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2025年3月13日 (木)

朝ドラを第一話から最終話まで観る

 今朝の朝ドラ《おむすび》で,コロナ禍の時に,医療従事者とその家族が周囲から受けたいわれなき誹謗中傷と差別のことが描かれた.
 ヒロインの結が,父親が拵えたチャーハンを涙と一緒に食べるシーンで,私も泣いた.
 (スポーツ報知《【おむすび】「絶対言っちゃダメ」「ひどい言葉」傷つける発言にネット怒り「過去イチ泣いた」》)
 
 どうして私たちは,困難な状況に置かれた人たちを平気で苦しめるのだろう.
 東日本大震災の時に,福島県から県外に避難してきた人々とその家族が差別を受けた.
 特に埼玉県では学校でのいじめが酷く,避難してきた子供たちが同級生たちからバイキン扱いされ,登校できなくなったことは全国ニュースになった.
 母親たちは幼い我が子に,放射能は伝染すると教えた.
 横浜市では,避難者の家族であることを理由に,学校で金品を奪われる事件が起きた.
 そして教員たちはこの理不尽を放置傍観した.
 
 子供の学校だけではなかった.東京都や埼玉県では「福島県を通過してきた東北のトラックを県境で阻止しろ」という大人たちの運動が起きた.
《おむすび》の舞台になっている大阪では,コロナ禍の時に二十名ほどの僧侶たちが「福島の子供の葬式」と称して,小さな棺桶をかかげて経を唱えながら練り歩いた (「葬列デモ」という).
 このパフォーマンス主催者の一人は阪南大学経済学部准教授の下地真樹だった.下地のWikipediaには葬列デモの件は記載がないが,こいつのことは私たちは忘れぬ.
 この坊主たちの心底の意図は脱原発ではなく,福島からの避難者を差別することだった.あとからあれこれと辻褄の合わぬ嘘の言い訳を書いていたが,こいつらは地獄に墜ちよと私は思った.
 
 坊主も外道なら似非学者も外道だった.
 中部大学教授の武田邦彦はテレビ番組で「東北の野菜や牛肉は健康を害するから捨てましょう」旨の発言をした.
 群馬大教授の早川由紀夫はSNSで「福島の米農家はオウム信者と同じ」「貧乏人は福島の米を食って死ね」などの暴言を吐いた.さらに「福島県で育って放射能を浴びた女性が結婚できなくても,これには合理的な理由があるから差別ではない」旨の発言もした.
《おむすび》ではこの非道な連中のことは描かれなかったが,しかし私はしっかと思い出した.
 
 私が記憶しているだけでも,この国は地震や洪水などたくさんの災厄に襲われてきた.
《おむすび》の作者は,その中から阪神淡路と東日本の大震災とコロナ禍を取り上げた.
 芸能ライターたちは橋本環奈さんを中傷し,パワハラ疑惑だとか飲酒癖だとかあるいは目の下のクマが酷いだの視聴者にきらわれているだのと罵倒の限りを尽くしたが,それでも一割の世帯の人たちがこのドラマを視聴し続けた.
 既に撮影は終了しているが,出演者の皆さんにありがとうと言いたい.よいドラマだった.私は第一話から一回も欠かさず視聴している.そして最終話まで観る.
 
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