新聞記事の元記事と転載記事に文言の齟齬がある例
新潟市内のキャバクラで,爺さんが無銭飲食をしたという事件があった.
この事件について,まず朝日新聞のサイトに掲載された記事を,テキストとスクリーンショットの両方で下に引用する.
朝日新聞DIGITAL《「ツケ払いOK」と思い込んだ 無銭飲食で起訴の被告に無罪判決》[掲載日 2023年7月5日 14:15]
《キャバクラで「ツケ払い」を申し出て、店に了承されたと思い込んだ疑いがある――。無銭飲食をしたとして詐欺罪に問われた男性(69)について、東京高裁は5日、そう判断して男性を無罪とした一審・新潟地裁判決を支持し、検察側の控訴を棄却した。
判決によると、男性は2021年9月、新潟市内のキャバクラで焼酎の水割りを飲むなどした。だが金がなくて支払いができず、駆けつけた警察官にサービス代を含めた代金計約2万円をだまし取ったとして現行犯逮捕された。所持金はほぼゼロで、預金残高も11円だったという。》

次に,朝日新聞から Microsoft のニュース・フィーダー Microsoft Start に提供された転載記事をテキストとスクリーンショットの両方で下に引用する.
朝日新聞デジタル《「ツケ払いOK」と思い込んだ 無銭飲食で起訴の被告に無罪判決》(掲載日時記載なし)
《キャバクラで「ツケ払い」を申し出て、店に了承されたと思い込んだ疑いがある――。無銭飲食をしたとして詐欺罪に問われた無職男性(69)について、東京高裁は5日、そう判断して男性を無罪とした一審・新潟地裁判決を支持し、検察側の控訴を棄却した。
判決によると、男性は2021年9月、新潟市内のキャバクラで焼酎の水割りを飲むなどした。だが金がなくて支払いができず、駆けつけた警察官にサービス代を含めた代金計約2万円をだまし取ったとして現行犯逮捕された。所持金はほぼゼロで、預金残高も11円だったという。》

つまり東京高裁で無罪を言い渡された爺さんは無職だったか,あるいは職業を持っていたか,が朝日の元記事と転載された記事で食い違っているのだ.
Microsoft は,著作権の関係で,朝日から提供された記事に勝手に手を加えることはしない.という状況からすると,朝日新聞は Microsoft に記事を送信したあと,記事中の《詐欺罪に問われた無職男性》を《詐欺罪に問われた男性》に修正したのである.
おそらく,男性が実は無職ではないことに気が付いたのだろう.
男性が無職でかつ所持金ほぼゼロで,しかも預金残高11円であれば,これはもう最初っから無銭飲食する気まんまんということになる.
しかし職業があってその収入があるとすると,話が違ってくる.
ちなみに,市井の諸事件の報道においては容疑者の職業は,本人が供述しない場合は「職業不詳」,職業はないと供述した場合は「無職」,仕事をしているらしいが供述が曖昧な場合は「会社役員」とするようだ.w
で,「会社役員」の男が「ツケ払いでもいいかい」と,客引きをしていたキャバクラ店の黒服に確認して「いいっすよーお客さん!」と言われてから店に入り,飲食をした可能性が生じる.
高裁の判決はそのような状況を汲んだと思われる.
さて,このように新聞記事は,ニュース・フィーダーに記事を提供したあとで部分的な修正を加えることがある.
読者はニュース・フィーダーに転載された記事を鵜呑みにせず,元記事を確認するのがよい.私はそうしている.
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ウクライナに自由と光あれ
(国旗画像は著作権者来夢来人さんの御好意により
ウクライナ国旗のフリー素材から拝借した)
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