人手不足を喜ぶ人たち
天災にも色々あるが,地震や暴風雨に続けて襲われることが最近多いように思われる.
NHK《竜巻被害の静岡 牧之原 雨の中 片づけに追われる》[掲載日 2025年9月13日] から引用する.
《今月5日、台風の接近に伴う竜巻の影響で被害が相次いだ静岡県牧之原市では13日も雨となっていて、住宅に被害を受けた人が片づけなどに追われています。
静岡県牧之原市細江に住む平賀正廣(67)さんと、悦子(68)さん夫妻は自宅で飲食店を営んでいますが、今回の竜巻で屋根がほとんど飛ばされてしまい、ほぼ全壊状態になってしまったといいます。
平賀さんは、まだ使える家財を袋に包むなど、家の片付けなどの作業に追われていました。
また、雨が降ったため、はじめは屋根にブルーシートを張って家の中で過ごしていたということですが、雨の重みでシートが落ちてしまい、12日は車の中で過ごしたといいます。
平賀さん夫妻は犬を飼っているため、避難所には行かないことにしたということです。
平賀さんは「竜巻が起きた当時、いきなり窓ガラスが割れ、犬と一緒に家の中で隠れてやり過ごしました。ほんの2分から3分の間に、屋根が無くなっていて、もう何がなんだかわかりませんでした。とにかく次に行くところを今は見つけたいです」と話していました。》
平賀夫妻が竜巻被害が家を失ってから一週間経つが,いまだに自家用車の中で豪雨をしのいでいる.
夫妻が飼っている六匹の犬たちは雨に打たれたままである.
彼らに自治体の支援は全く届いていない.
たぶんこのままの状態で平賀夫妻は耐えるしかない.
将来発生が予想されている巨大地震について,現在は南海トラフという広域で想定するのが国民の共通認識だが,昭和四十年代には南海トラフの東端で発生する「東海地震」という枠組みでしか地震災害が認識されていなかった.
私は会社員時代の半分を静岡県で生活したのでよく知っているが.静岡県というところは全くの防災 (被災後の対策を含む) 後進県で,東海地震被災後,県民は完全に自助しなければならないと当時は考えられていた.
自治体は避難場所の指定だけはしたが,避難場所に集まった人たちの食料や水に,自治体は無関心だった.
私は当時の清水市 (現静岡市清水区) の追分という地区に住んでいたのだが,指定避難所はその地区の小学校であった.
しかしその小学校に設置されていた東海地震対策の備蓄食料庫は敷地面積が六畳ほどの小屋だった.
当時の清水市の,そして静岡県の地震対策はそれくらいおざなりだった.
それは今でも変わっていないのだろうなと,牧之原の竜巻被災者の置かれた状況を見てそう思った.
能登の地震被災地の復旧がなかなか進まないのは,建設関係の人手不足によるところが大きいとされている.
能登に比較するとずっと牧之原の被災規模は小さいが,竜巻で被災した牧之原の人たちの生活再建も,現在の人手不足状態ではかなりの困難が予想される.
ところが,人手不足を喜ぶ人がいるのである.
昨日放送されたNHK《日曜討論》で,出席者 (金融機関系シンクタンク) の一人が,賃金を商品売買における商品価格にたとえて「賃金は労働力の需給で決まるから,人手不足になると賃金が上昇する.今は幸いにも人手不足なので,賃金を上げるために人手不足状態を維持する必要がある」と述べた.
政府の政策決定に影響力を有する人たちが,人手不足を歓迎しているのである.
能登でも牧之原でも,被災した人々の住宅再建と生活再建は非常な,そして非情な困難に晒されている.
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