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2024年7月29日 (月)

労働歌 /工事中

 NHK《映像の世紀 バタフライエフェクト 安保闘争 燃え盛った政治の季節》[初回放送日:2024年6月3日] の番宣サイトから下に引用する.
 
2度にわたり繰り広げられた安保闘争・激動の記録。60年安保闘争は、戦争の記憶がまだ生々しかった時代、若者に大人も加わり国会を取り囲む国民運動となった。映像は、闘争を牽引する若きカリスマを捉えている。全学連委員長・唐牛健太郎、人々は彼を現代の英雄と呼んだ。70年安保闘争では、戦後生まれの学生がゲバ棒と火炎ビンで武装し大学に立てこもる。だが闘争の末路は凄惨な事件を引き起こし、国民の支持を失っていった。
 
 上の引用箇所の《闘争の末路は凄惨な事件を引き起こし》の《凄惨な事件》とは「山岳ベース事件」のことだが,この事件の当時に若かった世代の人間には,これを左翼の「闘争」だと言われると,それは違うと言いたくなる.
 
Wikipedia【山岳ベース事件】から下に引用.
山岳ベース事件(さんがくベースじけん)とは、1971年から1972年にかけて連合赤軍が群馬県の山中に設置したアジト(山岳ベース)で起こした同志に対するリンチ殺人事件。警察庁においては大量リンチ殺害事件と称される[1]。当時の日本社会に強い衝撃を与え、同じく連合赤軍が起こしたあさま山荘事件とともに新左翼運動が退潮する契機となった。
 
 概要
 本事件は1971年(昭和46年)年末から1972年2月にかけて、新左翼の組織連合赤軍が警察の目を逃れるために群馬県の山中に築いたアジト(山岳ベース)において、組織内で「総括」が必要とされたメンバーに対し、人格否定にも近い詰問・暴行・極寒の屋外に放置・絶食の強要などを行い、結果として29名のメンバー中12名を死に至らしめた事件である。本事件による犠牲者の続出、脱走者や逮捕者の続出で最終的に5名だけになったメンバーは警察の追跡を逃れる過程であさま山荘事件を起こすことになる。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
 
 大量リンチ殺害事件は確かにショッキングだったが,この事件の特殊性は,殺害事件の首謀者たちの異常に低い知的能力である.
 それは,彼らが「思想」と思い込んでいたものが,普通の大人にとっては,空疎な言葉の羅列に過ぎなかったことに端的に示されている.
 Wikipedia【山岳ベース事件】には《新左翼の組織連合赤軍》とあるが,当時の左翼運動を知る者にとっては,彼らは「新左翼」ではない.
 少数の幼稚な者たちが集まって革命ゴッコをしたに過ぎない.
 彼らの革命ゴッコは,1950年代に日本共産党が作った非合法組織「山村工作隊」以下の幼児性を示している.(Wikipedia【山村工作隊】)
 また彼ら山岳ベース事件首謀者たちがスターリンをミニチュア化したような粛清殺人を行ったことは,彼らが,反スターリニズムを思想上の基本とするいわゆる「新左翼」でないことを示している.
 もちろん全共闘運動にはそもそも非公然闘争は存在しなかったし,新左翼諸セクトの主たる運動は公然闘争であった.
 従って,連合赤軍の大量殺害事件が明るみに出た時,各大学で全共闘運動に参加していた学生たちに,これは寝耳に水の話であった.
 全員合わせて数十人しかいないくせに革命だとか粛清だとか,どこの世界の話だと思ったはずである.
 第一「赤軍」というネーミングが笑わせた.「赤軍」はレーニンだとかスターリンだとか,あるいは毛沢東だとかのスターリニズムの軍隊の話だ.
 それでも何万人もいる軍隊なら「赤軍」といっても恥ずかしくないが,たった三十人で,おもちゃの兵隊みたいなショボイ「武装蜂起」の訓練をして,それすらちゃんとできずに仲間内の嫉妬で自壊したなんて聞くと,情けなくて涙がでる.
 この幼児性は,連続企業爆破事件を起こしたことで知られる「東アジア反日武装戦線」に属する三グループの名称が「狼」「大地の牙」「さそり」だったことからもわかる.
 彼らはこの名称をいかにも孤高の戦士みたいでカッコイイと思ってたんだろう.マンガしか読まないとこうなる.
 上記の連合赤軍と重信房子らの日本赤軍などの母体となった共産主義者同盟赤軍派 (1969年に結成;ややこしいがこの組織の略称は「赤軍派」である) は「よど号ハイジャック事件」を起こした際に《われわれは明日,羽田を発たんとしている.われわれは如何なる闘争の前にも,これほどまでに自信と勇気と確信が内から湧き上がってきた事を知らない.……最後に確認しよう.われわれは明日のジョーである》との声明文を出した.(声明文中では「あしたのジョー」を「明日のジョー」と間違えた.頭悪すぎだ)
 このハイジャック実行犯たちの声明もマンガの影響があからさまだ.

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