ナントカに刃物
現代ビジネス《世界の指導者たちはなぜ「暴走トランプ」に頭を下げるのか…習近平のほうが「よっぽどマシ」に見える”不思議”》[掲載日 2025年5月14日] から下にテキストとスクリーン・ショットで引用する.スクリーン・ショットはリンク切れに備えてのことである.また文字の着色または下線による強調は当ブログの筆者が行った.
《民主主義はもう限界であるか
昔からいわれているのは、民主主義はベストな制度ではないが、ベターな制度である。ここでこの政治学の命題を検証することができないが、仮に民主主義がベターな制度であるとすれば、選挙でベストな候補者が大統領に選ばれなくても、少なくとも、ベターな候補者が大統領に選べられなければならないはずである。》
上に示した現代ビジネス誌に掲載された論考の筆者は,柯隆氏である.
Wikipedia【柯隆】から下に引用する.
《柯隆 (かりゅう、英語:Ke Long、1963年10月 - ) は、中華人民共和国出身のエコノミスト。学位は修士 (経済学) (名古屋大学・1994年)。公益財団法人東京財団政策研究所主席研究員、静岡県立大学グローバル地域センター特任教授、広島経済大学経済学部特別客員教授、株式会社富士通総研経済研究所客員研究員。
株式会社長銀総合研究所国際調査部研究員、株式会社富士通総研経済研究所主席研究員などを歴任した。》
《日本語や英語に堪能であり、日本語検定1級、ケンブリッジ大学ESOL試験などの資格を持つ。2018年、樫山奨学財団より樫山純三賞が授与された。》
柯隆氏は1988年に渡日して以来,ずっと日本で活躍している.
そのような氏でもなお,小学生以下の日本語を書いてしまう.
言うまでもなく《選べられなければならないはずである》の《選べられ》は文法の誤りで《選ばれ》が正しい.すなわち「選ばれなければならないはずである」または「選ばれねばならないはずである」とせねばならない.
ただし,前者の日本語表現「なければならない」は読者に回りくどい印象を与えるので,普通は後者の「ねばならない」を用いる.
それはそれとして,氏は下のように述べている.
《トランプ政権一期目のとき、アメリカの有権者たちはトランプがどういう人物なのか十分に知ることができたはずだった。4年間、トランプを見てきたアメリカ人の50%前後はなぜ再びトランプに投票したのだろうか。まったく不思議なことである。
トランプという人は極端なナルシストで、ビジネスに成功したかもしれないが、人に対してまったく思いやりがなく無慈悲な人物である。彼はどうみてアメリカ大統領に相応しい人物ではない。なぜならば、彼は自分の間違いを絶対に認めない人物だからである。
民主主義はこんな人物を大統領にする制度であるとすれば、ベターな制度ではなくて、ワーストな制度であるかもしれないといわざるを得ない。
もう一つしっくりこないことがある。なぜ世界がトランプに愚弄されなければならないのかが分からない。理不尽な関税が課されて、トランプ政権と交渉するというのはトランプのやり方を是認することになる。世界はアメリカとの貿易をボイコットすべきである。どうして世界の政治指導者たちは気骨がないものばかりなのだろうか。
アメリカ抜きで地球が回らなくなるわけではない。トランプ政権との交渉をボイコットして、アメリカ以外の国同士で貿易すれば、十分にやっていけるはずである。世界の人々はいったい何を恐れているのだろうか。
トランプ政権に対して頭を下げる世界の政治指導者たちは実にみっともない存在にみえる。自分だったら、トランプに「関税を課したければ課しなさい」と言う。貿易赤字を喫してそれはアメリカが搾取されたと思うならば、存分に関税を課せばいい。ただしアメリカ自身もその痛みを被ることになるだろうとも親切に教えてあげる。
世界にとって今、反省し検証すべきはなぜ民主主義のアメリカでトランプが再び大統領に選ばれたかである。
こうしたなかで、権威主義を信奉する習近平政権は自由貿易を提唱している。トランプとの比較で習近平はよほどまともにみえる存在にあ (ママ) っている。》
トランプとプーチンよりは習近平のほうがまともな人間であることに私は同意する.
プーチンは西側諸国に対して,ウクライナ戦争で核兵器の使用を仄めかして脅している.(実際にはまだ実行を自制しているが)
習近平は核兵器の使用について,日本や韓国,台湾に対して政府関係者による直接的な脅しはまだかけていない.(これから脅すかも知れないが)
これに対してトランプは,脅迫する前に思いつきで核兵器発射のボタンを押しかねない.
プーチンや習近平と違って不動産屋上がりのトランプは,軍を率いたことがない.
従って核兵器についての知識を持っていない.そういう男にアメリカ国民は,核戦争を開始するための「大統領緊急カバン」を預けてしまった.
アメリカが始める核戦争を《トランプ政権に対して頭を下げる世界の政治指導者》たちは怖れているのだ.
カナダのトルドー前首相がトランプと会談した際「カナダをアメリカの州にする」とトランプがトルドー氏を脅迫した.
これを報道したアメリカのメディアによると,トルドー氏は「へらへら笑うしかなかった」という.
そして帰国したトルドー氏は閣僚に「トランプは本気だ」と語った.
「カナダをアメリカの州にする」とは,カナダを軍事的に併合することに他ならない.
会談の際におそらくトランプの目が「マジ」だったのでトルドー氏は恐怖にかられ,その場では「へらへら笑うしかなかった」のである.
この時のことは西側諸国の指導者たちも震え上がらせた.
そしてヨーロッパ諸国はアメリカの核の傘から離脱し,自前の核を含む戦力を強化する方向に動き出した.新しい核の傘はフランスが提供するとマクロン大統領が述べた.戦闘機もフランスが主導する共同開発がスタートするだろう.
ヨーロッパの同盟国諸国がアメリカから距離を置こうとしているのをみたトランプは,同盟国諸国に売る戦闘機は性能を10%落とすと語った.
「同盟国がいつまでも同盟国であるとは限らないからだ」がその理由である.
これについては朝日新聞《第47代米トランプ大統領にちなみ? 次世代戦闘機は「F47」》[掲載日 2025年3月22日] から下に引用する.
《トランプ米大統領は21日、米ボーイング社が米空軍の次世代戦闘機を製造すると発表した。ステルス性能や各種能力で従来機を大きく上回る「第6世代」の戦闘機で、軍幹部らが「F47」と命名したと述べた。自身が第47代大統領であることにちなんだとみられ、トランプ氏は「美しい数字だ」と語った。
トランプ氏は「速度から機動性、搭載能力に至るまで、これに匹敵するものはなかった」と称賛。過去5年間にわたり試作機の飛行が繰り返されているといい、「他国の能力を圧倒的にしのいでいる」と語った。同盟国からも購入希望があるが、「10%ほど機能を落としたものにしたい。いつか同盟国でなくなるかもしれないから、その方が理にかなうだろう」と述べた。》
軍事評論家によると,アメリカがこれまでNATO各国に提供してきた戦闘機は,型式名称は同一でも実はアメリカ軍のものよりも低性能だったのだという.
この言わずもがなの暗黙の事実をトランプが敢えてアピールした理由は何か.
トランプは「NATO加盟国がアメリカと通常兵器で戦っても勝負にはならないのだ」ということを世界中に示したかったようだ.これも「アメリカが要求する関税に抵抗するなら,アメリカは軍事的手段を排除しない」旨の脅しだろう.
核兵器の使用に言及するまでもない.アメリカのかつての同盟国たちは,通常兵器の性能で劣るから,例えばカナダに国境を越えてアメリカ軍が侵略を開始しても,カナダ軍は勝てない.
例えばグリーンランドにアメリカ海兵隊が上陸しても,デンマークは手を出すことができない.
第二次大戦後の同盟国を仮想敵国にしかねないトランプのアメリカは,戦後の国際社会の枠組みを破壊した.
そしてEU諸国は静かに軍拡を開始した.
同盟国を脅迫した次にトランプは,習近平とプーチンを脅すことにした.
CNN《【分析】米国の祝日を覆そうとするトランプ氏》[掲載日 2025年5月12日] から下に引用する.
《トランプ氏は同様に、6月14日に米陸軍創設250年を祝うため、数千万ドルを投じる軍事パレードの開催も望んでいる。
(中略)
「我々は世界最高のミサイルを持っている」とトランプ氏はNBCに語った。「世界最高の潜水艦や戦車、武器も持っている。我々はそれを祝うつもりだ」》
軍事パレードといえばロシアと中国と北朝鮮だが,トランプはこれを凌駕してMAGAを世界に誇示したいのだろう.
貧しい北朝鮮軍は論外として,プーチンと習近平にトランプは,世界最強のアメリカの軍事力を誇示し,それを中露両国に対するディールに用いるつもりだろう.
正真正銘のマッド・マンであるトランプは,自分の意のままに交渉相手が応じなければ「大統領緊急カバン」を開けてしまうかも知れない.
それを《トランプ政権に対して頭を下げる世界の政治指導者》は怖れている.
核戦争の恐怖を前にしているヨーロッパの指導者たちを《なぜ世界がトランプに愚弄されなければならないのかが分からない。理不尽な関税が課されて、トランプ政権と交渉するというのはトランプのやり方を是認することになる。世界はアメリカとの貿易をボイコットすべきである。どうして世界の政治指導者たちは気骨がないものばかりなのだろうか。
アメリカ抜きで地球が回らなくなるわけではない。トランプ政権との交渉をボイコットして、アメリカ以外の国同士で貿易すれば、十分にやっていけるはずである。世界の人々はいったい何を恐れているのだろうか。
トランプ政権に対して頭を下げる世界の政治指導者たちは実にみっともない存在にみえる》と批判するのは,かなり能天気ではあるまいか.
常人ではないトランプが核戦争を開始するための「大統領緊急カバン」を持っている.ナントカに刃物とはこのことだ.
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