嘘つき管理栄養士「古山有紀」
「士」が付く資格の中で,際立って嘘つきが多いのは管理栄養士である.
そんな嘘つき管理栄養士の一人である古山有紀が書いた妄想記事を紹介する.(古山有紀のプロフ;古山有紀は病院で栄養指導をしていたというのだが,まことに恐ろしいことである)
ヨガジャーナルオンライン《〈アボカド〉食べ方によっては逆効果?アボカドの【残念な食べ方】とは|管理栄養士が回答》[掲載日 2024年8月26日] から下に引用する.
嘘つきは,嘘がバレると記事を書き直したりするので,スクリーン・ショット (9/13作成) も載せておく.
《アボカドは消化に時間がかかるスロー食品です。消化が早いファスト食品と一緒に食べると、腸内での消化時間が長くなり、腸が詰まる原因となるため注意が必要です。野菜では、トマト、かぼちゃ、ピーマン、パプリカがファスト食品であるため、サラダなど組み合わせて食べる際には意識して選びましょう。》
まともな自然科学教育を受けて健全な常識を身に着けた人々には,古山有紀の文章に唐突に登場する《消化に時間がかかるスロー食品》《消化が早いファスト食品 》とは一体何なのかと訝しく思うだろう.
実はこれ,日本で数年前に出版されたトンデモ本である,フランク・ラポルト=アダムスキー著『腸がすべて: 世界中で話題!アダムスキー式「最高の腸活」メソッド』(澤田幸男監修/東洋経済新報社刊/原著は2017年刊) に書かれていることなのだ.(アマゾンの書籍紹介ページ;☆四つの絶賛本だが,レビューを読むとトンデモ本であることをちゃんと指摘している人がいる)
アマゾンの商品ページに書かれている著者紹介は以下の通り.意味不明な反復行があるがそのままにしてある.
《著者について
フランク・ラポルト=アダムスキー(フランク ラポルト アダムスキー)
世界的に著名な自然療法士、オステオパシスト
フランク・ラポルト=アダムスキー
世界的に著名な自然療法士。オステオパシスト。
イタリア在住フランス国籍。1988年にドイツのハイルプラクティカー(代替医療専門医)国家資格取得。
2001年よりイギリス自然療法士協会会員。
1992年に発表された「アダムスキー式腸活法」は30年近く欧州で愛され続け、そのメソッドを紹介する著作は、イタリアのみならず、ドイツ、フランス、スペイン、ポルトガル、ベルギー、トルコなど世界中で話題に。
世界のセレブを中心に実践者が続出し、SNSなどで注目を集め、本書の原著が発売された2017年にはGoogle.itの食事法(ダイエット)部門で「最も検索されたキーワード」ベスト10に選出された。
現在はローマとミラノに診療所をもち、企業へのコンサルタントおよび美容専門学校などでの指導を行っている。
本書が、著者にとって待望の初の日本語の訳書になる。》
著者のフランク・ラポルト=アダムスキーは《世界的に著名な自然療法士》だと書かれているが,世界的に著名なのにWikipediaに掲載されていないのが奇妙だ.どうやら医師ではなく,そこら辺の整体師みたいな男のようである.
この怪しげな著者の本を監修し,書かれている内容を宣伝している澤田幸男という人物は医師らしいが,澤田がウェブにアップした雑文を紹介しよう.
OurAge《食べ合わせが重要!「ファスト」「スロー」食材を同時にとらないほうがいいワケは?/アダムスキー式腸活法<2>》[掲載日 2022年6月1日] から下に,これもテキストとスクリーン・ショットで引用する.
《ファストとスロー食材を同時にとらない
違う速度の電車を同じ線路に走らせ、前に遅い電車がいたらどうなるか? 当然、詰まって運行に支障が出ます。消化速度を考えずに食べたら、消化管でこれと同じ現象が起こります。
また、消化速度の違う食品を同時に摂取すると、消化管での流れが驚異的に遅くなることが実験で判明。
そこで「アダムスキー式腸活法」では、ファスト食品とスロー食品を同時にとらないこと、そして、きちんと間隔をあけて食べることを提唱しています。》
フランク・ラポルト=アダムスキーの「腸活法」について,澤田幸男は《違う速度の電車を同じ線路に走らせ、前に遅い電車がいたらどうなるか? 当然、詰まって運行に支障が出ます。消化速度を考えずに食べたら、消化管でこれと同じ現象が起こります》と書いているが,そんな現象は怒らないのが明々白々である.
私たちが食事を摂るとき,まず口腔内で咀嚼することにより,ある程度に細かくされて胃の中に送り込まれる.
胃では蠕動運動 (胃周辺の筋肉の収縮によって生じる) と胃酸およびペプシンの効果により摂った食べ物は粥状になり,十二指腸へ送られる.
食事を摂ってから胃が空腹の状態になるまでは約四時間かかる.
澤田によると,粥状態になった食べ物の混合物は,消化速度の遅い食べ物の粥状物 (遅い電車) が全体から分離されて十二指腸に入り,その次に消化速度の速い食べ物の粥状物 (速い電車) がこれに続くということになる.
せっかくほぼ均一になった粥状物が,どのようにして消化速度の遅い粥と早い粥に分離されるのかという説明はない.
説明ができないのは当然である.事実ではないからだ.
澤田の主張する「遅い電車」も「早い電車」も分離されることなく混然一体となって十二指腸から小腸へと送られるのである.
すなわち《違う速度の電車を同じ線路に走らせ、前に遅い電車がいたらどうなるか? 当然、詰まって運行に支障が出ます。消化速度を考えずに食べたら、消化管でこれと同じ現象が起こります》は妄想である.消化管でそんな現象は起こらない.
アダムスキーは種々の食べ物を,消化速度の遅い速いで分類しているのだが,消化の速い「ファスト食品」に分類される主な食品は果物 (ジュースなどの加工品を含む),トマトなどの野菜,ヨーグルトであり,肉,魚,穀物などそれ以外の多くの食品が消化の遅い「スロー食品」に分類されている.
一例を挙げると,トマトは消化が速く,小麦は消化が遅い食品である.
そのため,トマトソースで和えたスパゲッティは,《消化速度の違う食品を同時に摂取すると、消化管での流れが驚異的に遅くなる》ので腸を詰めてしまうと,アダムスキーと澤田は説く.
しかしトマトソースのスパゲッティは《消化管での流れが驚異的に遅》いなどということはない.腸を詰めたりしない.それを私たちは,日常の食生活で事実として知っている.
この例に限らず,事実に基づかないアダムスキーと澤田の妄想はまともに論じる価値のないものだが,問題は管理栄養士の古山有紀が,ヨガジャーナル誌を舞台にして懸命にこの非科学的妄想「腸活」の宣伝流布をし,病院で「栄養指導」をしていることだ.
ここまでくると,管理栄養士という資格の存在は,日本国民にとって有害であると言わざるを得ない.
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