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2023年8月28日 (月)

評論家八幡和郎氏は日本近海から中国漁船を追い出せと主張する

 zakzak《中国漁船を日本近海から追い出すチャンス!? 処理水放出で〝イチャモン〟エスカレート…「天に唾する状況」識者指摘》[掲載日 2023年8月28日] から下に引用する.
 
中国の国家市場監督管理総局は25日、食品業界の経営者に対し、日本の水産物の加工や調理、販売を禁じると発表した。中国税関総署が前日、日本産水産物の輸入を全面的に停止したのに続き、日本産水産物を徹底的に排除する措置を打ち出したが、これはおかしい。
 第1原発が今年度放出するトリチウムの総量は年間22兆ベクレル未満だが、中国・秦山第3原発は約143兆ベクレル(2020年)で6倍以上なのだ。自国周辺の水産物を警戒すべきではないのか。
 異様な対応の背景として、中国国内で不動産危機が金融危機に発展するなか、習近平政権への批判の矛先をかわす狙いも指摘されている。
 評論家の八幡和郎氏は「中国の対応は、政治的側面が強い。来年1月の台湾総統選や、来年4月の韓国総選挙を見据えて、処理水放出で『反日』ムードを煽って、中国に都合のいい結果が出るように動いている。国内経済の苦境も一因だが、経済回復のためには日本との関係改善は不可欠のため、天に唾する状況となっている。日本としては、中国の矛盾を突くのはどうか。中国が危険だという日本近海には、中国漁船が大挙して侵入して漁をしている。事実上の無法状態となっている。そうした中国漁船の写真や名前を、中国語で発信するのはどうか。日本近海から中国漁船を追い出すチャンスだ」と語っている。
 
 上の引用箇所で八幡和郎氏は,中国が日本の水産物の全面禁輸に踏み切った背景に《中国国内で不動産危機が金融危機に発展》する中で《習近平政権への批判の矛先をかわす狙い》があると指摘している.
 それは納得できる意見だが,《国内経済の苦境》の故に《経済回復のためには日本との関係改善は不可欠》との認識はいかがなものか.
 日韓関係の改善に伴って,日米に韓国も加わった日米韓同盟が強化の一途を辿ろうとしている現在,中国が《日本との関係改善》を求める可能性はないと考えるのが大方の識者ではないか.中国としては,日本に支援を期待するのは米国に屈することであるからだ.
 従って,日本近海における中国漁船団の常軌を逸した操業は,激しくなっても収まるはずがない.
 その状況下で《中国漁船の写真や名前を、中国語で発信する》のは一向に構わぬが,それで《日本近海から中国漁船を追い出す》ことができるように考えるのは能天気である.
 その説明のために,海上保安庁《海上保安レポート2021》から図《我が国周辺海域の重大事案》を引用する.
 
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 上図の左上「日本海関連」には「北朝鮮漁船や中国漁船による違法操業 (大和体積)」と書かれているが,かつてボロボロ木造船に乗った漁民が網でなくイカを手釣りするという国情丸出しの北朝鮮漁船は現在は激減し,一昨年 (2021年1~12月) に日本の排他的経済水域からの退去を警告した北朝鮮漁船はゼロだったが,昨年 (2022年1~12月) もわずか十九隻である.
 これに対して中国漁船は,一昨年 (2021年1~12月) に日本の排他的経済水域からの退去警告が五百八十二隻だったが,昨年 (2022年1月から12月) は十九隻に激減した.理由は不明だが,いずれにせよ中国側の漁業政策に変化があったものと思われる.
(以上の資料は水産庁《日本海大和堆周辺水域等における外国等漁船への対応状況について》[2023年5月17日公表])
 
 上図の左下「尖閣諸島周辺海域関連」には「中国海警局に所属する船舶による領海侵入等」「中国海警局に所属する船舶による日本漁船への接近」「外国漁船による領海侵入・違法操業」と列記されている.
 尖閣諸島周辺海域における中国漁船違法操業の件数に関する最新の政府資料はウェブ上に見当たらないが,沖縄県の八重山日報《尖閣周辺に中国漁船150隻 違法操業は確認されず 海保が警備体制強化》[掲載日 2023年8月26日] は《尖閣周辺海域では1日当たり数十隻から百数十隻の中国漁船が確認されている》と報じている.
 平成二十八年の政府資料では一日当たり二百~三百隻とされている (海上保安庁《平成28年8月上旬の中国公船及び中国漁船の活動状況について》) から,少し減ってはいるようだ.
 しかしこの海域における問題は,漁船団の隻数ではない.中国海警局の武装船舶が常駐し,日本漁船を威嚇してくることだ.
 八幡和郎氏の主張のように《日本近海から中国漁船を追い出す》ことを試みると,尖閣諸島周辺海域で,海上保安庁船艇と中国海警局船艇の間で不測の戦闘状態が発生する可能性がある.
 尖閣諸島海域で日中間の紛争が発生することは中国政府の思うツボだと考えられるが,もし万が一そうなったら日本政府はどう対応するかが重大である.
 八幡和郎氏は《日本近海から中国漁船を追い出す》と軽々に元気よく主張するだけではいけない.評論家として国家間の非常事態について考察,提案してから《日本近海から中国漁船を追い出す》と書くべきである.
 
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ウクライナに自由と光あれ
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(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)



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