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2024年2月12日 (月)

桑子真帆キャスターの限界 /工事中

 NHK《「クローズアップ現代」放送30年 国谷裕子×桑子真帆 ~激動の時代を越えて~》[掲載日 2023年12月20日] から下に引用する.
 
今年、30年を迎えた「クロ現」。1993年の放送開始から23年間キャスターを務めた国谷裕子さんがゲストとして初登場し、桑子キャスターと共に“激動の30年”と“現在の危機”とのつながりを紐解きました。
☑ちょうど30年前、和平に向けて歩み出していたイスラエルとパレスチナは、なぜ今の状況に陥ったのか?
☑地球温暖化がもたらした深刻な気候変動…科学者たちの“警鐘”はなぜ届かなかったのか?
 国谷さんは、世界が危機意識を共有することの重要性を指摘するとともに、「メディアには、多くの人々を巻き込んで、変革を駆動していく役割を期待したい」というエールを送りました。(聞き手 桑子真帆キャスター)
 
 国谷裕子さんはテレビ報道におけるニュースキャスターという職業のあるべき姿を確立したひとだ.
 ニュースキャスターは,単に放送原稿を読むのが仕事のアナウンサーとは異なるということを世に知らしめたのである.
 そして国谷さんの《クローズアップ現代》は,彼女の信念を反映した番組であった.
 それ故,残念ながら国谷さんの信念は,安倍晋三におもねるNHK上層部の不興を買い,番組を降板させられた.
 この事件について彼女は,久米宏のインタビューにはっきりと「降ろされた」と答えている.(BookBang《国谷裕子「クロ現」降板の真相を語る 久米宏「あの会長じゃなかったら降板してなかった」》[掲載日 2017年4月4日])
 そのような事情があったから,昨年末にNHKが《クローズアップ現代》の放送三十年記念に国谷さんをゲストに招き,桑子真帆さんとの対談を放送した時,桑子さんが大先輩に対してどのように意見を交換するかを私は大いに期待した.
 この時の桑子さんは聞き手に徹してあまり自分の意見を述べなかったが,冒頭に引用した《「クローズアップ現代」放送30年 国谷裕子×桑子真帆 ~激動の時代を越えて~》から,ウクライナに関する部分を一部抜粋する.
 
私も今年2月に、対立をしているロシアとウクライナ双方の人たちを取材したんですね。戦時下のウクライナにも足を運んで、やはり実際に直接見て、聞いてみると、とても感じることがたくさんありました。必ずしもロシアとウクライナの中は一様ではなくて、いろんな人が、いろんな複雑な思いを抱えていたり、そこに分断があったり、事態は単純ではないんだなということを強く感じたんです。
 
 さて《クローズアップ現代》は先月,作家の佐藤優をゲストに招いて桑子さんとの対談を企画した.(《シリーズ 新時代へのエール② 他者を“理解”し合える世界へ 作家・佐藤優》[2024年1月23日])
 そこで佐藤優は,私たちは「プーチンの論理」を理解しないといけないとして,次のように語った.
 
今それ (当ブログ筆者の註;註プーチンの論理を認めること) をやっていかないと、われわれは殺し合いの道に入っていっちゃうからなんです。ウンベルト・エーコという小説家で哲学者、イタリアの人なんですね。この人が『永遠のファシズム』という本を書いてるんです。何でファシズムみたいなあんな乱暴な体制が生まれてくるのか。エーコさんによると、人間が群れをつくる動物だからだと。人を排除して自分たちのグループのほうが優越だと思っている、こういう特性がある。それだから常にファシズムがいけないものなんだ、そういうことをしてはいけないんだという教育を続けていかないと人間はそれをやっちゃう。そうすると自分たちと違う集団、自分たちから見ると異常なこと、残虐なことをしてるように見える人たちがどういう理屈を持っているのか、それをきちんと理解する。ですから、バイデンさんから見るとプーチンは悪魔なんです。プーチンさんから見ると、ゼレンスキーさんとバイデンさんは悪魔なんです。本当の悪魔のように見えるわけなんです。そういう価値観を持ってる人たちの論理を進めていくと世界は破滅しちゃうんですよ。
 ウクライナを巡る問題というのは、ウクライナ東部に住むロシア語を日常的にしゃべって正教を信じていて、自分たちのアイデンティティーはロシア人とウクライナ人が複合してるんだけど、ロシア人の要素のほうが強いっていう人たちの処遇を巡る問題で地域紛争だったんですね、最初。しかもミンスク合意というのがあって、このロシア系の人たちが実効支配している領域においては特別な統治体制をつくるように憲法を変えると。そうすれば、軟着陸できるという一応は仕組みはあったわけです。それからロシア人もウクライナ人を皆殺しにするってことは考えていないです。ウクライナ人もロシア人を皆殺しにするってことは考えていないです。ですから、ここにおいてはお互いに折り合いをつけることはできる。停戦というのは、それによってロシアが占領している地域を認めることにならないわけです。とにかく銃を置いて人が死ぬことをやめて、それでそのあと外交交渉で問題を解決していく。この方向性は可能だと考えてるからなんですね。》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
 
 佐藤優は《バイデンさんから見るとプーチンは悪魔なんです。プーチンさんから見ると、ゼレンスキーさんとバイデンさんは悪魔なんです》と述べて,戦争責任を相対化してみせる.
 一飯の日本人の感覚では,ロシアがウクライナを突然に侵略したことは非道なことだと思うのだが,佐藤優は,ロシアにはロシアの正義があるのだと主張する.
 ロシアのウクライナ侵略戦争が始まったとき,テレビのコメント芸人たち (橋下徹や玉川徹など) はウクライナは降伏すべきだと主張した.
 軍事大国であるロシアにウクライナが勝てるはずがないから,ウクライナ国土の東半分をロシアに譲って停戦に持ち込むべきだと彼らは述べたのである.
 しかし橋下らは,ロシアには勝てないからウクライナは降伏しろと主張したのであり,正義はロシアの側にあるとは言わなかった.
 その点では,ロシアにはロシアの正義があると主張した佐藤優や鈴木宗男とは一線を画していた.
 橋下や玉川らは,ウクライナがロシアを相手に善戦するのを見て降伏論を引っ込めたが,鈴木宗男は最初から変わらずに公然と,佐藤優はもっともらしい理屈で,依然としてロシアを支持している.
 ところが佐藤の主張にはかなりの無理があるので,これを正当化するためには歴史的事実を隠蔽歪曲する必要がある.
 すなわち佐藤優は桑子さんとの対談で《ロシア人もウクライナ人を皆殺しにするってことは考えていない》と述べたが,誰でも知っているようにこれは嘘だ.
 ロシアはスターリン独裁時代にウクライナ人を皆殺しにしようと試みた.ホロドモールである.
 
Wikipedia【ホロドモール】
ホロドモールは、ウクライナ語で飢え・飢饉を意味するホロドと、殺害、絶滅、抹殺、または疫病を意味するモルとの合成語・造語で、飢餓による殺害を意味する。具体的には、1932年から1933年(または1934年)にかけてウクライナ・北カフカース・クバーニなどウクライナ人が住んでいた地域をはじめ、カザフスタンなど、ソビエト連邦各地でおきた大飢饉を指す。この飢饉は、当時のソ連のスターリン政権による計画的な飢餓、または不作為による人災、人工的・人為的な大飢饉であったことが明らかになっている。ソ連政府の五カ年計画において、コルホーズ(集団農場)による農業の集団化や、クラーク(富農)撲滅運動において反ソ連分子を強制収容所(グラグ)に収容したり、さらに穀物の強制徴発、ノルマを達成しない農民への弾圧や処罰などを原因として発生した。「富農」と認定されたウクライナ農民たちはソ連政府による強制移住により家畜や農地を奪われ、「富農」と認定されなくとも、少ない食料や種子にいたるまで強制的に収奪された結果、大規模な飢饉が発生し、330万人から数百万人ともされる餓死者・犠牲者を出した。
 特にウクライナでの被害が甚大で、かつウクライナを標的としたソビエトの政策が飢饉の原因であったことから、ホロドモールはソビエトの政策に抵抗したウクライナの農民に対するソビエト国家による攻撃の集大成であるともされるホロドモールがジェノサイドに該当するかについては議論がある。ウクライナ飢饉、飢餓テロや飢餓ジェノサイド、スターリン飢饉などとも呼ばれる。》(引用文中の文字の着色と下線による強調は当ブログの筆者が行った)
 
 ロシアのウクライナ侵略が開始される直前,テレビの情報番組に頻繁に出演したロシア系のコメント芸人である小原ブラスは,「ロシアとウクライナは民族的に兄弟だ.だからプーチン大統領は絶対にウクライナを攻撃しない」と述べてプーチンを支持した.
 しかしそのすぐ後,ロシア軍はウクライナ北部から進軍し,

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