テレビ朝日の取材記者は,取材に行くべき相手を間違えた
テレ朝news《たまごの殻“白と赤”違いは色だけじゃない…栄養?価格?実は親鶏に差が》 から下に引用する.
《殻が白いたまごと赤いたまご。
色だけじゃなく、何が違うのか。価格?それとも味? 徹底取材しました!
■たまごの殻“白と赤”どっち選ぶ?
毎日の食卓に欠かせない たまご。
そんなたまご、殻が白いものと赤いものがありますよね。皆さんは何が違うと思いますか?
40代
「赤のほうが栄養がありそう」
20代・10代
「勝手に赤のほうが高いと思っちゃう。だからいつも白のほう(を買う)」
60代
「どっちでもいいんだけど、しいて選ぶなら赤。なんか栄養があるかなと思ったりして」
殻が白色のたまごと赤色のたまご、その違いは何なのでしょうか?
今回も、たまごの疑問をJA全農たまごに聞きました。
365日たまごを食べる大町(おおまち)さんによると…
JA全農たまご 経営企画部 大町慶子さん
「白いたまごと赤いたまごで大きな違いがあります」
白色たまごと赤色たまご、色以外の大きな違いとは?
味?栄養?値段?いったいなんでしょう?
■色だけじゃない“違い”いろいろ
JA全農たまご 経営企画部 大町慶子さん
「ニワトリに大きな違い」
ニワトリに大きな違いとは一体?
JA全農たまご 経営企画部 大町慶子さん
「赤いたまごは(羽の色が)茶色のニワトリ、白いたまごは(羽の色が)白いニワトリ」
実は、たまごの殻の色はたまごを生むニワトリの種類で決まります。
白色のたまごを生むのは白いニワトリ。一方、赤色のたまごを生むのは赤いニワトリ。
60代
「へぇー、そうなんですか。なるほど、納得です」
ちなみに白色のたまごと、赤色のたまごを割ってみると…
中身は同じように見えますが違いはあるのでしょうか?
■栄養?値段?“白と赤”の違い
JA全農たまご 経営企画部 大町慶子さん
「赤いたまごも白いたまごも栄養素や特徴については同じ」
なんと白色のたまごも、赤色のたまごも、親鳥に同じ餌を与えた場合は栄養価に差はほとんどないそうです。
20代
「へー」
10代
「赤い方が黄身が濃いと思っていた」
白色のたまごの方がお手頃なイメージですが、実際は?
JA全農たまご 経営企画部 大町慶子さん
「羽の赤いニワトリというのが、白いニワトリに比較すると体が大きい。エサを食べる量が多くなります。そのため、エサにかかるコストが大きくなり、その分価格が白玉に比べて赤玉の方が高くなります。赤いたまごの方が高級感あるようなイメージを持たれやすいので、ブランド商品として製造している」》
鶏卵業界には大別して生産者と加工業者があるが,いずれも業界でも白色の鶏卵を「白玉」,茶色~ピンク色の鶏卵を「赤玉」と呼ぶ.
「赤玉」の鶏卵は赤くはないが,業界用語としては「赤玉」という.私見だが,たぶん紅白饅頭の例のように赤白が色の対比として「めでたい」からだろう.
この卵殻の色について以下に簡単に説明する.
雌鶏の卵巣から卵管内に排卵された卵胞が,この卵管内をおよそ一日かけて通過する間に卵白,卵殻膜,卵殻が順次外側に形成されて,総排泄腔から体外に放卵される.
この産卵プロセスで,鶏の卵殻に,胆汁色素や,ヘモグロビン (赤血球の色素) の前駆物質の一つであるポルフィリンのそのまた前駆物質であるプロトポルフィリンが卵殻の表面に付着すると有色の鶏卵ができる.色素の付着は卵殻が形成されたあとである.有色卵でも卵殻の内側は白いことからこれがわかる.
さて鶏は,卵殻表面に色素が付着する種類としない種類がある.
我が国では白い羽毛の鶏の代表的な品種は白色レグホンであり,その卵は白い.
これに対して羽毛が茶色の鶏の代表格であるロードアイランドレッドは茶色い卵を産む.
このことから,羽毛の色と卵の色に関係があるという誤解が生じたが,実は無関係である.
自分一人で誤解しているだけならまだしも,その誤解を社会に拡散するのは許しがたい.悪質な例を挙げる.
クラシル《卵の色が違うと栄養価も違う?知っておきたかった卵の殻の豆知識》[掲載日 掲載日 2024年1月18日] がそれ.下に引用する.
《卵の殻が赤茶色をした卵を「赤玉」、白い卵を「白玉」と呼び分けられますが、その違いはいったい何でしょうか?
じつはふたつの違いは、親鶏の羽が関係しています。羽の色が褐色の鶏は赤玉、羽の色が白い鶏は白玉を産むというのが一般的な違いです。
品種改良により鶏の羽の色は関係がない場合もありますが、鶏種によって卵の色が決まることには変わりはありません。》
上に引用した文章は支離滅裂である.卵殻の色と《鶏の羽の色は関係がない場合》が一例でもあるなら《ふたつの違いは、親鶏の羽が関係しています》は否定されるからだ.
すなわちこの「論理的推論」の方法は,高校数学の「集合と命題」で学ぶ知識である.クラシルの記者はたぶん高校を卒業しているが,頭の中は中学生なのだ.
こういう無教育なメディアの記者が《卵の殻が赤茶色をした卵を「赤玉」、白い卵を「白玉」と呼び分けられますが、その違いはいったい何でしょうか? じつはふたつの違いは、親鶏の羽が関係しています》という嘘を世の中に拡散しているのだ.
生産者のサイトの中には「白玉を産む鶏にはプロトポルフィリンが存在しないから卵の色が白い」と記しているものがあるが,この業者 (鶏三和) は「白色レグホンの赤血球にはヘモグロビンがなくて無色なので卵も無色である」と言っているに等しい.こういう記事を書いている人間は,高校を多分卒業しているだろうが,頭の中は中学生なのである.
ウェブサイトにはこの件について述べた論文がみつからないが,キューピータマゴ(株),(株)食環境衛生研究所などの公式サイトは正しい認識を示しているので,紹介しておく.
さて問題はテレ朝ニュースに登場したJA全農たまご経営企画部の大町慶子さんだ.
「赤玉」は卵殻の色が茶色系統の卵を指す業界用語である.「赤玉」の色は赤くない.茶色だ.
しかるに大町さんは「赤玉」のことを「赤いたまご」と連呼し,遂には《羽の赤いニワトリ》とまで述べた.
そんなファンキーなニワトリがどこの世界にいる.
テレビ朝日の取材記者は,取材に行くべき相手を間違えたのである.
産業界へ取材に行くときは,まず会社の広報担当者に会い,しかるべき社内の専門家を紹介してもらうのが常識である.
それなのにテレ朝の記者は,何を考えたかいきなり全農の経営企画部というアサッテの方向の部署に突撃した.
冒頭に引用したテレ朝ニュースは,取材記者の常識レベルが低いとニュースの質が低くなるという例である.
ところで私が小学生低学年の頃,学校の前の道端とか縁日の屋台などで,詐欺師のおっさんが羽毛を赤や青に染めたヒヨコを売っていたものだ.(参考資料;現代ビジネス《日本で「ニワトリ」はこんな風に殺されている…知られざる現実》)
オバカな私は,それがきれいなニワトリになると思って一匹買って育てた.
当然だが成長したら普通の白いオスのニワトリになった.
私の父親はそのニワトリを知り合いにツブしてもらって,一家の夕飯のおかずにした.
私はとても悲しかった.
大町慶子さんにはそういう経験はないのかな.
大町さんの脳内お花畑では赤いニワトリが餌をついばんでいたりするのかも知れない.
あるいは彼女はイースターに赤い卵を買ってくるのかも知れない.それはそれでカワイイからいいけど.
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ウクライナに自由と光あれ
(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)
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