹脂片などであれば,高度の分析設備と鑑定技術を有する機関があるので,そこに依頼して分析してもらう.
 虫の場合は,食品工場の衛生管理と指導を受託する民間会社が鑑定技術を有しているので,日頃から指導を受けているそれらの会社に頼んで鑑定してもらう.虫の場合は生きているときに混入したのか死んでから混入したのかが大変重要なので,普通は鑑定技術を持っている会社に依頼する.
 異物混入事故の件数のかなりの部分を占めるのは人の毛髪で,これの混入経路の調査はかなり難しい.なにしろ髪の毛一本ではできる分析あるいは調査がかなり限定されるからだ.
 教育委員会が持っている混入異物の資料をネットで見た限りでは,今後,大磯町や弁当業者たち食品衛生の素人が寄ってたかって調べても,異物の混入経路が判明するのは期待薄である.

 大磯町立中学校の弁当給食に混入した異物の混入原因を調査すると町長は言うが,これまでに工場側が認めた15件もの異物混入事故は,この業者には学校給食を受託する能力がないことを示している.
 業者に給食受託の能力がない.これが異物の混入原因に他ならない.調べるまでもなく明らかなのである.
 そして問題の解決方法は,この業者との契約を破棄することしかない.
 一部でつぶやかれているように,当該業者と中崎久雄町長の間には何らかの関係があるのではないか.そうでもなければ,異物混入原因が判明するまで,生徒の健康よりも業者との取引を優先するということの説明が困難である.
 町長が狙っているのは,時間稼ぎだろう.弁当業者との取引をそのまま継続して,騒ぎが沈静するのを待つつもりと思われる.

 昨日の記事には書かなかったが,実は綾瀬市にある弁当工場から大磯の中学校までの配送は,チルドではなく19℃以下の常温配送であるという.
 有体に言えば,弁当工場で異物混入を防止するのはたやすいことである.
 どうすればいいかは,教科書に書かれているくらいだし,勉強して書かれていることを実践すれば,異物混入は容易に根絶できるのである.なぜかというと「異物」は目に見えるからだ.
 ところが目に見えない「異物」があって,それはつまり食中毒菌などの病原微生物である.病原微生物の制御はなかなか難しい.
 難しいが,食品衛生の基本に忠実であれば,できないことではない.現に例えばコンビニ弁当を作っている業者などはきちんとやっている.
 しかるに件の業者は,異物混入を多発させる不潔な弁当屋のくせに,夏場に綾瀬から大磯まで弁当を常温配送するなどは信じがたい暴挙である.いい度胸をしているし,それを許している大磯町教育委員会には呆れて言う言葉もない.よくまあこの夏に中学校で集団食中毒が起きなかったものだと思う.幸運としか言いようがない.
 大磯町立中学校生徒の保護者の皆さんは,子供たちが食べている給食弁当の菌の数 (一般生菌数という) を調べたほうがいい.調べてくれる機関は保健所が紹介してくれるだろう.
 今日も明日も大磯の中学生たちは,愚かな町長のおかげで,食中毒の危険に毎日さらされているのだ.まことにかわいそうである.

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2017年9月20日 (水)

かわいそうな大磯の中学生 (一)

 先日来,神奈川県大磯町が町立中学校二校に昨年一月から導入した配達弁当方式 (業者委託の米飯給食) の給食に,異物混入の多発と多量の食べ残しが出ている問題が,マスコミやネットで物議を醸している.

 関西の料亭経営者らが政府農水省と結託して我が国の食文化の伝統を歪曲し,日本の料理の観光資源化を目論んでカッコ付の「和食」をユネスコ無形文化遺産に登録して以来,国民栄養に関する見識のない各地の教育委員会で米飯給食が推進されている.
 私は学校給食で米飯を主食とすることに強い反対意見を持っているのだが,このブログ記事では米飯学校給食の是非は取り合えず論じないとしても,もし学校で米飯給食を行うならば,児童生徒の健康栄養に責任を持って米飯給食の提供を実施できるよう学校に衛生的な給食設備を作り,食品衛生の専門家を配置して実施する必要があると考える.パンのほうが米飯より衛生管理が行き届き易いためアウトソーシングが容易で,かつ献立の栄養設計もパン食のほうが容易であり,米飯給食はその逆だからである.

 しかし,なにしろ教育委員会という組織には学校給食に関する知識も見識もないらしく,実際には各地の低レベル (非衛生的) な給食弁当業者 (要するに非衛生的ということは委託費が安いということ) に丸投げをしているのが実情であるようだ.
 報道では,大磯町立中学校に給食弁当を導入するにあたっては,業者選定のために,同町教育委員会による競争入札が行われたという.
 しかし大磯町が,学校給食の弁当を委託製造する業者を競争入札で選定したということ自体が,同町教育委員会の頭のレベルの低さを示していると指摘せねばならない.
 集団給食業者の給食受託費と提供される給食の衛生度は,トレードオフの関係にある.
 つまり当然ながら厳しい衛生管理はコストを押し上げ,そのコストを下げるには業者の高い技術力が必要になるのだが,給食業者の技術力の水準を評価するには,受託費の競争入札は不適当なのである.給食業者を選定するに際しては,当該業者の食品衛生技術力をまず第一に考慮しなければいけない.これは集団給食の基礎だ.
 また,大磯町中学校の給食に異物混入が多発し,大量の食べ残しが発生していることをネットで告発した生徒保護者らがつぶやいたところによれば,大磯町から中学校給食を受託した給食業者 (大磯町から遠く離れた綾瀬市の「エンゼルフーズ」) の決定は,大磯町長の独断によるとの黒い噂がある.
 この噂は大磯町の町政の問題であるから,ここでは横に置いて触れないことにするが,そもそも大磯町の中学校に学校給食が導入される当初から問題含みであったらしい.

 給食業者の問題はそれとして,報道によれば,大磯町の中学校給食は献立作成を教育委員会にいる栄養士が担当しているらしい.
 しかし栄養士というのは管理栄養士と異なり,修業年限二年乃至四年の栄養士養成施設を単位取得卒業すれば都道府県知事の免許を受けてなれるのである.管理栄養士が,管理栄養士修業年限四年の管理栄養士養成施設を卒業して管理栄養士国家試験に合格して厚生労働大臣の免許を受けた者であるのに比較すると,成長期の子供たちの食事設計を担当させるにはいささか心許ない.
 案の定,その担当者は何か心得違いをしているようで,学校給食なのに病院給食のような減塩献立を作成しているのだそうだ.
 それがために生徒たちからは「まずい」と酷評され,これが大量の残飯が発生する理由の一つになっているとのことである.
 私がテレビで見たある日の中学校給食弁当は,テレビカメラがアップした映像は実に情けない貧相なものであった.
 おかず入れの容器に,いわし団子 (つみれ) が二つほど入ったカレー汁が少量 (カレースプーンに三杯くらいか) 入れてあり,これが「主菜」らしい.副菜として大豆の煮豆がやはり少し.あとは野菜のお浸しか和え物のように見えるものがこれまた少し.
 飯は弁当箱に白飯が詰め込んである.おかずは少ないのに米飯だけは量が多い.
 おかずも飯も,弁当業者が綾瀬市にあり,大磯まで配達するまでに冷たくなっているという.しかも減塩だ.
 私が報道画面を見て思ったのは,昭和三十年代の私の小学校時代の学校給食より貧相なこんな昼飯を,今の子供たちが喜んで食うわけがないということだった.
 しかも,大磯町の中学校の給食弁当は,まずくて栄養的に貧相なだけではない.異物が混入しているのである.中学生徒の保護者の声 (SNS) によると,これが大量の残飯が発生する理由の二つ目であるという.

 この問題を報じた今日の朝日新聞デジタルの記事《髪の毛・小バエ…異物混入84件 給食食べ残し問題 》に次のような箇所がある.(←数日でリンク切れになるが)

町は、味や冷たさのほか、異物混入による不信感も食べ残しの一因とみている。全員協議会では、議員から「異物の心配がある給食を今後も子どもたちに食べさせるのか」、「製造業者を代えるべきだ」との批判が相次いだ。野島健二教育長は「混入防止のため委託業者にすべての弁当を写真撮影させ、衛生管理を徹底させる」と  (町議会全員協議会において <←ブログ筆者註>) 述べた。

 作った全部の弁当の写真を撮影することが,どうして衛生管理の徹底につながるのか.
 ひょっとしたらこの教育長,馬鹿ではないか.こんな教育長だから生徒たちに異物入りのまずい弁当を食わせることになったのである.大磯町の中学校給食弁当を巡る事態はさらに混乱を深めるであろう.

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2017年9月17日 (日)

糖質制限食本・補遺(十二)

 前回の記事《2017年9月11日 糖質制限食本・補遺(十一) 》の末尾を再掲する.

「悪玉コレステロール→動脈硬化」説を世間に広めた張本人はインチキ医者の他にもいて,それは食品業界である.とりわけ健康志向の商品やサプリメントを製造販売している会社が酷い.
 現在では一般向け百科事典にも《以前は悪玉コレステロールとも呼ばれたが、現在では否定されている》と書かれているにもかかわらず,未だにこんな嘘八百を書きまくっている食品会社がある.元食品企業にいた者として,平然と消費者をたぶらかすこの会社には恥を知れと言いたい.

 昭和の終わり頃,低密度リポタンパク質すなわち LDL を「悪玉コレステロール」,高密度リポタンパク質すなわち HDL を「善玉コレステロール」と呼んで,私たちの体の血漿 (血液を遠心分離した上澄の液体;この上澄にリポタンパク質が含まれている) 中の各種リポタンパク質を二種類に単純化して分類し,このうちの「悪玉コレステロール」が動脈硬化の原因であるという虚説を似非医者や無責任な食品企業が広めた.

 そもそもリポタンパク質は,コレステロールを構成成分として含んでいるだけであり,コレステロールとは別物なのである.
 しかるに似非医者や悪質無責任な食品企業は無知無学であるから,リポタンパク質とコレステロールを混同してしまった.
 さらにその上に彼らは,LDL が動脈硬化の原因だなどとしたものだから,リポタンパク質と健康に関する私たちの理解は大きく混乱したのであった.

 この混乱は現在でも尾を引いていて,勉強不足の開業医や,知ったかぶりな一般人のブログに「コレステロールは生体を構成する大切な成分ですから,善玉も悪玉もありません」などと一見するともっともらしいことが書かれているのを目にすることが多いが,しかしこの文章自体が,彼らが細胞 (の膜構造) に含まれているコレステロールと,血漿リポタンパク質を混同していることを示しているのだ.この混同はかなり根深く浸透しており,もはや取り返しがつかないかも知れないと思われる.

 さてコレステロールとリポタンパク質とを混同する誤りの主たる原因は,測定法に対する無理解にあったと思われる.
 血漿リポタンパク質の測定法 (分析法) は,臨床検査技師にとっては基礎知識中の基礎知識であるが,その一方で,医師でも理解していない人がいる.間違った健康知識を書きまくっている一般人のブログなんかは言うまでもない.

 リポタンパク質の測定法の原理は大雑把に言うと,表面に親水性タンパク質が存在する球状構造をしているリポタンパク質 (表面には親水性タンパク質の他にコレステロールの持つ水酸基も露出しているが,内部には,脂肪酸とエステル結合した"コレステロールエステル"と,トリアシルグリセロール <つまり脂肪> がある) に,ある種の界面活性剤を作用させると,リポタンパク質の構造が破壊されて,中に含まれているコレステロールおよびコレステロールエステルが酵素反応を受ける状態になる (この状態を一般にミセル化コレステロールと呼んでいる) ことを応用する分析方法である.

 ミセル化コレステロール状態のコレステロールエステルは,これを分解する酵素であるコレステロールエステラーゼと反応させて脂肪酸を分解除去し,コレステロールにする.
 このコレステロールと,リポタンパク質中に元から存在したコレステロールに対して,コレステロールを酸化する酵素であるコレステロールオキシダーゼを作用させる.
 この酵素反応により過酸化水素が生じるので,この過酸化水素に発色試薬を加えて呈色反応を起こし,吸光度を測定して定量する.(過酸化水素の定量法は種々あるので詳しい説明は省略する)
 これが血漿中リポタンパク質の測定原理であるが,つまり,血漿中のリポタンパク質の量 (実際には濃度;例えば HDL の濃度) をコレステロールの量 (実際には濃度;例えば HDL-コレステロールの濃度) で表現しているわけだ.

 では,実際の血漿中のリポタンパク質は HDL 他の混合物であるから,これをどうやって区別して測定するかが次に問題となる.
 これまたブログのレベルでは詳しい説明を省略せざるを得ないが,種々の分離手段 (超遠心法,電気泳動法,ゲルろ過HPLC法など) で各リポタンパク質を分離し,それぞれに含まれるコレステロールを分析すればよい.しかし簡便性と費用の点から,実際には上に述べたコレステロール分析の際に,複数の界面活性剤を巧妙に用いて HDL と LDL を区別して測定する方法が開発されて測定キットが販売されている.

 以上が血漿リポタンパク質の測定方法であるが,これにより測定される HDL-コレステロール と LDL-コレステロールの意味はよしとして,では総コレステロールとは何か.
 次にそれを説明する.
(続く)

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2017年9月12日 (火)

見よ昭和の底力

 私の居住地域では,msnに掲載されている天気予報 (提供 Foreca) によると今日は曇り時々晴れであったはずで,しかも本日13:30現在も「晴れ降水確率20%」となっているが,窓の外は土砂降りである.
 天気予報って,外れても謝らずに素知らぬ顔ができるから,仕事の品質がいつまでも向上しない.ま,いい商売だなあと思う.

 それはさておき,少し前に,私んちの台所でコバエ (分類不明,体長約1mm) が大発生し,冷蔵庫の中でも繁殖を始めてしまったという記事を書いた.
 冷蔵庫の中は,清掃を行うことで繁殖を止めることができた (巣はみつからなかったが).
 だがキッチンの中で飛び回っているやつはどこで増えているのかわからない.
 シンク回りもゴミ箱も清掃したがだめである.
 かくなる上は,衛生害虫の発生源を絶つという食品衛生の基本を暫し横に置いて,対症療法を行うことにした.
 用意した資材は「KINCHO コバエがポットン 置くタイプ」と「カモ井の <吊るすだけ> 」の二つ.
 キッチンの棚の下から「カモ井の <吊るすだけ>」を下げ,そのすぐ下に「KINCHO コバエがポットン 置くタイプ」を二個置いた.
(「KINCHO コバエがポットン 置くタイプ」は,アマゾンの購入者レビューで「臭すぎる」「全く捕れない」「がっかり」「詐欺」と破滅的な評価を獲得した商品で,そのせいか現在はニューモデルが登場している)

 私の観察によると,件のコバエは「KINCHO コバエがポットン 置くタイプ」に誘引はされるらしく,コバエたちはその周囲を楽し気に飛び回ってはいたが,中に入ろうとはしなかった.
 我ときてあそべや親のないコバエ
 なんだそれは.
 しかし飛び回っているうちに「カモ井の <吊るすだけ>」に粘着され,短い生涯を終えてしまうのであった.
 おもしろうて やがてかなしきコバエかな
 なんだそれは.

20170912kobae

 上の画像が「カモ井の <吊るすだけ>」の状況である.
 直下に置いた「KINCHO コバエがポットン 置くタイプ」にはわずか一匹が捕獲されていただけであった.
 この様子では,「コバエがポットン」の改良型も期待しないほうがよいとの私の結論である.

 それに比べると「カモ井の <吊るすだけ>」のコバエ捕獲力は驚くべきである.昭和三十年代,どこの庶民の家の天井からもぶら下がっていたカモ井の「ハイトリ紙」は,今も最強のハエ捕りツールなのであった.
 カモ井加工紙は,少女たち御用達のカワイイ「マスキングテープ」を作っていることで知られているが,同社の創業アイテム「ハイトリ紙」が健在であることを皆さんと共に喜びたい.

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2017年9月11日 (月)

糖質制限食本・補遺(十一)

 前回の記事《糖質制限食本・補遺(十) 》の末尾を再掲する.

そういう強面の一般老人の目から見て,東京都健康長寿医療センター研究所で指導的立場の地位に就いている新開省二氏のコレステロールに関する知識レベルは,実にお粗末の一言に尽きる.
 そのお粗末振りを示すためには,そもそもの話から始めねばならない.
 そもそも総コレステロールとは何か.

 そもそも総コレステロールとは何か.
 自然学の専門家 (研究者,技術者,文筆家など) が学術用語を一般の人に対して用いる際に,不正確な言い換えを行うことがある.
 日常語「コレステロール」はその身近な一例である.「体脂肪を燃焼 (この「燃焼」は比喩であって,科学の言葉ではない) させる」などもそうだ.
 正しい意味の「コレステロール」は化学の学術用語であり,ステロイドと称される大きな化合物群の,その中のステロールと呼ばれるサブグループに属する有機化合物の一種である.
 ステロールには多数の種類があるが,ステロールの基本的な骨格を下の図に示す.学生時代に有機化学を学んだ人には忘れられない構造だ.

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 次にコレステロールの構造を立体化学 (ここでは特に説明の必要はないので省略) も含めて示す.これをすらすらと描けるのは大学とか企業で現在も化学に携わっている人だろう.
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(上の二つの図はいずれも Wikipedia【ステロール】,同【コレステロール】 から引用したパブリックドメインの画像である)

 コレステロールという有機化合物についての説明はここまでとする.なぜなら,医師や私たち一般人が日常語でコレステロールと呼んでいるものは,実は別の物質だからである.
 その別の物質とは,リポタンパク質という.
 Wikipedia【リポタンパク質】から,まずリポタンパク質の概略説明を引用する.

リポタンパク質(リポたんぱくしつ、英語: Lipoprotein)は、脂質が血漿中に存在する様態で、脂質とアポタンパク質が結合したものである。
脂肪酸のような分極した分子を除き(遊離脂肪酸)、脂質を血漿中に安定に存在させるには、タンパク質(アポタンパク質と呼ぶ)と結合させる必要がある。リポタンパク質は、トリアシルグリセロール(トリグリセリド、中性脂肪)および、細胞の生命維持に不可欠なコレステロールを多く含む球状粒子である。カイロミクロン(キロミクロン)、超低密度リポタンパク質(英語版) (VLDL)、中間密度リポタンパク質(英語版) (IDL)、低密度リポタンパク質(英語版) (LDL) 、高密度リポタンパク質(英語版) (HDL) の各種類があり、比重が大きいほどアポリポタンパク質の割合が高く、逆に脂質の割合が低い。

 上の引用箇所にあるように,リポタンパク質には幾つかの種類があるが,その中でも私たちの疾病と健康に関して重要な意味を持つ低密度リポタンパク質 (LDL) について,同 Wikipedia【リポタンパク質】から引用する.
 下の引用部分では,重要なところを原文の文字色を変えて強調した.

低密度リポタンパク質(LDL)
1.019 - 1.063 g/mL のリポタンパク質で、直径は 22 nm 程度。
リポタンパク質の中でコレステロール含有量が最も多く、末梢組織にコレステロールを供給する。以前は悪玉コレステロールとも呼ばれたが、現在では否定されている。最新のACC/AHAガイドラインでは家族性高コレステロール血症の患者以外ではLDLの目標値を設定するエビデンスはないとされている。apo B-100やapo Eを認識するLDL受容体を介して主に肝臓に取り込まれ異化される。
LDL受容体欠損症は家族性高コレステロール血症(FH:familial hypercholesterolemia)とよばれ、特にホモ欠損症では総コレステロール値が600mg以上にもなり思春期にも虚血性心疾患など重篤な動脈硬化症に至る。
LDLが酸化・変性・糖化することによってLDL受容体への親和性を失う(酸化LDL)。その場合、スカベンジャー受容体などを経てマクロファージに取り込まれ、マクロファージの機能を変化させることにより動脈硬化症を発症すると考えられている。
最近ではスモールデンス(sd-LDL)と呼ばれるLDL受容体への親和性を失い、小粒子ゆえに血管壁に浸透しやすい種類のLDLが虚血性心疾患に関与していることもわかってきた。粒子径は25.5nm以下である。比重で分画した場合1.040 - 1.063のLDLに相当する。

 昔から開業医の中には,自分で何か研究したわけでもないのに,他人が発表した学術論文を読み,あちこちからかき集めたネタで大衆向けの健康ハウツー本を出版して金儲けを企む不心得者がいた.今でもテレビのエンタメ系情報番組には,その種の単なる開業医が「名医」とか「権威」などと肩書で登場してもっともらしい蘊蓄を垂れている.
 そういう連中が流行らせたのが「悪玉コレステロール」であった.
 私はもうすぐ四十歳になろうかという頃,高度不飽和脂肪酸を含む植物由来の複合脂質が血中脂質に与える影響を調べていたことがあって,当時読んだ専門書には,既に「悪玉コレステロール」という呼び方が不適切であると書かれていた.二十年以上前の話である.
 当時の最新知見では既に,動脈硬化の主因は LDL そのものではなく,《LDLが酸化・変性・糖化することによってLDL受容体への親和性を失う(酸化LDL)。その場合、スカベンジャー受容体などを経てマクロファージに取り込まれ、マクロファージの機能を変化させることにより動脈硬化症を発症する》とされていたのである.
 だから,テレビや大衆向けの本で「悪玉コレステロール→動脈硬化」説を滔々と垂れ流すインチキ医者を,研究者たちは苦々しく思っていたのである.
 「悪玉コレステロール→動脈硬化」説を世間に広めた張本人はインチキ医者の他にもいて,それは食品業界である.とりわけ健康志向の商品やサプリメントを製造販売している会社が酷い.
 現在では一般向け百科事典にも《以前は悪玉コレステロールとも呼ばれたが、現在では否定されている》と書かれているにもかかわらず,未だにこんな嘘八百を書きまくっている食品会社がある.元食品企業にいた者として,平然と消費者をたぶらかすこの会社には恥を知れと言いたい.
(続く)

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2017年9月 7日 (木)

糖質制限食本・補遺(十)

 前回の記事《糖質制限食本・補遺(九) 》の末尾を再掲する.

なぜ新開氏だけが不正解なのか.(爆)
 たぶん新開氏の学力が中学生以下なのではない.
 氏は「朝からテレビを見ているような視聴者には何を言ってもわかるまい」とナメているのである.
 ところが,朝からテレビを見ているような老人
σ(^_^;) でも騙すのは簡単ではないのである.

 問題がコレステロールのことだから,健康診断の血液検査についての話から始める.
 下の画像は,私の血液検査 (血液以外の検査も含めて,一般には生化学検査という) 結果の一部をトリミングしたものである.

Kensa_results

 検査結果が基準値を外れていると,各検査項目の結果数値の横に"H"あるいは"L"と印字されたり,基準値範囲にあるか,あるいは基準値よりも低いか高いかが結果欄に"*"などで印字される様式が普通だ.
 私の例では,中性脂肪が基準値からわずかに高くて"H"が打たれていますなあ.しかしあとは基準値範囲内だ.(基準範囲内にあることと,正常であることとは別の話だが)

 二十代の若い男性は,健康診断の血液検査で何か問題を指摘されるなんてことはあまりないだろうから,コレステロールに関する医学知識はほとんどないだろう.
 しかしこれが中年期に差し掛かると,夜討ち朝駆けの仕事の疲労が貯まって運動どころではなくなり,連日連夜の飲酒喫煙カラオケの結果,血液検査結果の基準範囲外欄に"*"が一つ増え,二つ増え,痛風の発作に怯えつつ遂には十数キログラムの内臓脂肪を蓄積して立派なメタボおやじとなるのだ.

 しかし会社員という種類の人間は転んでもただでは起きぬ.二十四時間戦える (死語) 会社員として必須のスキルである自己啓発の徹底教育を受けているから,ただ茫然と事態の悪化を眺めているわけではない.
 生活習慣病とは何かについてきちんと勉強し,コレステロールについての正確な知識を身に着けるのである.
 その結果,そこら辺の開業医と対等に議論できるほどの知識レベルに到達した者も少なくない.ただし,生活習慣病について深く学んでも,自分の生活習慣の立て直しがまた別の話であることは言うまでもない.

 そういうわけで,現役の頃は歩く生活習慣病とまでいわれた団塊爺さんたちをコレステロールに関して騙すのはかなり大変なのである.
 そういう強面の一般老人の目から見て,東京都健康長寿医療センター研究所で指導的立場の地位に就いている新開省二氏のコレステロールに関する知識レベルは,実にお粗末の一言に尽きる.
 そのお粗末振りを示すためには,そもそもの話から始めねばならない.
 そもそも総コレステロールとは何か.
(続く)

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2017年9月 6日 (水)

糖質制限食本・補遺(九)

 前回の記事《糖質制限食本・補遺(八) 》では,「高齢者はコレステロール値が高いほうが健康長寿である」という新開氏の主張の根拠として,同氏が示したデータ『総コレステロールと寿命の関係』は,(1) 「寿命」として生存率を用いているが,生存率は健康とは無関係であるから,健康長寿に関する調査データとしてはそもそも不適当であること,(2) さらに,観察期間がわずか八年しかなく,健康長寿を云々するデータとしては余りにも短期間の調査資料であること,を挙げて批判した.
 次に,新開氏の医師として研究者としての不誠実さを指摘する.

[C]
 再度,《常識が変わる!シニア世代の食生活 あなたの親は大丈夫? 》にある《総コレステロール値と寿命の関係》というグラフを見てみよう.
 既に述べたように,このデータは六十五歳以上の観察対象者を総コレステロール値が「高い人 (男 209以上;女 230以上)」「やや高い人 (男 185~208;女 207~229)」「やや低い人 (男 157~184;女 183~206)」「低い人 (男 156以下;女 182以下)」の四グループに分けて八年間追跡観察し,縦軸を累積生存率,横軸を追跡年数としてプロットしたものである.
 下に《総コレステロール値と寿命の関係》を撮影した映像を再掲する.鮮明なグラフは《常識が変わる!シニア世代の食生活 あなたの親は大丈夫?》中の図を参照して頂きたい.

20170902a

 中学受験塾で有名な日能研が,電車内広告で私立中学の受験問題を紹介 (例えばこんな広告) しているが,それを模して書くと↓のような問題になる.

[問]
 グラフ《総コレステロール値と寿命の関係》を見て,グラフに示されている内容として正しいものは次のいずれですか.
<A>
 総コレステロールが「高い人」のグループは,観察開始後八年後の生存率が,「やや高い人」「やや低い人」「低い人」の三グループよりも高い.すなわち高齢者は総コレステロール値が高いほうが長寿である.
<B>
 総コレステロールが「低い人」のグループは観察開始後八年間,七十三歳までに生存率の低下が見られるが,総コレステロールが「高い人」「やや高い人」「やや低い人」の三グループ間では,生存率の差はない.

 新開氏の主張は<A>だが,もちろん正解は<B>である.これほど明解なデータであれば,有意差検定を行うまでもなく,総コレステロールが「高い人」「やや高い人」「やや低い人」の三グループ間で生存率の差はないとしてよい.
 偏差値の高い中学を受験する生徒なら全員が正解するだろう.新開氏は,自分のデータを使った問題を間違ってどうする.(笑)

 なぜ新開氏だけが不正解なのか.(爆)
 たぶん新開氏の学力が中学生以下なのではない.
 氏は「朝からテレビを見ているような視聴者には何を言ってもわかるまい」とナメているのである.
 ところが,朝からテレビを見ているような老人 σ(^_^;) でも騙すのは簡単ではないのである.
(続く)

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2017年9月 5日 (火)

お笑い検査漬け

 知人からおもしろい話を聞いた.
 先日,何となく目に痒みというか違和感があるので,もしかすると花粉症かと思い,藤沢駅の近くにある眼科に行ったのだそうだ.
 ネットで事前に調べたところでは若い女医一人でやっている眼科なのだが,入口を入ると受付窓口に三人もいて,看護師は少なくとも五,六人はいそうな雰囲気だったとのこと.
 で,診察の前になぜか視力検査と眼圧の検査をされた.
 そのあとで診察してもらって目薬をもらい,一週間後にまた来るようにとのことだった.

 一週間後に再診に行くとも再び視力検査と眼圧の検査があった.看護師に「先週やりました」と言うと,「先生の指示ですので…」と言った.
 診察の順番が来たので,眼科医に「なんで目が痒い症状なのに,毎回視力と眼圧の検査をするのですか」と問うと,視力が安定しているとわかったら頻度を下げますと言う.
 これでは答えになっていないし,納得できないからもうその眼科にはいかないと知人は言った.
 こういう医師がいるのでは,国の医療費を削減するのは,なかなか大変なことであるなあ.

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