« 恥ずかしいことに東陽証券の杉野光男は大卒で著書もあるのに無知だ どんな本だよ | トップページ | 年金生活者のための激安PC /工事中 »

2024年7月13日 (土)

中国の危険な食用油

 Reuters《中国、食用油の燃料トラック輸送で汚染疑惑 当局が調査と報道》[掲載日 2024年7月10日] から下に引用する.
 
[北京 9日 ロイター] - 中国国務院の食品安全委員会は、食用油の輸送に燃料タンクローリーが使用されたとの疑惑が浮上し、食品汚染の恐れがあるとして調査を開始する。国営メディアが9日に報じた。
 国内紙の新京報は先週、穀物備蓄大手の中国儲備糧管理総公司(シノグレイン)の燃料タンクローリーが、食用油、大豆油、シロップなどの食品を洗浄を毎回行わずに輸送していたと伝えた。
 国営の中国中央テレビ(CCTV)は、食品安全委が国家発展改革委員会(NDRC)や国家食糧物資備蓄局などと特別協議を開き、調査を行うと報道。「違法企業と関連する責任者は法律にのっとり厳重に処罰され、容認されない」と伝えた。
新京報は食用油問題は輸送業界の「公然の秘密」とし、CCTVは「毒を盛るのに等しい」と伝えた。
 シノグレインは先の声明で、倉庫に出入りする運送業者が食品安全規則を順守しているか調査すると説明している。
 
 中国の富裕層は,中国製の食品が危険であることは重々承知だ.
 それ故,自分たちは自国製の食用油は絶対に口にしない.
 それは愛国心とか習近平と共産党にに対する忠誠とは別の話だ.当然だね.
 しかし情報弱者である中国の一般国民は,自国の食品は安全だと信じているからどんどん食べる.
 むしろ「日本の水産物は危険だ」と信じている.
 私たちにはどうにも理解しがたいのだが,隣国においては共産党に対する忠誠心は,食品の安全より上位にある.
 
 中国の食用油が危険なのは昔からのことで,上に引用した記事に書かれている《食用油の輸送に燃料タンクローリーが使用》されているのは日本では周知の事実である.これは中国の食品企業が,私がまだ若かった四十年以上も前からやってきた公然の秘密だ.だから私にしてみれば「中国人はまだそんなことをやっているのか,懲りない連中だなあ」と思うしかない.
 しかし当の中国人にしてみれば「タンクローリーを洗浄なんかしていたらコストアップするじゃないか!何か問題あるのか!」ということだ.彼らにしてみれば「燃料油で汚染された食用油よりも,日本産の水産物のほうが余程危険ではないか」ということなのである.
 日本のニュースでは,この汚染食用油の問題について《国民から激しい怒りの声が上がっている》(JIJI.COM《灯油運んだタンクローリー、洗浄せず食用油を輸送 中国》)などと報じられているが,その怒りの声が次々にSNSから削除されている (無論政府よって) と報道しているメディアもある.
 ほんとのところはどうなんだろう.
 私は,中国の国民は食品安全にそれほどの関心はないとみている.政府が「日本の水産物は危険だ」と言えば何も考えず調べもせずに「そうだそうだ」と大騒ぎする程度の関心レベルだ.
 十年ほど前に大騒ぎになったあの「どぶ油 (地溝油)」だって,今の人々は無関心だ.事件後の今も時折摘発されることはあるが,もう誰も騒いだりしない.騒いでも,中国の食品が安全になることはないと,誰にもわかっているからだ.
 
Wikipedia【地溝油】
地溝油 (ちこうゆ、英: Gutter oil, sewer oil、中国語: 地沟油 / 地溝油、拼音: dìgōu yóu, 餿水油 (sōushuǐ yóu)) とは、主に中国において闇市場で流通している再生食用油のこと。工場などの排水溝や下水溝に溜まったクリーム状 (あるいはスカム状) の油を濾過し、精製して食用油脂として使われる油。日本では下水油 (げすいあぶら) と紹介されることも多い。また、ドブ油 (どぶゆ) などとも言われる。
 地溝油の収集、処理、再販売に特化した違法なサプライチェーンが、中国の規制当局によって発見された。中国の複数の高級レストランが、不法にリサイクルされた地溝油で調理していることが判明している。2012年に中国政府は、中国の製薬会社がセファロスポリン系抗生物質の製造の前駆物質として地溝油を使用したとして非難した。中国においては、石鹸、ゴム、バイオ燃料、プラスチック、化粧品などの製品を製造するための原料としても地溝油が使用されている。上海市では、2,000台以上のバスが地溝油から作られたバイオディーゼルで走っていたと報告されており、上海の多くのガソリンスタンドは地溝油から部分的に作られたガソリンを提供していた。
 販売価格が正規の食用油の半額以下の価格であるため、地溝油ビジネスは2011年時点で年間2億元もの規模にまで成長しており、中国では社会問題化している。2011年には、中国のレストランで使用されている油の約1割が再生油であると推定された。中国の一部の露店やレストランにおいては、食用に適さない再生油を違法に使用して食品を調理したと報告されており、中国政府によるそのような施設に対する取り締まりへとつながった。2014年には地溝油を製造している2つの製造業者が北京市工商局によって摘発され、2.3トンの地溝油と違法な製品が発見されたことを人民日報が報じている。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った.以下も同じ)
 
 なぜこんな危険な食用油が流通しているかというと,「どぶ油」の製造や販売をしている人々は「どぶ油」の流通経路とかメーカー名,商品名を承知しているから,自分や家族が間違って買ったり食べたりしないように気を付けているからである.
 これについてWikipedia【地溝油】には次の記述がある.
こうした危険な油が蔓延する背景には、下水から地溝油の製造に携わる人々の平均月収がエリートサラリーマン並の1万元にもなり、原料の収集から製造工程も含め地溝油で生計を立てている人々が多数存在することなどがある。購入する外食業者側も、調理に使って売却すれば自分の口には入らない
 
 飲食店側は《調理に使って売却すれば自分の口には入らない》から平気だ.
 地溝油を使用した料理を食うのは何も知らない客たちであって自分たちではないから,地溝油の使用をやめようとはしない.
 しかも,燃料油も地溝油も一緒くたに,同じタンクローリーで運ぶのだ.
 燃料油ならまだマシで,劇毒物だったりする可能性が捨てきれない.
 それくらい中国という国とその国民は,ヤバイのである.
 自分さえよければ他人がどうなろうと知ったことか.これが,かつて社会主義国であった国の国民の到達点なのである.
「一人は万人のために,万人は一人のために」(ソビエト共産党綱領) を標語にして経済的に平等な社会を目指した国々が,悉く「万人は一人のために,その一人は自分のために」となってしまったのは,そもそも経済的平等という概念にそうなる必然性が孕まれていた,というような話はさておき,「中国のヤバい油」は地溝油だけではない.
 
 日本ではあまり馴染みがないが,中国から東南アジア諸国では比較的メジャーな植物油に落花生油がある.
 中華料理では多用される食用油だ.
 この油自体に危険性があるのではないが,原料の落花生はアスペルギルス・フラブス (Aspergillus flavus) などのカビが増殖しやすく,アスペルギルス・フラブスの生産する猛毒 (アフラトキシン) が油溶性であるため,製品の落花生油を汚染することが多い.
 しかし地溝油の例にみられるように,中国という国は食品の安全性に関心が薄いから,アフラトキシンに汚染された落花生油が堂々と流通しているのが現状だ.
 
 さて話はここからである.
 私が大学の農学部を出てから,豊年製油という食用油メーカー (今はもう消滅している) に就職したことは別稿に書いた.
 この豊年製油の油脂販売部門が昭和六十二年,中国産の落花生油を輸入して家庭用に販売する企画を立てた.
 豊年製油には一応研究所があったのだが,食用油部門は食品安全には全く関心がなく,技術者には何の相談もなく中国産の落花生油を輸入してしまった.荷姿はドラム缶で,これを卓上用のガラス小瓶に充填して家庭用新商品とした.
 落花生油はそれほど知名度が高くないが,「中華料理に最適」という触れ込みだった.
 販売エリアは東京と大阪のみであったと記憶している.
 
 販売開始してから暫くして,味の素株式会社の研究所員から豊年製油の技術部 (清水工場内) のIさん (当時技術部の管理職だった先輩社員) に緊急の私信が入った.
 二人は植物油業界団体の技術部会の委員で,親しかったのである.
 緊急私信とは,味の素の研究所が,東京の店頭で販売されている食用油を買い上げて諸項目について分析を実施したところ,豊年製油の家庭用落花生油からアフラトキシンが検出されたという内容であった.
 連絡をくれた味の素の研究所員は,植物油中のアフラトキシン分析法を親切に豊年製油のIさんに教えてくれた.
 それは,当時はまだあまり普及していなかった微量有機化合物の分析法で,高速液体クロマトグラフ (略称高速液クロ) 法といった.
 豊年製油の技術部では低感度の公定法 (薄層クロマトグフ法) は可能だったが,高速液クロ分析はできなかったので,Iさんは味の素社が開発したアフラトキシン分析法のプロトコル (指示書) 私の研究室に持ってきて,問題の落花生油に含まれているアフラトキシンを分析して欲しいと言った.
 私はすぐにそのプロトコルに従って高速液クロ分析を実施した.試料は,大阪と東京に出荷されて店頭にある豊年の落花生油である.
 プロトコルに従って実際にやってみると,味の素社が開発したアフラトキシン分析法は,感度が高くてしかも定量性に優れていた.
 しかし問題の豊年製油製の落花生油について言えば,高感度性は必要なかった.
 なぜなら,国が定めたアフラトキシン規制値の数百倍もの濃度の多量のアフラトキシンが検出されたのである.
 驚いた私はただちにこの結果をIさんに報告した.Iさんは,輸入して既に出荷してしまった中国産落花生油が法違反であることを本社に報告して対策を立てると言った.
 それからしばらくして,私はIさんに「例のアフラトキシン汚染落花生油の件はどうなりました?」と訊ねた.
 Iさんは苦渋に満ちた表情で,本社が決定した驚くべき「対策」を私に答えた.
 
 昭和の終わり頃,コープ神戸は食品の安全性に強い関心を持っていて,阪神圏の店頭から種々の食品を買い上げて,食添などの分析を実施し,違法性があれば公表していた.
 従って,遅かれ早かれ問題の家庭用落花生油がアフラトキシン汚染されていることは,コープ神戸が分析して結果は公表されるだろう.
 営業部門は,阪神圏の小売店や問屋に適当な理由をつけて製品を回収した.
 そこまではまともな対応であったが,そのあとが酷かった.
 技術部のIさんは,営業部門を束ねる筆頭専務である嶋雅二 (のちに社長) に,店頭から回収した油の処理方法を具申した.廃油から石ケンを製造する業者に売って処分するのがよいという案を稟議書にして嶋の部屋に持って行った.アフラトキシンはアルカリで分解されるからである.
 稟議書の説明を聞いた嶋は,Iさんを「これだから技術屋はバカなんだ」と叱責した.
 Iさんによると,嶋は「回収した油を廃棄したら丸損じゃないか.こういうことはバレなければいいんだ.大阪で店頭から引き上げた製品は,東京で売ればいい.それなら損はない.お前たち技術屋はそういう損得勘定ができんのか!」と罵倒したという.
 そう言うと嶋は,Iさんが書いた稟議書を床に放り投げた.
 Iさんは役員室の床に膝をついて,散らばった稟議書を拾った.
 
 結局,アフラトキシンに汚染された中国産落花生油は,首都圏ですべて売りさばいたと聞いた.
 こうして図らずもIさんは,嶋雅二という悪徳経営者の違法行為に屈服することになったのである.
 
 今と違って労働力市場は流動的でなく,転職は容易でなかった.
 いったん会社に入ったら,経営者の命令に異を唱えることは,クビを覚悟するのでなければ,できない相談だった.
 内部告発という言葉すらまだなかった時代だ.心ならずも法の遵守を果たせなかった会社員として,Iさんは無念だったであろう.
 Iさんも嶋も,既に物故して久しい.私はIさんの供養の意味で,嶋雅二の犯罪をここに記しておく.
 
*********************************************
ウクライナに自由と光あれ
Pics2693_20220307154501
(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)


 

|

« 恥ずかしいことに東陽証券の杉野光男は大卒で著書もあるのに無知だ どんな本だよ | トップページ | 年金生活者のための激安PC /工事中 »

新・雑事雑感」カテゴリの記事