銭勘定しかできないトランプ
TBS NEWS DIG《トランプ大統領「日本は我々を守らなくていい」 日米安全保障条約の片務性に不満示す》[掲載日 2025年3月7日] から下に引用する.
《アメリカのトランプ大統領は、日米安全保障条約で日本がアメリカを防衛する義務がないことを持ち出し、不満を示しました。
アメリカ トランプ大統領
「日本とは興味深い取り決めがある。アメリカは日本を守らなくてはならないが、日本は我々を守らなくていい。そうした中で、経済的に日本は我々から大儲けしている」
トランプ大統領は6日、記者団の前でこのように発言し、「いったい誰がこんな取り引きをするんだ」と不満を示しました。
トランプ大統領はこの発言の直前、NATO=北大西洋条約機構の加盟国が国防費を適切に支出しない場合は有事の際にアメリカは加盟国を守らないとの考えを改めて示したうえで、「アメリカが有事の際に彼らは助けに来るだろうか?私は確信が持てない」と不信感を表明。比較する事例として日米安全保障条約に言及しました。》
損得勘定ではなく,単純な銭勘定しかできないバカ頭のトランプが,早晩言い出すと誰もが思っていたことを,早速言い出したのが上のニュースである.
既にトランプは,事実と異なるデマを宣伝して,韓国に対する貿易戦争を仕掛け始めた.
中央日報日本語版《韓米FTAで関税率は0%水準…トランプ大統領の「4倍発言」に驚いた韓国政府》[掲載日 2025年3月6日] から下に引用する.
《トランプ米大統領が4日、「韓国の関税は米国より平均4倍高い。さらにわれわれは彼らに軍事的に支援している」と話した。韓国製品に対する関税賦課を示唆したものと分析される。
韓国政府は当惑する雰囲気だ。トランプ大統領の発言が事実と違うからだ。韓国産業通商資源部によると、韓米両国は自由貿易協定(FTA)によりほとんどすべての工業製品に互いに関税を課していない。対米輸入品全体でみれば平均関税率は昨年基準0.79%程度で、還付まで考慮すればこれよりさらに低い。
ただ韓国が世界貿易機関(WTO)加盟国に課する平均最恵国待遇(MFN)関税率は13.4%で、米国の3.3%の4倍水準に高い。MFN単純平均関税率は米国には適用されないが、トランプ大統領がこれを誤解したものと韓国政府はみている。》
トランプの主張は「韓国に対する軍事的支援の対価を払え」ということだ.
そして「対価を払わなければ在韓米軍を撤退する」という.在韓米軍撤退は,第一次トランプのときにも言っていたことだ.
だが在韓米軍撤退がなぜ実現しなかったかというと,韓国の国民は「どうぞ撤退してください」と言うに決まっているからだ.
韓国は,歴史的にアメリカよりも中国との関係が深い.米国の態度によっては,ただちに親中国政府ができるに決まっている.現状でも野党の政権奪取が可能な状況だからである.
韓国を脅せば,必ずや韓国はアメリカとの軍事同盟から離脱する.ここらへんの損得勘定がトランプには理解できない.
日本の場合はどうか.
日米安保条約は片務ではない.日本のあちこちに米軍基地が置かれ,港には核兵器を搭載した米艦が寄港できる.
対中軍事戦略において,このことの価値は絶大だ.
トランプが「在日米軍を撤退する」というなら,我が国は韓国と歩調を合わせて,日中安全保障条約を締結し,日中経済協力を推進すると言えばいいのだ.もちろん中国政府は大歓迎だ.
もしそうなったらアメリカは,太平洋の制海権を半分失うことになる.
中国としては,韓国にせよ日本にせよ中国大陸と近いから,経費の掛かる在日中国軍基地を新設し維持する必要はない.
しかるにアメリカは,対中軍事戦略上,在韓米軍と在日米軍が必須である.
この差は大きい.
トランプの目論見通りにもし在日米軍が撤退すれば,日本国民は,積年の願いである米軍基地撤廃を達成できる.目先の銭勘定しかできないトランプが日本を恫喝することは,逆に我が国にとっては千載一遇の機会である.
最近はやりのトランプ式「ヤルタ2.0」構想だが,日中安全保障条約を基礎にして,この日韓中の三ヶ国で経済圏が形成されれば,赤い帽子をかぶってUSAコールをするだけのMAGAムーブメントなんぞ吹っ飛んでしまう.
損得勘定ではなく,単純な銭勘定しかできないバカ頭のトランプにはこれが理解できない.
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