トランプの戦争は戦争ではなく戦闘だと高市首相は明言した
トランプはイランを「悪の帝国」と称したが,私たちアメリカ以外の国民からすれば,イランもアメリカも「悪の帝国」だ.
その悪の帝国の首領であるトランプを,巧みな話術で操るメタニヤフの顔を見ると私はメフィストを想起する.
イスラエル政府がガザ地区の人々の殺戮を始めたあと,日本のテレビ局が一般のイスラエル人を相手に行った街頭インタビューで,あるイスラエル人が「我々はユダヤ人は第二次大戦で皆殺しにされかけた,今度は我々が殺す番だ」と平然と答えた.
アメリカ人にも自由と平和を愛する人々はまだいると思うが,歴史上最悪の悪の帝国を築こうとしているトランプの岩盤支持層であるアメリカのキリスト教原理主義者層は,人が人を殺すことをなんとも思っていない.
その点で,共和党とイスラエルは同じ宗教的立場に立っている.
昔 (1992年10月17日),ルイジアナ州バトンルージュ市の郊外で起きた事件.
この年のハロウィンで仮装した日本人留学高校生が「パーティに来ました」と言いながら敷地に入ったところ,この家の住人にマグナム銃で射殺された.
この事件については詳しい資料が残っているが,この高校生は,パーティが開かれている家を間違えてしまったという.
仮装した子供が庭に入ってきただけで殺されるのがアメリカという国なのである.
そして射殺した男の裁判で,陪審員たちは無罪の評決をした.
戦争に負けた国の人間を殺して何が悪いのか.これがアメリカという国の,キリスト教を信じる敬虔な陪審員の信念なのである.
言い換えれば,イランとの戦争に勝てば,イラン人をいくら殺してもアメリカ政府は罪に問われない.
もし負ければ,国際世界はトランプとアメリカ国民を平和と人権に対する罪で断罪するだろう.
だからトランプとメタニヤフは,イランとの戦争 (高市首相はこれは「戦争ではなく戦闘である」と明言した) に負けるわけにはいかない.
もし勝てば,トランプは次の中間選挙で圧勝できると確信しているからだ.
昔,ベトナム戦争が泥沼化しているとき,アメリカの若者たちは戦争反対運動に立ち上がった.
今はそんな青年たちはアメリカのどこにもいない.
アメリカ各地で戦争反対の小規模デモに参加しているのは,かつてベトナム戦争に駆り出され,心に深く傷を受けて戻ってきた帰還兵たちだけである.
しかし彼らは年老いた.もうアメリカを動かす力はない.
そしてこの事態に,民主党の政治家たちは沈黙したままである.
シリコンバレーの若い先進企業経営者たちは,マイクロソフトを除いて,トランプの後ろ盾になっている.
こうなれば,もうトランプのやりたい放題だ.
欧州の政治家は,トランプに距離を置いている.
トランプとネタニヤフの戦争は我々の戦争ではない,と.
それでもトランプは,必ず日本だけはアメリカと運命を共にするとネットに投稿したが,これが高市首相の「世界の真ん中で花咲く日本外交」である.
先日の日米首脳会談で何が話し合われたか,高市首相はメディアの質問に「機微」と称して回答を拒否している.
だがあと何十年かすれば,アメリカの法律によって,高市首相とトランプの「密約」が公開されるだろう.
太平洋戦争後の時代を生きてきた後期高齢者の私たちは知っているが,日米の「密約」は常にアメリカ側から公開されるのである.
ベトナム戦争のとき,戦争反対の連日のデモに参加した日本の青年たちは,今はもう老いて後期高齢者になってしまった.
アメリカと同じだ.
太平洋戦争の経験者たちは世を去った.ベトナム戦争から半世紀経って戦争の目撃者が老いた今,再び戦争は繰り返される.
高市首相の改憲政策を支持する今の日本の若者たちは,戦場で自分が銃を持って戦い,頭や胸を銃弾で打ち抜かれるという映像的リアリズムを持っていないからだ.
その点では,政治家なのに軍事知識を著しく欠く高市首相も,戦争は自衛隊がやるとしか思っていないだろう.
彼女は,日本に軍需産業を興し,生産した兵器を輸出することで日本の景気回復をしようとしているほどの時代遅れの軍事無知だ.
だからイランのように,北朝鮮や中国のミサイルで日本政府要人が瞬間的に爆殺されるなんて思ってもいないだろう.
あと何年か経ってまだ生き残っている後期高齢者たちは知る.この首相の任期中,いつの間にか「戦争が廊下の奥に立つてゐた」ことを.

| 固定リンク





最近のコメント