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2025年11月21日 (金)

QRコードは万能ソリューションか /工事中

 ネット記事に,高齢者が飲食店で冷遇されたという話が載っていた.
 その高齢者とは,一応スマホは持っているが使い道はメールばっかりで,若い人のような活用はしていないというレベルの女性たちである.
 ある日,彼女らが店に入ってテーブル席に着いたら,テーブルにはメニューがなく,代わりにQRコードを印刷した紙が置かれている.
 スマホでQRコードを読み込むとメニューにアクセスできて,そこから食べたいものをオーダーするという例の仕組みである.
 ところが,彼女たちはこういう最近の飲食店のシステムは初めてだった.
 仕方なく一人が席を立ち,店の奥のほうで暇そうにしている若い男の店員を呼んできて,どうしたらいいかを質問した.
 店員は「スマホでQRコードを読んで,そしたら次に…」などと説明はしたが,高齢の女性たちはうまく操作ができない.
 おたおたしていると,店員は「これくらいできないんだったら,こういう店に来るんじゃねーよ」と彼女らを罵ったという.
 まさか客が店員に叱られるとは思ってもいなかった彼女らは意気消沈し,何も食べずにすごすごと店を出た,という話である.
 
 昨今の人出不足のせいで飲食店は,接客に不向きの人でも止むを得ず接客係として雇わざるを得ない.
 高齢の客が店員にハラスメントをすること (カスハラ) は日常茶飯事となったが,これからは接客係の店員による高齢者客へのハラスメントが起きてくるだろう.
 だがこういう事態が日本経済にプラスであろうはずがない.
 小売店や飲食店における客と接客従業員によるハラスメントの応酬を回避する方法はないか.
 ある.そもそも両者が接触することを避ければいいのだ.
 
 私がある日のこと,街に出かけて買い物を終えたら昼飯時になった.
 飯を食ってから帰宅しようと思い,ビルの中にある飲食店に入ろうとしたら入口にQRコードが貼ってあって,これを読み取ると客の順番待ちに登録できるらしい.
 昔のファミレスなんかだと,入口に人数と氏名を書く紙が置いてあり,それに記入して待っていると,店員がやってきて「お待ちの○○さま,お席へどうぞ」と言う.
 これを今はQRコードとスマホで行えるのだ.
 しかしその日私はうっかりスマホを家に置いてきてしまった.
 そのため私はこの店の入り口で門前払いを食うことになった.
 ということは,死んでもスマホを手から離さぬ若い人々と,そうでない高齢者たちを,店の入り口でふるい分けできるのだ.
 この記事の冒頭に書いた話に戻ると,そもそも飲食店の入り口で高齢者を追い払うことができれば「これくらいできないんだったら,こういう店に来るんじゃねーよ」という逆カスハラの発生をスマホで防止できるのである.
 これは,スマホ操作の不得意な高齢者たちと,接客嫌いの接客係の双方にとって,不愉快な事態を回避するソリューションだといえる.
 
 以上のことは「よかったよかった」というお話なのであるが,何でもかんでもQRコードを使えばいいかというと,首を傾げざるを得ないこともある.
 SmartFLASH《ベテラン俳優も苦言“QRコード読み取りのみ”市営地下鉄の時刻表がSNSで物議「バッテリー切れたらどうするの?」》[掲載日 2025年
《《「スマホが無いと生きていけない社会」にしたいのでしょうね。芝居のチラシからも、どんどん地図が消えています》
 11月19日、俳優の辰巳琢郎がXにこう投稿した。辰巳は、あるユーザーが前日に投稿した内容をリポストする形でこのような苦言を呈したのだ。
 辰巳が引用した同ユーザーの投稿は、次のようなものだった。
《こういうスマホ至上主義に危機感があります。何をケチりたくてこんなことするんでしょうか。敢えて崩壊しやすいインフラに換えてしまった感が否めません。もっとアナログを大事にしないと》
 この書き込みに、横浜市を中心に走行する横浜市営地下鉄ブルーライン『上永谷』駅ホームの時刻表の写真が添えられていた。この時刻表にはQRコードしか載っておらず、これを読み取らなければ発着時刻などの運行情報が見られない仕様になっていた。
「同ユーザーによるポストは20日現時点で760万回を超えるインプレッションを獲得しています。そのリプライ欄には、《スマホを持っていない高齢者とかを無視していますね》《通信障害が出たら誰も時刻表を見られないって事ですね》《スマホを持っていない、忘れてきた、バッテリーない場合どうするの?》など、鉄道会社に対する批判が殺到。実に2000件近いコメントが寄せられています」(芸能記者)
 実際に本誌も上永谷駅のホームを確認したところ、やはり時刻表にはQRコードの表示のみ。さらにこれは上永谷駅だけのことではないという。
「横浜市営地下鉄は、あざみ野駅―湘南台駅を結ぶブルーラインと日吉駅―中山駅を結ぶグリーンラインの2路線で、11月1日からダイヤを変更しました。これに合わせて、全駅ホーム上の時刻表もQRコードに切り替えています。
 同市交通局運転課の担当者は、11月19日、『J-CASTニュース』の取材に、『QRコードにすることで、従来の時刻表以外に、電車の運行情報や列車の走行位置など、お客さまが知りたい情報を取れるように』と説明しています。間もなく発車する電車については、ホーム上の電光掲示板で『次の電車とその次の電車の時刻は表示している』そうで、スマホを持っていない高齢者などに対しては、駅の案内場でポケット時刻表を配布するなどしているそうです。
 とはいえ、初めて横浜市営地下鉄に乗った人はそんなことを知らないでしょうし、スマホの充電が切れていたら、そもそもQRコードを読み込むことすらできません。スマホに不慣れな高齢者は、さぞかし戸惑うに違いないでしょう」(芸能記者)
 辰巳は冒頭の投稿に続け、《今度の公演のチラシには、ちゃんと地図が載っています》と書き込み、そのチラシを張り付けている。近年は至るところで、「誰も取り残さない」というスローガンを見聞きするのだが――。》



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