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2023年9月10日 (日)

鈴木医師の粗雑な意見

 プレジデントオンライン《「盗んだバイクで走り出す」の意味が分からない…尾崎豊「15の夜」に若者が共感できなくなったワケ》[掲載日 2023年9月9日 12:00] から下に引用する.同記事の筆者は鈴木裕介氏 (心療内科医) である.
 
闘う相手が明確だった昭和時代との違い
 少し前までは、炎のモードに入りやすい時代でした。闘いや競争は交感神経を優位にしますから、炎のモードに入りやすい時代は、わかりやすい「敵」が存在し、闘争(もしくは逃走)するべき相手がはっきりしている時代であるともいえます。
 たとえば、1960年代は学生運動が盛んで、全共闘世代を中心に、日本政府や大学を相手に闘い、変革を迫ろうという社会的な熱狂がありました。社会に「穴」が多く、「ここを変えたら、もっと世の中はよくなる」という改善点がたくさんある。だから、それを変えていこうというムーブメントに参画することに、やり甲斐や意義を深く感じ、またそうした努力によって社会が良くなっていくことを実感しやすかった社会だともいえます。
 70年代、80年代は、高度経済成長やバブル景気の中で、人々は家電、自家用車、マイホームなど物質的な豊かさを手に入れること、受験戦争や出世競争に勝ち抜くことに必死でした。「競争に勝つこと」によって「物質的な豊かさを手に入れること」がある程度は約束されていたから、多くの人はそこを目標にできたのではないかと思います。
 豊かさを得るため、社会を良くするため、といった「目指すべき方向性」があり、人々はそこに向かって、交感神経を優位にしてフル稼働し、目標を妨げる存在と闘い、努力することができていたのです。
 
20230909a2
 
 上に示した鈴木医師の文章にある「炎のモード」「氷のモード」は,氏の自分勝手な造語と思われる.
 こういう言葉を造って使う人は大抵の場合知的レベルが低い.
 多くの人たちが使っている言葉を用いて平易な文章を書く能力がないのである.
 鈴木医師の知的レベルの低さがあからさまになっているのが《1960年代は学生運動が盛んで、全共闘世代を中心に》だ.
 全共闘の意味がわからないのなら,Wikipediaで調べるくらいのことをしろと言いたいが,こういう人は己の無知を自覚していないから,調べようともしないのである.
 
 昭和二十六年 (1951年) に締結された安保条約は昭和三十五年 (1960年) 一月に岸首相以下全権団が訪米し,新安保条約の調印と同大統領の訪日で合意して新条約が調印された (1/19).岸首相が帰国し,新条約の承認を巡る国会審議が行われると,これに反対する国会議員,労働者,学生 (この闘争時の学生運動には,全日本学生自治会総連合 (全学連) という組織が存在した),一般市民,左翼や新左翼の運動家が参加する反政府国民運動が始まった.これが60年安保闘争である.
 しかし60年安保闘争は,国会の混乱の中で新安保条約が自然成立し,日米で批准書が交換されたのちに岸内閣が総辞職すると,闘争の目的を失って急速に終息した.
 その後,左翼運動組織は四分五裂し,全学連もまた学生運動組織としての実態が無くなった.
 それ以後の学生運動は,1968年の日大闘争と東大闘争が始まるまでの間,少数の大学の「学費値上げ反対闘争」などはあったが,学生を闘争に動員する力をほぼ失った.
 すなわち,鈴木医師は《1960年代は学生運動が盛んで》あったと書いているが,事実は全く逆で,1960年代は学生運動が挫折沈滞した時代だったのである.(余談だが,その時代の雰囲気を静かに書き留めたのが柴田翔「されどわれらが日々」である)
 全共闘運動について言えば,1968年と1969年には東京のいくつかの大学で盛り上がったが,1970年にはぼ鎮静化した.それ以後,日本の学生運動はほぼ消滅したままである.
 つまり1960年から1969年までの十年間で,学生運動が高揚したのは1968年と1969年の二年間だけであった.この二年間を《1960年代》と書くのはペテンである.
 鈴木医師のように,時代を十年区切りにして《70年代、80年代は ……》などと粗雑な意見を書く人が多いが,世の中の様子が十年ごとにきちんきちんと変わっていくわけがない.
 もし時代を区切りたいのであれば,時間ではなく,例えば「高度経済成長期」とか「バブル崩壊後」とか,社会の様相で区切らねばならないのである.
 
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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)


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