ドライカレーを弁当に入れるな!
TBS NEWS DIG《弁当のおにぎり「ラップで握ったまま」はNG?ブロッコリーにも注意!食中毒対策を専門家&管理栄養士がW解説【ひるおび】》[掲載日 2024年6月27日] から下に引用する.
《炊き込みご飯orドライカレー 食中毒対策にはどちらがいい?
答えは「ドライカレー」。
「炊き込みご飯」は具材から水分が出て傷みやすくなります。
「ドライカレー」はカレー粉に含まれるクルクミンに殺菌作用があるので、今の時期は「ドライカレー」がおすすめ。
カレー粉はご飯だけでなく、炒め物など他のおかずにも使えます。
管理栄養士 渥美まゆ美氏:
全て守ってくれるというわけではありませんが、抗菌的な作用が期待できるものは上手に活用すると美味しく食べられると思います。》
管理栄養士という資格は,食品衛生の知識がなくても取れる.
ところが世間はそう思っていないから,上の記事に登場する渥美まゆ美氏のような人が《カレー粉に含まれるクルクミンに殺菌作用がある》から《今の時期は「ドライカレー」がおすすめ》などという大嘘をかまして世渡りしていける.実になげかわしく,迷惑極まりない.
日本で販売されている香辛料や特にカレー粉 (パウダーのカレー粉の他に,固形やフレーク状の即席カレールーを含む) には,一般の耐熱性菌や,食中毒菌であるウェルシュ菌がかなりの高率で検出される.
カレー料理が腐敗しやすく,また食中毒の原因となりやすい理由は,香辛料やカレー粉 (同上) に存在する一般の耐熱性菌や,食中毒菌であるウェルシュ菌のせいである.
これはテキトーな座学勉強しかしてこなかった管理栄養士が知らない事実である.
そこで資料 (日本獣医生命科学大学《食のいま 第74号:香辛料のウエルシュ菌にご注意!) を紹介する.
《令和4年に発生した細菌を原因とする食中毒のうち、ウエルシュ菌によるものは事件数でカンピロバクターに次いでサルモネラ属菌と同順位の第2位(22件)、患者数では第1位(1,467人)、令和3年は事件数ではカンピロバクターに次いで第2位(30件)、患者数でも病原大腸菌に次いで第2位(1,916人)、さらに令和2年も患者数で第2位(1,288人)と、近年の我が国の細菌性食中毒の主要な原因菌の一つとなっております。
Clostridium属に分類されるウエルシュ菌(Clostridium perfringens)は偏性嫌気性グラム陽性芽胞形成桿菌であり、ヒトや動物の腸管内、土壌、下水、河川などの自然界に広く分布しておりますが、このうち、エンテロトキシン等を産生する一部のウエルシュ菌が食中毒の原因菌となります。多くのエンテロトキシン産生性ウエルシュ菌の芽胞は100℃1~6時間の加熱に耐えると考えられておりますので、通常の加熱調理では食品中のウエルシュ菌の耐熱性芽胞を死滅させることは不可能と思われます。
ウエルシュ菌は特に食肉に高い確率で汚染しておりますことから、食肉を使用した加熱調理食品(カレー、煮物、肉団子など)が媒介食品となることが多く、また、魚介類の加熱調理食品(煮物、フライなど)や野菜を用いた煮込み料理でも報告がみられます。一方、スパイスやハーブ、さらには多種類の香辛料を用いて製造されているカレールウからもウエルシュ菌が検出されることが報告されております。これら香辛料は植物ですので、自然界に存在する細菌で汚染されております。自然界に存在する細菌のなかで、ウエルシュ菌が属するClostridium属菌をはじめ一部の細菌が形成する芽胞は一般に熱、紫外線、乾燥などに強い抵抗性を示し、自然環境下で長期間生残します。スパイスやハーブといった香辛料は風味(香り、辛味)や色調を出すなどの目的で多くの料理に使用されますので、ウエルシュ菌に汚染されている香辛料を用いればその料理がウエルシュ菌に汚染されてしまいます。》(引用文中の文字の着色と下線による強調は当ブログの筆者が行った)
カレー粉 (パウダーの他に,固形やフレーク状の即席カレールーを含む) に含まれているクルクミンには弱い抗菌性があるが,とてもじゃないがカレー粉 (同左) 中に存在するウェルシュ菌の増殖を抑制できるような強い抗菌性ではない.
従ってカレー粉 (同上) を使った料理やドライカレーなどを弁当に詰めるのは,大切な家族を敢えて食中毒に追い込むような狂気の沙汰である.
繰り返すが,管理栄養士は食品衛生の知識がなくても世渡りできる.
テレビに出てきて「クルクミンには殺菌効果があるので……」などと御託を並べる管理栄養士を信用してはいけない.
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ウクライナに自由と光あれ
(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)
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