トイレの上座
スポニチアネックス《カズレーザー「上座」めぐるマナーに苦言「誰だよ言い始めたやつ」「本当にそんなものあるの?」》[掲載日 2025年12月4日] から下に引用する.
《「メイプル超合金」のカズレーザー(41)と「ぺこぱ」松陰寺太勇(42)のYouTubeチャンネル「カズレーザーと松陰寺のチルるーム【公式】」が4日に更新され、2人が“マナー”についてトークを展開した。
松陰寺は「上座って難しくない?この席どっちなんだみたいな」と、上座をめぐるマナーについて言及。続けて「エレベーターにも上座がある。めっちゃむずくない?」と切り出すと、カズレーザーは「エレベーターにも(上座)あるんですよね。誰だよ言い始めたやつ。連れてこいよ!」と声を張り上げた。
エレベーターにおける上座は入り口からもっとも遠い場所とされているが、カズレーザーは「本当にそんなものあるの?って思う。三菱とかシンドラーとかメーカーは上座を推奨してるの?」と疑問。
続けて「みんな(下座、上座を)気にしている。これはもう茶道みたいに競技化した方がいいんじゃないか。道にした方がいい。エレベーター道。エ道。所作に意味があるんだっぽくすれば文句は出ない」と持論を展開すると、松陰寺も「エ道、いいなぁ」と納得していた。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
昔々,まだインターネットがなかった頃は,世の中の基本常識みたいな知識は書物から得るしかなかった.
その代表は,今はもうない「カッパ・ブックス」(光文社) である.
現在の高齢者は,塩月弥栄子著「冠婚葬祭入門」を記憶しているだろう.
この新書本こそが,土地柄や時代によってまちまちだった冠婚葬祭の仕来りを「これが正しい」とまとめあげたものであり,現在の作法やマナーとされているものの源流である.
この書籍の大ヒットを見た有象無象の出版社はそろって生活実用書を乱発したのであるが,その風潮の中で,いかにもありそうな「ビジネスマナー」が デッチアゲられて 形成されていった.
カズレーザーが《エレベーターにも(上座)あるんですよね。誰だよ言い始めたやつ。連れてこいよ!》と憤るのは正しい.
これは《言い始めたやつ》がはっきりしない都市伝説のようなものなのである.
カッパブックスが累計一億冊を突破したのは昭和四十七年であるが,まさに昭和四十七年に会社に就職した私は,本屋で「新入社員入門」みたいなタイトルの新書を買ってサラリーマンの作法を勉強することになった.
その中には「会議室の上座下座」「役員室の上座下座」「応接室の上座下座」「タクシーや社用車の上座下座」「料亭で接待するときの上座下座」「エレベーターの上座下座」などが事細かに記されていた.
極めつけは「トイレの上座下座」である.
問一
あなたが会社のトイレに入ったら,五つある小便器の真ん中で部長が用を足していました。
あなたは残りの四つの便器 (入口に近い方からA,B,部長,C,D) のどれで用を足すのが良いでしょうか。
平社員が上座Dの小便器で放尿するのは間違いでしょうか。
問二
部長は前立腺肥大のために,なかなか排尿が終わりません。
あとからトイレに来たあなたはすぐ小便を出し終わりました.
さて部長よりも先にトイレを出たらビジネスマナーに反するでしょうか。
それとも部長が排尿し終わるまで待ち,エレベーターと同様に部長の後ろについてトイレを出るべきでしょうか。
とかいうビジネスマナーを《誰だよ言い始めたやつ。連れてこいよ!》と言いたい.

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