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2023年12月22日 (金)

軽微な犯罪とは

 まいどなニュース《「ハト1羽、ひき殺して逮捕」は妥当か…弁護士が解説 ネットでは「やり過ぎ」「生類憐れみの令復活か」と物議》[掲載日 12月18日 7:00] から下に引用する.
 
タクシー運転手が新宿の路上でカワラバト1羽をタクシーでひき殺し、鳥獣保護法違反の疑いで逮捕されたというニュースが話題となりました。報道によると、運転手は青信号に変わった途端タクシーを急発進させ、路上にいたハトの群れに突っ込んでそのうち1羽をひき殺した、とのことです。事件についてネットでは「やり過ぎではないのか」「生類憐れみの令の復活か」といった反応も見られます。逮捕の妥当性について、ペットに関する法律問題を取り扱っているあさひ法律事務所・代表弁護士の石井一旭氏が解説します。
……
 今回のケースでは、鳥獣保護法違反は比較的軽微な犯罪です
 
 弁護士JPニュース《新宿 “ハトひき逃げ”事件の加害者「逮捕」「実名報道」に物議も… 愛鳥家の弁護士が語る「妥当性」とは?》 から下に引用する.
 
逮捕の必要性、そして「実名報道」に妥当性はあったのか。飼い鳥の保護活動に取り組む「認定NPO法人TSUBASA」の監事などを務め、「動物のための弁護士」としてペット関連の事件を多く手掛ける青木敦子弁護士に話を聞いた。
……
 30万円以下の罰金、拘留または科料にあたる罪、いわば「軽微な犯罪」については住所不定の場合や正当な理由なく出頭要求に応じない場合でなければ逮捕することができないが(刑事訴訟法199条1項但書)、前述の通り鳥獣保護管理法83条1項1号は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が法定刑となっており、軽微な犯罪には当たらない
 
 軽微な犯罪とは何か.
 法律関係の資料を調べると,ウェブ上のコンテンツには例外なく刑事訴訟法第二百十七条の規定がそれであると書かれている.
 その条文を下に引用する.
 
第二百十七条 三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪の現行犯については、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡するおそれがある場合に限り、第二百十三条から前条までの規定を適用する。
 
 刑事訴訟法のこの規定に倣えば,鳥獣保護管理法83条1項1号は軽微犯罪ではない.
 石井一旭弁護士と青木敦子弁護士の見解が真っ向から対立しているわけだが,ウェブ上の報道資料を調べた限り,鳥獣保護管理法83条1項1号は軽微な犯罪であるとするのは,あさひ法律事務所の石井一旭弁護士とロー・リンクス法律事務所所属の井垣孝之弁護士である.
 このことと,問題のタクシー運転手の逮捕が正当か否かは別の話であるが,問題のタクシー運転手の行為が軽微な犯罪であるかどうかについては,石井一旭弁護士と井垣孝之弁護士の主張は誤りであるとしていいのだろう.
 ちなみに,犯罪事件のコメンテーターとしてテレビによく登場する元警視庁刑事で防犯コンサルタントの吉川祐二氏は,当該運転手の逮捕には問題ないとの見解である.
 
 上に示した事件とは別のことだが,もしも問題になっているタクシー運転手が猫などの動物虐待常習者だったら,石井一旭弁護士と井垣孝之弁護士は,やはり逮捕は不当だと主張するのだろうか.犯行の残酷さからすると,その可能性があると私は思うのだが.
 動物虐待常習者は,いずれ人間を傷つけたい衝動を抑えられなくなると思う.
 
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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)


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