祭壇
十七年間を共に暮らした犬が逝ってから二週間が過ぎた.
ご近所さんが花を携えてやってきて,慰めの言葉をかけてくれるとつい涙ぐんだりしていたのだが,それもようやく落ち着いた.
それにしても十七年,だ.
私は朝が早いので四時に起きると,私の犬も起きてくる.飼い主に似たのである.
それから前日のテレビ番組を録画で観たりしているうちに,私の犬はペットシーツに排尿を済ませる.
それを片付けてから,犬の食器を洗い,水の入れ物に新しい水を入れ,ドライのフードを皿に入れる.
私の犬は,老いても食欲は盛んだった.
しかし逝った日の前日の深夜に,夕方食べたものを吐き戻し,それから固形食を受け付けなくなった.
それでも犬用のちゅーると水だけは口にした.
命を終えた日の前日に流動食を二回食べたあと,夜中に容体が悪化して,それから六時間して逝った.
知人の犬は要介護の状態になってから二年間生きたという.弱っていく愛犬を見るのは辛かったとのこと.
それに比べると,私の犬は,まことにあっけなくも潔い生の引き際だった.
ああ,こんなことを書いているとまた目頭が熱くなってくる.
ともあれ,犬の食事とトイレの世話が私のルーティンだったから,それがなくなってしまうと,朝四時に目が覚めてからすることがない.
それで,祭壇の前でぼんやりしている.
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