会議一つ開くのに一年かかる千葉県
朝日新聞《歴史公文書など139冊誤廃棄、不明に 千葉県の「永久保存」対象も》[掲載日 2024年6月6日] から下に引用する.
《千葉県の政策の検討過程などの重要な情報が記録され、永久保存の必要がある「歴史公文書」やその可能性がある県管理の公文書について、少なくとも139冊が誤廃棄もしくは所在不明の状態になっていたことがわかった。所在不明の歴史公文書の中には、被爆者の氏名や被爆状況、中国残留孤児とその身元引受人の氏名や住所、相談内容といった個人情報を含むものもあった。
県への情報公開請求や、取材で入手した県文書館作成の「所在不明・誤廃棄簿冊一覧」などをもとに朝日新聞が確認した。
(中略)
公文書の適正な取り扱いを巡っては、11年施行の公文書管理法が政府機関を対象に、公文書の保存や管理、廃棄などについて基本的な考え方やルールを示す。自治体は対象外だが、地方公共団体に対しては条例や規則など必要な施策の策定を求めている。
公文書管理条例がない千葉県
ただ、県には県行政文書管理規則や歴史公文書に関する要綱などはあるが、公文書管理条例はない。公文書の管理を所管する県政策法務課は取材に、「職員に文書管理の意識を浸透させられなかった」として、早急に対策をとる必要があるとの認識を示した。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
読売新聞《歴史公文書の可能性ある53冊、千葉県で誤廃棄・所在不明に…昨年度も139冊が判明》[掲載日 2025年6月21日] から下に引用する.
《歴史的に重要とされる政策決定過程などが記録され、永久保存が求められる「歴史公文書」に該当する可能性のある千葉県の公文書53冊が誤廃棄されたり、所在不明になったりしていることがわかった。昨年度にも、同様の公文書139冊の誤廃棄・所在不明が判明しており、県は「職員へのルール徹底や異動時に確実な引き継ぎを行い、再発防止に取り組む」としている。
19日の県議会総務防災常任委員会で、県政策法務課の鈴木真課長が、網中肇県議(立憲民主党)の質問への答弁で明らかにした。
同課によると、所在不明になっている公文書はいずれも2022~23年度に保存期間が満了したもの。24年度に行われた、歴史公文書に該当するかどうかを判定する協議の過程で、誤廃棄・所在不明が判明した。
県教育委員会が26冊、健康福祉部9冊、農林水産部6冊、商工労働部4冊、県土整備部と環境生活部各3冊、総務部と防災危機管理部各1冊。種別は行政文書の目録や契約に関わる文書が多く、東京五輪・パラリンピックに関する文書も3冊あった。
誤廃棄・所在不明の相次ぐ発生を受け、県は近く、公文書管理のあり方を検討する会議を開く予定だ。管理の現状や課題を整理し、学識経験者などの意見も聞いたうえで、管理の新たな制度設計について方向性を示す。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
昨年の6月6日に《早急に対策をとる必要があるとの認識を示し》てから一年経っても《公文書管理のあり方を検討する会議》すら一度も開いていなかったというのだ.
ということは,この調子では来年の6月までに《管理の現状や課題を整理》し,再来年の6月までに《学識経験者などの意見も聞》き,《管理の新たな制度設計について方向性を示す》のは再来年の翌年ということになる.
《新たな制度設計について方向性を示》してから一年後にようやく制度設計が済み,その制度に基づいて公文書が取り扱われるのはそのまた一年後だ.
こういう千葉県の悠久の大河にも似た仕事ぶりのために,失われる歴史文書は数百冊になるだろう.
千葉県知事は熊谷俊人氏だが,熊谷知事は,政府・与党が実施を検討している国民一律2万円などの現金給付について《無駄で自治体疲弊、うんざり》と批判している.(TBS NEWS DIG《千葉県知事「無駄で自治体疲弊、うんざり」現金2万円給付めぐり自民党内からも“疑問視”の声》[掲載日 2025年6月18日])
だがしかし,会議一つ開くのに一年もゆっくり時間をかけている千葉県知事が,どの口で《自治体疲弊》と言うのか.
四の五の言わずにとっとと仕事せんかい.
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