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2023年10月26日 (木)

クマよりも小さな脳で

 ENCOUNT《「クマこそ被害者」物議の保護団体を直撃 バッシング浴びた「どんぐりをまけばいい」発言の真意》[掲載日 2023年10月25日] から下に引用する.
 
「全国の公園からどんぐりを集めて森の奥に置く」 バッシング浴びた発言の真意
  ただ、現実問題としてクマによる人的被害は拡大している。連日のようにクマと人との遭遇が報じられ、地域によっては接触は避けられない状況となっているが、クマの側に原因はないのだろうか。
 
「研究者の方は、クマの個体数の増加や生息地の拡大、人に慣れたり人を怖がらないクマが出てきたなど、クマの方に原因があるかのようなことばかり言っていますが、クマにはもともと秋に栄養が蓄えられなければ流産するなど、自ら個体数を調整する能力が備わっています。人里に下りてくるのはそれでも食べるものがなく、種の存続がかかっているから。

 日本の国土森林率は67%ですが、戦後の拡大造林政策でそのほとんどが材木用針葉樹の人工林に植え替えられてしまい、多様な生態系を持ち、クマのエサが豊富な自然林はわずか7%しかありません。さらに、林業の国策失敗でそれらの人工林が放置されていて、森と人里の境界が曖昧になっている。学者は国から研究費をもらっているので、国策の失敗は絶対に指摘できないのです」
 
 今後、クマと人が共存していくためには何が必要なのだろうか。
 
起きたことばかりを騒ぎ立てるのではなく、根本の原因、クマのエサをどうするかという問題について考えていかないといけません。クマの一番の好物はどんぐりで、どんぐりさえあれば柿やリンゴなど見向きもしません。今年のように不作の年は、全国の公園からどんぐりを集めて森の奥に置いておけば、人里に下りてくることはない。1頭あたり1日10キロ弱、50キロもあれば1週間は出てこないでしょう。『どんぐりのDNAが混ざって大変なことになる』と大バッシングを受けたこともありますが、ブナとミズナラには地域固有種があっても、クヌギやコナラ、アベマキは固有種がなく、日本全国同じもの。何も知らない人が批判しているだけに過ぎません。電気柵も有効。人もお金もないというのなら、森林環境税を原資に国策で進めるべきです。
 ただ、これらはあくまで対症療法に過ぎません。根本的な解決策は、荒廃した放置人工林を地道な植樹で再び自然林に戻していくことしかありません。森に切り開いて、クマたちのすみかを一方的に侵したのは人間の方。森や水源を失った文明が滅ぶのは自然の摂理です。倫理観を持ち行動しなければ、いずれ人間にも大きなしっぺ返しが来るでしょう」》(引用文中の文字の着色強調は当ブログの筆者が行った)
 
 上の引用文中で妄想を言い募っているのは環境保護団体「日本熊森協会」の森山まり子名誉会長である.以下に一つ一つツッコミを.
 
1.《今年のように不作の年は、全国の公園からどんぐりを集めて森の奥に置いておけば、人里に下りてくることはない
 
 森林のどんぐりが不作の年は,公園のどんぐりも不作だ.
 それでも野生のクマにどんぐりを給餌する (すなわち「餌付け」して野生ではなく飼育クマにするため) には,新たにクヌギなどの人工林を植林せねばならぬことになる.
 なぜ戦後,全国の人工針葉樹林が放置されて森林が荒廃したのかを理解すれば,それがどんなに愚かなことであるかは瞭然である.
 人工針葉樹林が荒廃したのは,建築用材とパルプを用途とする国産針葉樹が国際競争にコストと価格で敗れたからである.
 薪炭しか目ぼしい用途のない広葉樹林はもちろん林業従事者の暮しの糧にはならなかったからである.
 その結果,日本の林業従事者は激減した.
 産業として林業が衰退して従事者がいなくなった今,もはや「日本熊森協会」が主張するようなどんぐりの森は造林不可能なのである.
 それに,クマを養うしか用途のない森を誰が私費で造林するか.
 第一,そんな土地がどこにあるか.調べてからものを言うがよい.「日本熊森協会」の頭はからっぽか.
「日本熊森協会」は,私費でだめなら国費でクマを養う森を造れと主張するだろうが,その労働力と労務費は誰が負担するのか.
 また高齢者介護に従事する者の賃金が最低賃金を下回るために介護の現場が労働力不足となっている我が国であるのに,人口減少社会の貴重な労働力をクマのために使えというのか.
 クマに充分な餌を与えれば,必ず繁殖する.繁殖すれば居住面積 (なわばり) を拡大するために人里に進出する.
「日本熊森協会」は,たとえクマがいくら繁殖しても,食べる物があれば人里には出てこない,つまり森の中で密集して暮らすと言うが,誰の研究を根拠にそう言うのか.
「日本熊森協会」は《学者は国から研究費をもらっているので、国策の失敗は絶対に指摘できない》と主張して森林動物の研究者たちの意見を否定するが,もし繁殖したクマが人里に進出した時に「日本熊森協会」はどう責任を取るのか.
 クマに限らぬが,野生動物の研究者は「野生動物を餌付けしてはならない」と言う.「日本熊森協会」は「クマは特別だ,餌付けしてもよい」と言うなら,その根拠を示せ.
 
2.《1頭あたり1日10キロ弱、50キロもあれば1週間は出てこないでしょう
 
 一つの小集落や都市住宅地のごく近い辺りに十頭のクマが生息していたとしよう.
 十頭分合計で一日に100キログラム,一週間には700キログラムのどんぐりが必要となる.
 飼育下のツキノワグマのデータでは,九月から十一月の冬眠前の期間にサツマイモなどを給餌して体重を20キログラム増やしたという.(資料はウェブ検索)
 どんぐりを給餌するとすると,当該集落では少なくとも二ヶ月間,十頭分合計5~6トンのどんぐりをあつめなければならぬ.
 クマが二十頭いれば,どんぐりはその二倍要る.
 この大量のどんぐりを,当該集落の高齢村民たちは仕事をほったらかして集めねばならないと「日本熊森協会」は言う.令和は縄文時代か.(泣)
 もう一つ.本来は雑食であるクマは通常は草本を食べているが,そのため森林中で得られる食糧をめぐってシカやサル,イノシシと競争関係にある.
 全国各地で見られる現象だが,クマは繁殖力の強大なシカとの生存競争に勝てない.
 なにしろシカは,山一つの草本を食いつくして山を裸にしてしまうくらいの食糧消費をする.(伊吹山の例)
 秋から雪が降るまでの食糧は,熊害被害者たちが懸命に集めてクマに給餌するとして,雪が融けてから夏の終わりまでの食糧はどうする.
 草本をシカが食いつくしてしまったら,空腹のクマは,餌付けしてしまった人間が給餌してやらねばならない.
 そうしないと,餌付けされたクマは住宅を襲うようになる.
 あるいはシカとの生存競争に敗れたクマは,シカを襲ってその肉を食うところまで追いつめられる.
 北海道で乳牛を襲って恐れられたヒグマOSO18はそのようにして誕生したが,骨髄の分析によるとシカ肉が主たる食糧だった.(NHKの報道による)
 OSO18を追い続けた猟師たちは「このままでは第二第三のOSO18が出現する」と語った.
 彼ら狩猟歴数十年の猟師たちは果敢にクマに立ち向かったが,「日本熊森協会」の卑劣な,猟師を誹謗する電話攻撃によって心が折れるかも知れぬ.そうしてクマ駆除のスキルを持つ人たちがクマ駆除から手を引いたらどうなるか.
 名誉会長の森山まり子氏らは,その小さな脳で考えるがよい.すくなくともクマを養うためのどんぐり量くらいは計算してくれ.
 
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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)


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