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2025年7月29日 (火)

「女」は加害者 「女性」は被害者

 TBS NEWS DIG《【速報】電車内で女が女性を切りつけて逃走 JR川崎駅付近を走行中の東海道線 面識なく電車内でトラブルになったか》[掲載日 2025年7月28日] から下に引用する.
 
きょう夕方、JR川崎駅の近くを走行中の東海道線の電車内で、女が女性を切りつけ逃走しました。2人に面識はなく、何らかのトラブルになったとみられ、警察が傷害事件とみて女の行方を追っています。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
20250728a2  
 
 事件報道記事においては,「女」は加害者あるいは犯人,「女性」は被害者という使い分けをする.この使い分け規則は各報道機関に共通している.
 例えば上の引用箇所に続いて次の記述がある.
 
警察と消防によりますと、20歳から30歳くらいの女が30代くらいの女性の右腕を刃物のようなもので切りつけたということです。
 
「女」と「女性」の使い分け規則を知っていれば,加害者の年齢が《20歳から30歳くらい》で被害者の年齢が《30代くらい》であるとすぐわかる.
 この規則によれば「20歳から30歳くらいの女性が30代くらいの女性の右腕を刃物のようなもので切りつけた」と書くよりも「女性」の繰り返しがないので文章がすっきりする.
 では,この使い分け規則は,報道機関の間で作成された報道用語に関する協定みたいなものがあって,それに基いているのだろうか.
 そう思って調べたが,そのような規則はみつからないのである.
 ただ,次の記述があった.
 NIKKEIリスキリング《「女」と「女性」の語感はどう違う? 国語辞書で発見》[掲載日 2017年5月11日] から下に引用する.
 
「タイで拘束された62歳の日本人の女が日本へ強制送還」というニュースが報じられてほどないころ、私は久々に顔を合わせた「日本語オタク仲間」と「ワイドショーネタ」で盛り上がっていた。主なテーマは「女」と「女性」の使い分けだ。
 
 梶原「例の事件を全く知らない人でも、『日本人の女』と聞いただけで、ああ、この人が容疑者なんだって、わかっちゃう。日本人て、すごいよね」
 
 A「『女』なら容疑者、『女性』なら被害者というのは、メディアで一般的な使い分け。この62歳があの人と知らなくても、『女』という肩書きだけで、大半の人がこの人の立場を理解できる。『女』なら容疑者、『女性』なら被害者って、放送局にマニュアルあるの?
 
 梶原「在職中はそういうの見た記憶ないねえ(昔のことだし)」》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
 
 上に引用した文章の筆者である梶原氏は元文化放送のアナウンサーである.
 断定はできないが,どうやら「女」と「女性」の使い分け規則 (「男」と「男性」の使い分けも同じ) は報道業界の中で自然発生的にできたもののようだ.
 上の梶原氏が書いた記事によれば,この規則はかなり古くからあるものだ.
 中辞典クラス以上の国語辞典には,この規則に関する用例が載っていてもよさそうなものである.
 
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