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2023年8月22日 (火)

受益者負担の原則

 昨日 (8/21) の昼前にテレビをオンにしたら,テレビ朝日《ワイドスクランブル》で,山梨県で多発している果物 (モモやシャインマスカットなど) の窃盗事件を取り上げていた.
 その放送の中で気になったのは,窃盗被害に遭った果樹園芸農家の怒りの矛先が,自治体や県警に向いていることだ.
 農家が主張するのは,「フルーツ王国山梨を名乗るんだったら (警察はパトロールに) もっと動け!」ということだ.
 しかしそれはお門違いも甚だしい.
 だだっ広い果樹園の警備にいったいどれくらいの警察官を動員すればいいのか,わかって言っているのか.
 莫大な警察官人件費をかけて運よく果実窃盗が防止できたとしても,その利益は農家が全部持っていく.
 これは果樹園芸農家に山梨県の税金を無償投入するに等しい.
 これでは米などの農家は不公平だと怒るに違いない.
 また多数の警察官が果樹園のパトロールに動員されれば,果樹窃盗以外の犯罪は激増するだろう.
 一般の山梨県民は踏んだり蹴ったりだ.
 それでも「警察は農家を守れ!」と農家が主張するなら,自己中の限りである.
 例えば,まずは自分の果樹園に,窃盗犯が容易に登れないくらい高い有刺鉄線の塀を巡らせ,その内側に通電した侵入防止柵を作れ.
 そのための設備投資の結果,シャインマスカットが一房二万円になったとしても,それは受益者負担というものである.
 我々消費者としてはシャインマスカットを食わなくても生活に困りはしないのであるから,シャインマスカット農家は超富裕層向けの農作物生産者として生きて行けばよろしい.
 そして警察のやるべきことは,果樹園パトロールではなく,果実窃盗犯の逮捕である.
 メディアが伝えるところによれば,街中に軽トラックで運んできた果実を売る怪しげな連中がいるらしい.
 そのような連中 (多人数の窃盗団) の現行犯逮捕や,流通ルートの解明捜査が警察の任務である.
 繰り返すが,果樹園の防犯パトロールは農家の受益者負担で行うべきである.
 それで高級果実の生産が成り立たないなら,嗜好品ではない野菜など国民栄養に役立つ作物の生産に農家は転換するがいい.
 
 日本国民は二極化した.一部の富裕層以外の日本国民は貧乏になった.実質賃金はこの六月に十五ヶ月連続で下がり続けて,国民の購買力は落ち続けている.一般の若い国民は低収入のせいで,子供を産み育てることを「贅沢」だと感じているという.
 そんな貧乏国のスーパーで一房二千円とか三千円のシャインマスカットが売られているのは尋常な事態ではない.
 ある調査データによれば,会社員の昼飯代の平均は四百円だという.普通の会社員は昼飯を一週間抜かないとシャインマスカットを口にすることができないのだ.
 岡山県産の高級果実には単価数万円というものがあって,昔のことだが,生産者と話をしたら「肥料にイクラを使うとよい」と言っていた.
 採算がとれるなら岡山の農家がそういう非科学的な園芸農業をして産品の付加価値を高めても一向に構わぬと私は思うが,山梨の果樹園芸農家が自分の果樹園の防衛に警察力を要求するのはおかしい.付加価値のこととは話が別だ.園芸農家保護のために税金を払わねばならない山梨県民の納得が得られようはずがない.
 
 話はかわるが,農家が払う国税は会社員の三割程度だと昔から言われている.農家の収入は捕捉が難しいからである. (Wikipedia【クロヨン】)
 国民背番号制に始まるマイナンバー制度の本来の目的は,自営業者と農家に,会社員と同じ税負担をさせることであった.これは我が国の戦後における国税当局の悲願である.
 農家のすべての預貯金口座とマイナンバーが紐づけされていれば,農家に脱税されずに済むのである.
 ところが,税負担の公平に反対する勢力は,マイナンバー制度を骨抜きにするために健康保険証や運転免許証との一本化などという方向に持って行こうとしている.
 しかし保険証や免許証なんかどうでもいい事なのである.
 本来のマイナンバー制度の本丸は「国民税負担の公平」である.それから国民の目を逸らせようとする現状のマイナンバー制度は有害無益だ.
 山梨の果樹園芸農家は,高級果実窃盗を防止するために警察力の動員を要求するなら,まず会社員と同程度の所得税を払え.話はそれからだ.
 米麦芋豆野菜の食糧生産は国の基礎である.
 その基礎を守るために政府が,食糧生産農家に対して税の優遇を図っても,国民は食糧安全保障の観点からこれを許諾せざるを得ない.
 たとえ農家が日本の富裕層であるとしても,だ.
 
 テレビ東京《昼めし旅》を視聴すると,撮影スタッフが首都圏の農村地帯をロケしている.
 取材スタッフが農村地帯を歩いていると,富裕な農家の豪邸が立ち並んでいる.
 彼らの豪勢な暮らしは,税負担の不公平によって担保されているのだ.「持てる者」がさらに富むのが資本主義であると言われれば,「持たざる」都市勤労者は歯ぎしりして耐えねばならない.
 しかし高級果実生産者は基礎食糧の生産者ではない.彼らに税の優遇がなされてはならない.
 青森,長野,和歌山,愛媛等におけるリンゴや柑橘類など安価な果実の生産は国民栄養の観点から保護育成されるべきであるが,毎日の昼飯代が四百円しかない庶民の手に届かぬ山梨の高級果実は,農家自らが資金を投じて窃盗犯対策を立てなければいけない.果樹園のパトロールに警察力の投入を要求してはならないのである.
 
 とはいえ窃盗犯の捜査と逮捕は警察の任務だ.移動販売のトラックでシャインマスカットを売っている連中を逮捕して本国に送還し,果実窃盗団を壊滅させることは,高級果実栽培農家の受益者負担とは別の話である.(参考;文春オンライン《ベトナム人窃盗団が「食物」を狙うようになった食欲ではない“意外な理由”》[掲載日 2021年2月24日])
 
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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)


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