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2023年10月24日 (火)

自民党税調のお粗末頭

 TBS NEWS DIG《自民で所得税減税の議論スタート 税調幹部「インフレで困ってるわけでしょ?それなのに…」「官邸が好き勝手言いすぎだよな」》[掲載日 2023年10月23日] から下に引用する.
 
一方、「国民への還元」では、物価高対策としてガソリン・電気・ガス料金に対する激変緩和措置を、来年春まで延長すると明言しました。さらに、この「還元」をめぐり注目されているのが、先週、総理が与党幹部に指示した「所得税の減税」です。
 
記者
「所得税減税の議論に向けて、自民党の税調の幹部たちが集まってきています」
 
 自民党では税制調査会の幹部が集まり、所得税の減税に向けた議論をスタートさせました。きょうは幅広い議論を行ったということですが、総理からの突然とも言える減税の検討指示に、メンバーからは反発も。
 
税調幹部
「インフレで困ってるわけでしょ?それなのに減税 (ブログ筆者による註;ここでは所得税の減税のこと) して消費喚起なんて、経済をまるで分かってない。官邸が好き勝手言いすぎだよな」》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
 
 上記の引用文中の《税調幹部「インフレで困ってるわけでしょ?それなのに減税して消費喚起なんて、経済をまるで分かってない。官邸が好き勝手言いすぎだよな」 》と発言したのが誰か知らぬが,よくまあこの程度のからっぽ頭で党税調をやっているもんだと呆れる.
 経済がまるでわかっていないのはこいつのほうだ.
 しかし「経済がわかる,わからない」以前の一般常識として,インフレには大別して二種類あることを知らねばならない.
 神戸大学のサイトから資料《現代の経済、現代と経済Courses 第6回 インフレとデフレのお話し:アベノミクスとインフレターゲット》の一部を抜粋引用する.
 
今回は、アベノミクス(安倍内閣による経済政策)についてお話しします。アベノミクスはいろいろな見方がありますが、これまでの経済政策と決定的に異なるものとして「インフレターゲット」があります。これは「中央銀行がインフレ目標を明示し、その達成を優先する金融政策」です。安倍政権はこのインフレターゲットを達成するために、「量的緩和(通貨供給量の拡大)」を日本銀行に要請しました。
 インフレターゲットのアイディア自体は第2次安倍政権以前からあったのですが、その執行機関である日本銀行が頑強に抵抗してきました。通常、日本銀行などの中央銀行は「物価の安定」を最優先とするため、インフレを招くような金融政策を嫌がります。にもかかわらず、今回、安倍政権がインフレターゲットを強行したのは、過去20年の景気対策があまり有効でなかったためです。たとえば、政府は毎年10~20兆円規模の景気対策を行ってきたにもかかわらず、金融不安等によるデフレ拡大を止められませんでした。
 ここで理解を深めるために、「インフレ」と「デフレ」について説明します。
 まず「インフレ」はインフレーションの略称で、物価水準が持続的に上昇することです。これは主に需要が供給を大幅に上回ることによって発生します。このときインフレの要因には主に2種類あって、需要側に原因があるインフレを「ディマンド・プル・インフレ」、供給側に原因があるインフレを「コスト・プッシュ・インフレ」と呼びます。またインフレは貨幣の供給量が増えることによっても発生します。
 物価の上昇は、貨幣価値の低下を意味します。つまりインフレ前に1万円で買えたものは、インフレ後は1万円では買えなくなります。これは貯金しているとその貯金額が目減りしていくことになるので、人々に貯蓄よりも消費や投資を促します。したがって緩やかなインフレ傾向は、景気刺激策となり得る、というのが「インフレターゲット」を推進する人々の意見です。
 ただしインフレの速度があまりにも速いと、「ハイパーインフレーション」という物価水準を制御できない状態になります。このような状態になると、消費や投資は減退し、経済は大混乱に陥ります。これは、第1次世界大戦後のドイツや最近ではジンバブエなどで発生しました。一応、ハイパーインフレには「デノミネーション(デノミ)」という通貨単位の切り下げ手段により終息することもありますが、うまくいかないこともあります。「インフレターゲット」に反対する人たちは、インフレの増進がやがてこのような物価水準を制御できない状態になることを懸念しています。
 
 現時点で日本国内で発生している物価上昇は《コスト・プッシュ・インフレ》である.このタイプのインフレは国民の実質賃金低下をもたらすだけであり,不景気の原因となる.
 それに対して《ディマンド・プル・インフレ》は企業活動を刺激するので,インフレが妥当な水準で進行すれば物価上昇と共に名目賃金も上昇することが期待できる.これがインフレ・ターゲットのアイデアである.
 要は,《コスト・プッシュ・インフレ》と《ディマンド・プル・インフレ》は似ているが別の経済現象だということであり,現時点における岸田内閣の経済対策は,《コスト・プッシュ・インフレ》を《ディマンド・プル・インフレ》に置き換えて行こうというものだ.
 件の党税調幹部の主張は「所得税減税ではなく国民に現金給付せよ」だと思われるが,現金給付は今まで何度も実施されても消費拡大効果がなく,貯蓄率を上昇させただけであった.「現金給付」でばらまかれたお金は,国民の財布に入ったまま出てこない可能性が高い.好ましい経済効果をもたらさないのである.
 
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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)


 

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