嘘つき石破の面目躍如
NHK《トランプ大統領 USスチール「買収でなく投資」 日鉄と来週会談》[掲載日 2025年2月8日] から下に引用する.
《日米首脳会談を受けて、アメリカのトランプ大統領は日本製鉄によるUSスチールの買収計画をめぐり「買収ではなく、多額の投資を行うことで合意した」と述べたうえで、来週、日本製鉄の幹部と会談し、協議する考えを示しました。
関係者によりますと、大統領との会談が実現すれば、会社側は雇用創出などにつながる投資計画について説明する見通しです。
トランプ大統領は7日、ホワイトハウスで石破総理大臣との首脳会談のあとの記者会見でUSスチールについて「買収ではなく、多額の投資を行うことで合意した。彼らは取り引きを成立させるためには大規模な投資をする必要がある」と述べ、来週、日本製鉄の幹部と会談し、協議する考えを示しました。
関係者によりますと、トランプ大統領との会談が実現すれば、会社側はUSスチールの成長や地域の雇用創出などにつながる投資の計画について詳しく説明する見通しです。
また、買収が完了したあとUSスチールの社名を残すことや取締役の過半数をアメリカ国籍にすることなど、地元に根ざした経営を行うことも改めて伝える見通しです。(以下略)》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
トランプ大統領が《買収ではなく、多額の投資を行うことで合意した》との理解であるのに対して,石破首相は「日本製鉄による買収計画の本質は投資である」とトランプ大統領に説明したという.
たぶん首相側の英語での説明は「買収計画の本質は投資であるから,投資と言う形で構わない」だった可能性が高い.
しかし,買収と投資ではエライ違いだ.買収とは全株取得のことだが,投資という形の株式取得では,日本製鉄はUSSの経営権を部分的にしか得られないからである.
にもかかわらず首相は,日本製鉄に「買収が投資であると言う説明をトランプ大統領は理解した」と説明した.
それは日本製鉄が《買収が完了したあと》と述べていることからわかる.
USSを買収 (全株取得) できるならば,《USスチールの社名を残すことや取締役の過半数をアメリカ国籍にすること》などは日本製鉄にとってはどうでもいいことなのである.
こうして日本製鉄は,これまで通り買収計画を進められると誤解しているに違いない.
自民党総裁選の時の約束を,首相になったらしれっと反故にした嘘つき石破の面目躍如である.
だがこういう嘘は,一週間後にトランプと日本製鉄の協議が行われればすぐ破局する.
首相サイドとしては,それまでになんとか日本製鉄を説得しなければならなくなった.
どうするつもりだろう.日本製鉄に,USS買収を断念させ,新たに投資計画を策定させるしかないが,この件からの日本製鉄完全撤退もあり得る.
日米首脳会談の記録が,英語と日本語とで齟齬があるのはよくあることだ.齟齬がある (意図的な誤訳がある) 事実に敢えて触れないでバラ色決着を行うのである.
今回は日米首脳共同声明にUSSのことは書かれていない.さすがに最初の日米首脳会談共同声明にあからさまな嘘の証拠を残すのはまずいから,口約束を紹介するにとどめたのだろう.(参考資料;日本経済新聞《日米首脳共同声明の全文(対訳付き)》[掲載日 2025年2月8日])

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