私が少年の頃のキュウリは希に苦いことがあった
Sirabee《食べてはいけない危険なズッキーニ、その理由にゾッとした… 生産量1位・長野県も「見た目で分からない」と警鐘》[掲載日 2026年7月14日] から下に引用する.
《夏に美味しい野菜のズッキーニだが、「絶対食べてはいけない個体」のサインが話題に。生産量日本一・長野県のJAながのも「見た目での判断は難しい」と、語る。
夏はズッキーニが美味しい季節。そんな夏野菜の代表格とも言えるズッキーニだが、じつは「決して食べてはいけない」個体の特徴が話題となっていたのだ。
今回注目したいのは、「野菜のプロ」こと青髪のテツさんが投稿したポスト。
「絶対に食べたらダメなものが1つあります!! どれでしょう?」と綴られた投稿には4つの野菜が写った写真が添えられ、「1. 紫に変色したブロッコリー」「2. 黒い点がある白菜」「3. 青く変色した大根」「4. 強い苦味があるズッキーニ」という4択形式のクイズとなっていた。
いずれも異常な状態に思えるが…正解は「4. 強い苦味があるズッキーニ」だと言う。
その理由について、テツさんは「ズッキーニが強く苦いときは食べないでください!! もったいないからと言って無理に食べると食中毒の原因になります」と、説明している。
(中略)
そんなズッキーニは、夕顔と同じ「ウリ科」に属する野菜。
これらウリ科のつる植物について、長野県は「ごくまれに大変苦みの強いユウガオがあり、食べると食中毒になることがあります。これは、ユウガオの苦味成分『ククルビタシン類』によるものです。食べる際は、調理前に実や茎を切って軽く味見をし、苦味がある場合は食べないようにしましょう」と、注意を喚起している。
また、夕顔はスイカ等を栽培する際に、接ぎ木の台木として使用されることがあり、この台木からとれる夕顔の実はククルビタシン類を多く含むことがあるため、食べるのは避けるべきである。
ウリ科には他にもきゅうり、かぼちゃ、メロンなどがあり、これらを食べて激しい苦みがある場合には、「ククルビタシン類」が含まれている可能性があるため、食べないように気をつけたい。
こうした情報を踏まえ、JAながのの担当者も「味見をし、苦い場合は食べないというのが最善の方法のようです。 また、見た目での判断は難しいと思われます」と、補足していた。
「味見」は料理のでき具合を確かめるための行為だが、じつはこうした「危険探知」としての役割も重要。ズッキーニを料理する予定がある人は、忘れずに味見をしてほしい。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
植物に含まれる苦み物質であるククルビタシンに関するウェブ上の情報は混乱している.
その一つであるWikipedia【ククルビタシン】から下に引用する.
《ククルビタシン (cucurbitacin) はウリ科植物に特有のステロイドの一種であり、トリテルペンに属する。
キュウリ、メロン、スイカなどのへたに近い部分に含まれるが、通常は含有量が少ないため苦味までは感じない。その一方で、ゴーヤには多く含まれ、加えて他の苦み成分であるモモルデシン (momordicin) も含まれているため、強烈な苦味の元になっている。また、ヨーロッパに生息するキノコの一種 Leucopaxillus gentianeus の苦味成分としても知られる(成分はククルビタシンB)。
ヘチマやユウガオなどの一部の株において、まれにククルビタシンを多く産生するものが混じって流通することが知られており、自家栽培したものなどを苦味を我慢して食べたことによる食中毒事例(嘔吐や下痢等)もある。異常に苦いものは、食べるのをやめるのが無難である。食中毒事例には、他にヒョウタンやズッキーニによるものもある。なお、モモルデシンには食中毒を引き起こす毒性はない。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
Wikipedia【ククルビタシン】はゴーヤのククルビタシンについて《ゴーヤには多く含まれ》ていると述べ,その上さらに他の苦み物質であるモモルデシンも含まれているのでゴーヤは非常に苦いとしている.
つまりWikipedia【ククルビタシン】は「ゴーヤの苦みは主としてククルビタシンに因るもので,その他にモモルデシンも苦みに寄与している」と述べている.
ところが,これを真っ向から否定しているサイトも存在する.
その一つである松本市公式サイト《強い苦み(えぐみ)があるウリ科の植物にご注意を!》から下に引用する.
《強い苦み(えぐみ)のあるウリ科の植物は食べないようにしてください。
ウリ科(ユウガオ、ズッキーニ、きゅうり等)には、苦み成分の一つである「ククルビタシン類」を含んでいる可能性があります。食べる際は、調理前に実や茎を切り軽く味見を行い強い苦み(えぐみ)を感じた場合は食べないでください。また、観賞用のウリ科植物や接ぎ木、台木にからなったユウガオの実は「ククルビタシン類」を多く含みことがあるので食べないようにしてください。
「ククルビタシン類」による食中毒の症状は唇のしびれ・吐き気・嘔吐・下痢で、潜伏時間は数分から数時間です。
なお、ニガウリ(ゴーヤ)の苦み成分の主は「モモルデシン」という成分で、通常の量を食べる範囲では体調不良を起こす可能性はありません。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
上に引用したように,松本市は《ニガウリ(ゴーヤ)の苦み成分の主は「モモルデシン」という成分で、通常の量を食べる範囲では体調不良を起こす可能性はありません》としており,ゴーヤの苦みの原因は主としてククルビタシンではないと述べている.
この記述は正しい.ゴーヤに含まれるククルビタシンは微量であり,ゴーヤは《通常の量を食べる範囲では体調不良を起こす可能性は》ない.
ゴーヤはごく一般的な野菜であり,ゴーヤの炒め物はどこのスーパーでも総菜の定番料理である.
もしもWikipedia【ククルビタシン】が主張しているように《ゴーヤには多く含まれ》ているとすれば,沖縄県をはじめ毎日毎日全国各地でゴーヤ食中毒が発生しているはずだ.(実はWikipedia【ゴーヤ】も,ゴーヤの苦みは主にモモルデシンに因るとしている)
世に「Wikipediaに書かれていることの95%はゴミだ」といわれているが,ゴーヤの苦みに関するWikipedia【ククルビタシン】の嘘はその一例である.
ゴーヤについては農水省のサイトにも同様の記載がある.
農林水産省公式サイト《苦味が強いズッキーニが稀にあるが、食べても大丈夫ですか。》から下に引用する.
《ズッキーニやユウガオなどのウリ科植物は広く食用として栽培されていますが、苦味成分である「ククルビタシン」が含まれます。
ククルビタシンを多量に含むウリ科植物を食べることで腹痛、下痢、嘔吐などの症状を引き起こすケースがあるので、普段とは違った強い苦味を感じた場合は食べないことが大切です。
なお、同じウリ科のゴーヤも苦味がありますが、これは「モモルデシン」という成分によるもので、食欲増進と血糖値を下げる働きがあります。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
では,ゴーヤは問題ないとして,他のウリ科野菜の安全性はどうか.
横浜市公式サイト《苦情事例集》から下に引用する.
《1.概要 キュウリを食べたところ苦みがありました。
2.調査結果 キュウリに含まれる苦みの成分であるククルビタシン(エラテリシン)と思われます。特に、頭部に含まれていることが多く、食べても害はありません。
3.解説 ククルビタシンは、キュウリ等ウリ科に含まれる配糖体で苦みを呈します。緑色の濃いものの頭部に多く含まれています。苦みは低温や水分不足あるいは生理的乾燥の著しい場合などに発現しやすいと言われています。しかし、苦みの強さは遺伝的に異なり、実用栽培では、苦みをまったく感じない品種も少なくありません。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
上に引用した横浜市の見解《キュウリに含まれる苦みの成分であるククルビタシン(エラテリシン)と思われます。特に、頭部に含まれていることが多く、食べても害はありません》の《食べても害はありません》は真っ赤な嘘である.「少しくらいなら食べても害はありません」が正しい.私は横浜市民だが,こういう嘘つき自治体に住んでいることが不安だ.
では嘘つきでない自治体はどう説明しているか.
和歌山県公式サイト《ウリ科野菜・果物の苦味が強すぎると感じたら》から下に引用する.
《強い苦味のあるウリ科野菜・果物にはご注意を
観賞用のウリ科植物には苦味成分のククルビタシン類が含まれており、これを多量に摂取すると、腹痛や下痢などの食中毒を起こすことが知られています。
一方、食用のウリ科野菜・果物は、品種改良によりククルビタシン類がほとんど含まれなくなっていますが、ごくまれに、観賞用のものと交雑するなどして、ククルビタシン類を多く含む株が発生することがあります。
食用にする主なウリ科植物
ウリ
キュウリ
スイカ
カボチャ
ズッキーニ
メロン
ユウガオ(かんぴょうの原料)
トウガン
ニガウリ(ゴーヤ)
なお、ニガウリの苦味成分は通常の場合ほとんどがモモルジシンという物質で、これには食中毒を起こす力はありません。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
上に《食用のウリ科野菜・果物は、品種改良によりククルビタシン類がほとんど含まれなくなっています》と書かれている通りである.
特にキュウリは品種改良が進んでいると思われる.
私が小学生の頃 (昭和三十年代) のキュウリは,たまに苦いものがあったが,それ以後は何十年もキュウリを食べてきたが,苦いキュウリにお目にかかったことはない.
他のウリ科野菜,ウリやスイカ,メロンなどの栽培種も可食部にククルビタシンを持たないので安全性は問題にならないが,ズッキーニは自治体から発出されている衛生情報によれば,まれにククルビタシンを含む個体が出現するらしい.
そのため,調理する前に,カットした頭部の果柄 (茎に繋がっている部分/軸) 側を舐めてみて,もし苦かったら,まれな例に当たってしまったと諦めるのがよいとのことである.
しかし,私はテレビの料理番組をよく視聴するのだが,料理の講師たちが「苦いズッキーニは食べないでね」と言うのを聞いたことがない.不思議だ.もしかしたら知らないのかも,と疑っている.
ところで一つ思い出したことがある.
苦いキュウリがなくなった今となってはもう役に立たなくなった昔の知識だが,ククルビタシンが多いキュウリの判別法がある.
キュウリの頭部をカットしたら,切断した両面を擦り合わせるのだ.
こうすると苦いキュウリは,白い粘液みたいなものが切断面に生じるのである.
これは,ククルビタシンがテルペン配糖体であるために界面活性を持っているからだ.この判別方法によれば,試食して苦い思いをしなくて済む.
試していないが,もしかすると,苦いズッキーニでも同じ現象が起きるかもしれない.
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