ライバル追放内閣
高市首相は内閣改造を終えて記者会見で「この内閣は決断・挑戦・実行の内閣です」と述べた.
テレビ番組《プレバト!!》で芸能人などが詠んだ俳句の査定をなさっている俳人の夏井いつきさんがダメダメな才能なし俳句を評価するときの決まり文句を拝借するなら,「決断しない首相がいるなら出てこい!」「実行しない政治家がいるなら出てこい!」である.
文字数が限られている俳句には「決まりきったことをわざわざ句に詠むな」という前提があるのだ.
つまり「『この内閣は優柔不断・現状維持・不実行の内閣です』はあり得ないことだからわざわざ「この内閣は決断・挑戦・実行の内閣です」と言う意味がない」のである.
それなのに高市首相は,無意味な「この内閣は決断・挑戦・実行の内閣です」と述べた.
なぜか.
組閣にあたって「○○内閣」というコピーを首相が述べる前例が多いからである.
調べると,「○○内閣」と最初に述べたのは中曽根康弘元首相らしい.
それは「仕事師内閣」だったが,それ以後,多くの首相が「○○内閣」という自称を発表してきた.
安倍内閣の「危機突破内閣」は「日本は国際政治的にも経済的にも危機に直面している,それを突破する政治を行う」という認識と国民に対するメッセージを端的に表現したものであったが,それに対して高市内閣の「決断・挑戦・実行の内閣」は「内閣の心構え」みたいなものであり,平易に言えば「一所懸命にやります」をもっともらしく漢字を使って言い換えたに過ぎない.
それこそ「決断・挑戦・実行をしない内閣があったら出てこい!」と夏井先生に言われても仕方ない.
高市首相が「一所懸命やります」などと当然のことをわざわざ述べたのは,改造内閣の顔ぶれに,国民に対するメッセージがないからだろう.
そもそも「内閣の骨格を維持する」という組閣方針は「挑戦しない」ということだ.
これでは前例踏襲の安全第一内閣と言うべきである.
で,時の首相が無意味に「○○内閣」と述べるのは相撲取りが横綱昇進のときに述べる四文字熟語に似ている.
止めるにやめられなくなっているのではないか.
実態が「安全第一内閣」だとしてもそれでは平凡すぎるというなら,「林芳正追放内閣」はどうだ.
これは国民にわかりやすいメッセージだ.

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