誰も,第三者委員会の報告を納得していないと思う /工事中
毎日新聞《「管理職の黙認や指示は把握できず」 ダイハツ第三者委会見/2》[掲載日 2023年12月20日 16:25] から下に引用する.
《ダイハツ工業であった車両の安全性を確認する試験での不正問題を調査してきた第三者委員会の貝阿弥誠委員長は20日の記者会見で、経営陣などの組織的関与を否定したことについて問われ「我々の調査はヒアリングが中心。調べたが、管理職が黙認したとか、指示したという事実は把握できなかった。逆に言えば、管理職への相談がなかった、そこに大きな問題がある。ヒアリングでは、管理職が現場に出向いて声を聞くことはほとんどない、非常に少ないという印象があった」と述べた。【山下貴史】》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
上記のようにダイハツ不正問題の第三者委員会は《第三者委員会の貝阿弥誠委員長は20日の記者会見で、経営陣などの組織的関与を否定した》と報道された.
経営陣が関知していないとすれば,誰が不正を行ったのか.
これについてもう少し詳しく,乗りものニュース《ダイハツ不正は「30年以上前から」 国内外・全車種出荷停止の窮地に 「ごく普通の従業員」が手を染めて ダイハツ不正は「30年以上前から」 国内外・全車種出荷停止の窮地に 「ごく普通の従業員」が手を染めて》[掲載日 2023年12月20日] が報道した.これを下に引用する.
《調査委員会は不正の関与について「現場を担当する主に係長級のグループリーダーまでの関与が認められるにとどまり(略)、ダイハツが組織的に不正行為を実行・継続したことを示唆する事実は認められなかった」と断言しました。その一方で、
「安全性能担当部署及び法規認証室以外の者には『認証試験は合格して当たり前。不合格となって開発、販売のスケジュールを変更するなどということはありえない』というような考え方が強く...」
「不正行為に関与した担当者は、やむにやまれぬ状況に追い込まれて不正行為に及んだごく普通の従業員である」
と、不正の原因を分析しました。
……
調査委員会が行った12月20日の会見では、報告書で1989年から不正が長年行われており、管理職や経営幹部が知らなかったというのは「調査結果は甘いのではないか」という質問が出されました。【了】》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
上の記事にあるように,ダイハツ第三者委員会は,不正は《現場を担当する主に係長級のグループリーダー》が行ったのだと結論した.毎度おなじみ「トカゲの尻尾切り」だ.
この不正事件について,フジテレビの《ワイドナショー》で安藤優子さんが次のようにコメントした.
日刊スポーツ《安藤優子、ダイハツ第三者委員会の「現場と管理職の間に断絶」報告に「あまりにも不自然」》[掲載日 2023年12月24日 15:37] から下に引用する.
《安藤優子、ダイハツ第三者委員会の「現場と管理職の間に断絶」報告に「あまりにも不自然」
……
ダイハツ第三者委員会の報告書では「現場と管理職の間に断絶があった」とされたが、「(不正が続いた)30年間もコミュニケーションないっておかしくないですか? あまりにも不自然だと思いますよ。現場が声を上げても上が無視したのか、上が指示していたのか。いずれにしても、やりとりがなければ30年もシステムが続くはずがない」と内容に疑問を示した。》
安藤さんの指摘の通りである.
安藤さんは「三十年前に不正をした (係長級の) 人は,三十年も経てば出世して (管理職になって) るわけですから,(管理職が関与していないというのは) 矛盾してます」(カッコ内は当ブログの筆者が補った) とも述べた.
安藤さんの見解はまことに筋が通っている.
すなわち,安藤さんの指摘した矛盾を,ダイハツの第三者委員会は鉄面皮に無視して,経営者や管理職は無罪だと主張しているのである.この委員会は,嘘つきでなければ,馬鹿の集まりだ.
国民は呆れて声もない.
こうして明らかになったのは,嘘くさい第三者委員会もあるということだ.こうなると第三者委員会を監査する第二の第三者委員会が必要だろう.
もう昔々のことだが,私は大学を卒業して豊年製油という食品会社に就職した.
豊年製油は1984年に社名変更してホーネンコーポレーションとなった.この企業は業界再編成の波の中に消滅して既に存在しないし,この会社が行った悪事の関係者も次第に逝き,生きているのは数人になった.もう時効だから下に書いておく.
さてホーネンコーポレーションは,味の素製油との間で株式を移転し,豊年味の素製油を二社の完全親会社として設立したのだが,設立の少し前に私はホーネンコーポレーションの品質保証部長に任ぜられた.
品質保証を行うには法律知識が必須である.もちろん会社には法務部があり顧問弁護士もいたが,食品衛生法などの改正の歴史的経緯や細かい省庁の通知,実際の運用などは技術者でないとわからないことばかりだ.ホーネンコーポレーションの社内で当時それをできるのは私だけであったので,島流し先の小さな事業所から本社に戻されて品質保証部長に就いたのである.
その時,ホーネンコーポレーションの代表取締役は嶋雅二という男だったのだが,味の素製油との企業統合の前に在京の部長級社員を集めて訓示をしたのだが,訓示の趣旨は「君たちの仕事は利益を上げることだ.利益が最優先だ.法違反を恐れるな」であった.
嶋はある日,社長室に私を呼んでこう言った.
「いいか,お前の仕事は社内で法違反の不祥事が発生したらそれを隠蔽することだ」
続けてこう言った.
「工場で品質事故があったとか不正が見つかったとか,そういう話を俺の耳に入れるな.味の素の連中の手前,法を順守しろとしか言えないじゃないか.味の素の連中はコンプライアンスがどうのこうのと煩いから,不祥事は彼らの耳にも入れるな.お前の段階で隠蔽しろ.不正は下っ端がやったことにしろ.経営陣は知らなかったことにするんだ」
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