トランプが,副大統領から大統領に昇格することを禁じる規定は,合衆国憲法にはない
読売新聞《トランプ氏、3選出馬「考えていない」…後継にバンス副大統領・ルビオ国務長官の名を挙げる》[掲載日 2025年5月5日日] から下に引用する.
《米国のトランプ大統領は4日放送の米NBCニュースのインタビューで、憲法が禁じる3選出馬に関して、「考えていない」と否定した。自身の後継については「それを言うには時期尚早だ」としつつ、バンス副大統領やルビオ国務長官の名前を挙げた。
トランプ氏はインタビューで「2028年大統領選への出馬を希望する人がたくさんいる」とする一方、3期目は「認められていない」と指摘。「素晴らしい4年を過ごした後、偉大な共和党員に引き継ぎたい」と強調した。
後継に関しては「J・D(バンス氏)は素晴らしい仕事をしている。優秀な人物だ。マルコ(ルビオ氏)も素晴らしい」と述べた。
米国憲法は大統領任期を通算「2期8年」に制限しているが、トランプ氏はこれまで「(3選出馬の)方法はある」などと排除していなかった。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
映画「スター・ウォーズ」シリーズで,赤いライト・セーバーが,暗黒面のフォースを信奉する「シスの暗黒卿」の武器であることは世界中の映画ファンが知っていることだ.
ダース・シディアス,ダース・モール,ドゥークー伯爵,ダース・ベイダーたちを思い出そう.
トランプは自分をモデルにして,映画「スター・ウォーズ」シリーズのキャラクターをAIで作成し,これをSNSに投稿したのだが,これが赤いライトセーバーを手に持っていた.
つまりトランプ自身がシスの暗黒卿であることを世界中に発信してしまったのである.
ダース・トランプだ.(共同通信《トランプ氏、暗黒面に? スター・ウォーズ模す画像》[掲載日 2025年5月6日])
トランプを,ジェダイではなくシスの暗黒卿にしてしまうあたり,AIの高性能なことに驚く.
さてダース・ベイダーの死で,シスの暗黒卿の教義は途絶えたかに見えたのだが,ことはそれほど簡単ではなかった.
かつては自由を求める人々の国であったアメリカ合衆国を内部から乗っ取ることによる,新たな帝国の出現である.
あまりにもフィクションと米国のリアル (アメリカ帝国主義の復活) が符合しているので不気味である.
ところで,トランプが「私が大統領を三期つとめることを皆が望んでいる」と述べた時に,一番可能性の高いシナリオが「側近を大統領にして自らは副大統領に就く」という方法である.
トランプが副大統領に就いたあと,大統領が辞任することによってトランプ副大統領が大統領に昇格するのだ.
これなら合衆国憲法に違反ではないという.法曹の専門家によれば,これを阻止する方法は改憲しかないとのことだ.
つまり民主党が劣勢である現状では,トランプ3.0は防げない.
今回のトランプの《素晴らしい4年を過ごした後、偉大な共和党員に引き継ぎたい》は,このアクロバティックなやり方でトランプ3.0を実現することを明確にしたものである.
一つのかすかな望みは,次の中間選挙で共和党が敗北することだが,もし共和党が敗けてもトランプが「選挙は盗まれた」「議会を占拠しよう」と星条旗を振れば,赤い帽子をかぶったアメリカ国民たちがMAGA!MAGA!と叫びながら議会に押し掛けて,議会と民主主義を破壊する可能性が高い.これはもうトランプによって一度行われたことである.
私たちが知っているかつてのアメリカはもうない.
アメリカの学校では自然科学の教育が禁止されて,子供たちには天動説が教えられる.これはトランプの岩盤支持層であるキリスト教福音派とユダヤ教徒のかねてよりの願望だった.(ローマ法王のベネディクト十六世が地動説を嫌々ながら認めたのは2008年で割と最近の事であるが,年輩の福音派信徒は未だに天動説を信じているという;ただし2019年以降は,日本政府はローマ法王ではなくローマ教皇と呼ぶことにしている)
高校でも大学でも,進化論や生命科学の教育は禁止だ.反知性主義である福音派とユダヤ教徒には,聖書の記述が絶対に正しいからである.
科学の代わりに,地上のどこかにある楽園で神が男を作り,その肋骨から女を作ったと教育される.だから女は男に従わねばならないと.
神が創造したのは白人であり,有色人種 (性的マイノリティも) は悪魔の創造物である.だから黒人奴隷制は正しいと.
そして星条旗は廃止され,南北戦争当時の南軍の旗が合衆国議会に翻る.
ノーベル賞学者を輩出した名門大学がトランプ政権の命令で廃校にされる.
優秀な少女が高校に進学したいと思っても,父親に「女が学問するとろくなことにならない」と殴られる.
こうして「ガラスの天井」は頭の高さにまで下がってくる.
イスラエルは,トランプが白人主義を支持していることを理由にしてイスラエル国内にガス室を作り,パレスチナ人を送り込んで虐殺する.ガザ地区の住民殲滅作戦に関するイスラエル国外のテレビ局の取材に対して,イスラエル人が「今度は我々がやる (殺す) 番だ」と嬉しそうに答えたのを私は覚えている.
アメリカ軍戦車部隊は国境を越えてカナダとメキシコを侵略し,グリーンランドとパナマには海兵隊が上陸して政府を倒す.
在韓米軍と在日米軍はグアムに撤退し,「中国から守って欲しければカネを払え」と私たちを脅す.
アマゾン・スタジオが製作し,既にシーズン1と2が配信されているテレビドラマのシリーズ『ロード・オブ・ザ・リング: 力の指輪』は,撮影がアメリカ国外で行われている上に,白人以外の俳優が多数参加しているため,トランプの指示によりアメリカでの配信禁止,あるいは最悪の場合は製作中止に追い込まれるかも知れない.
劇場用映画も大作は撮影がアメリカ国外で行われているのが普通だから,アメリカの映画会社は,高い関税を課せられると赤字となり,アメリカ国内では劇場用映画の衰退が必至だ.
ディズニー映画には,ヒロインが有色人種の作品があるが,それらは今後,アメリカ国内で放映できなくなるかも知れない.
ヨーロッパ音楽もアジアの音楽も,アメリカ国民は高い税金 (関税は消費税の一種だ) を払わねばならなくなる.
ゲームも同じだ.こうしてアメリカは文化の鎖国状態に自ら突入していくことになる.
そういう未来がもうすぐそこである.

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