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2025年2月

2025年2月26日 (水)

トランプ王万歳

 NHK《歴史探偵 飛鳥の巨石 謎に迫る》を視聴した.
 放送中,探偵役の秋鹿真人アナが「白村江の戦い」を「はくそんこうのたたかい」と (放送原稿を) 読んだ.
 私が大学受験生の頃,日本史の教科書では「白村江の戦い」は「はくすきのえのたたかい」と読むことになっていた.
 テストで「白村江の戦い」に読み仮名を振れという問いが出た場合に「はくそんこうのたたかい」と解答したら×であった.
 それなのに今では,NHKでは「はくそんこうのたたかい」と読むことになっているようだ.
 調べてみたら,Wikipedia【白村江の戦い】では,
 
白村江の戦い(はくすきのえのたたかい、はくそんこうのたたかい)は、天智2年8月(663年10月)に朝鮮半島の白村江(現在の錦江河口付近)で行われた百済復興を目指す日本・百済遺民の連合軍と唐・新羅連合軍との間の戦争のことである。
 
名称
 日本では白村江は、慣行的に「はくすきのえ」と読まれる。白村を「はくすき」と読ませるのは卜部兼方の『釈日本紀』(鎌倉時代)によるもの。20巻の「秘訓五」にて「白村」を「ハクスキ」とフリガナをし、注釈で「私記曰。白字音読。村読須支。」(『日本書紀私記』曰く。「白」の字は音読みし、「村」の字は「須支(すき)」と読む。)とある。少なくとも奈良・平安時代から「はくすきのえ」と読まれていた。
 
としてあり,《はくすきのえのたたかい》を《はくそんこうのたたかい》よりも先に示し,《慣行的に「はくすきのえ」と読まれる》《少なくとも奈良・平安時代から「はくすきのえ」と読まれていた》として,「白村江の戦い」の読みは「はくすきのえのたたかい」を支持している.
 しかし最近編まれたウェブ上の辞書や教科書では次第に「はくそんこうのたたかい」が優勢になっていて“「はくすきのえのたたかい」とも読む”となっているようだ.
 NHKほどの影響力はないが,朝日新聞も「白村江の戦い」に「はくそんこうのたたかい」と読み仮名を表記しているようだ.
 同様に「百済」は「くだら」から「ひゃくさい」へ,「新羅」は「しらぎ」から「しんら」へ,のように変化しつつあるのが現状と思われる.
 しかし,変化は致し方ないことかも知れぬが「そういう変化をさせたのは誰か」がわからないのは困ったことだ.
 
 余談.
 トランプ大統領が,メキシコ湾をアメリカ湾に名称変更すると決め,この決定に従わないAP通信に対して取材制限を行うことにした.
 連邦地裁はこれを合法であるとしたが,それならトランプがグリーンランドを別の名称に変更しても合法だということになる.
 同様にカナダの国名を,新たなアメリカの州名に変えることにしても合法だ.
 さらにはトランプが今後は日本を「トヨタ」と呼ぶことにしてもよいことになる.
「それが嫌なら関税を100%課す」とか「沖縄を今後はハワイ州のオキナワ島と呼ぶことにする」と言われたら日本政府は,石破総理はどうするのか,考え込んでしまう.
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2025年2月23日 (日)

資産形成という誘惑に /工事中

 金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が,2019年に公表した報告書に「定年後の三十年間で家計収支が二千万円程度不足する可能性がある」という試算を記載した.これがいわゆる「老後二千万円問題」である.
 会社員等の給与生活者が定年後に必要な老後資金について,FP (ファイナンシャル・プランナー) などのライターたちがウェブ上に山のようなゴミ記事を撒き散らしているが,まともな筆者はごく少ない.
 彼らは
その報告書《金融審議会市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」》は,




 

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2025年2月21日 (金)

話を盛る

 集英社オンライン《〈コメ高騰〉「お前さん流行りの転売ヤーか?って聞いたらそうだって」押し寄せる中国人に人材派遣会社、ブローカー…コメ農家が語る値上がり“元凶”の正体「平成のときよりタチ悪いね」》[掲載日 2025年2月20日] から下にスクリーン・ショットで引用する.
 
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 集英社オンラインの取材に「ある中国人は15俵とか買ってたから900キロだな……」と語っているのは千葉県いすみ市の「株式会社新野田ファーム」代表取締役の藤平正一氏.
 このおかたはテレビの報道番組によく出てきて,転売ヤーがどうの中国人がどうのと吹きまくっている.
 上に引用した記事で藤平氏は《今どきは家庭用の大型冷蔵庫でも50俵や100俵入るからね》と語るのだが,話がめちゃくちゃだ.
 藤平氏の証言を聞いていると,次第に話がどんどこ盛られてきているので,視聴者としては「おいおいだいじょぶか」と思う.
 そして,上の集英社オンラインの記事ではとうとう話が破綻してしまっている.
 以下に解説する.
 
 米1俵は約60kgであるから,100俵は約6000kgである.
 これは水なら約6000リットルだ.
 日本国内で販売されている最大級の家庭用冷蔵庫は日立の R-WXC74T X が容量735リットルである.
 世界的には韓国サムスン電子の ZIPEL T9000 が容量900リットルで,これが家庭用冷蔵庫の世界最大だとされる.
 業務用はどうか.
 フクシマガリレイ社の GRD-180RMD は容量1,674リットル.大規模な飲食店の厨房や小さな食品工場などで普及している.本体サイズは (幅)1,790mm ×  (奥行)800mm × (高さ)1,950mm という圧巻のサイズだが,米俵は20俵が限界だろう.
 これ以上の冷蔵庫はプレハブ型という形式で,もちろん家庭用ではない.
 一例を示すと,有名なホシザキ社の,床面積1.5坪型の PR-22CC-1.5 (高さ約2.4m,幅2.7m,奥行き1.8m) なら100俵入ると思われる.
 
 藤平氏は,テレビのクルーは来る,週刊誌は来る,で舞い上がってしまったと思われる.
 
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2025年2月19日 (水)

「消えた21万トン」は嘘かも知れない

 FNNプライムオンライン《「コメの流通市場は動き出した」江藤農水相が認識示す…政府による備蓄米放出決定受け 卸売業者から大手スーパーに販売申し出の動きも》[掲載日 2025年2月18日] から下に引用する.
 
政府の備蓄米放出の決定で、「コメの流通市場が動き出した」との認識を示しました。
 江藤農水相:
 流通市場は動いていると、動き出したと受け止めていいのではないかと。
 農林水産省が先週、21万トンの備蓄米放出を決定したことを受け、江藤農水相は、先物市場のコメの取引が増えているとした上で、「流通が正常化に向かえば、価格も落ち着くということが期待される」などと強調しました。
 さらに江藤農水相は、卸売業者から大手スーパーに対し販売を申し出る動きなどがあることを明らかにし、「様々な手続きの迅速化を図りたい」と述べました。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
 
流通が正常化に向かえば、価格も落ち着くということが期待される》の《価格も落ち着く》は「価格高騰が止まる」という意味であり,米の末端価格が下がるということではない.
 すなわち,昨年産米 (2024年産米) は5kgで4000円ほどに高止まりする.
 一部のメディアが「備蓄米放出で,末端の精米価格は二割くらい下がるのではないか」と希望的観測を述べていたが,江藤農水相みずから価格低下を否定した格好である.
 それもその筈で,江藤農相は備蓄米放出を決めた直後に「流通を正常化するのが目的である」と言明していたからである.
 読売新聞オンライン《備蓄米放出、3月下旬以降店頭に…江藤農相「流通がスタックしている状況を改善したい」》[掲載日 2025年2月14日4] から下に引用する.
 
政府はこれまで凶作や災害時に限定して備蓄米を放出してきたが、24年夏以降の米価の高騰を受け、今年1月末に運用指針を見直した。流通の円滑化を目的としたものは初めてとなる。江藤氏は会見で、「流通がスタック(停滞)している状況を何としても改善したい」と述べた。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
 
 末端精米価格が 4000円/5kg を割り込むと,2025年産米 (玄米) の価格が昨年よりも安くなってしまうが,農水省としては,稲作農家保護のためにそれだけは絶対に避けたいのである.
 農水省は,ホンネを言えば,5000円/5kgまで暴騰してもウハウハなのだが,それでは石破政権がつぶれるから,4000円/5kg で手を打つだろうと思われる.
 実は,玄米生産量に対して,放出される予定の備蓄米量21万トンは微々たる量であるから,これは為替相場における「口先介入」程度のことである.
 つまり政権を揺るがすようなマネーゲームは許さんぞ,という農水省の決意を示したものだ.
 確かにその政府のメッセージは業界に届いたようだ.
 私は,スーパーの店頭における東洋水産の包装米飯「マルちゃん あったか ごはん」の価格を継続的に観測しているのだが,昨年産米の高騰が始まる前は特売価格約80円/個だったのに,スーパー店頭から精米が消えた頃には特売価格は約130円/個まで値上がりした.
 しかし政府が備蓄米放出を決めた直後に,特売価格は90円/個に下がった.
 あからさますぎて笑ってしまうが,このことは包装米飯業界が《流通がスタック(停滞)している状況》に一枚噛んでいたことを示すものだ.
 もちろん東洋水産などが投機的に精米を買いだめたわけではないだろう.
 商品の安定生産のために原料在庫を「積み増し」たに過ぎない.
 だが,外食業界,中食業界,加工米飯業界等の精米需要家が少しずつ原料在庫の「積み増し」をした結果,たちまちスーパー店頭から精米が払底してしまったのである.
 
 幾つかの民放テレビ番組 (例えば日テレ「バンキシャ」など) が,《流通がスタック(停滞)している状況》の黒幕は「IT業界」「鉄鋼商社」「中国人」「アジア系」「ホームセンター」「土木業者」だと報道した.
 だが放送を視聴した限り,そのような証言は,卸売業者や小売業者が流している噂話程度のものだ.
 農業経済の専門家は,精米価格高騰の原因は異業種の暗躍ではなく,そもそも米の収穫量 (≒玄米生産量) が精米需要を下回っているのだと主張している.
 翻って考えてみたら,米の収穫量は実は根拠ある統計数値ではなく,作付け面積と作柄から求めた単なる推計値なのであった.
 また「消えた21万トン」の根拠はJAなどの主要集荷業者が集めた玄米の量なのであるが,[2023年産度に主要集荷業者が集めた玄米が237万トン]-[2024年産度に主要集荷業者が集めた玄米が216万トン]=21万トン,という計算が根拠だ.
 だが,この数字は,JAグループなど大手の集荷業者 (90%以上がJA系業者) が「集荷競争に負けた」という意味しかない.
 2024年産米619万トンの過半は,生産者から直接,すなわち主要集荷業者を経由せずに,精米小売店やスーパーや消費者に既に届けられた (あるいはこれから届けられる) のである.
 このように,総玄米量の35% (=100x216/619) しか大手の集荷業者は取り扱っていないのが事実である.
 なぜなら,大手の集荷業者経由では,生産者はほとんど利益を手にできないからだ.時給換算すると10円だという説もある.
 そのため農家は,大手の集荷業者経由とは過去の付き合いで仕方なく収穫の35%を販売しているが,これが精米流通のマイナー・ルートであることは歴然としている.
 そのマイナーなルートにおいて,わずか21万トンがスタックしていようとしていまいと,大した意味はないのだ.
「消えた21万トン」は,米流通の35%しか実態を把握できない農水省の言い訳であると,農業経済学者は見ている.もしかすると「消えた21万トン」は嘘である可能性もある.
 昨年産玄米量が一昨年のそれと同量であったというのが「消えた21万トン」の理屈だが,実はその根拠がないのである.
 上に述べたように,米の収穫量は推計値である.
 実は酷暑等の原因で,昨年は前年に対して,数十万トンも減産していたという説があるのだ.これが米不足の真の原因だという.
「消えた21万トン」と大騒ぎしている農水省は,流通量の65%を調査し把握する当事者能力を失っていると専門家は言う.
 
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2025年2月17日 (月)

帰りなんいざ 田園まさに荒れなんとす

 TBS NEWS DIG《コメの値段、なぜ高い? 背景に農家の苦境も 「コメを作れない」と廃業続出【サンデーモーニング】》[掲載日 2025年2月16日] から下に引用する.
 
戦後、様々な変遷を遂げてきたコメを巡る制度。90年代以降、貿易自由化を求める外国の圧力に屈する形で、コメ市場を部分的に開放。長年続いた「減反政策」も2018年に撤廃されます。
 減反で守ってきた中小の農家を淘汰し、大規模な農家が自由に生産できる体制を整え、コメの国際競争力を高めようとしたといいます。
 ところが、コメの需要に合わせるように生産量も減少する中、コメ農家は危機的状況に陥ったのです。
 
 東京大大学院(農業経済学)鈴木宣弘 特任教授
「自由化の流れの中で、30年間、(農家が取り引きする)米価が下がって、半分以下の値段。結果として農家の所得は下がって、『コメを作れない』と廃業する農家が続出するような状況まで来てしまった。もうあと5年ほったらかしたら日本の稲作は崩壊してくる」
 兼業か専業か。あるいは規模の大小はあるものの、肥料や農具、燃料などの高騰でコストがかさみ、コメ作りによる年間平均所得はいまや9万7000円と10万円に満たない状況に。(農林水産省2024年12月公表)
 さらに農林水産省の資料によると、農業従事者は約219万人(2004年)から約111万人(2024年)と20年かけて半減。平均年齢は69歳と高齢化も進んでいます。
 日本の食卓に欠かせないはずのコメ。そのコメ作りの現場からは今...
 コメ農家 伊藤秀雄さん
「『コメ作って飯が食えねえ』って言葉知ってる?私自身もおととしまで赤字、去年の決算も赤字。だからその背景に100万戸の農家がやめた。(国が)やめるように仕向けちゃった。国家としての責任」》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
 
 上に《農業従事者は約219万人(2004年)から約111万人(2024年)と20年かけて半減。平均年齢は69歳と高齢化も進んでいます》と書かれているが,このまま農業人口の高齢化が進行すると,十年後には農業従事者の平均年齢は七十九歳になる.
 男性の平均余命が約八十一歳で,日本の人口分布図を見ればわかるように,その辺りから急速に男性の農業従事者が減り始め,相対的に女性の比率が高くなり,農業従事者数は激減する.
 この傾向は農業だけではなく,全産業でいわゆる人手不足が起きるのだが,減っていく労働人口を産業間または職種間で奪い合っても全く事態は改善しない.
 高い賃金を払える先端産業が人手不足を乗り切ることができても,運輸業界や米農家が全滅したのでは,そもそもこの国が成り立たない.
 また食糧安保政策として,どこかから労働人口を絞り出し,これを農水産業に新たに供給しなければならない.
 そのためにどうするか.
 
 戦後,戦地からの復員兵と引揚者によって農村人口は推定で700万人ないし1000万人増加したが,これを労働力として受け入れる農業は壊滅しており,農村における増加人口は,余剰人口であり非農業人口であった.(並木正吉「農家人口の戦後10年」)
 これについて述べた山崎亮一「戦後日本農政と労働力移動」(酪農学園大学学術研究コレクション,33(2):161~169 (2009)) から下に引用する.
 
Ⅱ 「国民所得倍増計画」と基本法農政
 並木[7]が描写しているように,60年代前半までの農家から農外への労働力供給の主な形態は,当時,農村に滞留していた二三男女や,新規に学卒した者を中心とする,若年労働力の向都離村であった。
 この時期に制定されたのが農業基本法(1961年)である。その前年の60年には「国民所得倍増計画」が,10年間の第2,3次産業の雇用労働力需要1,969万人に対する学卒供給1,703万人とし,266万人の不足を見通していた。さらにその不足分を,第1次産業からの移動243万人と,非1次産業の業主・家族従業員の転用23万人で充足するとしていた。つまり,第2,3次産業の労働力不足を,自営業,とくに農民層の分化・分解で補充しようとしていたのである。その翌年の農業基本法は,「国民所得倍増計画」が算出したこうした農村労働力の動員に対応するものであった。すなわち,「生産費および所得補償方式」による生産者米価の算定,土地基盤整備,農業機械化により農業構造の改善を行いながら,農民層の分化・分解を促進し,一部に「上層農」を育てつつもその対極に析出される労働力を第2,3次産業に吸引しようとするものであった》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った:ブログ筆者註;[7]は『農村は変わる』岩波文庫,1960年)
 
国民所得倍増計画」は,池田勇人が打ち出した経済計画であり,これによって戦後日本は高度経済成長を準備した.
 池田は翌年に所得倍増計画の基礎となる「農業基本法」を成立させ,遅れていた農業の近代化を推進した.
 この法律によって《農民層の分化・分解を促進し,一部に「上層農」を育てつつもその対極に析出される労働力を第2,3次産業に吸引しよう》として,農村から都市への人口大移動が行われたのである.
 しかし時は経ち,農村の人口は激減した.
 そして今こそ「農業基本法」が目論んだことの正反対を行うべきなのだ.
 すなわち都市から農村への余剰人口の大移動である.
 だが,人手不足の波に襲われている都市部に余剰労働力などあるのだろうか.
 実は,ある.
 フードビジネス総合研究所《日本の飲食業基礎データ 日本の飲食店、67万店。働く人、440万人。~バブル期をピークに減り続ける我が国飲食店~》 から下に引用する.
 
総務省「経済センサス・基礎調査」(平成21年)によれば、我が国における飲食店の数は 670,468(店)、働く人の数は 4,367,987(人)となっている((注:本社事務所等「管理・補助的経済活動を行う事業所」を除外した、弊社加工数値)。
ちなみに、ここからキャバレーやナイトクラブ等の夜間性・遊興系飲食店を除くと、約54万店・390万人である。
 
 郭凱鴻「外食産業再編期における大都市の飲食店立地特性変化―2000 年と2014年の大阪市を事例として」(立命館地理学 第31号(2019)53-68) によれば,1966年 (昭和四十一年) における飲食店数は33.6万軒で,一店舗あたりの従業員数は4.2人であった.
 すなわち高度経済成長期の只中における飲食店従業員数は141万人,現在のわずか32%だったのである.
 だとすれば,2009年 (平成二十一年) に437万人に達して以後,増加を続けている飲食店従業員人口を,農業に100万人程度移動することはさほど困難ではないと考えられる.
 コロナ禍以降,鶏唐揚店,ラーメン店等々様々な飲食店の倒産が起きている.(帝国データバンク《2024年の「飲食店」倒産894件、過去最多を更新 業態別では「居酒屋」が最多》)
 現在の中食や外食業界の一部では,新規参入と同じくらいの倒産撤退が常態となっている.
 昔から経営を続けている企業や独立店舗は私たちの生活にとって価値あるものだが,雨後の筍のようにそこら中に店が乱立したかと思ったら波が引くように消えて行ったタピオカミルクティーとか,基本的な製パン技術もなく開店してすぐに倒産していった「高級」生食パン店ブームなどは,食品業界の仇花である.最近の「おにぎり屋」ブームなども同類だろう.
 経済成長期ならば仇花が咲いてもほっとけばいいが,日本はこれから経済縮小の時代だ.私たちの生活にあってもなくても構わぬものは削ぎ落していくに限る.
 中食や外食業界において本当に必要な,コアとなる企業や店舗を残して,あとはなくなればいい.
 削ぎ落した部分は,農業の再建に注ぎ込むように政策誘導すべきだと私は思う.
 政策誘導というのは,都市から農村への移住に,強力な優遇を行うことが一つ.
 地方自治体が主体となって中小規模の稲作農家を統合する農業法人を設立することがもう一つ.
 まだよいアイデアはあるだろうが,要するに都市からの移住者が稲作を始められるように行政がテコ入れするのだ.
 都市部で非正規雇用の状態に苦しんでいる若者はたくさんいる (非正規雇用者総数は2000万人以上) はずだ.
 そのような若者たちを農村に誘う政策を政府に求める国民は私だけではないと思う.
 
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2025年2月15日 (土)

「きちんとルールを守った上で撮影している撮り鉄」って本当にいるのかいな?

 アサ芸biz《「示談しようとしたら逃げられた」撮り鉄の怒りの投稿が大炎上に発展したワケ》[掲載日 2025年2月15日] から下に引用する.
 
「迷惑撮り鉄」なるワードが近年ニュースを騒がせるようになった。線路や私有地に無断侵入したり、駅員に暴言を吐いたり、電車を緊急停止させたり。撮り鉄同士のトラブルも多発しており、撮影の邪魔になった相手をSNSにさらす行為も散見されるのだ。
(中略)
「撮り鉄」と一括りにしてしまいがちだが、きちんとルールを守った上で撮影している人がほとんどだ。SNSは本人の意図せぬところで拡散する可能性もあるため、言葉選びには慎重になる必要があるだろう。(ケン高田)
 
 全国各地で発生している「撮り鉄」による騒動について書くライターたちは,異口同音に文末に《きちんとルールを守った上で撮影している人がほとんどだ》と述べる.
 ほんとかなあ.
 時々JRなどで「○○ラストラン」があると「撮り鉄」たちがプラットホームに密集して怒号が飛ぶ.
 あれをテレビ報道で見ている限り《きちんとルールを守った上で撮影している人》はほとんどいない,としか思えぬ.
 運行中の列車の撮影スポットに寄り集まる「撮り鉄」たちもテレビで紹介されるが,ほぼ全員が線路脇の私有地に勝手に入り込んでいる.
 その体たらくのどこが《きちんとルールを守った上で撮影している人がほとんどだ》なのか,ケン高田とやらは根拠を示すべきだと言いたい.
 たぶん《きちんとルールを守った上で撮影している人がほとんどだ》と書かないと「撮り鉄」たちの攻撃を受けるからだろう.
 それが怖いなら,そもそも「撮り鉄」がらみの記事なんぞ書かなきゃいいのである.
 
 ところでよくあるJRの「○○ラストラン」だが,プラットホームへの入場を有料にしたらどうだ.
 チケットは十万円くらいがいいだろうと思う.
 頭に血がのぼっている「撮り鉄」なら十万円くらい出すのではないか.
 百人がチケットを買ってくれれば一千万円の収入になる.
 悪いビジネスではないと思う.
 ついでに,ラストランから一年したら「復活ラン」はどうだ.「ラストラン」と「復活ラン」を周期的に実施するのである.
「ブルトレ復活!」とかのイベントはよくやっているよね.
「乗り鉄」や「時刻表鉄」は知的なイメージがあるが,「撮り鉄」は知能が低そうだから,そういうイベントに易々と引っかかりそうだ.
 
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2025年2月14日 (金)

日本共産党は絶滅危惧種を食べるべきでない /工事中

 私のこのブログで,頻繁にF5アタック (註) を受ける記事がいくつかある.
 その一つが《中国系メディアが拡散するウナギを巡る嘘》[掲載日 2023年9月 7日 (木)] である.
 
 (註) F5アタックについては,Wikipedia【DoS攻撃】から下に引用する.
ブラウザの再読み込み
 ウェブブラウザに備わっているページの再読み込み機能を使用し、Webサーバに大量にリクエストを送りつける攻撃はF5アタック(F5攻撃)と呼ばれることがある。この名称は、「F5キーを連打する攻撃」であることに由来する。
 Windows上で動作するウェブブラウザでは、F5キーが更新機能に割り当てられていることが多いため、F5キーを押下するたびにWebサーバにリクエストが送られることになる。
 
 私はこの種の「攻撃」の方法に詳しくないのでよくわからぬが,ウェブを調べたところ.数十人規模で何時間も行うものらしい.
 個人商店サイトの通販ページあたりにこれをやると,嫌がらせになるらしい.
 しかし私のブログに対するF5アタックは,毎秒一回の再読み込みを合計1000~1500回くらい繰り返すといった程度のものなので,それでココログのサーバーがダウンするはずもなく,他の読者のアクセスを邪魔できるわけでもなく,もちろん私も全く痛痒を感じない.
 つまり嫌がらせ効果ゼロの何の意味もないことをこのアタッカーは行っているわけだが,おもしろいことに私のブログ記事《中国系メディアが拡散するウナギを巡る嘘》を毎週一回,昼頃になるとやって来るのだ (IPアドレスは毎回違うが,たぶん同じ野郎だ).
 こいつはたぶんこの記事の内容が気に入らず,休みの日になると (週に一回の定期訪問ということは,毎日部屋に引きこもっている中学生ではないだろうし,シフトに入る仕事でもないだろう) ウナギの記事を読み,某中国系メディアに対する私の批判に怒ってF5キーの上に重りを載せて連打状態にして放置し,それからコンビニあたりに弁当を買いに出かけ,帰ってきてF5キーの上の重りを取り去ってゲームかなんかを始めるのだろう.
中国系メディアが拡散するウナギを巡る嘘》のどこが気に入らないのかわからないがおよそ想像はつく.
 実は,SNSに飛び交う流言は読むけれども科学論文を読む学力はない連中のあいだで「ニホンウナギが絶滅する可能性は全くない」という説が蔓延しているのだ.国際自然保護連合 (IUCN) が2014年にニホンウナギを絶滅危惧種に指定したのは,値段を吊り上げようとする陰謀だというのである.開いた口がふさがらないが,「地球温暖化」は陰謀だと主張するどこぞの国の大統領にも似て,なんとかにつける薬はない.
 
 さて,ウナギに関連するちょっと古いニュースを一つ.
 産経新聞《ウナギはブルジョアの食事? 共産党が11万円支出、Xで激論 田村委員長「私も食べる」》[掲載日 2025年1月16日] から下に引用する.
 
共産党の政治資金収支報告書(令和5年分)に記載されたうなぎ料理店への党費支出を巡り、党員、支持者らがX(旧ツイッター)上で激論を交わしている。党費でうなぎを食べるのは常識の範囲内として擁護する意見がある一方、党員や支持者らの生活感と乖離しているとの批判もある。うなぎはブルジョアの食事なのか-。
 きっかけは共産の斉藤優子目黒区議が昨年末、自らのXに投稿した自民党の高額会食批判だった。これに対し、かつて共産を支持していたとする投稿者が今月14日に「共産党も外でうなぎを食べたりと会食費を使っている」と批判。斉藤氏が「共産党はうなぎを食べたりしてはいけないと言いたいのか」と反発し、論争が始まった。
 
 斉藤区議の投稿のスクリーン・ショットを下に引用する.
 かなり攻撃的な文章であるが,区議会でもこうなんだろうか.
 
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 さらに続けて産経新聞《ウナギはブルジョアの食事? 共産党が11万円支出、Xで激論 田村委員長「私も食べる」》から下に引用する.
 
斉藤氏のXでは「常識の範囲内で会食をするのはいいと思う」「共産党だと鰻を食べたらあかんと言う合理的な理由を説明しろ」という擁護派、「うなぎはブルジョアの食事だ」「共産主義思想に反している」という批判派の議論が〝百花斉放〟となった。
 うなぎ論争に関し、田村智子委員長は16日の記者会見で、詳細は把握していないと断りつつ、「うなぎがブルジョアの食事なのかどうか。毎日、食べるものではないが、庶民にも手が届く食事であろうと思う。私も食べるときがある」と述べた。ちなみに、収支報告書に記載されたうなぎ屋への支出は2回分で計11万5800円だった。
 
 この問題は《うなぎがブルジョアの食事なのかどうか》ではない.
 ニホンウナギは絶滅危惧種であり,それを食べていいのか,という問題なのである.
 もちろん「絶滅危惧種だろうがなんだろうが,食べたけりゃ食べればいいのだ」という考え方の人は白焼きでも蒲焼でも食べればよろしい.
 だが日本共産党はかつて,しんぶん赤旗《真相深層 ウナギ絶滅のピンチ きょう土用丑の日》[掲載日 2013年7月22日] において《世界のウナギ資源が減りはじめたのは60~70年代。一方でこれ以降、消費が拡大しています。そして世界のウナギ消費の7割は日本が占めています》と述べた上で,ニホンウナギとヨーロッパウナギの絶滅に関して警告を発していたのである.(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
 同記事から一部を下に引用する.
 
環境省は今年2月、ニホンウナギを絶滅危惧種に指定。国際自然保護連合(IUCN)も絶滅のおそれがあるとしてレッドリスト入りを検討し始めました。
 減少はニホンウナギにとどまりません。ヨーロッパウナギはすでにIUCNのレッドリストに入っています。
 国内のウナギ消費拡大のきっかけは、1987年ごろから盛んになった中国での日本向けの養殖業にあります。中国では、ヨーロッパウナギの稚魚を空輸し、内陸部で輸出向けに養殖しています。ヨーロッパウナギの減少にも日本が深くかかわっています。
 中国の安い労働力で大量生産した加工品を含めて日本の大手スーパー、コンビニ、牛丼チェーン店などが大量に仕入れ、低価格での販売競争を今夏もくり広げています。
 井田さんは「ウナギが置かれた状況は、現代の自然環境や食生活のあり方を映し出す鏡のようなもの。土用の丑の日を、ウナギとの付き合い方を考え直すきっかけにしてほしい」といいます。》(註;文中の《井田さん》は『ウナギ 地球環境を語る魚』の著者でジャーナリストの井田徹治氏を指す;このブログの読者諸氏は,しんぶん赤旗の記事原文を読んで頂きたい)
 
 さて私はブログ記事《中国系メディアが拡散するウナギを巡る嘘》の中で次のように書いた.
もし近い将来にニホンウナギが絶滅するとすれば,それは我が国にとって恥と言うべきことである.
 生物学的な理由によってだけでなく,稚魚乱獲に絡む密輸だとか裏社会だとかが関係しているからである.
 またニホンウナギは絶滅危惧種なのに,土用の丑の日になればテレビのニュース番組クルーが街中のうなぎ店にロケに行き,「丑の日といえばうなぎですね!」と煽る.そして同じ番組でSDGsを視聴者に訴えたりする.節操のないことだ.
 遠い将来,ニホンウナギの完全養殖が可能になるかも知れない.研究者たちが成果を出すまで,私たち庶民は,丑の日にうなぎ蒲焼を財布をはたいて食べるという愚かなことをやめたらいいと私は思う.
 
 上に示した記事から遡ること七年前,今から九年前の秋 (2016年9月) に藤沢駅近くの「はま吉」という店で鰻重を摂って,それをブログ記事にして以来,私はウナギを食うのをやめている.
 国連サミット (2015年9月) で加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された SDGs(Sustainable Development Goals)に「そうだよなあ」と納得したからである.
 Wikipedia【持続可能性】によれば,《もともと、sustainability(持続可能性)は水産資源を如何に減らさずに最大の漁獲量を得続けるかという水産資源における資源評価という分野の専門用語であった》という.つまり水産資源に関する専門的議論を環境全般に拡張した概念がSDGsだ.
 であるからして,水産資源の持続可能性こそはSDGsの基本なのである.
 とはいえ上に記した文章は,私の個人的意見に過ぎない.「ニホンウナギが絶滅したって別にオレの知ったことではない」と思う人は鰻蒲焼に舌鼓を打てばよろしい.
 

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2025年2月13日 (木)

この国の愚かな民が繰り返す買占めと売り惜しみの底なし沼 /工事中

 NHK《政府 備蓄米放出へ 来週にも概要示す方針 調整急ぐ》[掲載日 2025年2月8日] から下に引用する.
 
コメの価格高騰が続く中、政府は7日、備蓄米をできるだけ早く放出する考えを示しました。来週にも入札で売り渡す数量など概要を示す方針で、調整を急いでいます。
 江藤農林水産大臣は7日の会見で「備蓄米の活用について総理から早急に進めるよう指示があり、実施に向けた準備を急がせている」と述べ、政府の備蓄米をできるだけ早く放出する考えを明らかにしました。
 放出を急ぐ背景として、農林水産省はJAなどの集荷業者にコメが集まらない状況が続き、流通が停滞していることを挙げています。
 備蓄米は今後、集荷業者を対象に入札で売り渡される予定で、農林水産省は早ければ来週にも入札の概要を示すことにしています。
 具体的には、まずは売り渡すコメの数量や生産年、入札の時期や回数などが示される見込みで、実際の入札日や売り渡しの具体的な時期などについてはその後に発表する予定です。
 農林水産省はどのくらいの備蓄米をいつ放出するか、公表に向けた調整を急ぐことにしています。
 政府の備蓄米は、これまで深刻な不作や災害時などに限って市場に放出するとしていましたが、農林水産省は先月、コメの流通が滞っていると判断した場合でも一時的に市場に放出できるよう運用を見直しました。
 コメの価格高騰が続く中、流通の円滑化を目的に備蓄米が放出されれば今回が初めてのケースとなり、コメの価格の安定につながるか注目されます。
 
 今,米の価格が高騰を続けている原因は,消費者による買いだめと,流通業者による売り惜しみだと専門家は分析している.
 NHK《“消えたコメ21万トン”はどこに? 価格高騰の課題と対策は?》[掲載日 2025年2月7日] から下に引用する.
 
――農林水産省は「コメの生産量は増えているのに、行方がわからなくなっているコメが21万トンある」と指摘していて、これが価格高騰の背景にあるとみています。「行方不明のコメ」「消えた21万トン」などと言われているコメは、どこに行ったんでしょう?
 
 盛田:
 原因は複合的ではないかと私は見ています。実は総務省の家計調査を見ると、コメ不足や価格高騰が騒動となった去年8月以降の4か月に、前年比で14%ほど多くのコメが買われています。1世帯あたり3.1キロになるんですね。この増えた分のコメの多くは消費されずに家庭でストックに回されていると考えられ、日本全体では11万トンほどになります。
 しかも、これは2人以上世帯を対象にした調査なので、単身世帯は計算に含めていません。
 現在、問題となっている「行方不明の21万トン」のうち、半分強は家庭でストックされ、残りが流通段階で積み増しが行われていると私は見ています。
 消費者も卸売業者も、再びコメが品薄になる事態に備えていつもより余計に新米を確保している分、価格高騰と品薄が続く事態になっていると思います。
 

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2025年2月12日 (水)

中国郵政の配達は乱暴だ

 下の写真は,アマゾンで中国製の商品を買った際に,配達されてくる商品の荷姿である.
 中国邮政 (中国郵政) と書いてある.アマゾンの利用者にはお馴染みのものだ.
 
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 以前はこの荷姿でアマゾンに入荷した商品をヤマト運輸などの業者が各戸に配達していたのだが,現在はChina Post (中国邮政) が配達している.
 ちなみに,アマゾンが現在使っている業者は,Amazonの自前の配達網,ヤマト運輸,佐川急便,日本郵便,プラスカーゴサービス,China Post である.
 かつては上に示した荷姿の商品をアマゾンが箱に包装し直して,これをヤマト運輸とか日本郵便が各戸配達していたのだが,最近の China Post は中身がなんだろうと構わずこのままの荷姿で配達する.
 従って時として破損事故が発生する.
 
 さて話は代わって拙宅の浴室のシャワーのこと.
 拙宅の浴室の壁に,どこのお宅でも一緒だと思うが,シャワーヘッドをかけるための「シャワーヘッドホルダー」がある.
 このホルダーはネジ留め方式なのだが,グラグラ動くようになってきた.
 そこで交換しようと思い,アマゾンで販売されているシャワーヘッドホルダーを注文した.
 アマゾンの商品説明ページのスクリーン・ショットを下に示す.
 
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 上の画像で,四角い部分は透明の薄いプラスティック製であり,裏面に粘着剤が加工してある.
 これを浴室のタイルに貼り付ければいいのである.
 ところが,China Post が配達してきた商品は,破損していた.
 下の画像のように,四角いプラスティック部分が折れ曲げられていたのである.
 
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 薄いフィルムならなんとか元に戻せるかも知れないが,割と厚みがあるので,どうやってもだめであった.
 こういう破損の可能性がある商品を箱ではなく袋に入れて発送する中国のメーカーもロクデナシだが,案の定ものの見事に破損させて配達する China Post もロクデナシである.
 でも日本はもはやモノづくりの国ではない.こんな製品を作れる業者は日本のどこにもない.
 日用品でも家電でも,悲しいかな中国に作ってもらわないと私たちの生活は成り立たないのである.
 トランプ大統領のポチになった石破総理は,そこら辺をどう考えているのか.豪華な兜を差し上げて,その代わりにサイン入りの紙 (註) と写真集をもらつてヘラヘラ笑っている場合ではないぞ.
 
 (註) 日本の礼儀では,色紙には例えば「石破茂さん江」とか相手の名を書くのだが,トランプは事前に用意した紙にサインする時に石破総理の名前を思い出せなかったので,名前を省略して“Mr. P.M.”と書いた.
「日本のトップなんて名前を覚える必要ないから,次に来たやつにもこのコピーをやればいい!」という手抜き感バリバリ.
 その無礼な「色紙」がこれ (↓).
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2025年2月 8日 (土)

嘘つき石破の面目躍如

 NHK《トランプ大統領 USスチール「買収でなく投資」 日鉄と来週会談》[掲載日 2025年2月8日] から下に引用する.
 
日米首脳会談を受けて、アメリカのトランプ大統領は日本製鉄によるUSスチールの買収計画をめぐり「買収ではなく、多額の投資を行うことで合意した」と述べたうえで、来週、日本製鉄の幹部と会談し、協議する考えを示しました。
関係者によりますと、大統領との会談が実現すれば、会社側は雇用創出などにつながる投資計画について説明する見通しです。
 トランプ大統領は7日、ホワイトハウスで石破総理大臣との首脳会談のあとの記者会見でUSスチールについて「買収ではなく、多額の投資を行うことで合意した。彼らは取り引きを成立させるためには大規模な投資をする必要がある」と述べ、来週、日本製鉄の幹部と会談し、協議する考えを示しました。
 関係者によりますと、トランプ大統領との会談が実現すれば、会社側はUSスチールの成長や地域の雇用創出などにつながる投資の計画について詳しく説明する見通しです。
 また、買収が完了したあとUSスチールの社名を残すことや取締役の過半数をアメリカ国籍にすることなど、地元に根ざした経営を行うことも改めて伝える見通しです。(以下略)》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
 
 トランプ大統領が《買収ではなく、多額の投資を行うことで合意した》との理解であるのに対して,石破首相は「日本製鉄による買収計画の本質は投資である」とトランプ大統領に説明したという.
 たぶん首相側の英語での説明は「買収計画の本質は投資であるから,投資と言う形で構わない」だった可能性が高い.
 しかし,買収と投資ではエライ違いだ.買収とは全株取得のことだが,投資という形の株式取得では,日本製鉄はUSSの経営権を部分的にしか得られないからである.
 にもかかわらず首相は,日本製鉄に「買収が投資であると言う説明をトランプ大統領は理解した」と説明した.
 それは日本製鉄が《買収が完了したあと》と述べていることからわかる.
 USSを買収 (全株取得) できるならば,《USスチールの社名を残すことや取締役の過半数をアメリカ国籍にすること》などは日本製鉄にとってはどうでもいいことなのである.
 こうして日本製鉄は,これまで通り買収計画を進められると誤解しているに違いない.
 自民党総裁選の時の約束を,首相になったらしれっと反故にした嘘つき石破の面目躍如である.
 だがこういう嘘は,一週間後にトランプと日本製鉄の協議が行われればすぐ破局する.
 首相サイドとしては,それまでになんとか日本製鉄を説得しなければならなくなった.
 どうするつもりだろう.日本製鉄に,USS買収を断念させ,新たに投資計画を策定させるしかないが,この件からの日本製鉄完全撤退もあり得る.
 
 日米首脳会談の記録が,英語と日本語とで齟齬があるのはよくあることだ.齟齬がある (意図的な誤訳がある) 事実に敢えて触れないでバラ色決着を行うのである.
 今回は日米首脳共同声明にUSSのことは書かれていない.さすがに最初の日米首脳会談共同声明にあからさまな嘘の証拠を残すのはまずいから,口約束を紹介するにとどめたのだろう.(参考資料;日本経済新聞《日米首脳共同声明の全文(対訳付き)》[掲載日 2025年2月8日])


 
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2025年2月 6日 (木)

アメリカ帝国がガザを領有するとトランプは宣言した /工事中

 昔々,私が大学生の時,「アメリカ帝国主義」あるいはこれを略して「米帝」という左翼用語があった.
 今の学生たちは知らないだろう.実際の話としては,大学受験のために学ぶ必要がある「世界史」は第二次世界大戦までであるから,第二次大戦後,欧州列強がアジアやアフリカの植民地支配から撤退させられたあと,自由と独立を求める世界各地の民族の前に立ちはだかったのがアメリカ合衆国であった.
 私が高校生の時,「民族の自由と独立」を圧殺せんとしたのが「自由の国アメリカ」であったという不都合な真実を高校の授業で教えるわけにはいかないし,入試問題にすることももちろん文部省が許さない.今でもそうだと思うが.
 それで,大学に入ると日本と世界の戦後史の闇,すなわちアメリカ帝国主義についてそれこそ自由に学ぶことができるようになると,日本の青年たちは一斉に反米愛国者になったのである.
 六十年安保闘争も,その後のベトナム反戦運動も,1968年の学生運動高揚も,反米愛国を基調としていた.

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2025年2月 2日 (日)

字幕の自動生成

 YouTube の画面を表示させ,[設定] の [字幕] を [日本語 (自動生成)] にすると,動画の音声が字幕になって表示される.
 大抵の場合はそれで支障はないのだが,時として突拍子もない誤訳が生じる.
 その例の一つに,YouTube《【放置厳禁】知らないと後悔する糖尿病『手』のSOSサイン【注意な合併症】初期症状を現役医師が簡単解説します。》を挙げる.
 この動画は,糖尿病について医師が解説するという内容なのだが,字幕生成をオンにすると次の字幕が表示される.
 
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 まあ,「豆乳病」は「糖尿病」の間違いだということはすぐわかるのだが,字幕の自動生成は完璧ではないということである.
 念の為,「豆乳病」という病気が実際にあるか (あったら困る) を確認してみたが,存在しないことがわかった.
 それならこの誤表示に実害はない.よかったよかった.
 
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2025年2月 1日 (土)

性加害者を擁護する人たち 2/6の追記あり

 昭和の昔に流行った文学の一ジャンルに「経済小説」があった.
 戦後すぐの流行作家である源氏鶏太が創作した一連の「サラリーマン小説」が源流だろう.
 源氏鶏太の作品からユーモア風味を取り去り,時にはあきらかなモデル企業を取り上げて書かれたのが経済小説である.
 小説の舞台は銀行,商社,デパートなど様々であるが,企業社会における権力闘争をリアルに描いて大衆の共感を得た.
 代表的な作家としては,城山三郎,高杉良,山崎豊子,池井戸潤などである.
 これとは別に,実在する (した) 企業経営者や財界人を題材にしたドキュメンタリ作品も多く,かつて会社員だった私のような昭和の老人たちに人気があった.
 現在進行中のフジテレビの騒動は,いずれ誰かがドキュメンタリ作品化するように思われる.
 
 さて中居正広による性加害を発端とする今回の騒動は,国会で野党議員が首相に質問を行うという事態になっている.
 フジサンケイグループというコングロマリットに君臨する日枝久氏は,フジテレビの混乱を収拾できない港前社長と嘉納前会長を引責辞任させ,代わりにフジ・メディア・ホールディングスの清水専務をフジテレビの新社長に据えた.
 この清水新社長の就任こそは,日枝体制をこのまま継続するぞという日枝氏からのメッセージであり,これは会社における人事権というものの実際を如実に示したものである.
 この状況に,性加害者である中居正広を擁護する有名人としてプレジデントオンライン《中尾ミエ◎、キムタク○、さんま×…中居正広引退で見えた「示談金返せ」並みにひどい二次加害コメント》[掲載日 2025年1月31日] が列挙したのは以下の人々である.
 
要潤,明石家さんま,笑福亭鶴瓶,鈴木おさむ,立川志らく,那須川天心,渋谷慶一郎,山里亮太,エハラマサヒロ,古市憲寿
 
 また更には,中居正広の擁護だけでなくフジテレビ擁護の発言をした者たちとして,日刊ゲンダイDIGITAL《「文春訂正」でフジテレビ大はしゃぎも…今田耕司、山里亮太、カンニング竹山ら“擁護”芸能人の行きつく先》[掲載日 2025年2月5日] は《文春の訂正でフジが勝気な態度になり、世間の反応に合わせて意見を控えていた“御用タレント”たちが、あからさまな擁護を始めています。フジにお世話になっていた背景や過去の自身への文春の報道に腹を立てている人もいるでしょうが、窮地のフジを今擁護すれば、復活後に重宝される可能性もありますからね。》として以下の人々を挙げている.
 
山里亮太,立川志らく,今田耕司,音喜多駿 (元参議院議員),カンニング竹山,デーブスペクター
 
 山里亮太は,文春の訂正記事のタイトルだけ読んで「中居クンは無実だった!」と喜んで騒いでいるそこら辺の中居ファンの子供たちと同程度の頭の中身であることがバレた.ニュースをちゃんと読め.
 山里は大バカだから論外として,バカは俳優の要潤と,自称「社会学者」の古市憲寿だ.
 要潤は中居正広を「人格者です」とほめ讃えたが,世間の反発に驚いてすぐ発言を削除し,なかったことにした.
 古市は,中居正広をモデルにした絵本などを何冊も出版して稼いだ恩義があるためか,中居の性加害自体を現在も認めていない.
 古市と同じく中居と親交があり,それらの出版物の共著者である劇団ひとりが沈黙を続けているのに比較すると,古市はかなーり頭が悪い.
 鶴瓶は,スシローのCMを降ろされたことを「とばっちり」と述べたが,とばっちりではない.中居正広に同情した発言がスシロー経営者の逆鱗に触れたに違いない.
 かつて飲食店で多発した迷惑行為について法的に筋を通したスシローとしては,迷惑行為のレベルを超えた中居の性加害に同情した鶴瓶をCMに起用し続けることは,企業価値を損ねると判断したのだろう.

[2/6の追記] スシローの態度に関する状況が変化した.会社員時代にコンプライアンス関係部署にいた私は,中居に同情している鶴瓶をCMから排除するとのスシローの判断を高く評価していたのだが,結局スシローのコンプライアンスは腰砕けで,鶴瓶が出るCMを再開する (2/6の報道) という.がっかりである.いっそのこと中居正広と鶴瓶のコンビをCMに使ったらどうだ.性加害ええやんとか,中居ファンのバカたちに受けるぞー.
 
 さて話を元に戻すと,鶴瓶と一緒に中居正広のパーティに参加したヒロミは,劇団ひとりと同じく中居の性加害について沈黙している.賢明である.
 ヒロミも劇団ひとりも,中居に同情したりすれば,自分だけでなく芸能人である妻の立場も損なうことを理解していると思われる.
 
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