室内用寒暖計

　猛暑の日にＮＨＫのニュースや情報番組を視聴していると「高齢者の皆さんは，今日は外出せず，室内でエアコンを使って過ごしてください」と頻繁に促してくれる．
　私はデータを持ち合わせていないが，高齢者は危険レベルの室温を体感しにくい傾向があるのだという．
　ましてや認知症だったりすると，室温が高いとはいささかも思わぬうちに倒れてあの世行きとなる．
　東京都では，救急車で病院に搬送される熱中症患者の多くが高齢者だ．
　そして無視できぬ数の高齢患者たちが，エアコンを使っていない．
　そのため，ＮＨＫのアナは「遠隔地で一人暮らししている親御さんにはエアコンを使うようにと電話してください」と言う．
　あるいは「寒暖計を買ってあげてください」と言う．
　大切なのは，エアコンの設定温度ではなく，実際の室温が何度になっているか，だからである．
　であるとすると，高齢者が猛暑の夏を乗り切るうえで必要なことは，正確な寒暖計である．
　
　実験してみた．テストしたのは以下のものだ．
　
1. EMPEX製アナログ寒暖計．型式 EX-2717
　　私が若い頃から使用しているアナログ寒暖計．
　「水沢センサ」の名称で呼ばれるバイメタル式センサーを搭載．
　　温度計スペック：0℃～50℃；±1度
2. シンワ測定製ガラス棒状温度計．型式 H-8C
　　温度計スペック：-20～50℃；±1度
　　ガラス棒に赤く着色したアルコールが封入されている．小型なので冷蔵庫の庫内温度を測定するのに便利．
3. ThermoPro製デジタル温湿度計．　型式 TP-49；±2度
4. シンワ測定製デジタル温湿度計． 型式 73244；±2度
　
　六畳間に設置しているエアコンの設定温度を27℃にし，サーキュレーターで室内空気を撹拌している状態で，上に挙げた四機種を一ヶ所に置いて室温を読み取った．
　結果
1. EMPEX EX-2717　　 読取値 26℃
2. シンワ測定 H-8C　 読取値 26℃
3. ThermoPro TP-49　 表示値 26.4℃
4. シンワ測定 73244　表示値 27.0℃
　
　2, 3, 4 は何れも安価な製品だが，正確度は EMPEX EX-2717 にそれほど劣っていない．
　ただし，他人からもらったノーブランド品のデジタル時計 (温湿度も表示される) は29℃という室温を表示したので，トンデモない安物もあることは事実だ．
　安価で室温を割と正しく測るには，昔懐かしい「寒暖計」(シンワ測定 75919) はどうだろう．昭和テイストのインテリアにもなる．