商業的無菌
偶々「無菌状態」について用語の定義を調べていたら,「商業的無菌」について日本惣菜協会《ホームミールマイスター 2.無菌包装食品の特徴》にアホなことが書いてあった.スクリーン・ショット (11/11作成) で引用する.
上の引用文中に《商業的無菌とは、食中毒菌や病原菌が存在せず、常温流通下において腐敗や経済的損失をもたらさないような微生物が存在しないことを意味する》とあるが,ここまでアホだと,小学校から国語をやり直せと言いたい.(ここでの文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
否定を重ねることにより,この《》内の引用箇所の意味は「商業的無菌とは、食中毒菌や病原菌が存在せず、常温流通下において腐敗や経済的損失をもたらすような微生物が存在することを意味する」という肯定文と同じ意味になってしまう.
しかし商業的無菌とは「食中毒菌や病原菌が存在せず、常温流通下において腐敗や経済的損失をもたらすような微生物が存在しないことを意味する」であるから,まるで正反対の意味になってしまう.
そこら辺の中学生だって,こんな間違いはしないぞ.しっかりしてくれ,日本惣菜協会.
ちなみに「商業的無菌」とは米国の法律にある文言“commercial sterile”を訳した語である.
この“commercial”の訳語だが,「商業的な」ではわかりにくい.この場合の“commercial”は商業とか商売に関係があるわけではなく「実用上の」「実際上には」というほどの意味である.
そして,科学的な,あるいは学問的な意味で「微生物が一つの菌体すらも存在しない」ということではない.
微生物が存在しても,例えばレトルトカレーのように,予め設定した賞味期限に安全係数 (要するに安全性に余裕を確保している) を乗じた期間中,腐敗をもたらす微生物や,食品の価値を減じる微生物や,人体に危険な微生物が増殖しなければいいのである.
商業的無菌とは「実際上,無菌と同等と見做せる」ということだ.
日本惣菜協会は一般社団法人だが,だからといって,嘘デタラメを広報してもいいわけがない.
しっかりしてくれ.
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