教育勅語の中に評価すべきことがあるなら，広島市役所は毎朝職員全員で教育勅語を唱和すればいい

　朝日新聞デジタル《「教育勅語」引用した研修「撤回を」 広島市役所前で90人が抗議》[2023年12月23日] から下に引用する．
　
《松井市長は2012年から、講師を務める広島市の新規採用職員と新任課長級職員の研修で教育勅語を引用していた。昨年の新規採用職員研修の資料の「生きていく上での心の持ち方」と題した項目では、教育勅語の一節として「爾（なんじ）臣民　兄弟（けいてい）に　友に　博愛　衆に及ぼし　学を修め　業を習い　知能を啓発し　進んで公益を広め　世務（せいむ）を開き」との文言を掲載している。
　今月11日には「教育勅語を再評価すべきとは考えていないが、その中に評価してもよい部分があったという事実を知っておくことは大切だ」とのコメントを出していた。》
　
　YouTube《【平和記念式典・平和宣言全文】広島市・松井一実市長「一刻も早く全ての核のボタンを無用のものにしなくては」》は2022年の平和宣言である．
　この松井一実市長の頭の中では「核兵器廃絶のためには，爾臣民，兄弟に友に博愛衆に及ぼし，学を修め業を習い知能を啓発し，進んで公益を広め世務を開」かねばならない，となっているのだろう．
　松井市長が執筆した研修資料中に《爾（なんじ）臣民》とあったのが致命的だ．引用するなら《兄弟（けいてい）に　友に　博愛　衆に及ぼし　学を修め　業を習い　知能を啓発し　進んで公益を広め　世務（せいむ）を開き》だけにしておけばよかったのに《爾（なんじ）臣民》としたために，松井市長の思想の根底に皇国史観のあることがバレてしまった．
《兄弟（けいてい）に　友に　博愛　衆に及ぼし　学を修め　業を習い　知能を啓発し　進んで公益を広め　世務（せいむ）を開き》は特に問題がないが，その前に《爾（なんじ）臣民》を置くと，たちまち皇国史観のプロパガンダになるのである．
　自分の思想を広島市民に訴えたいのであれば，正直に「大日本帝国平和宣言」とすればよかったのだ．式典がどうなるか知らんけど．
　
　松井市長は「教育勅語の中には評価すべきことがあった」と述べたが，部分的にはもっともらしい文言でも，寄せ集めると文脈的に嘘になることはよくある話．
　また《評価してもよい部分があった》のに《再評価すべきとは考えていない》のは矛盾も甚だしい．
　こういうインチキな修辞を弄する人物が被爆地の首長だという日本の現実は，ヒロシマが風化したどころか，我が国の戦前回帰を世界に示すものだろう．
　
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ウクライナに自由と光あれ

(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)