外食放浪記

藤沢近辺であれを食いこれを食べ.自炊のことや思い出話もむりやりここに.

2020年6月 7日 (日)

間歇消毒常備菜

 コロナウイルス禍の中で巣ごもりしていると,テレビの料理番組を観るのが楽しみである.料理ジャンルの長寿番組の一つである《上村恵美子の おしゃべりクッキング》では,曜日がわりで辻調の三人の先生と上沼恵美子さんが,料理を作ってみせてくれる.この番組の最大の特徴は,料理の先生よりもアシスタントである上沼さんのほうが大物だという点にある.
 もう一つの特徴は,上沼さんがソーシャル・ディスタンスなんぞまるで無視していることである.これは,番組のコンセプトからすればきっとそうなるところで,料理をしている先生の横でおしゃべりしていなけりゃ上沼さんがアシスタントである意味がない.これは,コロナ禍のもとでも以前と変わらぬスタイルの番組を作るんだ,という上沼さんの見識なんだろう.
 対照的なのは土井善晴さんの《おかずのクッキング》だ.テレ朝アナウンサーの堂真理子さんはアシスタントというより,土井先生から二メートル以上離れて,料理の実況放送をしている.
 
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 上の写真にあるように,これが料理番組の出演者としては限界の「距離」だろう.これだけ離れると堂真理子さんは,調理する土井先生の手元を肉眼でなくモニター画面で見ざるを得ないから,二人ともやりにくそうである.
 しかし実用料理番組というコンセプトを捨てれば,実際のキッチンから離れて,リモート出演で番組を構成することができる.代表例は《家事ヤロウ !!》だ.
 現在は,過去の放送をリモートに編集し直して再構成しているが,元々がおもしろい企画だったので,総集編でもかなり楽しめる番組に仕上がっている.
 
 さてこの《家事ヤロウ !!》の特筆すべき点は「名前のある料理」は登場しないことで,有名無名の人たちが発作的に考案した「名もない料理」がたくさん紹介される.「名もない料理」というのは例えば,納豆とスパムとレタスを入れて牡蠣だし醤油で味付けしたチャーハンであり,これは説明的に「牡蠣だし醤油の納豆スパムレタスチャーハン」(《家事ヤロウ !!》で紹介されている) としか呼びようがない.
 江戸料理の一つ「深川飯」と聞いても,食べたことがない人はどんなもんだか想像できないが,「タラの芽の天ぷら」ならどんな料理であるか明快だ.
 中国料理では基本的に,料理名は「材料名+料理法」から成っている.麻婆豆腐のような固有名詞は少ない.日本の「おかず」も同じで,こういうのが「名もない料理」だ.
 そこで先日の「しらたきの常備菜」に続いて,「名もないおかず」をもう一つ紹介する.「ベーコンとシメジと卵の炒め物」だ.
 これは特にレシピを書くまでもないもので,まずシメジ (ブナシメジ,一パック) をフライパンで炒めて軽く塩胡椒する.次にベーコン (フルサイズの薄切りを五,六枚) を投入してさらに炒める.ベーコンから油が融け出てきたところでシメジとベーコンをフライパンの片側に寄せ,あいたところに鶏卵二個を入れてスクランブルする.つまり塩味をつけるのはシメジだけでよい.
 こんな変哲もないおかずをここで紹介したのは,これが「しらたきの常備菜」と同じく,日に一度,百度近くまでレンチン加熱する (達温90℃という) ことにより,大量に作ってもかなり日持ちするようになるからだ.
 実際のやり方は,作った料理を耐熱容器に入れてフタをし,フタの隙間から激しく水蒸気が漏れ出てくるまで電子レンジ加熱する.加熱後に室温で粗熱をとったら冷蔵庫に入れて冷やす.
 冷蔵と日に一度のレンチンを繰り返すのを「間歇消毒法」という.シメジには一般的な細菌がたくさん付着しているが,最初の達温90℃でこれは死滅する.しかし農産物に必ず存在する耐熱性菌は芽胞 (休眠型菌体) 残して生き残る.
 一日保存すると,生き残った芽胞が通常の菌体 (増殖型菌体) に変化して活動を開始する.ここで二度目のレンチンをすると,増殖型菌体の多くは死滅する.一部は芽胞を残して生き残るが,その数は加熱前よりも減っている.
 この操作を繰り返すと,料理中の菌は減り続ける.これを私は勝手に常備菜的無菌と呼んでいる.ただし加熱によって水分が失われるので,加熱時に少し水を足してやる.
 缶詰・瓶詰やレトルト食品は,完全無菌ではないが年単位の保存が可能で,これは商業的無菌と呼ばれている.実用上は無菌と呼んでも差し支えないというほどの意味だ.
 家庭で常備菜と呼ばれる料理は,冷蔵庫で数日から一週間程度も保存できればいいだろう.私が考案する常備菜は一週間の冷蔵を目標に作っている.
 ところが,どんなおかずでもレンジ加熱を繰り返せば記述「しらたきの常備菜」と「ベーコンとシメジと卵の炒め物」のように日持ちする常備菜にできるかというと,そうでもない.食感が劣化してしまうからである.
 その例として,レトルトの麻婆豆腐の素と豆腐だけ (つまり材料に由来する菌数を可及的に減らすために,挽肉もネギも入れない) で作った麻婆豆腐はレンジ加熱を繰り返せば確かに日持ちはするが,加熱を繰り返して食べると豆腐の食感が悪くなり,まずくなるのでので常備菜にはできない.
 次回は,レンジ加熱を繰り返さずに日持ちするおかずを作ってみる.
 
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2020年6月 5日 (金)

男爵でポテトサラダを作る

 ポテトサラダはメイクイーンで作るのがおいしいと私は思う.イモをブイヨンで煮ることができるからである.
 男爵イモでこれをやると,イモがスープの味を含む前に煮崩れてしまう.単に水で茹でるにしても,茹で加減で水っぽくなってしまって失敗するからむずかしい.
 結局,男爵イモでサラダを作るときに簡単な方法は,男爵イモをレンチンすることだが,それでも味付けはマヨネーズだけなので単調になってしまうことが多い.それを避けるには,香辛料や調味料を工夫するのがよい.下に一例を挙げてみた.
 
[材料]
 男爵イモ           大きいのを3個
 フルサイズのベーコン     4枚
 キュウリ           1本
 マヨネーズ     味の素でもキューピーでも好きなメーカー製を好きな量
 チューブ入りの和辛子     押し出した長さ6センチくらい
 (トッピングの例)       オリーブ油(エクストラ・バージン)
                とDukkahを混ぜた調味料
[作り方]
* 男爵イモは,6Pチーズくらいの大きさにカットする.
* これを深皿に入れてラップをし,ラップが膨らんでから二分間レンチン (500W) する.爪楊枝をイモに刺して,柔らかくなったのを確かめる.硬かったらさらに加熱.加熱時間はイモの重量によって変わるので,様子をみながら行う.
* ラップを取り去って更に一分間加熱して,イモから出た水分を飛ばす.見た目にまだ深皿の底が濡れていたら.さらに加熱する.これをしないと水っぽい仕上がりに.
* まだホカホカのうちに,フォークでイモを小さく割り,キュウリとベーコンを加えて混ぜる.次に味見しながらマヨネーズを混ぜる.
* よーく冷蔵庫で冷やしてから食べる.ポテトサラダは日持ちしないので,早めに食べてしまうこと.
[感想]
 ジャガイモは,微生物の培養に用いるくらいで,微生物にとってよい栄養源である.そこにキュウリという菌数の多い生の野菜を入れるわけで,冷蔵しても腐敗は避けがたい.二,三日は冷蔵できる常備菜にするには,生野菜は使わずにフライド・オニオンがよい.いっそマヨネーズではなくポン酢とかフレンチ・ドレッシングでサラダにするという手もあるなあと思う.
 
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2020年5月30日 (土)

真・鶏釜めし

 先日の記事《ミツカン「鶏釜めし」》[掲載日 2020年5月24日] で,ミツカンの「鶏釜めし」を買って作ってみたら,あまりにもチープ感あふれる貧相な商品だったので,これはもう買わないと書いた.
 このミツカン「鶏釜めし」の原材料表示は以下の通りである.
 
* 鶏肉 (国産),しょうゆ (小麦・大豆を含む),砂糖,にんじん,こんにゃく,鶏脂,油揚げ (大豆を含む),アミノ酸液 (大豆を含む),食塩,なたね油,鶏がらだし/調味料 (アミノ酸等),増粘剤 (キサンタンガ ム),酸味料
 
 この釜飯の素は,さすがに大手食品企業のレトルト製品だけあって,可及的に食品添加物の使用は抑えられている.その点はほめたいが,いかんせん具材が貧相すぎて,食べていて侘しくなる.「鶏釜めし」という商品名は羊頭狗肉だと言わざるを得ない.なんでこんなものをしみじみと食わにゃならんのだ,と食いながら思った.
 さればというわけで,具材をたっぷり追加で入れてみたら,
こんどは元々具材として入っている鶏肉の破片や油揚げの切れっ端がゴミみたいに見えて,まるで異物が混入した料理みたいになってしまった.
 パッケージに米二合用の釜飯の素レトルトが二袋入って店頭価格三百円弱で,これは「安けりゃ喜ぶ消費者っているんだよね」というミツカンのポリシーかも知れないが,馬鹿にするなと言いたい.
 マイナーな販売者の製品で二倍くらいの価格帯 (五百円前後) のものもあるのだが,得てして具は大目に入っているが食品添加物過剰で不味かったりするのが多い.(これはメーカーの技術力を反映している.ミツカンの製品はまずくはない)
 
 ま,そんなわけでちゃんとした鶏飯 (奄美の郷土料理「けいはん」ではなく日本各地の「とりめし」) が食いたくなったので,ミツカンの手を借りずにきちんと作ってみた.
 その前に一つ.Wikipedia【釜飯】に次の記述がある.
 
釜飯 (かまめし) は、米に醤油、みりん等の調味料を加え、その上に椎茸、鶏肉などの具を載せ、一人用の釜で炊いた米飯料理である。一種の炊き込みご飯であるが、釜から飯碗によそうのではなく、釜のまま食卓に供することに特徴がある。釜の種類としては、写真にあるような羽釜式の鉄釜の他に、土鍋型の陶器の益子焼、高田焼もよく用いられる。大正12年 (1923年)、関東大震災あとの東京上野で行なわれた炊き出しをヒントに、のちの浅草の『釜めし 春』の女将が開発させた一人用の釜で、客に供した料理がはじまりとされる。

 
 なるほどね.たぶん一人用の釜なんてものは《『釜めし 春』の女将》の考案したものだろう.世に釜飯はあるが鍋飯がないのは,そういう理由があるからだ.
 するとミツカンが,米二合用の分量をレトルト包装した調味料 (
貧相な具材が申し訳程度に入っている) を「鶏釜めし」とネーミングしているのは大間違いであるということになる.しかも釜炊きではなく炊飯器用に商品設計されている.なぜ素直に「鶏めし」としなかったのか.きっと『「鶏釜めし」とすることで他社製品との差別化を図る』とか何とか会議で主張した お調子者が マーケティング担当がいたのであろう.食品会社ではよくある話だ.
 
[材料]
 米 (無洗米推奨)   二合
 鶏モモ肉      200グラム
 ゴボウ (笹がき)   100グラム 
 白醤油      大さじ二杯
 濃口醤油     大さじ一杯
[作り方]
* 鶏モモ肉は炊くと,驚くくらいに収縮するので,大きめに切る.皮も入れると飯粒に艶がでる.
* ゴボウは,笹がきにして水煮にしたものがポリ袋入りで売られているので,これを使うと便利.
 ポリ袋に入っている水にはゴボウの香りが移っているので,これは捨てずに炊飯に使う.これに溶けている添加物はビタミンC (アスコルビン酸) だけなので,添加物嫌いの人でも心配無用.
 コボウは100グラム入れると,下の写真ではわかりにくいが,たっぷり入っているという感じになる.ほのかなゴボウの香りが食欲をそそる.
* 鶏飯は色も塩加減も濃いめが普通かと思い,他の炊き込み御飯よりも多めにし,濃口醤油を併用した.濃口醤油を使うと,炊飯釜の内底に醤油の色が着き,オコゲみたいな色になる.オコゲじゃないけど.
[感想]
 昔から鶏飯にはゴボウを使うものと決まっている.なぜだかわからないが,鶏つくねにもゴボウを入れる.
 ゴボウの他にニンジンだとか油揚げだとかを入れて炊くと,一食の飯として何だかおもしろくないのが不思議だ.
 昔々,東北を旅した折,盛岡で泊まった宿の夕食に,牛肉とゴボウの鍋が出た.野菜はゴボウのみ.
 このゴボウの香りが実に鮮烈で,東北のゴボウは他所とは違うのだと知った.あれは肉の鍋ではなくゴボウを食う鍋であったのだなあと今でも記憶している.
 
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2020年5月29日 (金)

しらたきの常備菜

 五日前の記事《ミツカン「鶏釜めし」》にこう書いた.
 
ちなみに同じ農水省のサイトに資料《こんにゃくいもの輸入 》があり,次の通りに書かれている.
 《平成19年4月のLDC (後発開発途上国) に対する無税無枠措置の適用以降、 ミャンマー、ラオスからの輸入が増加している。》
 「こんにゃく」はいつの間にか完全自給ではなくなっていたのだ.これについては別稿を立てて書く.
 
 その別稿である.
 一般財団法人日本こんにゃく協会の公式サイトに《こんにゃくができるまで》というコンテンツがある.
 
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 またWikipedia【コンニャク】には次の記述がある.
 
植物としてのコンニャク
サトイモ科の夏緑多年草植物で、学名はAmorphophallus konjac。英名はelephant footあるいはdevil's tongueとも言う。地下茎はコンニャクイモ(蒟蒻芋)と呼ばれる。原産地はインドまたはインドシナ半島(ベトナム付近)とされ、東南アジア大陸部に広く分布している。
 
 つまり東南アジア全体におよそ130種のサトイモ科植物が存在するが,その多くは多糖「コンニャクマンナン」を含まないため,加工してコンニャクを作ることはないという.
 この約130種のサトイモ科植物のうちどれくらいのものが食用であるかは,ネット上の資料を調べてもわからなかった.ただ,そのうちの一部は総称を「タロイモ」といい,東南アジアでは今でも主食の一つである.
 日本でサトイモ (里芋) と呼ばれているものはタロイモの栽培品種の一つで,最も北方で栽培されている品種だ.現在の日本列島に伝播したのはイネよりも早い縄文時代後期だとのこと.現在では日本はもちろん東南アジアでも主食の地位を米に譲った地域が多いが,起源が古いだけあって,食文化的に重要な食材である.
 さてコンニャクイモはサトイモ科の中では特殊な品種で,元々は中国の貴州省や雲南省,四川省など少数民族が多い地域でコンニャクに加工して食用とされてきた.コンニャクの我が国への到来は,Wikipedia【コンニャク】に,
 
日本への伝来時期には諸説あり、飛鳥時代に医薬として仏教と共に伝来した、あるいは縄文時代にサトイモと共に伝来したとも言われ、その後、推古天皇の時代に本格的に中国から輸入されたと言われる。その目的は「砂払い (整腸)」の薬効であったが、鎌倉時代までに食品として確立し、精進料理に用いられるようになった。しかし庶民に広まったのは、江戸時代の元禄年間の頃である。
 
とある.元禄年間以来,日本人はコンニャクを食い続けてきたわけだが,いくら食っても腹の足しにならないコンニャクを,薬効があると信じられていたとはいえ,よくぞまあ今に伝えてきたものだと感心する.(「腹の足し」とは血糖値が上昇することだ.コンニャクは大量に食っても胃の膨満感が増すだけである)
 それはともかく日本人はコンニャクが好きでよく食べるから,これが東南アジア諸国の人々に知られるところとなり,日本こんにゃく協会の記事に描かれているように,彼の地で日本向けに栽培されるようになった.これについてWikipedia【コンニャク】から少し長めに引用しよう.
 
こんにゃくと政治
国内生産者保護のため、こんにゃく芋は関税割当制度の対象とされ、安価な輸入こんにゃく芋には国内産より高コストとなるように、高額の関税が課されている。2015年の1次税率(267トン以内)は40%、2次税率は2796円/kgである。ウルグアイ・ラウンド合意によってこんにゃく芋の関税化が始まった1995年当時は、2次税率の関税率は1706%に相当した。また、各年度において、年度開始からの累積の輸入量が一定量を超えると超えた月の翌々月からその年度の終わりまで「特別緊急関税」と呼ばれる3728円/kgの緊急関税率が適用されることが定められ、2009年2月1日、2009年9月1日、2010年7月1日、2012年12月1日に実際に発動している。
自民党には、こんにゃく農家の保護・育成のために活動する「こんにゃく対策議員連盟」があり、群馬県を地盤とする小渕恵三も会長を務めていた。2011年、当時の民主党政権の前原誠司外務大臣は、こんにゃく芋に高関税が設定されていることについて、こんにゃく芋の大産地である群馬県から出た、自民党の内閣総理大臣が多いからだと発言した。
ただし近年は輸入品価格も上昇し、2008年は1 kg当たり800円程であったため関税率は350%程度で、関税が適用されても輸入こんにゃく芋の方が安くなる場合もある。なお、こんにゃく製品の輸入は自由化されており、関税率は20.3%である。》(引用文中の文字の着色は当ブログの筆者が行った)
 
 先日の記事《ミツカン「鶏釜めし》には
 
ミツカン「鶏釜めし」の「こんにゃく」は輸入原料を国内で加工しているのであるが,その輸入原料が「こんにゃく粉」かどうかはわからない.「板こんにゃく」を輸入して国内でカットと調味をしているかも知れないが,東南アジアから「こんにゃく粉」(精粉という) を輸入して「こんにゃく」を製造している会社から調達しているのかも知れない.いずれにせよこの「鶏釜めし」で使用する「こんにゃく」は大した量ではないのに,なぜ輸入品を使うのかは不明である.
 ちなみに同じ農水省のサイトに資料《こんにゃくいもの輸入 》があり,次の通りに書かれている.
《平成19年4月のLDC (後発開発途上国) に対する無税無枠措置の適用以降、 ミャンマー、ラオスからの輸入が増加している。》
「こんにゃく」はいつの間にか完全自給ではなくなっていたのだ.これについては別稿を立てて書く.
 
と書いたが,関税をかけても輸入のコンニャク芋,コンニャク製品のほうが安い場合があるのでは,コンニャクという伝統的食品はいずれ完全に我が国の自給農産物,自給食品でなくなっても不思議ではない.
 ま,飛鳥時代に輸入製品であったコンニャクが,現代になって再び輸入製品に回帰するのは奇しき時の流れと言うべきか.
 
 ところで,スーパーの加工食品売り場へ行くと,豆腐・納豆と関連製品の棚面積がかなり広いが,料理としてあまり用途の広くないコンニャク製品も,大豆製品に劣らぬ量が日々販売されていることに気が付く.それも,しらたき又は糸コンニャクが,板コンニャクや玉コンニャク,刺身コンニャクを圧倒している.
 刺身コンニャクはそのまま食うだけであるし,板コンニャクの用途はおでんが主だろう.では,しらたきはどうなのか.
 他家ではどうか知らぬが,私は醤油味の辛い炒め物が好物である.冷蔵庫の常備菜だ.
 作り方は何の工夫もない.袋入りのしらたきをまな板に置き,ざっくりと二つに包丁で切る.これを鍋にたっぷりの湯を沸かして下茹でする.下処理したしらたきは,カルシウムが溶け出た湯を捨てて水洗いしておく.
 油揚げを熱湯で洗ったあと,一センチ角くらいの大きさにカットする.
 コンニャクと油揚げと輪切りの鷹の爪一つまみを鍋に入れ,少しの麺つゆで味を付けてからサラダ油で炒める.仕上げに少しの胡麻油を垂らせば出来上がりだ.
 
 これだけで酒肴になるが,炒り卵を加えれば見た目も豪華になる.
 油揚げの代わりに,デパ地下の惣菜てんぷら屋で揚げ玉 (無料) をもらってきて,しらたきを炒めたあとに混ぜるのもおいしい.
 油揚げではなくベーコンをたくさん入れれば,肴というよりも御飯の副菜のようになる.また,日持ちはしなくなるが,ニンジン等の野菜を入れてもよい.
 特筆すべきは,この常備菜は一日に一度レンチンすると,かなり長く冷蔵保存できることである.というか,しらたきと油揚げだけを使う基本形のものは,レンチンするたびにどんどん雑菌が死滅していくという衛生料理である.
 しらたきを二袋使って大量にこしらえて,毎日の晩酌の肴はこれだけ,というのは年金生活者に最適であると私は考える次第だ.
 
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2020年5月28日 (木)

メイクイーンでポテトサラダを作る

 知人から,ダンボール箱にいっぱいの新ジャガイモを頂戴した.箱を開けてみたら,小はSサイズの鶏卵大から大きいのはテニスボール大まで.男爵もメークイン (標準和名はメークインだが,Make in では意味不明だ.私はメイクイーン May Queen と書きたい) も一緒くたの泥付きである.
 これをさてどう食べようかと思案して,まずは茹でて塩を振って食べた.
 次に男爵は細く千切りにして,輪切りの鷹の爪と麺つゆで炒めて,キンピラにして食った.これは私の冷蔵庫の常備菜だ.
 拍子木に切って味噌汁にしてもいい.ジャーマンポテトやグラタンもうまい.
 コンソメのキューブとカレー粉で煮て食ったが,ジャガイモだけのカレーもいけるのではないかと思った.
 惣菜屋に行くとこの季節,ピンポン玉くらいの新ジャガをポテトフライにして売っている.これがうまい.
 こうしてみるとジャガイモは芋の王だ.サツマイモやサトイモではこうはいかない.
 そこで,芋料理の王,ポテトサラダを作ってみた.
 ジャガイモはメイクイーンを使う.男爵イモのポテサラはスーパーの安い惣菜であり,女子供の好物である.男爵ポテサラは,マヨネーズが多いとただもうベタベタのペーストで,うまくもなんともない.マヨネーズが少ないとただのマッシュポテトとどう違うのかわからぬ.ここはメイクイーンのポテトサラダが決まり事である.
 
[材料]
 メイクイーン  普通の大きさのものを四つくらい.
 平和食品工業「野菜ブイヨン」  大さじ二杯くらい.Amazonで購入できる.
 タマネギ    一個の半分を一ミリ厚にスライスする.量はジャガイモの半量くらい.
         今の季節,新タマネギならそのまま使う.
         辛いタマネギの場合は水に晒すなりサッと湯通しするなりして,辛みを除く.
         いっそ一センチ角くらいに大きく切って,油炒めにしてしまうのもアリ.
 キュウリ    一本.握ると痛いくらいに鮮度のよいものは,下処理して尖ったトゲトゲを除去する.やり方はネット参照のこと.
         トゲトゲのないものはそのまま使う.
         一ミリ厚にスライスする.塩もみは不要.というかしないほうが生野菜感があっておいしい.
         塩もみすると書いてあるネットのレシピは参考にする必要なし.
 ベーコン    ファミマのスモークベーコンを一袋.短冊にカットし,フライパンで軽く炒めて香りを立てておく.
[作り方]
* 手頃な大きさのメイクイーンを,四つかそこらピーラーで皮を剥く.これを五ミリ厚から十ミリ厚に輪切りする.さらに半分にカットする.厚みは揃えないことが大切.なぜかは後で食べるとわかる.
* 鍋にジャガイモを入れ,ひたひたの水を入れて火を着け,野菜ブイヨンを投入して茹でる.野菜ブイヨンの代わりに味の素等の高血圧型コンソメで代用しても可.塩分控えめコンソメならもっとよい.
 ただの塩茹でではなく,メイクイーンのポテサラはこの茹でるときの味付けがポイントだ.ここで好きなスパイスを追加して使う工夫をするとさらによい.
* 厚くカットしたジャガイモに火が通ったらすぐ火を止め,イモだけボウルに取り出す.ラップをせずに電子レンジで加熱し,無駄に付着した水分を飛ばす.
* 湯気が立っている状態で,フォークとかスリコギで潰す.マッシュされた部分 (下ごしらえで薄くカットした部分が簡単にマッシュされる) とゴロッとしたイモ感がある部分 (元々厚く切った部分) の割合はお好みで調節する.
* 小皿にチューブ入りの和ガラシを六センチくらい絞りだし,少量の水で溶いてからイモに加える.安っぽいスーパーの惣菜ポテサラはカラシをケチっているのが多い.
* さらにマヨネーズを好みの量絞り入れる.マヨネーズの量は,メーカーの違いもあり,人によりほんとに好き好きなので,少しずつ加えながら,味見をしつつ決めること.
* ベーコンを投入し,シャモジ等で混ぜ合わせるとできあがり.あとは冷蔵庫でよく冷やしてから食べる.
[感想]
 安いスーパー惣菜の男爵ポテサラはジャガイモのペーストに過ぎないが,メイクイーンのポテトサラダは料理感がある.
 要点は,つぶしたイモの大きさを揃えないこと (下の写真参照),イモを茹でるときにブイヨンを使うこと,タマネギとキュウリをたっぷり使うこと.和ガラシをケチらぬこと.
 盛り付けたら,パプリカとかパセリの粉なんかを飾りに振ってもいい.
 黒オリーブの輪切 (コープ食品「サラダクラブ ブラックオリーブ スライス」が安くてよい) をトッピングするのもおすすめ.
 カンボジア産の黒コショウ塩漬け,日本産のシソの実の塩漬けなどをパラリと載せても旨い.もちろん黒コショウをカリカリと挽いてかけてもよし.
  
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2020年5月24日 (日)

ミツカン「鶏釜めし」

 私は米の飯が三度の飯より好きで w ,炊き込み御飯を作るときは自分で季節の材料を整えるが,市販の「釜飯の素」はどんなもんだろうと思い,ミツカンの「鶏釜めし」を買ってみた.商品情報はこちら
 
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 包装の裏面に次のことが書いてある.
 
好みで選べる2つの味! 2合で炊けばしっかりした味付けに 3合で炊けば上品な味付けに
色々試せる2袋入り! 1回目はそのまま、2回目は旬の素材を加える などお楽しみいただけます。
 
 また公式サイトの商品情報ページにはこう書かれている.
 
国産の鶏肉、にんじん、こんにゃく、油揚げが入った「鶏釜めしの素」です。風味にもこだわり、鶏脂を加えたコク のある豊かな風味が具材の味を引き立てるので、そのまま食べても、旬の素材をプラスしてもお使い頂けます。2 ~3合用×2袋入りで、お好みに応じて『しっかり』、『上品』2種類の味をお楽しみいただけます。(●鶏肉、にんじんは国内で生産されたものです。●こんにゃく、油揚げは海外産原料等を使用し国内で製造されたものを使用しています。)
 
 この説明を読んで私は驚いたのだが,こんにゃくは原料を輸入している.私はこんにゃく芋とその加工品 (こんにゃく粉等) はほぼ完全に群馬県産で,少量が栃木県産だと思っていたからである.そこで調べてみたら,農水省のサイトに資料【こんにゃくいもの動向】があった.説明の一部を下に引用し,表とグラフを添える.
 
こんにゃく製品の輸入
 板こんにゃく、しらたき等のこんにゃく製品は、総菜等の業務用を中心に、輸入されている。平成26年産の輸入数量は、24,037tとなっている。

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 ミツカン「鶏釜めし」の「こんにゃく」は輸入原料を国内で加工しているのであるが,その輸入原料が「こんにゃく粉」かどうかはわからない.「板こんにゃく」を輸入して国内でカットと調味をしているかも知れないが,東南アジアから「こんにゃく粉」(精粉という) を輸入して「こんにゃく」を製造している会社から調達しているのかも知れない.いずれにせよこの「鶏釜めし」で使用する「こんにゃく」は大した量ではないのに,なぜ輸入品を使うのかは不明である.
 ちなみに同じ農水省のサイトに資料《こんにゃくいもの輸入 》があり,次の通りに書かれている.
 
平成19年4月のLDC (後発開発途上国) に対する無税無枠措置の適用以降、 ミャンマー、ラオスからの輸入が増加している。
 
「こんにゃく」はいつの間にか完全自給ではなくなっていたのだ.これについては別稿を立てて書く.
 さて,ミツカンの「鶏釜めし」の話である.
 炊飯器の内釜に無洗米のコシヒカリを二合計り入れ,内釜の二合の目盛りに合わせて水加減した.無洗米専用の計量カップが販売されていて,170ミリリットルである.無洗米は通常よりも乾燥しているので水の量を多くしなければいけないというのがその理由だが,実際に炊いてみると180ミリリットルのカップで計った白米を無洗米一合としても全く問題がない.誤差の範囲の話だと思う.無洗米専用カップをわざわざ購入する必要はない.
 次にここに「鶏釜めし」を一袋投入した.
 あとは普通に炊き上げて,熱々を飯椀に盛って食べようとしたのだが,「?」と私は首を傾げた.
 微細なにんじんの切れ端は色が赤っぽいからすぐ目についた.糸こんにゃくの切れ端のような「こんにゃく」も探したらあった.
 だがしかし,肝心の鶏肉は椀の中に見当たらなかった.
 そこで炊飯器内釜の中を精査したところ,五ミリ角ほどの黒っぽいものが発見できた.どうやらこれが鶏肉らしい.しかしカップヌードルに入っている「謎肉」よりも存在感がないのには驚いた.
 さらに飯粒の間を隈なく捜索すると,暗褐色のゴミみたいなものもみつかった.ルーペで子細に観察すると,これは油揚げの破片であることが判明した.
 ミツカン「鶏釜めし」は醤油が濃口だから,炊き上がった釜飯の色が大変に濃い.そこに五ミリ角の鶏肉と油揚げの破片が入っていても,私ら老人の目には,ないに等しい.これはもう「鶏釜めし」ではなく「にんじんとこんにゃくの切れ端釜めし」と言うべきだと思う.
 
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 上の画像はパッケージに描かれている「調理例」だが,実際には「調理例」で飯の上に載っている具材が,二合の米を炊いた飯の中に分散隠滅されている.私は久々に大胆不敵な「調理例」を見た.
 だがしかし私はここで,パッケージ裏面に《色々試せる2袋入り! 1回目はそのまま、2回目は旬の素材を加える などお楽しみいただけます 》と書いてあることにハタと思い至った.そうかっ,なるほどっ.この文言は「この商品には具材がロクにはいっていないので,二回目は自分で旬の素材を加えてお楽しみください」という意味だったのだ.ちゃんと辻褄は合っている.大胆不敵な「調理例」だ,などと貶してまことに申し訳ないことをした.さすが一流食品会社のミツカンであるなあ.よかったよかった.
 というわけで,もう一袋は具材を加えて炊いてみた.
 冷蔵庫にはちょうど買ったばかりの赤魚の粕漬がある.二枚に下した身を二枚,つまり丸々一尾分を焼いて,身をほぐしたら,飯茶碗にたっぷり二杯分あった.
 あとは常備している油揚げを一枚.元々は関西のものだが,油揚げを小さな短冊に切って,うどんに載せて食う.このように切った油揚げを「刻み揚げ」という.鶏飯に限らないけれど,飯に炊き込む油揚げはこの位の大きさの短冊が普通だ.しかし少し前に「上沼恵美子の おしゃべりクッキング」で辻調の先生が,「お揚げは五ミリ角くらいのみじん切りにするとおいしいです」と言っていたので,そのように切った.
 こうすると,元々ミツカン「鶏釜めし」に入っていた ゴミみたいな 破片のメンツがつぶれずに済む.何事もメンツは大切にするのがよい.
 赤魚粕漬は炊いたあとに加えるのが,たぶんおいしい.鯛飯のようにしたのでは,炊いた飯全体が同じ味に均一化してしまうので,せっかくの粕漬のおいしさが薄れると思う.飯は醤油味で,具の赤魚は酒粕風味,というわけだ.
 ただし油揚げは出汁みたいなもんだから,最初から加えて炊く.
  
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 さあ上の写真ができあがりの様子だ.
 赤魚といっても色々あるけれど,私がいつも買う赤魚粕漬は近海ものじゃなくて,一年中安価に店頭にでているものだ.
 赤魚は本来はアコウと読み書きする.「赤魚」は当て字くさい.鯛になぞらえて赤魚鯛とも書き,アコウダイと読む.キンメを金目鯛,キンメダイと呼ぶのと一緒だ.
 このアコウダイは漁獲量が減って今では超高級魚である.これの代替として粕漬にしたり,切り身で売られているのは,アラスカメヌケタイセイヨウアカウオだとのことである.いずれもあまり体色は赤くなく,ピンク色だ.
 これらの他にも色がかなり赤い魚があって,総称が赤魚だが,スーパーで見かけることはない.大き目の鮮魚店で目にすることはあるが,タイセイヨウアカウオなどの赤魚とは差別化するためか,和名あるいは通称で販売されている.
 昔と魚種は変わってしまったが,赤魚の粕漬は食べ応えがあって庶民の食卓の友である.これを一尾,二合の飯に混ぜれば,ミツカン「鶏釜めし」のチープ感を吹き飛ばせる.ま,もうこの釜飯の素は買わないけどね.

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2020年5月19日 (火)

なんちゃってパエリア /工事中

 私は米が好きで,塩鮭とか葉唐辛子の佃煮をおかずに白飯を食うのはもちろんだが,季節季節の材料で作る炊き込み御飯も大好きだ.卵かけ御飯もいいし,餅入りの味噌おじやなんかは田舎の味で,食えば感涙ここに極まる.
 昔々の凶作の時,政府はタイなどから緊急に米を輸入した.(1993年の米騒動)
 その時に初めて食べたタイ米の香りに,私はいっぺんにインディカ米のファンになった.インディカ米を半藤一利は「外米」と言ってさげすんだが,他の国の人々の食文化を認めぬ人間が何をエラソーに「臣一利」などと昭和天皇の臣下を自称しているのか,片腹痛い.いつまでも戦中のつもりでいるがいい.
 半藤のことはともかくとして,私はイタリアやスペインの米に馴染みがない.レストランで食べるだけならパエリアもリゾットも好きだが,自分では料理しない.
 しかしそんなことでは,米好きとしてはいかがなものか.好物ならば自分で作ってこそ,であると反省した.
 そこで,Amazonに出品されていたイタリアの米 (品種は“カルナローリ”) を買ってみた.ただし純イタリア米ではなく,石川県の「たけもと農場」という生産者が販売としている国産米である.
 外国の米を日本国内で栽培するのが合法かどうかは知らない.「たけもと農場」とは別の生産者が下のようなことを言っている.
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 それなのに「たけもと農場」はカルナローリを販売している.どうなっているのだろう.
 しかしAmazonのレビューは絶賛ばかりなのて,とりあえずこれを購入した.
 ところが届いた米は,透明な袋の外から見ただけでも,半分以上が破砕したクズ米とわかるものだった.そこで怒った私はレビューを書いた.
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 上のレビューに書いたように,「たけもと農場」は,包装の表に「カルナローリ」と単一原料米であるかのように書いておきながら,裏面の表示には「複数原料米」と書いている.
「カルナローリ」は,例えば日本産の米なら「コシヒカリ」と同じく栽培品種名のはずだ.(農水省のサイトに「コシヒカリ」と「カルナローリ」を比較した資料がある;1945年にVialone種とLencino種の掛け合わせで生まれ,カルナローリは開発者のCarnaroli氏に因むという)
 だとすれば「たけもと農場」は生産者 (地) が異なる複数のカルナローリを混合して出荷していることになる.だがこの資料を閲覧した限りでは,単一の生産者であるとしか理解できない.この一括表示からすると,「たけもと農場」はかなり胡散臭い業者 (農家) である.
 しかも,包装された内容物は,破砕された粒が半分以上あるクズ米だ.こんな商品に対して絶賛レビューを書いている人たちは一体なにを見ているのか.まことに憤懣やるかたない.
 で,買ってしまった「たけもと農場」のクズ米を放置していたのだが,いつまでもそのままにしておくわけにもいかず,これでパエリアを作ってみた.
 
 さて,私が一番信用している料理家は栗原はるみさんなので,栗原さんのレシピを探してみたところ,次のレシピがあった.
NHKきょうの料理レシピ 2016/08/17 (水) 栗原はるみの定番ごはん フライパンパエリア
 これはもうスペイン料理屋さんクラスのもので,写真からして豪華だ.
 下の画像は私が作ったパエリアだが,これをたぬき蕎麦とすると,栗原パエリアは上天ざる蕎麦である.
 味は私のをかけ蕎麦とすると,栗原さんのはたぶん蕎麦懐石ということになる.
 
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 では,名称は同じパエリアなのに,なんでそんなに見た目と味に差がつくのかという説明を以下に述べる.
 
[材料]

  
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2020年5月14日 (木)

手羽先の甘酢煮

 このジャンルの前回記事《豆とソーセージのスープ》に,赤肉 (獣肉) と加工肉は発がん性が疑われると書いた.
 しかし時たまテレビに登場する長寿者の皆さんが,毎日のようにビーフステーキをモリモリ食べていたりするので,赤肉の発がん性ってホントかなーと思わぬでもない.
 だが,赤肉の発がん性なんぞ,蚊に刺されたほどにも思わぬ頑健な肉体の持ち主だからこそ,長寿なのである,という解釈も可能なのだ.とはいえそのような超人ではない私たちは,動物性タンパク質は魚と鶏肉を食べておくのが安全ではある.
 その鶏肉だが,私は手羽先が一番好きだ.調理法としては,手羽端 (ほとんど皮ばかりの先端部のこと
) を切り落としてから醤油に浸して下味を付けて,ガスの魚焼きグリルで香ばしく焼くのがよい.無言で八本くらいは一気に食える.惣菜屋では焼き鳥の一つとして塩焼きにした手羽先を売っているが,醤油のほうが三倍くらいうまい.塩むすびを焼いても旨くもなんともないが,醤油を塗って焼いた焼おにぎりはそれより三倍旨いのと同じである.
 そのように思ってはいるが,ミツカンの「カンタン酢」のCМに出ている杏さんが明るく健気なので,手羽先を使ってアレンジしてみようと思った.(カンタン酢 お願いカンタン酢 鶏のさっぱり煮篇【ミツカン公式】)
 
 まず,特に理由はないが,手羽端は付けたままにした.スープを作るのであれば,切り落とした手羽端で出汁をとるのがよい.
 次に手羽先をフライパンに丸く並べて焼く.油はいらない.
 
 
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 ガスの魚焼きグリルならコンガリと焼けるが,フライパンでは軽く焼き色が付くくらいになる.魚焼きグリルを使わなかったのは,今回は試作品だから.次に作る時はきちんと下処理してグリルで焼きたい.たぶんそっちのほうが旨い.
 この段階では,フライパンに接していない手羽端はナマである.
 裏表焼いたら,カンタン酢を手羽先が半分浸るくらい入れる.
 さらにナンプラーを大匙一杯.
 沸騰させて手羽端が煮えたらできあがり.
 途中で煮汁を味見したところ,カンタン酢は単純に甘いだけなので,思い付きでナンプラーを入れてみた.これは中華系の醤とか,ペッパーソースとかでもよさげ.(了)
 

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2020年5月12日 (火)

豆とソーセージのスープ

 国立がん研究センターの公式サイトに《赤肉・加工肉のがんリスクについて》というコンテンツがある.
 
いわゆる赤肉 (栄養学や疫学においては哺乳動物の肉であり牛豚羊馬ヤギの肉である.家禽や魚は含まない) と加工肉の発がん性について解説した記事である.
 
IARC主催の10か国、22人の専門家による会議で赤肉 (牛・豚・羊などの肉)、加工肉の人への発がん性についての評価が行われました。評価は全世界地域の人を対象とした疫学研究 (エビデンス)、動物実験研究、メカニズム研究からなる科学的証拠に基づく総合的な判定です。
その結果、加工肉について「人に対して発がん性がある (Group1)」と、主に大腸がんに対する疫学研究の十分な証拠に基づいて判定されました。赤肉については疫学研究からの証拠は限定的ながら、メカニズムを裏付ける相応の証拠があることから、「おそらく人に対して発がん性がある (Group2A)」と判定しています。

 
 ただし,次のようにも書かれている.
 
日本人の赤肉・加工肉の摂取量は世界的に見ても低く、平均的摂取の範囲であれば大腸がんのリスクへの影響はほとんど考えにくいでしょう。ただし、欧米でも多いとされる量の摂取であればリスクを上げる可能性は高いと思われます。
 
 では日本人の赤肉・加工肉の摂取量がどれくらいかというと,次のように書いてある.
 
2013年の国民健康・栄養調査によると日本人の赤肉・加工肉の摂取量は一日あたり63グラム(うち、赤肉は50グラム、加工肉は13グラム)で、世界的に見て最も摂取量の低い国の一つです。
 
 よくわからん記述である.上の書き方だと,一日当たり60グラム以下の摂取量なら日本人の標準的摂取量よりも少ないから毎日食べても大丈夫ということになるが,では一週間に一度300グラムのステーキを食ったとしたら,それはリスキーなのか,という問題がある.これはまあ無い物ねだりな話で,そんなに精密な研究が行われているわけではないのではある.
 現代の栄養学は,少しずつ色々なものを食べようと教えてくれているのだが,これはリスク分散しましょうという意味だ.
「健康によい」とされている食品でも,実はテレビで林先生が言っているだけで,根拠はないことがほとんどである.実は何が健康にいいのか悪いのか,現代の栄養学では皆目わかっていないのである.そうであるなら色んなものを食べてリスクを分散させるのが正しい.
 その伝でいくと,好きなものでも毎日食ってはいけないことになる.というか,色々なものを食べようとすると,必然的に一つの食材の摂取量は減るのである.
 米飯でもパンでも,毎日食っていたら,なにがしかのリスクはあるということである.いわんや納豆においてをや.w コロナがこわくて毎日しこたま納豆を食っていると,思わぬ体の故障が起きるかも知れぬ.
 
 納豆はともかくとして,赤肉は重要なタンパク源だから食わざるを得ないけれど,加工肉はたまに食べればいいのはたぶん確かだ.
 だが加工肉は一切食わぬという頑なな食生活も,いかがなものかと思う.作る料理の幅が狭くなってしまうから.
 というわけで,ソーセージのスープをこしらえてみた.
 
[材料 二人分]
 レッド・キドニー・ビーンズ      100グラム
 ブラックペッパー風味のソーセージ   4本 (120グラム)
  (今回は伊藤ハム「ベルガヴルスト」を使用したが,なんでもいい)
 水                  250ミリリットル
 減塩タイプの顆粒ブイヨン       小さじ2杯
  (平和食品工業「野菜ブイヨン」)
 ローレル               2枚
[作り方]
* 容器にレッド・キドニー・ビーンズとたっぷりの水を入れ,冷蔵庫で半日以上放置する.冬場なら室温でもいい.
* 豆のシワが取れたのを確かめて,中くらいの鍋に戻した豆と,これまたたっぷりの水を入れて沸騰させ,あとは弱火で一時間ほど煮る.所要時間は豆にもよるので,皮がほどよく軟らかになるまで炊くこと.
* 豆が煮えたら,ストレーナーで黒い煮汁を漉して捨てる.以上が豆の水煮の作り方.
* ソーセージは適当な大きさにカットする.
* 豆の水煮と水を鍋に入れ,ブイヨンとローレルも入れて,沸騰してからコトコトと暫く煮てから,ソーセージを投入する.
* ソーセージが温まったらできあがり.
[感想]
 レシピの分量は二人前なので,一日あたりの加工肉量は60グラムである.残りは保存容器に入れて冷蔵庫へ.翌日食べる.(了)
 
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2020年5月 8日 (金)

昭和のナポリタン

 関東ではテレビ朝日系の《上沼恵美子のおしゃべりクッキング》で,スパゲッティ・ナポリタンを放送したのをみて「あ,そうだったのか」と驚いた.
 この和製パスタ料理は昭和を代表する洋食の一つである.周知のように発祥は横浜のホテルニューグランド (ホテル内「ザ・カフェ」でどうぞ) だが,これが街洋食で次第に変化していき,喫茶店のメニュー化した.
 現在ではいくつかの食品会社からレトルト製品のソースが販売されている.しかしこれを日本の料理であるスパゲッテイ・ナポリタンとは認めないという人もいる.昭和の味が再現されていない,というのである.ついでにいうと,ナポリタンはステンレスの楕円形皿に盛りつけなければいけないと彼らは主張する.そしてタバスコのソースが欠かせない.タバスコはイタリアのものではないけれど,いいのである.
 また当時の喫茶店では,トマトソースなんかは使っていなくて,というか「ザ・カフェ」の一皿のようなトマトソースを使うのが本来であることが忘れられて,単にケチャップで和えたパスタ料理だった.その点でレトルト製品は,味をトマトソース側に寄せてしまっているので,昭和の味ではないということになる.
 昭和のナポリタンの再現については,土井善晴先生は著書の中で「ケチャップを炒るのがコツ」と仰っているが,《おしゃべりクッキング》で紹介した昭和の味の再現方法は,(1) スパゲッティはオーバーボイルする,(2) 水で洗ってヌメリを取る,(3) 一晩冷蔵庫で寝かせる,(4) この麺をフライパンで「焼く」ようにする,であった.このうちの (2) と (3) が盲点であった.言われてみて「なーるほど!」と思った.喫茶店のママやマスターたちは,なんとかしてスパゲッティを洋風焼きうどんみたいな料理にしたかったのである.
 この昭和風の作り方は,番組放送中に口頭で説明されたのであり,実際に《おしゃべりクッキング》で作ったナポリタンは現代風のものである.
 現代風のではなく昭和のナポリタンを今度ぜひ作ってみようと思った次第である.

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