« 暖かく優しい場所 | トップページ | 私の愛した犬が逝って二年が経ち »

2025年10月26日 (日)

終活マシン

 私は会社員の時,色々な道具をバッグに入れて持ち歩くのが好きだった.
 最初に買ったのはNECのモバイルギア (1996年発売) だった.
 これは MS-DOS 上でビジュアルシェルを動作させる PDA だったが,NECの PC98機のファンには喜ばれたものの,時代は Windows3.1 に続く Windows95 とインターネットへと動きつつあり,私もモバイルギアと PC98 を手放した.
 
 次に買ったのは東芝の Libretto20 (1996年発売) だった.
 これは世界最小の Windows95 搭載機で,現在のノートPCの源流となったマシンであった.
 しかしこれも,仕事に全く役立たない点ではモバイルギアと同じであった.
 なぜ仕事に役立たなかったか.
 私が勤めていたのは豊年製油という会社 (後に他社に企業統合されて消滅) だったが,営業事務の基幹コンピュータシステムを保守していた「システム部」という部署が,営業部門の社員にパソコンを持たせ,基幹システムに接続することに頑強に反対したからである.
 彼らにとっては,MS-DOS だの Windows だのはただの玩具に過ぎなかった.そんなオモチャを俺たちの大事な基幹システムに接続させてたまるか!と彼らは考えていた.
 手書きの書類と印鑑,ファックスと電話と口頭報告の守護神が,「システム部」の社員たちだった.いま思い出してもこれは悪い冗談であった.
 だから「世間では社員一人一人にパソコンを配って,報連相はメールでやってる.なんでウチはいまだに手書きで稟議書をつくってるんだ!」という不満が社内に高まったときに「システム部」がやったことは,情けないことに,余りにも古色蒼然で時代遅れなスタンドアロンのワープロ OASYS を社員に配ることだった.w
 勤め先がそういう会社だったので,ソニーの CLIE とかシャープの W-ZERO3 とか,私は色々なモバイルマシンを買ったが,それらは仕事で使うことはなく,飲み会の連絡相談にしか遂に役立ったことがない.
 
 そんな思い出の無駄マシンの中で,自分でも理由がわからないが,一機だけまだ手元に残っているギアがある.
 レノボの Xii2 11 だ.
 これはタブレット (ただし Windows8.1 搭載) と物理キーボードをドッキングさせたもので,タブレット部分 (これが本体) はモバイルだというコンセプトの製品だ.
 しかしコンセプトはよろしいのであるが,実機はダメダメだ.
 まず異様に重い.
 筋トレに使える.
 次に,OS が Windows史上最も低評価の Windows8.1 である.
 それなのになんでこんなものを買ってしまったかというと,止むを得ない事情があったのだ.
 十年前に突然,心臓冠動脈バイパス手術をすることになり,慌てて入院前にこのマシンと ポケットWiFi を通販購入したのである.
 
 だが退院してから落ち着いて評価すると,こいつはどんな事情があってもダメマシンだと断定した.w
 とはいえこれを見ると,死ぬか生きるか我が人生最大のピンチだった大手術を思いだすので,これまで捨てきれずに部屋に飾る置物として放置してきた.
 
 しかしそろそろ終活の一つとして,こいつを処分しなければいけない.
 そう決めて,改めてレノボ Xii2 11 を手に取ってみると,本体のどこにもビス頭が見えない.
 どうやったら筐体を分解して内部にアクセスできるのか,わからない.
 処分する際には,中のストレージを取り出して物理的に破壊するのが最もよい処置であるが,どうしよう.
 そこでウェブを検索してみたら,すぐに Xii2 11 からストレージを取り出す方法を解説している動画が見つかった.
 政治家に始まって,コメント芸人の弁護士やら評論家,果てはそこら辺の中学生が書き散らす SNS 投稿は私たちの人生にとってクソの役にも立たないが,その道の先達たちが個人サイトに書き遺してくれた資料は本当に価値があるとしみじみ思う.
 
 私のこのブログにも,定期読者のほかに,昔書いた文章に日々新たに十人ほどの人たちが検索サイトからここにアクセスしてくれている.
 役に立ってくれているならうれしい.
 
Photo_20240810084301
 

|

« 暖かく優しい場所 | トップページ | 私の愛した犬が逝って二年が経ち »

新・雑事雑感」カテゴリの記事