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2023年9月17日 (日)

B級シャインマスカットで私には充分だ

 朝日新聞デジタル《シャインマスカット、1房500円に市場も困惑「考えられない価格」》[2023年9月16日] から下に引用する.
 
出荷の最盛期を迎えているブドウの高級品種「シャインマスカット」に値ごろ感が出ている。生産量が年々増えており、今年は特に生育が順調なことが影響しているとみられる。市場関係者は「品質も良く、たくさんの人に食べてほしい」と話す。
 青果卸大手「東京青果」(東京都)によると、15日のシャインマスカット(400グラム=山梨・高値)は972円で取引された。昨年より2~3割安いという。
 農林水産省によると、2010年に256ヘクタールだった栽培面積は、20年には2280ヘクタールと10年間で9倍になった。主な産地は山梨、長野、山形、岡山の4県だが、全国に広がっている。
 関係者によると、15日の卸売価格の場合、小売りでは1房(約400グラム)2千円前後になるという。だが、スーパーなどで1房500円前後で売られているケースも散見されるという。卸売会社の担当者は「考えられない価格。スーパーの特売にしても安すぎる」と困惑している。
 農水省の担当者は「日々変動しているのでシーズンを通して見たい。消費者には品質と価格を見極めて判断してほしい」と話している。
 
 シャインマスカットはおいしいブドウである.
 種なし巨峰もいいけれど,皮をむかなきゃいかんのが実に面倒だ.種あり巨峰は論外だ.
 その点,シャインマスカットは一粒丸ごと食べられる.口中で皮がパキッと弾ける食感もおいしいし,しかも糖度が高い.
 だから消費者に大いにウケて,上の新聞記事にあるように《2010年に256ヘクタールだった栽培面積は、20年には2280ヘクタールと10年間で9倍になった》のは頷ける.
 さて生産量が大幅に増えれば,競争によって価格は低下するのが資本主義経済の常である.
 私もこの夏になってから,シャインマスカットの価格が下がっているのに気が付いた.
 ここで「価格」と書いたが,一房の重量は考慮せずに「一パック」として包装して売られている価格について以下に記す.
 私が食料を買い物するスーパーでは,藤沢駅北口のダイエーで一房が千八百円前後,同駅北口のサミットストアで千三百円前後である.
 藤沢駅南口からちょっと歩くと業務スーパーがあり,そこでは七百円前後,あるいは五百円前後で販売されている.
 ダイエー藤沢店は色んな商品が他店より高い.消費者に購買意欲を起こさせようという雰囲気が感じられなくて,シャインマスカット一房が千八百円前後というのは,まあこんなもんだろう.
 その次,サミットストアの千三百円前後だが,一房の重量は不明だが,片手の掌には余る大きさで,見た目だけで言うとダイエーのシャインマスカットよりずっと「お得感」がある.これなら買ってもいいなあと思わせる.
 さらにその次の業務スーパーだが,私はもう七百円前後のものを一パック,五百円前後のものを三パック,既に買って賞味している.
 歴然と安いからだ.
 もちろん一房の大きさはサミットストアのものより小さく,粒の大きさも小さいし,粒と粒のあいだの隙間も空いている.
 いかにもB級品である.
 しかし,口に入れて噛んだ時の食感は,間違いなくシャインマスカットだ.
 糖度だって,ケチのつけようがない.だいたい糖度なんてのは,ある程度の値を越すとニンゲンの舌では差がよくわからなくなるのである.
 私は業務スーパーの五百円シャインマスカット (私が買ったのは「JAふえふき」の商品) を,見た目はB級だが充分おいしいと思う.
 これなら食後のフルーツとして一房の半分をペロリと平らげてしまっても財布にダメージはない.
 
 朝日の記事には《卸売会社の担当者は「考えられない価格。スーパーの特売にしても安すぎる」と困惑している》とあるが,デパ地下の贈答用シャインマスカット  (一房数千円) とは全く別のジャンルの果物なんだから,困惑するほうがどうかしている.JAと業務スーパーの取引に卸売会社が口を挟むな. 
 同様に記事には《農水省の担当者は「日々変動しているのでシーズンを通して見たい。消費者には品質と価格を見極めて判断してほしい」と話している》とあるが,山梨県のJAが承知のうえでB級品を出荷しているのだから,農水の小役人がどう言おうと余計なお世話だ.
 気に入らないなら消費者ではなくJAに文句を言え.
 
 ところで,もうすぐ中国産の海賊版シャインマスカット (中国産は現地では「晴王」と呼ばれている) が不正なルートで日本国内に流入してくるのではないかと言われている.実際に税関で輸入差し止めになった事件が起きている.
 その際の中国製は一房が五百円くらいだと想像されている.
 山梨県など日本の産地は,中国産と対抗するのにB級品のシャインマスカットで戦うつもりなのだろう.
 だったら今まで高価なシャインマスカットを口にする機会のなかった私たち庶民は,国産B級シャインマスカットを応援しようじゃないか.
 その応援の際に注意点がある.たぶん海賊版シャインマスカットは包装に「JA○○」と偽装表示するに違いないが,不正な販売ルートはスーパーではなく移動販売だろうから,私たちはこれに騙されぬように注意したい.
 それにしてもこの事態を招いた (中国の傍若無人な行為を傍観していた) 農水省は《消費者には品質と価格を見極めて判断してほしい》などと他人事のように言ってる場合か.
 
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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)








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