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2023年11月13日 (月)

退職届に個人的な退職理由を書く (あるいは書かせる) のは間違いである

 J-CASTニュース《「運転士の退職理由」バス停掲示はプライバシー侵害? SNS指摘も社長「許可いると思わない」...弁護士の見解は》[掲載日 2023年11月13日] から下に引用する.
 
バス停に掲示された時刻変更のお知らせに、運転士の退職による変更である旨とその退職理由まで記載されていると、X(旧ツイッター)で画像が投稿され話題となっている。
 プライバシーの侵害だと指摘する声もあるが、このお知らせを掲示したいわくにバス(山口県岩国市)の社長はJ-CASTニュースの取材に対し「許可がいるようなものとは思わない」「(利用客などに)聞かれるので、答えてます」と回答した。
 
プライバシーの侵害に当たるか、弁護士の見解は
 いわくにバス社長の発言通り、退職理由の掲示はプライバシーの侵害に当たらないのか。J-CASTニュースは弁護士法人リーガルプラス市川法律事務所(千葉県市川市)の小林貴行弁護士に話を聞いた。
 
 上に紹介した記事を読む限り《弁護士法人リーガルプラス市川法律事務所(千葉県市川市)の小林貴行弁護士》は,いわくにバス社長の行為を解説するに足る弁護士ではなかったようだ.
 小林弁護士は,ああだこうだと《プライバシーの侵害》の観点から述べているが,これでは小林弁護士が労働問題に詳しくないことがあからさまになっている.
 本件は,いわくにバスの社長が,運転士の退職に際して当該運転士の詳しい退職理由を訊き出した時点で違法の臭いがプンプンするのである.
 テレビのドラマなんかだと,社員が「辞表」と表書きした封筒を上司のデスクにバーンと叩きつけたりしているが,あれは退職の形としてはあまり一般的でない.
 問題になっている いわくにバス (岩国市が100%出資する会社) は従業員が数十人もいるので,人事管理上の必要から,まず間違いなく「退職届」という紙ペラ一枚の書式を用意しているはずだ.
 ここで註釈すると,もしもその書式に「退職願」と文書名が書かれていたら,退職者は自分でこれを「退職届」と書き直して構わない.退職は経営者に「お願いする」ものではなく一方的に「届け出」れば有効だからである.
 ちなみに退職届は口頭でも有効である.しかし退職後のトラブルに備えて,文書にしておくのが普通だ.
 さてその書式には,「退職後の連絡先」等の必要事項の他に「退職理由」という欄が必ずあるが,ここには個人的な退職理由を書く必要はさらさらない.
 その欄は,退職理由が「自己都合の退職」か「会社の都合での退職」かを明らかにするためのものであり,ここに例えば「残業が多い」とか「給料が安い」とか書くのは間違いなのである.
 つまり「退職理由」欄には,解雇された場合以外は「自己都合」(あるいは「一身上の都合」) と書くのが正しい.(いわくにバスのようなブラック企業の場合は,コピーを作成しておく必要がある)
 もっと言うと,経営者が退職する社員に対して,「退職理由」欄にプライベートな事情を書け,書かないと退職を認めない,などと言ったら,その社員は労基に駆け込めばよろしい.善処してくれるはずだ (普通は).
 いわくにバスの社長がこれまでに起こした諸問題を調べた限り,社長は退職者に対して,「退職理由」欄にプライベートな事情を書けと強要したと思われる.
 その場合,いわくにバスの事件はこれだけ社会的な問題となっているのだから,本来は労基が捜査に着手すべきである.
 しかるに岩国労働基準監督署は いわくにバスに捜査に入っていない.これは,バス会社オーナーである岩国市当局に対する何らかの不当な忖度があるとみていいだろう.たまにある「仕事をしない労基」の典型かも.
 
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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)

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