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2025年8月 5日 (火)

さやは戦場に息子を送りこむ「おかあさん」になりたかったのに転向した

 試みに「参政党 x ネズミ講」でウェブ検索するといくつも記事がヒットする.
 それらを読んでいくとなかなかおもしろい.
 あるオールド・メディア (テレビ・ラジオ・新聞・雑誌) が「参院選で当選した参政党の議員たちは,これからオールド・メディアによる身体検査を受けることになる」と書いていたが,これから彼ら参政党議員は,これまでネズミ講的ビジネスに関係したことがあるか否かという観点で,経歴を調べ上げられるだろう.
 そして参政党は創業者である神谷宗幣の個人商店であるから,党の業容拡大に邪魔となるネズミ講関係議員は,これから容赦なく追放されていくだろう.
 
 極右思想を持つ参政党議員も同じ運命だ.
 党の業容を拡大していくためなら,神谷党首は極右議員もいずれ斬り捨てるだろう.用済みになった者はさっさと捨てるのが世渡り上手,ビジネス上手の党首というものである.
 例えば「さや」こと塩入清香は,これまで公然と日本の核武装と徴兵制の実施を主張してきたが,当選後はすぐ「党の方針に従う」と自らの思想を捨てて転向した.用済み女として捨てられるのを回避したわけだ.これが世渡り上手というものである.(転向ではなく隠蔽にすぎない可能性もあるが)
 しかしそれでは,彼女の主張「核武装肯定と徴兵制肯定」論に感動し,顔もオレのタイプだし,という理由で彼女に投票した愚か者たち,つまり自らの意志でテレビやラジオを視聴せず新聞も本もウェブ上の論文も読むことのない,SNSおよび動画というプッシュ型 (情報に接する者の自由選択ではなく,スマホ経由で他者が押し込んでくる型) の情報源しか持たない愚か者たちの立場がないではないか.
 
 しかしもともと「核武装と徴兵制」のセットは,あの櫻井よしこのように,自分は兵役に就いて匍匐前進の訓練を受ける気は全くないのに他人には「兵として国を守れ!」と平然と言うくらいの鉄面皮でなければ主張できないものなのである.(あのゴージャスな髪形の櫻井よしこと違って芸人のやす子は,髪をショートカットにして自衛隊の訓練に耐えてきた.そこがやす子はエライ)
 あるいはまた,櫻井よしこに比べるとパチモン感があるが,三浦瑠麗も日本の核武装肯定論者だ.三浦は以前,北朝鮮対策として日本は核攻撃能力を必要としていると述べた.
 ニューズウィーク日本版《北朝鮮を止めるには、制裁以外の新たなアプローチが必要だ》[掲載日 2017年8月29日] から下に引用する.
 
強硬な動きと穏健な動きの両方が必要だ。強硬面では、北朝鮮周辺でアメリカが持つ軍事力の増強が必要だろう。北朝鮮の核施設やミサイル基地を狙った攻撃能力や、情報機関の格上げ、さらに日本と韓国が独自の核抑止力を持つことすら必要になるかもしれない。
 日本でも韓国でも、核攻撃能力の開発は長年タブーとされてきたが、それを容認する声は着実に増している。
 核攻撃能力は、日本と韓国が独自に抑止力を持つために必要だろう。さらに重要なことに、それによってアメリカから有意義な行動を引き出せる可能性もある。
 トランプは2016年の米大統領選前、北東アジアの同盟国はアメリカの安保に「ただ乗り」していると批判していた。韓国と日本がより強硬な対北朝鮮政策を導入すれば、米政府や米国民から信頼を取り戻せるかもしれない。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
 
 また三浦は,軍民の一体感を醸成するために徴兵制が必要だと述べた.
 文春オンライン《「反論や批判を待っています」 三浦瑠麗が日本に徴兵制を提案する理由》[掲載日 2019年3月15日] から下に引用する.
 
官僚を養成する大学に、政軍関係を教える体制が整っていないことに日本の問題の本質が表れています。軍を知らない政治エリートなんて危なっかしくて仕方ないですよね
市民が軍は自分たちと同じ国民だという意識を持つには、残念ながらこのままではだめです。いざ戦争を選べば自分も動員されるかもしれないという感覚がないと。そのための徴兵制というアイデアは暴論や極論に聞こえるかも知れませんが、私としては自然な解なんです。市民の当事者意識こそが、なにより平和のために大切だからです。単なる思考実験ではなく、現実的な政策提言のつもりです》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
 
 だが,さらさらロングヘアの三浦は,芸人のやす子のように自衛隊に入隊して兵卒訓練を受けたり,あるいは防大に入って軍事の実際を学ぶとか,そのような実践には無関心だ.口先で言うだけである.
 そういうことは自分以外の人間がやることだと考えているに違いない.自分は女で,しかもエリートだからである.兵卒訓練は女芸人あたりがやればいいということか.
 櫻井よしこ,三浦瑠麗,塩入清香の三人に共通しているのは「兵隊は男」と決めてかかっているところだ.(実際には男だけの軍隊は先進国にはないのだが)
 自分たちは女だから,絶対に「泥水すすり草を食む」ことはしない.したくなんかない.
 自分たち女の仕事は,戦場に夫や息子を送り込むことであって,自分が銃を持って戦うことではない.そういう戦争観が見え見えだ.
 特に塩入清香は酷い.選挙運動最終日の参政党集会を記録した動画YouTube《ファイナル さや》を視聴すると,その 8:49/9.08 で,彼女は演説の締めくくりに《あした必ず勝利を手にして,わたしを皆さんのおかあさんにしてください!》と叫んだ.
 従来,日本の選挙に立候補した男たちは最終演説で「あした必ず勝利を手にして,わたしを男にしてください!」と叫んできた.
 しかし塩入清香は「わたしを皆さんの女にしてください!」とは叫ばなかった.
 日本語の文章作法では「男にしてください!」に「女にしてください!」は対置できないのである.
「女にする」には性的な意味があり,それが日本のジェンダーの現状を歴然として示している.(これは北原みのり氏が AERA DIGITAL《参政党さや氏の「お母さんにしてください」に絶句 「偏った私のスマホ」から見る選挙戦 「分断」と「嫌悪」を超えるには》で指摘したことである)
 そこで塩入清香は《わたしを皆さんのおかあさんにしてください!》と叫んだ.
 そして彼女のイメージは「白い割烹着を身に着けて日の丸の小旗を振る国防婦人」に重なった.
 だがこの時の彼女は,徴兵制復活と結びつく《わたしを皆さんのおかあさんにしてください!》が参政党の業容拡大の障害になることを知らなかった.
 やむなく彼女は当選後,すぐ日本の核武装と徴兵制に係る信念を捨てて「党の方針に従う」ことにした.
 
 櫻井よしこと三浦瑠麗の二人は,自らの信念に基づいてこれからも,日本の核武装と徴兵制復活を主張し続けるだろう.それは彼らの言論人としての生命線を守ることである.
 しかし塩入清香は転向した.そうしないと党首に切り捨てられるからである.
 だがその転向によって彼女は,櫻井よしこと三浦瑠麗という右派女性言論人と肩を並べるようになる機会を失った.
 頭の中に思想もなく政策もなく,タダの陣笠議員としてこれから生きていくしかない.
 そして党首の駒としていずれ使い捨てされるだろう.哀れである.
 
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