マルちゃんの「レンチンごはん」は備蓄米だと思われる
昨日,食料品を買い求めに藤沢駅の北にある中堅スーパー「サミット藤沢店」(以下単に「サミット」) に出かけた.
駅の北口には昨秋にスーパー「ライフ藤沢店」(以下単に「ライフ」) がオープンしたので,「サミット」は苦戦するだろうというのが大方の予測だった.
ところが「サミット」は健闘している.
店内の雰囲気が活気があるのだ.対する「ライフ」の店内は静かである.店内放送はほとんどない.
この二つのスーパーは非常に対照的である.
以下にそのことについて簡単に紹介しよう.
「ライフ」と「サミット」の違いで大きいのは店内レイアウトである.
「サミット」は正面入り口を入るとすぐに野菜や果物の「本日のおすすめ」が台にたくさん陳列されている.
いつもなら1パック498円のイチゴが398円で販売されていたり,長ナスの特売とかトマトの特売が行われていたりするのだ.
そして時計回りの順路 (註) を野菜・果実の売場の次に進んでいくと,魚と精肉の売場がある.
ここも肉と魚介の特売品が冷蔵ケースに並べられているのだが,加工食品 (菓子やスープとかカップ麺など) のワゴンが所せましと並べられていて,この広めのスペースもまた「本日のおすすめ」なわけである.
さらに順路を進むと加工肉と惣菜のコーナーがある.このジャンルはワゴンに積み上げて特売をできないが,その代わり店内放送で「何が安いか」という「本日のおすすめ」を来店客にガンガン訴求している.
その次にパンと菓子のコーナーがあるが,ここにもまた大きなワゴンに特売品が積み上げられている.
要するにスーパー「サミット」の店内は,ワゴンセールが目立つようにレイアウトされているのだ.
これに付け加えると,当然のことだが,野菜だけとかパンだけとかを買いにきた客が,レジにすぐ行けるようになっている.
(註) 中規模の食品スーパー (日用品も少し置いている) は,立地によって店内の順路が時計回りだったり反時計回りだったりするが,正面入口からすぐのところに生鮮食料品売り場があり,順路の終わりは菓子やパン類だというのが普通だ.レイアウトのセオリーと言っていい.
対する「ライフ」は,ほとんどワゴンセールをしない.
安い商品を店内放送で来店客に知らせることもしていない.
しかも「ライフ」はデパート「さいか屋」の地下にあるのだが,正面入り口を入るとそこはパンと菓子と惣菜の売場なのだ.普通と逆である.
また奇妙なことに,揚げ物惣菜の売り場が二ヶ所に少し離れて分かれているし,鮨の売り場も二ヶ所あって,同様だ.
どういう事情があるのか知らぬが,買い物客はあっちへ行ったりこっちに来たりして商品の品質と価格を見比べなければいけない.
顧客のことを全く考えていないレイアウトである.
それから「ライフ」は各種のポイントカードが使えるのはいいが,その代わりというか結果というか,お値段がすこし高い.
そんなこんなで,「ライフ藤沢店」は格下の「サミット藤沢店」に勝てそうもないのである.
というのが話の導入部である.長すぎ.
さて昨日,食料品を買い求めに「サミット」に出かけた.
入口を入るとすぐ米の特設売場がある.米が消費者の関心事であることに機敏に対応しているわけだ.
その売場の一番目立つところで,マルちゃん (東洋水産) の1食200グラムの包装米飯 (いわゆるレンチンご飯の1袋5個入り) が特売で陳列されていた.
現在も続いている米の高騰が始まる前は,この商品は1袋5個入りが450円~500円 (1個あたりが90円~100円) くらいだったが,最近は650円近くに値上がりしていた.
それが昨日,突然に458円に値下がりしていたのである.
さて放出された政府備蓄米がスーパー店頭にほとんど見当たらないことから,玄米や精米が一体どこにスタックされているのかが消費者とメディアの一大疑問になっている.
朝日新聞《備蓄米「流通しない。たいへんな問題」農水相、停滞認め見直し策検討》[掲載日 2025年5月8日] から下に引用する.
《政府が米価の高騰を抑えようと放出した備蓄米について、江藤拓農林水産相は8日、「30万トン出したが、流通しない。相変わらずスタック(停滞)している。たいへんな問題だ」と述べ、流通の手法を見直す考えを示した。今月中に実施する備蓄米放出の4回目の入札で、「いろいろ工夫もしていきたい」とした。
東京都内で開かれた日本農業新聞全国大会の懇親会のあいさつで述べた。農水省による備蓄米の流通先調査では、3月の2回の入札で放出した約21万トンのうち、4月13日までにスーパーなどの小売店に届いたのは1・4%の3018トンだった。4月後半から備蓄米の流通が本格化したとの見通しも示していたが、全国のスーパー約1千店でのコメの平均販売価格は高止まりしている。
備蓄米の放出は今夏まで毎月実施する予定で、4月下旬の3回目の入札では10万トンが落札された。農水省が放出分を原則1年以内に買い戻すルールが流通の遅れにつながっているとの指摘もあり、見直しの対象になる可能性がある。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
JCASTニュース《備蓄米どこ?店に届いたのは1.4%だけ...原因を探ると 中小の卸売業者が入札できない「壁」があった》[掲載日 2025年5月3日] から下に引用する.
《備蓄米は農水省が「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」(需給安定法)に基づいて、毎年20万トン程度を買い入れて、最大5年にわたって保管している玄米だ。
それを卸売業者が手に入れるには、法律に基づいた厳しい入札要件がある。
そのひとつが、年間の仕入量が5000トン以上の大手の集荷業者でなければ入札・落札できない、というものだ。
さらに農水省は備蓄米が転売によって価格のつり上げが行われることを恐れ、今回2回目まで備蓄米を仕入れた卸売業者が別の業者に販売させないような施策をとっていた。
中小の卸売業者は手が出せず、2回目に放出された備蓄米は94%がJA全農(全国農業協同組合連合会)が落札する結果となった。
この結果を見た農水省は、4月の入札から卸売業者同士の販売を認めることにした。
ところで、このJA全農が2回目までに落札した備蓄米約19万トンのうち、契約先に出荷したのはわずか29%(5月1日の時点で)と、流通が停滞していることが明らかになっている。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
上に例示したウェブ記事以外にもテレビ等が解説しているが,どの情報も消費者が知りたいことを曖昧に遠慮がちに述べている.
つまりはっきり言えば,政府備蓄米のほとんど (94%) を落札したJA全農が,大半をまだ出荷しておらず (大卸に出荷したのはわずか29%),またその大卸に至っては,スーパーへの出荷は2%程度だというのである.
これからわかるのはJA全農は仕事が非常に遅く (多分,JA全農は利益がゼロのタダ働きを政府にさせられているので,JA全農はやる気が全くない),また大卸は,一般消費者を相手にしているスーパーではなく,年契している大口ユーザーを優先して出荷しているということである.
普段から無理な値下げ要求ばかりしてくるスーパーに,売ってなんかやるもんかザマーミロと大卸は思っているだろう.(大規模小売業者はメーカーや卸売業者に対して不当な値下げ圧力を発揮することが多い.いわゆるバイイングパワーだ)
大口ユーザーとは,外食企業や加工米飯事業者などである.
ここで上に記した《マルちゃん (東洋水産) の1食200グラムの包装米飯 (いわゆるレンチンご飯の1袋5個入り) が特売で陳列されていた.
この米の高騰が始まる前は,この商品は1袋5個入りが450円~500円 (1個あたりが90円~100円) くらいだったが,最近は650円近くに値上がりしていた.それが昨日,突然に458円に値下がりしていたのである》という伏線を回収する.
東洋水産は政府備蓄米を原材料に使用し始めている.
包装米飯のただ一つの原料である精米の高騰が続いているこの最中に,包装米飯製品の値下げが可能となる理由は,備蓄米の使用以外にあり得ないからである.
その先陣を切ったのがマルちゃんというわけだ.
もうすぐ六月に入れば,コンビニ商品 (弁当やおにぎりなど) が包装米飯の後に続くだろう.
しかしこのスピード感では,スーパー店頭の精米価格が落ち着くのは夏になると思われる.

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