オウム返しの「ありがとう」
スポーツニッポン新聞社《カズレーザー「耳馴染みあるのに使い道ない」言葉に疑問 使ったら「全員“は?”って顔してた」》[掲載日 2025年11月29日] から下に引用する.
《「メイプル超合金」のカズレーザー(41)と「ぺこぱ」松陰寺太勇(42)のYouTubeチャンネル「カズレーザーと松陰寺のチルるーム【公式】」が29日までに更新され、カズレーザーが「耳馴染みがあるのに使い道がない」言葉について語る場面があった。
カズレーザーは「ふと思ったことがあって」と切り出し、人から「ありがとう」と感謝された時に返答について言及。「ありがとうございましたって言われたらどういたしましてっ返すのが定型文じゃないですか。どういたしましてってまじで言わなくないですか?」と疑問を呈した。
松陰寺も「使わないね。ちょっと堅苦しいよね」と大きくうなずく中、カズレーザーは「どういたしまして」の語源を調べたとし、「“私が何かをしましたか?いいえ、していません”みたいな反語的なことらしい」と説明した。
さらに、日常でも積極的に「どういたしまして」を使ってみたものの「全員が“は?”っていう顔をしていた」といい、「これだけ耳馴染みもあるし、なんなら何回も目 (ママ) したことある言葉なのに、こんなに使い道がない言葉ってあるんだ」と首をかしげていた。》
《耳馴染みがあるのに使い道がない》のではない.
今の高齢者たち,あるいはもう少し下の世代の人たちは,日常生活のなかで現在も「どういたしまして」を普通に使っている.
しかし今の中年くらいの人たちは「どういたしまして」を全く使わない.
そのため,年寄りたちが「どういたしまして」と割と繁く言うので若い人たちに「どういたしまして」は《耳馴染みがある》のだ.
にもかかわらず若い人たち自身は「どういたしまして」と言わぬから,《使い道がない》と感じてしまっている.
では,カズレーザーのような若い世代の人たちは「どういたしまして」の代わりに何と言うのか.
「ありがとうございました」に「ありがとうございました」とオウム返しするのである.
これは現代日本語の言い回しがどんどん減っていることを意味しているが,その原因はテレビ番組だろう.
例えばNHKの桑子真帆アナが番組のゲストに大学教授を迎えて色々と質問などをしたとする.
最後に桑子アナが「ありがとうございました」とお礼を述べると,ほとんどのゲストが「ありがとうございました」とオウム返しをする.
このような「ありがとう」のオウム返しは昔から間抜けなこととされている.
なぜなら,桑子アナがゲストにお礼を言うのは当然のことであるが,ゲストの教授は感謝される側であって,桑子アナにお礼の言葉を言う理由がないからである.
だがこの「ありがとう」の間抜けなオウム返しにはテレビ界の事情があると推察される.
おそらくゲストの教授は,普段はお礼を言われた際は「どういたしまして」とか「いえ,こちらこそ」とか,あるいは大事な相談事であれば「こんな答えでお役に立てましたでしょうか,何かまたありましたらご遠慮なくご相談ください」などと,丁寧な応対をしているはずなのである.これは社会人なら普通のことだ.
だがテレビ界のやりかたは私たちの日常の常識とは違う.番組のディレクターあたりが「先生,尺がないので締めの言葉は"ありがとうございました"でいいですから,そこんとこよろしく」とか言っているに違いない.
こうして妙ちきりんな「ありがとう」の応酬が広まった.
甚だしきはNHK《日曜討論》だ.視聴していると,最後に司会のアナが「本日はどうもありがとうございました」と言う.すると出席者全員が頭をさげて「ありがとうございました」と言う.
誰が誰にお礼を言ってるのかわけがわからぬ.w
このように,日本語の古くからある言い回しが減っている.
英語の日常会話でも,どんなシーンでも感謝の言葉を"Thank you"で済ます日本人が多い.これを「馬鹿の一つ覚え」というが,「ありがとう」のオウム返しもこれと似ている.

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