トランプは日米同盟を取引に使うだろう
中央日報《ハガティ米上院議員「在韓米軍撤退検討指示、それが事業家トランプの交渉方式」》[掲載日 2024年11月12日] から下に引用する.
《ドナルド・トランプ2期政府で外交安保の要職に就くことが予想されるビル・ハガティ上院議員(共和・テネシー)がトランプ氏が任期1期目の時に「在韓米軍撤退の検討を指示した」という証言に関連して「事業家が交渉する方式」という解釈を出した。
ハガティ氏は10日(現地時間)、CBSのニュース番組に出演して「トランプ氏は在任時期、韓国と日本から米軍を撤退させる方案に言及した。今でもそうか?」という質問にこのように答えた。
ハガティ氏は「ワシントンの(政治)エリートは事業家が交渉する方式をよく知らない」と話した。続いて「米国は韓国戦争(朝鮮戦争)と第2次世界大戦以降、これらの場所に米軍を駐留させ、これは米国国民のための重大な投資だった」とし「その投資は(韓国と日本の)経済が崩壊した時にしたものだ。(しかし)いまはそれらの国々は先進国」と主張した。トランプ氏が韓日両国に防衛費をさらに負担させるために意図的に「駐留米軍撤退カード」を取り出したということだ。
ハガティ氏は「同盟を捨てる可能性があるというのは特に良いメッセージではないのでは」という質問には「同盟国は可能な範囲内で措置を取ることができ、取らなければならない」と答えた。
あわせて「日本の場合、国防予算を国内総生産(GDP)の1%から2%に2倍に増やし、これは肯定的な発展」としながら「彼ら(日本)はわれわれと緊密に協力しようと努力している」と強調した。ハガティ氏はまた「これがわれわれの進む方向で、韓国も同じこと」と付け加えた。
一例として、トランプ1期目最後の国防長官だったマーク・エスパー氏は回顧録で「トランプ氏が分担金交渉過程で在韓米軍全面撤退を主張し、マイク・ポンペオ国務長官が『2回目任期の優先順位にしよう』と提案して防いだ」と暴露した。》
中央日報は韓国のメジャーな日刊紙である.本社はソウル.時事通信社と友好関係にあり東京総局は東京都中央区の時事通信ビルにある.
上に引用した記事は,文字を着色強調した箇所が骨子である.
ハガティ上院議員の言う《事業家が交渉する方式》とは「商売的な駆け引き」という意味だ.
「カネを出さないなら米軍を撤退しちゃうぞ」という脅しをかけて,日本と韓国からカネを引き出そうとしているわけだ.
日本は,日米同盟 (外務省《日米同盟:未来のための変革と再編 (骨子)》が破棄されたら国際社会の中でやっていけないとして,日米同盟を支持する政党が議会で圧倒的である.
従ってトランプに「カネを出さないなら在日米軍を撤退しちゃうぞ」と言われたら是非なく応じるだろう.日本経済は大打撃を受けるが,背に腹は代えられない.
しかし韓国は事情が異なる.
トランプに「カネを出さないなら在韓米軍を撤退しちゃうぞ」と言われたら,日本と比較すると親米度が低い韓国の国民は「じゃあ中国と同盟を組めばいい」と考える可能性が高い.日本の自公連立政権と異なり,現在の韓国政権が不安定なのは明らかだ.
トランプは大統領二期目だから,一期目にやり残したことに手を付けて,日本にも例えば「国防費を5%に増やせ」などと要求してくる可能性はある.
さすがに共和党の有力議員はトランプの暴走を阻止すると思われるが,仮にトランプにそう要求されたら《事業家が交渉する方式》で「日本は安保条約を破棄する」という駆け引きが有効ではないか.
韓国が中国と同盟し,日本が日米同盟を破棄し,ついでにNATOも米国と距離を置く (トランプはNATOにも脅しをかけている) ことになったら,世界における米国の地位は大きく揺らぐ.
その結果,トランプの極端な孤立主義は国際社会における中国の覇権を確立させることになるだろう.
このような国際状況下,韓国のメディアの関心は,トランプが本気で (単なる脅しでなく) 在韓米軍を撤退させるかも知れない,という点にある.
ところが日本のメディアは在日米軍は日本から撤退しないものと信じ切っている.危機感が韓国とは大きく異なる.大丈夫か.
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