もうアメリカ人は「真珠湾を忘れるな!」と言えなくなった
今はもう後期高齢者である私が,まだ三十歳になりたてくらいの若い頃に,ハワイで「植物油脂に関する化学 (油脂化学)」の日米合同学術会議が開催され,私は参加するためにハワイに出かけた.
このテの大きめの海外の学会大会というものは,観光地で開かれるのが常であるが,理由は簡単である.
アメリカ人というのは,何をさておいても配偶者同伴が原則であるから,学会会員である夫が出席する学術会議には,必ずその妻が一緒にやってくる.(妻が出席する会議に夫がついてくるかはケース・バイ・ケースだ)
その際,夫が会議に出席している間,妻はやることがなくてヒマなので,学会組織委員会は妻のためのプログラムを組む.
そのプログラムには観光地のツアーと立食パーティの開催が常道なのである.
日本の学会でも,昔から年次大会は観光地で開かれてきたが,これは学会参加者のためのホテルが必要だからである.
学会期間中,立食パーティくらいは行われるが,観光ツアーは学会事務局の仕事ではない.
観光したければ学会が終了したあとに自分で行けばよいからである.
で,昔は日本は観光地として外国人に認知されておらず,国際会議は東京か京都など大都市で観光プログラムなしで行われるのが常だった.
そのため,昔の日米合同の学術会議はアメリカ,特にハワイで行われることが多く,これが学会会員に好評であった.
さて私が上述のハワイで開かれた学会に出席したときのこと.
アメリカの学会事務局は,日本からの参加者のためにハワイ観光ツアーを用意していた.
当時のハワイには,太平洋戦争に出兵したアメリカ兵士がまだバリバリ退役軍人で元気であったせいか,日本人向けのツアーには,必ず真珠湾の戦跡訪問が組まれていた.
その時,私たち一行を案内してくれた日系人ツアー・コンダクタさんが言うには「真珠湾を訪れているほかのアメリカ人観光客や,アリゾナ記念館のガイドさんから,あの真珠湾奇襲攻撃について,卑怯だとか騙し討ちだとか詰問されても,決して反論しないでくれ」とのことだった.
一般のアメリカ人,というより共和党支持者のアメリカ国民にとっては「東京大空襲や広島と長崎への原爆投下は正当な戦争行為であるが,真珠湾奇襲は国際法に反する卑劣な行為である」だという.
その理屈に納得できずに,真珠湾攻撃に原爆投下を対置すると必ずトラブルになるから,相手の日本非難を黙って聞いてほしいと言うのだった.
だが,ネタニヤフに言いくるめられたトランプは,イランとの交渉の最中にもかかわらず,イランを突然に奇襲攻撃した.
革命防衛隊の施設と一緒に小学校も爆撃して子供たちを殺した.(子供たちを殺すのはネタニヤフの得意とするところだ)
宣戦布告すれば正当な戦争であるが,宣戦布告しなかった (諸説あり) 真珠湾攻撃は卑怯な騙し討ちだというアメリカ人の 身勝手な 理屈はこれで崩れ去った.
もうこれで,アメリカ人は「真珠湾を忘れるな!」と言えなくなったのである.
トランプもプーチンも,宣戦布告すれば戦争だが,宣戦布告しなければただの軍事行動だと強弁するだろう.
欧州諸国首脳がアメリカによるイラン奇襲先制攻撃を批判するなかで,日本はイランを批判するばかりでトランプ批判はしなかった.
また高市首相は,訪米してトランプに「自衛隊をホルムズ海峡に派遣してくれ」と言われれば,OKするだろう.
なぜなら高市首相は,トランプのポチだもの トランプの言いなりにならねば新たなトランプ関税が課されるだろうからである.
自民党と維新の与党は,殺傷能力のある装備品の輸出を容認すると決めた.
軍需産業はこれからの日本経済にとって重要な成長分野であるし,「日本を,望めば戦争をできる国にする」は高市首相のかねてより思うところでもある.
最近のアメリカは,武器弾薬の消耗が激しく,日本が製造して輸出してくれればありがたい.
そこでトランプに弾薬輸出を要請されたら高市首相はOKするだろう.
なぜなら高市首相は,トランプのポチだもの トランプの言いなりにならねば新たなトランプ関税が課されるだろうからである.
高市首相はこれからの成長分野として「造船」を挙げている.
いうまでもなくこれは,トランプが空母や駆逐艦などの艦船製造に拍車を掛けると言明しているからである.
これを受けて高市内閣は,衰退したアメリカの造船産業に成り代わって,トランプ政権に戦争協力するだろう.
これが高市首相の政治家としての立ち位置だ.戦争だろうが人殺しだろうが何だろうが,経済は成長が第一である.
そして高市首相を誕生させたのは他でもない日本の有権者である.

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