嘘つき管理栄養士「野口久美子」
「士」が付く資格の中で,際立って嘘つきが多いのは管理栄養士である.
そんな嘘つき管理栄養士の一人である野口久美子の書いたバカ記事を紹介する.(野口久美子のプロフ)
ヨガジャーナルオンライン《袋のまま常温で保存・米びつで保存・冷蔵庫で保存→やってはいけないお米の保存法はどれ?栄養士が回答》[掲載日 2024年9月12日] から下に引用する.
嘘つきは,嘘がバレると記事を書き直したりするので,スクリーン・ショット (9/11作成) も載せておく.
《お米はどこに保存するのが正解?
お米のおいしさを保てる温度帯は15℃程度と言われています。ご家庭では、低い温度がキープできる冷蔵庫の野菜室がおすすめですよ。
ろうとなどを使ってペットボトルなどに移し替えるか、冷蔵庫に入る小さめの米びつに移して保存すると使い勝手がよく便利です。冷蔵庫に入りきらないものは、なるべく空気に触れないようにジッパー付き保存袋や密閉できる容器に入れ、涼しく風通しの良いところで保存してくださいね。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
米は日本人にとって特別な穀物だが,その品質を良好に保存するための条件についての研究は,実はそう古い話ではない.
私の知る限り,戦後になってから京都大学農学部教授の満田久輝 (1914年5月27日 - 2006年3月10日) 先生が先鞭を付けたと思われる.
満田教授の専門は栄養化学であるが,京大農学部農芸化学科から同食品工学科が分離したあとは食品工学分野の研究も行った.Wikipedia【満田久輝】に一行だけ記されている《日本栄養・食糧学会功労賞「食糧備蓄に関する基礎研究とその普及」》(1978年) がそれである.
当時の大学の研究環境では,大量の穀類を長期間低温に保管する設備がなかったので,満田教授は穀類を樹脂製の袋に入れて二酸化炭素を封入し,琵琶湖の水底に沈めるという方法で実験した.
米は保存温度が15℃以上になると品質低下を示すことがわかっていたが,琵琶湖の水底は水温が15℃以下だったからである.
満田教授の昔の論文を今から読む意味はないが,どのような実験だったか,参考までに文献を一つだけ紹介しておく.
・満田ら「穀類の水中貯蔵に関する研究 (第3報)」(栄養と食糧,第22巻第8号,p68;国立国会図書館に収蔵)
さてその後の米の保蔵に関する研究について,川村周三教授 (北海道大学農学研究院) が総説を執筆している.
川村「米の低温貯蔵・超低温貯蔵のすゝめ (すすめ)」(美味技術研究会誌,No.17,p1-4,2011) から下に少し引用しよう.
《図2に,米の貯蔵中の平均温度と貯蔵後品質との関係を表す概念図を示した。米は稲の種子として貯蔵中も生きている。米を低温で貯蔵すると米自身の生理活性や酵素活性が抑制され,貯蔵中の品質劣化も抑えられ,新米に近い食味を保持できる。すなわち,貯蔵中の温度が低ければ低いほど,米は高品質保持が可能である。したがって,低温貯蔵(15℃以下の貯蔵)や超低温貯蔵(氷点下の貯蔵)がお米を美味しく貯蔵するには最適である。一般家庭でお米(精白米)の保管は米びつ等で常温保管される場合が多い。しかし,いつも美味しいお米を食べるには,一般家庭でも米を冷蔵庫や冷凍庫の中に入れるのが“おすすめ”である。》
上の図2は概念図だが,品質の評点は貯蔵温度15℃以下なら何とか容認できるだろう.
しかし望ましくは10℃以下であれば評点8以上となり,10℃以下が貯蔵温度に適していることが明らかだ.
ウェブで資料を調査すると,精米業者のサイトはほとんどが15℃以下が貯蔵温度に適していると述べているが,これは貯蔵コスト (保冷庫の電気料金) とのバランスであろう.
貯蔵コストが許せば,川村教授が述べているように《貯蔵中の温度が低ければ低いほど,米は高品質保持が可能である。したがって,低温貯蔵(15℃以下の貯蔵)や超低温貯蔵(氷点下の貯蔵)がお米を美味しく貯蔵するには最適》であり《一般家庭でも米を冷蔵庫や冷凍庫の中に入れるのが“おすすめ”》である.
ところが,話を元に戻すと,管理栄養士の野口久美子はヨガジャーナルオンライン《袋のまま常温で保存・米びつで保存・冷蔵庫で保存→やってはいけないお米の保存法はどれ?栄養士が回答》に《お米のおいしさを保てる温度帯は15℃程度と言われています》と書いている.
精米業者は15℃以下をよしとしているのに,野口はどこからこの《15℃程度》を引張り出してきたのか不思議に思って色々と検索してみたら,ある米販売業者のサイトに「最適温度は15℃程度」と書かれているのを発見した.
おそらく野口久美子は,米の貯蔵温度について検索した時,この業者のサイトを最初に読んでしまったのだろう.
普通は複数の検索結果を比較検討するものだが,野口はものぐさなのだろう,それ以上調べることをせずに「最適温度は15℃程度」だと思い込んだのだ.ま,そんなところだろう.
考えてみると,米の貯蔵温度のことを管理栄養士が小賢しくあれこれ書くこと自体が不遜だ.
米の貯蔵温度は,栄養ではなく食品工学あるいは農芸化学の学問範疇のことだからである.己に知識がなく勉強する気もないなら,身の丈にあったことを書けと言いたい.
ちなみに,冷蔵庫の野菜室の温度について触れておく.
家電メーカーと家電販売会社は,冷蔵庫野菜室の設定温度を10℃以下に設計しているようだ.以下に例示する.
・パナソニック《省エネにもなる!冷蔵庫の適正温度と適切な食品の保存先》 から下に引用する.
《野菜室の適正温度の目安は約3℃から8℃です。
野菜や果物をできる限り新鮮なまま保存するための温度設定ですが、野菜の中には常温保存がおすすめのものもありますので、注意しましょう。》
・日立《冷蔵庫の各室の設定温度を知りたいです。》 から下に引用する.
《冷蔵室:
(棚) 約0~3℃
(ドアポケット) 約0~7℃
(特選氷温ルーム) 約-2~0℃
製氷室:約-19~-17℃
(上段冷凍室) 約-19~-17℃
(下段冷凍室) 約-20~-18℃
野菜室:
(上・下段スペース) 約4~8℃
(たて収納スペース) 約4~9℃》
・ノジマ《冷蔵庫の温度は何度がいい?野菜室や冷凍庫、チルド室など最適な設定を解説》 から下に引用する.
《野菜室は野菜を保存するためのスペースです。
庫内は、野菜を冷やしすぎないように若干高めの温度と湿度が保たれており、野菜の鮮度を維持してくれます。
野菜室の温度は約3~8℃が適正温度だとされています。
温度が10度に近いくらいの値であり、冷蔵室よりも若干高いとわかるでしょう。》
我が家の冷蔵庫は十数年前に買った日立製だが,理科実験用棒状温度計を入れて実測してみたら,5℃で,メーカーの設計値通りであった.
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