何者にもなれなかった
NHK《あんぱん》はこれまで放送された多くの朝ドラの中でも屈指の名作だと思う.
世間で評判の高かった《ひよっこ》では,農家の主が農繁期の作業をほっぼり出してビートルズの公演に出かけてしまうところで,私は「農業をなめるな!」と怒りに震え,視聴をやめた.
同じく名作といわれた《カムカムエヴリバディ》では,挫折したトランペット吹きが唐突にピアニストになったところで,私は「ピアノをなめるな!」と怒りに震え,視聴をやめた.
こういうオチャラケた軽い馬鹿ドラマとは一線を画して,《あんぱん》は破綻なく最終回を迎えた.めでたい.
とくに「何者にもなれなかった」という のぶ の悲嘆は,多くの人々の胸を打った.
私も のぶ と同じく遂に何者にもなれなかった人間だから,このシーンでは自分の来し方を思ってしみじみとした.
余談だが,私は若い頃に やなせたかし のポエムと絵が描かれているマグカップを使っていた.
いつの間かどこかに行ってしまったが,残念だ.

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