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2025年11月 7日 (金)

日本語としておかしい

 産経新聞《クマ出没問題「過剰な捕殺の抑制を」 熊森協会が国に要望書「メガソーラー開発も一因」》[掲載日 2025年11月6日] から下に引用する.
 
クマ出没による被害が各地で相次ぐ中、自然保護団体の日本熊森協会(兵庫県西宮市)は6日、環境省と農林水産省に対し、出没したクマの捕殺抑制と、山に追い返すといった「生活圏のすみ分け」に向けた政策とその予算化などを求める要望書を提出した。提出後に東京都内で開いた記者会見では、室谷悠子会長が「過剰な捕殺は抑制しなければならない。人とクマとの間に距離を置くことが大事だ」と訴えた。
(中略) 
「戦時下でも女性や子供は殺さない」
 記者会見では、室谷会長が「対策が捕獲中心になっていることに危機感を覚えている」と述べ、「捕獲一辺倒の方針を転換し、人とクマとの間に距離を置くことが大事だ」と改めて主張した。
 会見に同席した日本熊森協会岩手県支部の東淳樹支部長も状況を報告し、「人里に下りてきたら、問答無用で捕殺、銃殺することになっている」ことについて問題視していると明らかにした。
 東支部長は、子グマの捕殺について「生命倫理の観点から人道的に問題がある戦時下でも女性や子供は殺さないのがルール。子グマに手を付けるのは間違っている」と強調。「吹き矢でいったん眠らせて、山に放つのがいい」と代替策を提示した。(以下略)》
 
 《戦時下でも女性や子供は殺さないのがルール》と熊森協会の東支部長が述べた発言中の「ルール」は「ジュネーブ諸条約及び追加議定書」(ジュネーブ法) のことだと思われるが,これは人間世界の戦争に関する取り決めであり,これに違反することは,人間の《生命倫理の観点から人道的に問題がある》とされている.(実際には「ジュネーブ法」は有名無実であるが;脚注)
 それはよいのだが,ジュネーブ法は熊に関しては何も定めていない.
 従って,人間の戦争の話から唐突に熊のことを持ち出すのは日本語としておかしいし,問題のすり替えである.
 もし正しく言うのであれば,「生命倫理の観点から熊道的に問題がある.熊の駆除でもメスと子熊は殺さないのがルール」と言うべきだ.
 もちろん,熊とのあいだで熊の生命倫理に関する条約を取り交わすことが前提である.
 
(脚注)
 イスラエルはガザ地区を空爆する際,まず学校を集中的に襲った.
 そしてこの攻撃で負傷した子供たちが収容された病院を次に爆撃した.
 傷ついた子供たちには母親が付き添っているからである.
 パレスチナとの戦闘でイスラエルは女性と子供を殺すことに力を尽くしているが,イスラエルは殺された子供たちと女性たちを「ハマスの戦闘員である」と発表している.
 そういうことにすればジュネーブ法違反ではないからだというのがイスラエルの論理である.
 イスラエルの最大のスポンサーであるアメリカはこれを黙認しているが,これこそジュネーブ法が有名無実であることを示している.
 イスラエルは,女性と子供を殺戮することが敵に最大のダメージを与えると確信している.どんな民族でも女性と子供を殺されれば滅亡するからである.
 ロシアがウクライナに突然侵攻したとき,進軍経路の各地域でロシア兵が多数の女性をレイプした挙句に殺したことが確認されている.
 第二次大戦中,独ソ戦で敗北したドイツ軍は,敗走中に多くの女性をレイプして殺した.
 ドイツ軍を追撃するソ連兵も,女性を辱めて殺した.
 日本軍に捨てられて満州にいた開拓民の女性たちは,襲ってきたソ連兵に凌辱されて殺された.
 母を殺された子供たちは,中国に残留するか,生きるか死ぬかの逃避行を迫られた.
 私は,満州から命からがら帰還した男性を知っているが,彼は酒が入ると必ず,まだ幼かった彼の眼前でソ連兵に殺された母親のことを話して泣いた.
 
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