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2023年10月 6日 (金)

恋は優し野辺の花よ

 NHK朝ドラ《ブギウギ》が始まって以来,欠かさず視聴している.
 これまでの放送では,ヒロインの鈴子が,生家の銭湯に来る客たちの前で何度も「恋は優し野辺の花よ」を歌唱している.(YouTube《[ブギウギ]『恋はやさし野辺の花よ』第4回放送 フルバージョン オンステージ | 朝ドラ | 連続テレビ小説 | NHK》)
 言うまでもなく「恋は優し野辺の花よ」は,浅草オペラで活躍した田谷力三のヒット曲だ.
 それなのに《ブギウギ》のシナリオは,関東大震災と浅草オペラの物語を完全にスルーしてしまった.
 鈴子が歌う「恋は優し野辺の花よ」は必ずや物語の伏線に違いないと思って観ていた私ら年寄りは,「大震災はどうした!」と理解に苦しまざるを得ない.
 それなら鈴子に「恋は優し野辺の花よ」ではなく,学校で教えてくれる文部省唱歌を歌わせればいいのだ.むしろそのほうがリアルである.
 大正末期の時代に,大衆歌劇を観たこともなく,自宅に蓄音機がない年端もいかぬ小学生が「恋は優し野辺の花よ」を歌うわけがない.歌えるはずがないからである.(ラジオ放送の開始はようやく1925年つまり大正十四年であり,浅草オペラの時代つまり鈴子の幼年時代よりもっとあとであるから,鈴子がこの歌をラジオで聴いた可能性はない)
 もしかすると脚本家は「恋は優し野辺の花よ」が視聴者に連想させる時代の音楽状況を知らぬのではないか.
 どうせフィクションなのだから,近所のお金持ちの家に蓄音機があって,鈴子はその家で「恋は優し野辺の花よ」のレコードを聴いて覚えた,とでもすりゃいいのだ.そのような設定がないのに鈴子が「恋は優し野辺の花よ」を歌うのは無理筋である.
 
 あと,鈴子はなんども繰り返し意味ありげに「証城寺の狸囃子」を歌っている.
 これも伏線ではないのであれば,脚本家は視聴者をバカにしている.
 
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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)

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