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2026年7月 2日 (木)

散財する女

 ウェブ上の動画を観ていると,設定によって字幕をオンにしたりオフにしたりできる.
 この字幕機能がほとんどアホなのは諸兄御存じの通り.
 例えば下に掲載する読売テレビニュースのスクリーン・ショットをご覧頂きたい.
 
20260701a1a
 字幕の部分を拡大したのが下の画像.
 
20260701b1a
 
 行末の《名札です》はもちろん「名刹です」のことだが,これは日本語になっていないのでタダのアホである.
「名札」の読みは「なふだ」であり,「めいさつ」とよむことはない.
 
 おもしろいのはその前の《京都大原の散財人》だ.
 アホ字幕には違いないが,なんとなくおかしみがある.
 
 高齢者諸兄は,名曲「女ひとり」をご記憶であろう.永六輔作詞,いずみたく作曲,デューク・エイセスが歌唱した「にほんのうた」シリーズの一曲で,昭和四十年 (1965年) に制作され,同年のNHKが先鞭をつけたテレビの伝説的バラエティ番組「夢であいましょう」で披露されて評判となりヒットした.(この曲が「紅白歌合戦で歌われた」と書いている人がいるが,正確には「にほんのうた」メドレーの一部として歌われたのであり,フルコーラスではなかった)
 Wikipedia【女ひとり】には《よく「京都大原三千院」の一節を「京都大原三千円」と替え歌される》とあるが,私が記憶しているのは「京都大原三千人」だ.
「京都大原三千円」では意味がわからぬが,「京都大原三千人」ならば「女ひとり」の影響でそれまで静かだった大原の里にどっと観光客が押し寄せたという駄洒落の替え歌になる.
 それはともかく,「女ひとり」の歌詞は,女性の和装コーディネートが歌われている.
   結城紬と塩瀬帯
   大島紬とつづれ帯
   塩沢絣と名古屋帯
 少年時代の私が結城紬とか大島紬とか塩沢絣などがどんな織物かわからなかったが,今なら結城紬,大島紬,塩沢絣が「三大紬」であるとこは知っている.
 昭和四十年というと永六輔はまだ三十をすこし過ぎたばかりの若者.
 それが女性の和装を題材にした抒情歌を作詞してヒットさせたのだから教養たるやすごい.
 永六輔は「天皇に着物を!市民連合」(天皇に公式の場で羽織袴の和装をしていただきたいという運動) を立ち上げたが,これも永の和服趣味のあらわれだったろう.
 
 で,「女ひとり」のヒロインはいわゆる着道楽である.
 いつだったか梅沢富美男がTBSの《プレバト》に和装で出演し,新調した大島紬のお値段がン百万円だ!とドヤっていた.
 和服のお値段は貧乏人の私には想像することすらできないが,京都の裕福なうちのお嬢様ならカネに糸目をつけず着物に散財するのかも知れぬ.
「散財人」は辞書にある言葉ではないが,失恋するたびに一式ン百万円の和服をお召しになって大原や嵐山や栂尾を散策するお嬢様を「散財人」と呼ぶのはなんだかおかしみがある.
 
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