何が悲しうて百田尚樹のごとき若造が既に決着済みの論争を蒸し返すのか
よろず~ニュース《百田尚樹氏「過ちを繰り返しません」というフレーズに疑問符「原爆に関して何も過ちを犯していない」》[掲載日 2025年8月6日] から下に引用する.
《日本保守党代表で参院議員の百田尚樹代氏が6日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、広島の平和記念式典で「気になった」ことをつづった。
百田氏は「平和記念式典(広島市原爆死没者慰霊式)に参列。」と自身も式典の場にいたことを報告。「厳かな式典に身が引き締まったが、気になったのは、挨拶を述べた何人かが『過ちを繰り返しません』という言葉を発したこと。」とポイントを指摘。「広島市民も日本国民も原爆に関して何も過ちを犯していないし、その責任もない。過ちは米国が犯したものである。」とつづった。
続けての投降では「私は何も80年前の米国の責任を追求する気はないし、それを声高に糾弾する気もない。」と米国の“過ち”を蒸し返すつもりではないことも強調。「しかし、米国政府から『原爆投下は過ちであった。我々はしてはいけないことをしてしまった』という言葉があれば、被災者の霊は幾分かは慰められるのではないか。」と持論を展開した。》
百田尚樹は昭和三十一年生まれの六十九歳だから,後期高齢者の私らから見れば若造だ.
後期高齢者諸兄は御記憶のことと思うが,昭和二十七年に完成した原爆死没者慰霊碑に刻まれた文言「過ちを繰り返しません」は,碑の完成直後から民族派右翼団体による攻撃に晒された.のみならず碑自体が損傷を受けたこともあった.
だが碑文「過ちを繰り返しません」に係る論争は現在は決着している.(決着に至る経緯は Wikipedia【原爆死没者慰霊碑】の小項目「碑文論争」にあらましが記述されている.そこから一部を下に引用する)
《1970年2月11日には、「碑文は犠牲者の霊を冒涜している」と主張する「原爆慰霊碑を正す会」(岩田幸雄会長、児玉誉士夫顧問、荒木武相談役)なる市民グループによって碑文の抹消・改正を要求する運動が盛り上がった事があった。また、この運動を軍国主義的・民族主義的主張であると反発する市民グループが対抗して「碑文を守る会」を結成し、激しい論戦が繰り広げられた。この運動に対して、時の市長山田節男は「再びヒロシマを繰返すなという悲願は人類のものである。主語は『世界人類』であり、碑文は人類全体に対する警告・戒めである」という見解を示した。この見解が出されて以降、碑文の意図するところは、「日本」「アメリカ」といった特定の国の枠を超えて、全ての人間が再び核戦争をしないことを誓うためのものである、とする解釈が公式見解となった。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
この碑文論争の歴史を知らず,そして知ろうとしない無知蒙昧な者たちが,繰り返し繰り返し論難を蒸し返している.百田もその一人にすぎない.碑文に関する初歩的知識を欠いておきながら難癖つけるのは一丁前の百田尚樹は,その意味で,昭和史の暗部でうごめいた怪物児玉誉士夫の後裔である.Wikipediaくらい読め,百田.
碑文「過ちは繰り返しません」の主語は世界人類である.従って碑文の趣旨は「アメリカによる非戦闘員殺戮の責任がどうの」だとか「そもそも日本の侵略戦争がこうの」というせせこましい話ではない.
碑文は日本の平和主義宣言なのである.
この日本の戦後平和主義運動には宗教者も加わった.
キリスト者にとって碑文の「過ち」は人類の原罪を意味し,仏教徒にとっては人間の「業」を指す.
それ故,碑文「過ちを繰り返しません」は祈りなのである.
(追記 8/9)
昨年まで外務省委託「平和構築人材育成事業」の運営責任者を務めた国際政治学者の篠田英朗の稿,theLetter《広島原爆慰霊碑の碑文について》から末尾の文章を下に引用する.
《慰霊碑の意味
「平和記念都市・広島」の中心の爆心地に建設した平和記念公園の中心に、慰霊碑が作られた。そこには、当然、「平和記念都市・広島」を象徴するメッセージが刻まれなければならない。そのメッセージとは、普遍主義の精神にもとづく平和主義でなければならない。それが現在まで残る「碑文」である。
この「碑文」がなければ、「平和記念都市・広島」は存在しえなかった。海外からの数十万人を含む年間数百万人の訪問者も、ありえなかっただろう。
広島の平和主義を好まない者はいるだろう。「碑文」が好きになれない、という者がいるのも、仕方のないことだ。だが、少なくとも、「碑文」に込められた意味を無視し、それが無知や誤魔化しによって生まれたものにすぎないと軽視するのは、間違いなく冒涜である。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)

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