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2025年11月 4日 (火)

対クマ戦争

 秋田県の鈴木健太知事は10月28日,小泉進次郎防衛相に自衛隊の派遣を要請した.
 これに早速,橋下徹と玉川徹が嚙みついた.激増するクマによる被害には自治体の職員と警察官,それと民間のハンターで対処するべきであり,自衛隊に支援を求めてはならないとした.
 テレビのコメンテーターとしては瞬発力的発言がもとめられるのではあろうが,ここは鈴木知事の見解を詳しく取材してから批判するべきだったろう.
 鈴木知事が小泉防衛相に面談する前に,秋田県と政府は既にコンセンサスができていたと思われ,鈴木・小泉会談ののちすぐに秋田県と自衛隊の打ち合わせが行われた.
「事件は現場で起きている」という常套句の通り,テレビのコメンテーテーがスタジオで暢気に一般論を述べた時には,既に自衛隊の秋田県支援は始まっていたのである.(「現実の進行」に置いて行かれるコメンテーターは惨めだ w)
 
 鈴木知事は元自衛官である.熊による被害の対策として自衛隊が何をできるかは熟知しているという.
 そこで鈴木知事が自衛隊に要請したのは,クマの駆除ではなく「後方支援」である.
 それはなぜか.
 玉川徹は,クマ対策は警察が行うべきだと述べたが,法的な問題の他に,既に警察庁が発表しているように警察官が携行している拳銃 (ニューナンブM60,S&W M360J;0.38スペシャル弾=9.07mm弾) ではクマに歯が立たないのだという.(日テレNEWS《クマの駆除…警察官拳銃でできない可能性高い 警察署に使用注意通達 警視庁》)
 銃の威力は,銃口径,弾頭形状,弾頭重量,装薬量などで決まるが,自衛官の小銃 (89式5.56mm小銃;5.56mm弾) も警察官の拳銃と同様に大型獣を殺傷するには足りないようで,クマ駆除には大型獣に対応した猟銃が必要とされる.(参考資料《クマの狩猟に最適な銃と弾薬おすすめ比較|ライフル・ショットガン・クマスプレーを解説》[掲載日 2025年8月17日])
 そのため鈴木知事は,クマの駆除 (殺処分) 自体は猟友会に専念してもらうとして,彼らハンターを重労働から解放する「後方支援」を自衛隊に要請したいという.
 NHK《日曜討論 クマ被害多発 影響は 対策は》[11月2日] によると,クマ殺処分それ自体よりも「後方支援」が非常に重要なのだという.
「後方支援」について橋下徹や玉川徹は災害時の被災地支援活動のようなものだと勘違いしているようだが,対クマ掃討戦は違う.
 対クマ掃討戦の「後方支援」は,重量約200キログラムの箱罠の輸送と設置,殺処分したクマの巨体の運搬と埋める穴の掘削,荒廃したかつての里山における柿や堅果等の樹木を伐採し運搬すること,廃屋の解体と撤去運搬など,自衛隊の重機と輸送車両およびマンパワーを動員することである.
 いわば局地戦における工兵部隊のような役割を担ってもらうということのようだ.
 橋下徹は「後方支援は自衛隊に要請せずに自治体職員がやらなければいけない」と述べたが,全くの勘違いである.
 
 熟練ハンターとこれを支援する自衛隊機械化部隊と人海戦術で,かつての里山に侵攻したクマを元々の生息域に押し戻す戦争が始まるわけだが,NHK《日曜討論 クマ被害多発 影響は 対策は》を聞く限り,勝てるかどうか予断を許さぬ状況のようだ.
 
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