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2023年8月30日 (水)

私の誤字センサー (18) /ブッキングのトラブルについて

 THE DIGEST《「そこ俺の席!」「僕もここなんですよ」水谷隼が新幹線の指定席を巡って口論! 車掌のさりげない“神対応”に感謝》[掲載日 2023年8月29日] から下にテキストとスクリーン・ショットで引用する.
 
水谷氏は「この前新幹線でおっさんに『そこ俺の席』ってキレ気味に言われて、『僕もここなんですよ』って言ったらため息と舌打ち連発されて」と告白。「少ししたら車掌来てその人に『違う席ご用意できましたので』って事で終わったんだけど」と丸く収まったと報告した。
 続けて34歳は「車掌が『あの方が乗る新幹線間違えてたみたいでお客様にご迷惑おかけしました』と言ってくださって、車掌さんにとっては日常茶飯事かもしれませんが本当に助かりました。神対応に感謝です!」と記述。「さすがに理不尽すぎて久しぶりにストレス溜まったのであのおっさんのことは心の底から呪いました」と怒りをあらわにした。
 
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 卓球のメダリスト,水谷隼さんが新幹線で指定席トラブルに遭ったという記事だ.
 が,記事の途中に唐突に《続けて34歳は》とある.
 金メダリストに対してなんちゅう無礼な!と一瞬思ったが,これは無礼なのではなくて,書いた記者がノータリンなせいだとすぐ気が付いた.
 記者は最初,書き出しの部分を「2021年東京五輪の卓球混合ダブルスで金メダルを獲得した水谷隼氏 (34歳) が自身のX(旧ツイッター)を更新。新幹線内で巻き込まれたトラブルを明かした」と書いたに違いない.
 そしてそのあと《続けて》の箇所をコピペで「続けて水谷隼氏 (34歳) は……」としたのである.
 しかし,超有名人である水谷さんの年齢は書かなくてもよい (というか,事件記事じゃないから,書く方が失礼だ) ことに気が付き,書き出し部分から年齢を削除して《2021年東京五輪の卓球混合ダブルスで金メダルを獲得した水谷隼氏が……》と訂正したのである.
 そして「水谷隼氏 (34歳) が自身のX……」と書いた箇所も訂正しようとして,(34歳) を削除すべきところをあろうことか (水谷隼) を削除したのだ.
 その結果,《続けて34歳は》となってしまったのに,この記者はノータリンで,書いた記事を読み返さなかったというわけである.
 こういうやっつけ仕事でも,ちゃんとお給料がもらえるのは,恵まれている.よかったよかったと,この記者の幸運を寿ぎたい.
 
 さて四十年余も会社員をやった私にも,新幹線の指定席に関するトラブルがあった.しかも三回もだ.
 三回のいずれも私が間違ったのではなく,私は,はた迷惑な乗客に迷惑を蒙ったのである.
 まず最初のトラブル.
 東京駅で新大阪行きの新幹線に乗車し,購入しておいた指定席に私が行くと,そこに男が腰かけていた.
 私が「そこは私の席です」と言うと,「ここはオレの席だ」と言う.
 私が自分の指定席券を示して「ちゃんとここに私の席だと書いてあります.あなたの指定券を見せてください」と言うと,「なんだと!オレがタダ乗りしてるってのか!」といきり立った.
 話がわかる相手ではないようなので,私は車掌が来るのを待った.
 幸いすぐに車掌が車内改札 (昔は検札といった) に来たので,私は彼に事の顛末を説明した.
 車掌に「指定券を拝見します」と言われては拒否はできない.
 そして明らかになったのは,その男の指定券は,既に発車してしまった列車の指定席のものだった.
 つまりその男は,自分が指定席を購入した列車に乗り遅れてしまったので,次の列車の同じ位置の指定席に腰かけていたのである.
 車掌がそいつに「お客様の指定券は,もう出てしまった列車の席なので無効になっています」と言うと,男は私を指さして「オレはカネを払ってるんだぞ!先にきたオレにどけってのか!あとからきたヤツがなに言ってやがるんだ!」と喚いた.
 常識の通じる人間ではないのが明らかだった.
 逆上すると何をしでかすかわからぬタイプの人間かも知れないと私は思った.
 車掌もそう思ったようで,私に目配せしながら小声で「代わりの席を用意しますので,どうかそちらに乗っていただけませんでしょうか」と言った.
 これから出張に出かけるという初っ端で暴力沙汰に巻き込まれては困ると私は思い,業腹であるけれど車掌の提案を呑んだ.
 想像だけれど,結局あの男は指定席券を買わなかったのではないかと思う.その場合,車掌は不正を見逃したことにはなるだろうが,乗務員にはアブナイ乗客から身を守ることは許されているのではないかと思う.
 ちなみに,全国のJR及び大手私鉄各社の鉄道係員が被害者となった暴力事件が,国土交通省《鉄道係員への暴力、依然として400件超》[掲載日 令和4年12月20日] に載っている.これによると《令和3年度における鉄道係員に対する暴力行為の発生件数は全国で435件となった》である.
 事例の資料《鉄道係員に対する暴力行為の主な事例 (令和3年度)》から下に引用する.
 
 車内に泥酔しているお客様がいるとの車掌無線を聞いて社員が該当車両へ向かい、泥酔している男性のお客様を起こして下車して頂く旨を説明すると「何なんだ、社員証見せろ」と騒ぎ、名札を見せたところ「そんなのでたらめだ」と社員2名の胸や顔を何発も殴った。
 
 関係者が激高状態で駅事務室窓口に訪れ、ICカードの紛失再発行について問い合わせがあった。駅助役から手続きについて繰り返し説明を行ったが関係者は激高状態で聞き入れず、突然、駅助役の左胸を殴打したことから110番通報を行った。
 
 停車中、迷ったという加害者を普通車へ案内する際、1階席からデッキへの階段で臀部を触られた。デッキで肩を掴まれホームと反対側のドアに体を押し付けられ抱きつかれ、「助けてください」と叫んだら口を押さえられた。2階席から降りてきたお客さまを見た加害者は逃走していった。
 
 車内点検中、座席で寝ている旅客を発見し、声かけを続けたところ一旦は起き上がり自力で車両から降車したが、ホーム上で再び寝てしまい、再度声を掛けても起き上がらないため駅事務室に警察の手配を依頼した。その後起き上がり、ふらつきながらホーム上を歩行していたため、ホーム下に転落しないよう見守りながら随行したが、笠石を掴みホーム下に降りようとしたため、落ちないよう足を引っ張ったところ急に立ち上がり、駅係員の顔面を拳で殴り、ホーム上に倒れたところを足蹴りし、馬乗りになり顔面を7、8回殴られる暴行を受けた。(全治14日)
 その後、駆け付けた駅係員数名で取り押さえ警察官に引き渡され、後に示談となった。
 
 営業開始前のホーム上ベンチに50代男性が座っていたため声をかけたところ、突然背中を殴られ、更に左右大腿部を蹴るなどの暴力行為に及んだ。その後、駆けつけた警察官に身柄を確保された。(全治1週間)
 加害者は、10万円の罰金の略式命令で終了した。
 
 車椅子の貸出依頼を受けたためホームで待っていたところ、到着した列車内から当該旅客が「こっちに来い」と罵声を上げ、持っていた杖を振り回し係員の左腕に当たった。列車から下車後もさらに左腕を殴打された。傷害罪で受理された。
 
 加害者は友人とともに改札口から出場する際、友人が駅からの乗車券代を支払うためインターホンにより駅係員を呼び出したが、応対した女性駅員の態度に立腹し、改札口へ当該係員が赴き謝罪した際、加害者は右手で係員の左手の甲を叩き、続いて左頭部を叩いた。
 
 指定席に座られていた男性のお客さまのきっぷを改札した際、きっぷを所持していないとのことだったため、指定席券の発売をしようとしたところ、料金が高いとのことだった。そのため、自由席をご案内し誘導していたところ、指定席である3号車の席に座られたため、一つ前の4号車が自由席であるとご案内した際に、急に激高され胸を3回殴打された。その後も臀部を2回蹴られ、背中を強く押された。
 
 事件発生の度に逐一報道されるわけではないから知らぬ人も多いだろうが,毎日毎日,鉄道会社の乗務員が乗客に殴る蹴るの暴力をふるわれる事件は起きているのだ.
 上に例が書かれているが,女性車掌に対しては痴漢行為も行われている.JRでも私鉄でも駅の構内には「みんなの勇気と声で痴漢撲滅」「痴漢・盗撮は犯罪です」などと書かれた痴漢防止ポスターが貼られている.これは,駅構内や車両内で頻繁に痴漢事件が発生しているからである.
 これについて,下に報道の例を挙げる.
・朝日新聞デジタル《警視庁巡査部長、深夜に新宿駅の線路立ち入り 痴漢行為疑われ逃走か》[掲載日 2022年11月2日 17:00];《JR新宿駅(東京都新宿区)で10月28日深夜、線路に男性が立ち入り、埼京線などが一時運転を見合わせるトラブルがあり、この男性が警視庁本部に所属する40代巡査部長だったことが、捜査関係者への取材でわかった。巡査部長は痴漢を疑われて逃走を図ろうとしていたといい、その際に負傷して現在も入院しているという。
・毎日新聞《痴漢疑われ、相次ぐ線路逃走 過去に死者、多額賠償も 3月以降、都内で6件》[掲載日 2017年4月18日 10:45];《図 3月以降に東京都内であった痴漢を疑われた人物の線路立ち入り事件
・毎日新聞《JR武蔵浦和駅 痴漢疑われた男が線路を逃走》[掲載日 2017年8月5日 11:30];《4日午後7時半ごろ、さいたま市南区のJR武蔵浦和駅で、痴漢を疑われた男がホームから線路に降りて逃走した。
 現在は閲覧できなくなっているが,過去に毎日新聞が「痴漢はなぜ線路を逃走するのか」という趣旨の特集記事を載せたことがある.
 質問掲示板に「“線路に立ち入り”が痴漢だというのはデマである」との回答が複数見られるが,その回答自体が嘘であることが毎日新聞の記事で明らかになっている.
 
閑話休題
 新幹線の指定席トラブルで私が被害を被った二番目の例は,一番目と大同小異なので省略する.
 三つ目の例はちょっと頭のおかしいおばさんであった.
 関西出張で東京駅から東海道新幹線に乗車した私が自分の指定席 (E席) に行くと,中年女が既にD席に着いていた.
 その女は,海外旅行用クラスの大きなスーツケースを,E席のシートと前方の背もたれの隙間に置いていた.
 現在の東海道新幹線には,棚に載らない大きな荷物を置くスペースが各車両の最後部にあり,指定席とセット販売されているようだが,当時はそういう指定席券は販売されていなかった.
 ただし最後部座席の背もたれを倒さなければ壁との間に余裕ができるので,最後部席の指定席を取ればそのスペースが使えた.
 最後部席の指定が取れなかった場合は,一人でD席とE席の指定券を買えばよい.片方を荷物置き場にして自分はもう片方に腰かければいいのであった.
 で,私は中年女に「荷物をどかせてください.そこは私の席です」と言った.
 すると女は「あんたの席だっていうけど,それじゃあたしのスーツケースはどこにおけばいいのよ」と言った.
「そんなことは知りません.とにかく私の席からどいてください」
「どかないわっ!あたしはおおきい荷物があるのよ!」
「大きい荷物があるんだったら指定席を二つ取りゃいいじゃないですか」
「一人なのに指定席二つなんて取れないでしょ!」
「なに言ってんですか,料金を払えば二つ取れますよ.なんなら四つでも五つでも取れます」
「むちゃくちゃ言わないで!」
 話がわかる相手ではないようなので,私は車掌が来るのを待った.
 幸いすぐに車掌が車内改札 (昔は検札といった) に来たので,私は彼に事の顛末を説明した.(最初の例と同文w)
 すると女は車掌に,いかに私が自分勝手なことを主張しているかを支離滅裂な理屈で述べた.
 困惑した車掌は,私に目配せしながら小声で「代わりの席を用意しますので,どうかそちらに乗っていただけませんでしょうか」と言った.
 これから出張に出かけるという初っ端で,頭のおかしい くそばばあ に金切声で絡まれては勝ち目がない.業腹であるけれど車掌の提案を呑んだ.(これもコピペ同文)
 
 さて以上のことからの経験則だが,新幹線指定席を巡るトラブルにおいては,まともな乗客が席を譲る破目になる.
 横紙破りのアブナイやつとか,頭のネジが外れた女に,車掌は勝てないのである.東海道新幹線の指定席トラブルでは,非常識な奴が勝つのである.
 水谷隼さんのケースで,車掌が「神対応」したのは水谷さんが超有名人だったからであろう.車掌は日本の宝である水谷さんをトラブルの前面に立たせたくなかった.それで彼は勇気を振り絞り,自分が殴られるかも知れないが,無賃乗車男に《違う席ご用意できましたので》と言ったのだろう.
 
 ところで,新幹線では指定席券のダブル・ブッキングはほとんど発生しないという.そりゃそうだろう.指定席券の販売システムに不具合が生じなければ,まず起きることはないと思われる.
 つまり二重販売のように見えても,どちらかの指定席券が無効 (違う列車に乗ったとか乗車日が違っているとか) なのだ.
 だがホテルのダブル・ブッキングはよくある話だ.
 部屋の稼働率を高めるために,ホテル側が敢えてダブル・ブッキングをするという.
 私はこれまでに三回,ダブル・ブッキングに遭遇した.
 一度は,海外旅行から夜中に帰国した時,自宅に戻らずに浅草ビューホテルに宿泊する予定だった時のこと.
 チェックインしようとしたら,フロントの係が「申し訳ありません,ダブル・ブッキングが起きてしまいました」と正直かつ丁寧に謝罪した.
 そして代わりに用意してくれたのは,スイート・ルームだった.フロントからエレベーターまで歩く間,私は満面の笑みの駄々洩れを隠すのに苦労した.
 二度目は,TDRのオフィシャル・ホテルだった.この爺がまさかの一人ディズニーをやりに行ったのである.
 その日の夕刻,フロントでチェックインをすると,美貌のフロント係が「ちょうど今日は素敵なお部屋にキャンセルがでました.お客さまは同額でアップグレードできますけれど,いかがなさいますか?」と言う.
 ダブル・ブッキングしたのが見え見えだが,いかがもどうもこうもない.アップグレード一択だ.
 おかげでこの夜はファンタスティックな広い部屋を堪能した.
 三度目は地方のシティ・ホテルだったが,この時もとても良い部屋にアップグレードしてくれた.
 もう昔のことだが,長い会社員人生で,新幹線の指定席トラブルで三回負けたが,ホテルのダブル・ブッキングでは三回勝った.
 おあいこである.
 
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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)


 

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